開発者プロフィール

- Dan Osborne
- 製品開発部
チームリーダー

- 蟹江大輔
- 製品開発部
タイヤ設計担当

- 河崎健一
- 材料開発部
トレッド・コンパウンドの配合設計担当

- 山崎安寛
- 製品開発部
タイヤ金型設計
デザイン担当

- 田代英之
- 製品開発部
工場での生産
技術サポート担当
- 宮原基幸
- プロダクト
マーケティング
フィールドエンジニア
チームリーダーコメント
ただ静かなだけのタイヤではない。
MICHELIN Primacy LCは、すべてにおいて高いパフォーマンスを発揮する。
私たちはアジアマーケット用にラグジュアリー・コンフォートタイヤをはじめとするハイパフォーマンスセグメントのタイヤを開発していまして、トヨタや日産、ホンダ、その他の車メーカと共にタイヤを共同開発することもございます。ちなみに、私自身はミシュランに25年ほど在籍していて、アジアではスポーツとラグジュアリー・コンフォートタイヤに携わっています。また、北アメリカではSUVタイヤをやっていました。北アメリカにはSUVが多いですから。
MICHELIN Primacy LCの開発は、私が日本へ来る前から始まっていましたが、私は着任すると同時にこのプロジェクトに参加し、タイヤを市場に出し、製造工程に載せるリーダーとしての役割を担いました。このタイヤは、日本をはじめ、アジア・オセアニア市場を意識してデザインされており、このクラスの中で最高峰のラグジュアリー・コンフォート性能を提供できると確信しています。
MICHELIN Primacy LCの第一の特徴は静粛性ですが、開発にあたって、最も難しかったことは、高レベルのハンドリング性能を維持しつつも、最高峰のラグジュアリー・コンフォート性能を提供することです。思うに、特に日本市場では、ノイズ性能が非常に重要な位置を占めているので、この点に関しては妥協せず、高いレベルを追及しました。
また、この製品は、市場の中でトップレベルのウェット性能を発揮しています。濡れた路面や乾いた路面でのブレーキングテストを見る限りでは、非常に良いブレーキング性能を示しており、喜びと同時に驚きを覚えました。
もうひとつ、このタイヤの優れた点は省燃費性能を持ち合わせていることです。燃費性能は全てのセグメントにおいて重要になりつつありますが、MICHELIN Primacy LCはこのラグジュアリー・コンフォートセグメントにおいてリーダー的な位置に立つことでしょう。
また、ミシュランにとっては高性能な製品を作ることと同時に、寿命の長い製品を作ることも重要なのです。ラグジュアリー・コンフォートやブレーキング性能、燃費性能を得ることができたとしても、製品寿命は決して犠牲にすることができません。
MICHELIN Primacy LCは、静粛性・快適性はもちろん、市場においてトップクラスの優れたグリップ性能やブレーキング性能、燃費性能を持ち合わせたタイヤだと自負しています。その、すべてにおける高いパフォーマンスを感じ取ってくれる人たちに、快適なドライブと高性能なドライブを同時に楽しんでいただきたいですね。
コンセプト
Q:MICHELIN Primacy LCの開発にあたってのベースコンセプトはどのようなものだったのでしょう?
蟹江:MICHELIN Primacy LCの開発にあたっては、まずプレミアムタイヤとして特に日本市場で求められる高い静粛性と、より低い転がり抵抗をテーマに開発を進めました。MICHELIN Primacy LCのLCは”Luxury Comfort”(上質な快適性)からきています。ですから、静粛性に関しては快適性としてのノイズパフォーマンスをいかに向上させるかが重要な開発ターゲットとなりました。また低い転がり抵抗は省燃費に貢献するとともに、クルマのCO2排出量低減にも影響するので、地球環境の面からも近年その要求が高まっています。ただハンドリングなどの運動性能やウェット性能といった安全性も犠牲にすることはできませんので、それらの相反する性能を高い次元で融合させることも同時に目指しました。
日本およびアジア向けということですか?
蟹江:はい。特に日本市場や日本車が多いアジア諸国では高い静粛性やより良い乗り心地が高級車には求められますので、それらの市場からのそういった要求に応えられるようなハイエンドモデルであるプレミアムプロダクトラインを開発することがもともとのコンセプトでした。MICHELIN Primacy LCという名前からしても「Luxury Comfort」というイメージなのですが、それを求めつつも従来のものとは違った製品を作りたいと考えていました。
高性能の秘密
Q:高い静粛性が実現できたポイントは?
蟹江:まず、タイヤのトレッドパターンに起因するパターンノイズを極めて低減している点でしょう。これは実際に同じクルマでタイヤを履き替えて比較していただければ、誰しもが明らかに分かるほど改善されていると自負しています。ぜひこのタイヤを履いて体感していただきたいですね。この高い静粛性を実現したキーテクノロジーといえるのがサイレント・リブテクノロジーです。
Q:サイレント・リブテクノロジーとはどのようなものなのでしょう。
蟹江:”空気の振動がなければ音は出ない”これがサイレント・リブテクノロジーのコンセプトで、ミシュランの製品の中でも初めてのテクノロジーです。例えばスリックタイヤのようにトレッドに横溝が切られていないものは、理論的にタイヤが回転し路面に接地するときに発生する不連続な空気の振動、すなわち音の波を発生させることはないのですが、スリックタイヤでは公道で使用する際に必要な他の性能を出すことが出来ません。ですから、実際タイヤ一回転を通してなるべくこの振動、音を出さないようなパターンができないものかということを、まずは先行開発の中で揉み、デザインに反映させました。
Q:実際にサイレント・リブテクノロジーを製品としてカタチにしていくにあたってはいかがでしたか?
蟹江:サイレント・リブのコンセプトは、リブをどこで切っても溝とブロック幅の比率を同じにすることによって路面に接する際のブロックの振動をタイヤ1周にわたり一定に保つ、すなわち音を抑える、ということです。ただ、そうは言っても実現するのは容易ではありませんでした。私たちが山崎さんたちの部署に設計を頼む際に、彼らはどこで切っても本当に一定なのかという計算をしなくてはいけないので、そういったことを夜遅くまで話し合ったりしていましたね。
山崎:やはりコンセプトとして机上で語っているときと実際にそれを製品化するときではさまざまなギャップが生じます。計算上ではそうなっても、カタチにするとなると出来ないこともあるわけです。そのあたりのところを設計担当と何度も話し合い解決してきました。
また同じタイヤといえども、サイズが違うとどうしても見た目が違ってきてしまいます。そこで、見た目を維持しつつもサイレント・リブというテクノロジーをカタチにし、更にパフォーマンスの要求を満たすためのバランスもとっていくという作業が発生します。いろいろと大変でしたが、最終的には、多くのパターンの金型を作りながら、すべてにおいてミシュランクオリティを実現できたと思います。
河崎:まず、タイヤのトレッドコンパウンド(ゴム)を触っていただくだけで柔らかさを実感いただけると思います。タイヤのパターン設計に関わるパターンノイズを低減する技術がサイレント・リブテクノロジーですが、一方でタイヤのゴムの質により影響されるロードノイズという音を抑えるためにはこのゴムの柔らかさが重要です。
しかし、単にゴムを柔らかくするだけですと、それにより転がり抵抗や耐摩耗性が損なわれるといったマイナスの面も出てきます。そこで威力を発揮しているのがフルシリカの採用です。これにより低い転がり抵抗や耐摩耗性も同時に実現できました。
田代:新製品の生産にあたっては、設計書をただ工場に渡して「この通りによろしく」というわけにはいきません。まず、自薦に設計書を工場にもって行き、生産側の意見を聞き、その上で実際に生産ラインに乗せるためにはどこに問題があるかなどを入念に調べておく必要があります。それを設計に持ち帰って、打ち合わせをし、また工場に持っていって・・・と、何度もすり合わせを行います。今回は特に生産現場での細かなルールづくりをしていきました。その結果、開発の目標通りの品質、性能を持った製品を作ることができました。
開発時の苦労話
Q:それぞれの担当の立場から苦心したのはどのあたりでしたか?
蟹江:もちろん、ラグジュアリーで快適な乗り心地を追求したタイヤとはいえ、耐久性や安全性、また省燃費や環境に関わる性能などを犠牲にするわけにはいきません。そこで、ゴムの配合を工夫したり、タイヤの形状や構造の最適化を図ったりしながら製品化を行いました。
ですから、一番の特徴として静粛性があげられるわけですが、プレミアムタイヤに求められるあらゆる性能をきわめて高い次元で満たした製品に仕上がったと思います。
河崎:良い設計のタイヤというのは、量産するにあたって作りやすいのかといえば、必ずしもそれは当てはまりません。大抵の場合は、作るのは難しいのです。私が担当しているのはトレッドコンパウンドという路面に接している部分なのですが、十数種類の原材料をある配合比に従って作っています。そして、MICHELIN Primacy LCにはMICHELIN Primacy LC専用のトレッドコンパウンドのレシピがあります。
どういった製品のゴムにしたらいいかということや、そのためにはどういった技術が必要になるのかということを考え、試行錯誤を繰り返した結果、独自のレシピにたどり着きました。
山崎:MICHELIN Primacy LCの開発にあたっては、性能とともに見た目の美しさ、高級感も重要なファクターでした。ですから静粛性や転がり抵抗という基本性能を維持しながら美しくといった、パフォーマンスと見た目のデザインを高い次元で両立させることが一番苦心した点でしょうか。
またサイドウォールのデザインなど、細かいところまでこだわりを持って、ミシュランらしい見た目の美しさにも気を配りました。
田代:MICHELIN Primacy LCは、日本で開発しましたが、世界各地の工場で量産されています。それぞれの工場の設備や環境は全く同一というわけではありませんが、どこの工場で作られたものでも最終製品としては同じ品質、同じ性能を持っていなければ、MICHELIN Primacy LCとは呼べません。そこで各工場をまわって現場を把握し、設計部と綿密な打ち合わせを繰り返し、それぞれの工場ごとに調整を行いました。ですから世界中どこの工場で作られたMICHELIN Primacy LCも自信をもって世に出せると自負しています。
メッセージ
Q:最後にひとことずつ、MICHELIN Primacy LCへの思いやメッセージをお聞かせください。
田代:MICHELIN Primacy LCの乗車テストに参加した時に、従来のタイヤと比較してみてもすぐ分かるくらいにノイズの大幅な低減が実感できました。音というところに大きな特徴をもったタイヤラインが出来上がってものすごく満足しています。是非乗っていただきたいと思います。
河崎:先行開発の段階から試行錯誤し、ノイズ性能をはじめ、ウェット、磨耗、転がり性能と、これ以上何があるんだというほどすべてが高い次元で実現できました。手塩にかけてやっと市場に出るので感慨深いですね。100点満点なら100点でしょう。
山崎:私の担当はトレッドのモールデザインを各サイズで実現していくことだったので、サイズに関わらず高い静粛性を達成できたことを嬉しく思います。是非、すべてのMICHELIN Primacy LCを使われる皆さんにノイズの違いというものを体験していただきたいと思います。
蟹江:MICHELIN Primacy LCは、マーケティングから先行開発や材料開発、製品開発、そして実際に工場での生産まで、プロジェクトに関わったすべての人の知恵や技術と思いが込められたタイヤです。静粛性や快適性はもちろん、極めて低い転がり抵抗は、省燃費に繋がり、ひいては環境にも貢献する、今の時代にピッタリなタイヤだと思います。私たちが自身を持ってお届けするMICHELIN Primacy LCをぜひ堪能して頂ければと思います。
マーケティング部からのメッセージ
宮原:MICHELIN PRIMACY LCはMICHELINのDNAである高い安全性をそのままに、更に静けさを求めるユーザーへお奨めする商品です。 大型セダンやクーペは基より大型ミニバンにもお使い頂ける商品です。新しい技術を用いたことで路面の凹凸を上手くいなし、 タイヤが発するパターンノイズと路面からの影響によるロードノイズをも同様に低く小さく抑えており上質な空間の中でのスムーズな走り「フラットライド感」をご体感下さい。

- 河口 まなぶ
- 自動車ジャーリスト
日本自動車ジャーナリスト協会理事
Web自動車部LOVECERS!主催

- 菰田 潔
- モータージャーナリスト
日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)
副会長
日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員
BMWドライバー・トレーニング
チーフインストラクター
現代のラグジュアリーを体現する、上品かつ高性能なタイヤ
LCの意味はラグジュアリー・コンフォート。プライマシーは高い性能でバランスの取れたタイヤだが、LCはシャーというパターンノイズを低減するようにトレッドデザインに工夫を凝らしている。さらに転がり抵抗を小さくし、燃費の向上も図っている。しかし低燃費タイヤはウエットグリップが弱いという欠点を持っていることが多いが、プライマシーLCはフルシリカ・コンパウンドを採用することにより、燃費が良いにもかかわらずウエットグリップが強く雨の日の安全性も確保しているから頼もしい。日本の静かな高級車にマッチするだろう。












「おもてなし」を感じさせるタイヤ
プライマシーLCの印象をひと言で表現するならば「おもてなし」を感じるタイヤ、ではないだろうか。走らせるととても静粛性が高いことに驚かされる上に、滑らかな感触を伴った乗り味が実現されていることが分かる。この辺りはまさに、このタイヤを選んだユーザーに対するきめ細やかな気配り、とでもいえるような感覚に溢れているのだ。しかもプライマシーLCは高いダイナミクスから来る安心感の高さや燃費に貢献する低転がり性能などの基本性能を押さえた上で、そうした「おもてなし」を感じさせる辺りに、豊かさやゆとりをも感じさせる上質なタイヤだ。