クラシックタイヤ 背景 ポルシェ356

ポルシェ356、 ポルシェ本社をめざして

~ポルシェ 356 クラブ・オブ・ジャパン鈴木利行会長インタビュー~

ドイツのポルシェ本社公認のクラブ、ポルシェ 356 クラブ・オブ・ジャパン。創設から41年を迎えた伝統ある同クラブの会長である鈴木利行氏が、ご自身の所有する1953年式 初代356(通称プリA)と共に、ロシアのウラジオストクからドイツのポルシェ本社を目指し、1万キロ以上の道のりを約1か月以上かけて単独走破する旅を続けています。

このチャレンジングな旅の足元を支えるのは、ミシュランクラシックタイヤMICHELIN XZX(サイズは165SR15)。出発前にタイヤについて、そしてポルシェへの思いなどを語って頂きました。

- ミシュラン(以下、MI): この旅に出ようと思いついたきっかけは何だったのでしょう。

鈴木会長: ずっと以前からから考えていたんですよ。ただこのタイミングになったきっかけは、2016年の356ホリデイにいらしたポルシェ・ドイツ本社のオーナーズクラブ担当の方が「日本のお客様は我々にとって特別なお客様です、なぜなら世界で一番遠くに住んでいらっしゃるお客様だからです」とおっしゃったんですね。そうか、そういう発想でいてくれているなら是非やってみよう、と思ったんです。2018年はポルシェの70周年で、私も60歳。80周年、70歳はちょっときついかな(笑)と思ったのでこのタイミングに決めました。

- MI: 今回のお車はポルシェ356 プリ A、もちろん素晴らしいお車ですが、このお車でユーラシアを横断するというのは勇気がいるのでは?

鈴木会長: 私の356 プリAは1953年型です。そしてポルシェが最初に日本に輸入された年も1953年。
日本にとっても記念の年に製造された車両ですよね。70周年という記念の年を迎えるポルシェを祝うに相応しい車は「これだ!」と思ったんです。

- MI: タイミングやお車など、うまくはまった感じがありますね。出発日はどのように決められたのでしょう。

鈴木会長: それについてはすっと悩んでいてね、シベリアは寒いので6月頃の出発にしようと考えていたんだけど、ポルシェ本社から「ドイツに着く頃には夏休みで誰もいない」と言われましてね(笑)。

前倒しして、4月21日に境港から出発することに決めました。そこからウラジオストクまでフェリーで移動して、ウラジオストクの港で車両の通関が無事済んだらいよいよ陸路での旅を始める予定です。

鳥取県境港よりポルシェ356と共に日本を出国

2018年4月21日
鳥取県境港よりポルシェ356と共に日本を出国。
ウラジオストクまで2日間の船旅です。

エカテリンブルクを出発した朝は雨

5月7日
エカテリンブルクを出発した朝は雨。
浸透アスファルトではないので走りづらいようです。

- MI: するとゴールはいつ頃になりそうですか?

鈴木会長: ポルシェのクラブニュースで、70周年記念の一環としてシュツットガルトをゴールにヨーロッパの4箇所から同時スタートでラリーを開催するとあったんですよ。そのゴールが6月8日。この6月8日っていうのがポルシェという名前がついた最初のモデル、ポルシェ356が誕生した日でね。つまりポルシェブランドの誕生日です。その日に是非、と話があったので6月8日をゴールとしました。

大勢のヨーロッパのポルシェオーナーの中に日本から来た人がいても面白いでしょう?

- MI: ドイツまでのルートはどのような予定ですか?

鈴木会長: ロシアを抜けてベラルーシに入ろうと思ったんだけどビザ等の手続きが大変でね、それならちょっと遠回りしてラトビア・リトアニアに入ればもうEUでしょう。そしてポーランド、多分チェコに入ってオーストリア。オーストリアに行くのは理由があって、実はポルシェ1号車が作られた場所だからなんです。つまりポルシェの聖地。オーストリアのグミュント郡には私設の博物館もあるので“そこには絶対に行かないと!”と考えています。

- MI: 心配性の私としては宿が気になります。予約は出来ませんしどうされるのですか?

鈴木会長: ウラジオストクのホテルだけは予約しましたよ。車の通関に数日掛かるらしくてね。でも何日掛かるのかの具体的な回答は結局もらえなかったですよ(笑)。しかし通関というのは大変な作業で持っていくものはスパナ1本から申告、重さから値段から全部申告しなくちゃいけないのでかなり厳密なんですよ。

ウラジオストク以外はホテル予約できないからその場その場で対処していく予定です。

モスクワまであと少し どんな風景も画にしてしまうポルシェ356

5月10日
モスクワまであと少し。どんな風景も画にしてしまうポルシェ356。

ポルシェセンターモスクワ

5月12日
2週間以上走りどおしだった車両の整備のため、ポルシェセンターモスクワを訪れます。

- MI: 鈴木会長は旅慣れていると伺っていますが、今回は全く一人で行かれるのですか?サポートは全く付かないのでしょうか。

鈴木会長: 本当の一人ですよ。でも妻にこの計画を話したら開口一番「私も!」なんて言うんですよ。妻は一人でヨーロッパのアルプス登っちゃう人ですからね。 息子は「二人で同時に何かあったら困るから、今回は母さんは遠慮してくれ」って(笑)。 人数が増えると車への負担も大きくなるので一人がベターです。

- MI: ということはもちろんサポートカーもなしですか?

鈴木会長: 伴走なんてお洒落じゃないですよ(笑)。正真正銘一人です。

- MI: お洒落じゃない、という表現がステキですね。そんな中でタイヤはミシュランを選んで頂きました。ありがとうございます。是非その理由をお聞かせください。

鈴木会長: お世辞でも何でもなくて当初からミシュランタイヤを考えていましたよ。

ロシアの道路は過酷なようだから、急なタイヤ交換が必要になったときのことを考えてチューブレスタイプのMICHELIN XZX(165SR15)にしました。私が性能のうんちくを言うつもりはないですが、あえていうなら私の友人が356にミシュランタイヤのMICHELIN XAS(チューブタイプ)を装着したときに私に言ったのがね、「ミシュラン、なんとなくいいよね」なんですよ。

まさにこの言葉に全てが表されていてね。ミシュランタイヤはあらゆる面で満足させてくれるの。サイドウォールのレタリングも当時のまま、やっぱりいいよね。“なんとなくいいよね”というのは“100%の満足”という意味なんですよ。

MICHELIN XZXはグリップもいいよ。フィーリングもいい。 これまで散々履いたよ、このMICHELIN XZX。このタイヤを良く知っているからこそ選んだんでしょうね。

1万km以上を走行したあとのミシュランXZX

1万km以上を走行したあとのミシュランXZX。
ハードな道路状況にも関わらず破損もなく、順調に機能しています。

リトアニアに入ってすぐの街での一枚

5月16日
リトアニアに入ってすぐの街での一枚。
石畳の道がこの上なく似合います。

- MI: ありがとうございます!ところでこれまで伺ったことがなかったのですが、鈴木会長とポルシェ との出会いはいつ頃だったのでしょう。

鈴木会長: 40年くらい前だったかなぁ、初めて買ったポルシェは911、22歳の頃だったと思います。356は買えなかったんですよ。台数も少なかったし、値段もするし。それまでは車にまったく興味なくて免許の取得したのも21歳ですもの。ポルシェといえば911のイメージしかなかったんですけど、ある日地域のちょっとした集まりが山の上であってね。その帰りにポルシェ乗りの先輩が「乗っていく?」と誘ってくれたんです。山を下りつつその先輩の車に向かって歩いていくと、見えてきた1台のポルシェ356が夜、街灯の下にその光を受けて佇んでいてね。生き物かと思ったよ。まるで高貴な猫がうずくまっているような。

「なんだ、これは!?」と思ったね。

初めてのポルシェを買ったのはまさにその2週間後。67年式2リッターの911S。乗れない車買っちゃったと思ったよ(笑)。初めての左ハンドルだったし、車の構造も全然分かってなかったから随分練習して乗ったなぁ。356を買ったのはそれから5年後。
しかしあの街灯の光を受けた356の姿は衝撃的でしたね。

- MI: 光を受けたポルシェ356、画になりますよね。まるで小説の読んだ時のように風景が頭の中に浮かびます。最後に、鈴木会長にとってのクラシックカーの一番の魅力はなんでしょう?

鈴木会長: レストアして満足するもよし、「何だ、このボロは!」なんて冗談を言ったり言われたりして、同じクラシックカーという趣味を通じて知り合った人との関わりや繋がりが一番の魅力ですね。

だって一人でいじって磨いていても何にも楽しくないでしょう?(笑)。所有することよりも好きなものについてお互い語り合える仲間がいる、共有できる時間があることが私にとって一番の魅力ですよ。

オーストリアはグミュント郡にある私設のポルシェ博物館に到着

5月26日
オーストリアはグミュント郡にある私設のポルシェ博物館に到着です。グミュントはポルシェ第1号車の誕生の地として大変有名な土地です。

ポルシェ356

このアングルでの撮影は、ポルシェを愛する人にとって「夢」とのことです。

* * * * *

出発前のお忙しい中にもかかわらず、楽しく明るくお話してくださった鈴木会長。

ゴール後には、会長のポルシェ356 プリAは、ドイツのポルシェミュージアムに2018年の末まで展示されることが決定しています。
ゴールは目前。引き続き旅のご無事と成功をお祈りしています。

※当インタビューは鈴木利行会長が出発する前に実施され、出発後の2018年6月1日に当ホームページに掲載しています。

ポルシェ 356 クラブ・オブ・ジャパン 鈴木利行会長

ポルシェ 356 クラブ・オブ・ジャパン 鈴木利行会長

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