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SUPER GT 2023 ROUND 1
OKAYAMA

■予選:4月15日/決勝:4月16日
■開催地:岡山国際サーキット(岡山県)
■レース距離:300km(82周×3.703km)

開幕戦からミシュラン勢が1‐2フィニッシュ
他を圧倒するタイヤ性能でシーズン初戦を制す

世界最高レベルのタイヤ競争が繰り広げられているSUPER GTシリーズの2023年シーズンが開幕。ウェットコンディションでの予選では、No.23 MOTUL AUTECH Z(松田次生/ロニー・クインタレッリ)とNo.3 Niterra MOTUL Z(千代勝正/高星明誠)のミシュラン勢がトップ2を独占。そして、極めて不安定な天候と路面状況のもと行われた決勝レースにおいても、23号車、3号車の順で1‐2フィニッシュが飾られ、ミシュランタイヤの圧倒的な高性能が大いに注目を集めた開幕戦となりました。また、GT300クラスにおいてミシュランが唯一タイヤ供給を行うNo.7 Studie BMW M4(荒 聖治/ブルーノ・シュペングラー)は、予選では3位を獲得。決勝では6位に入りました。

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SUPER GT開幕戦 岡山
MOTUL AUTECH Z

予選はウェットコンディション。決勝レースは、スタート時こそドライ路面だったものの、序盤のうちに雨が降り出し、フルウェットの状態に。やがて路面の水量は減り、スリックタイヤを使う状況になったものの、その後、再び強い雨が……。こうした不安定な条件のもとで、ミシュランタイヤは傑出した高性能を発揮。レース戦略とピットワークも見事だったNISMOチームのNo.23 MOTUL AUTECH Zが、圧倒的な内容でポール・トゥ・ウインを決めました。

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前身の全日本GT選手権の時代から数えて30年目を迎えたSUPER GT。今シーズンもミシュランは、GT500クラスで2台、GT300クラスで1台の車両に専用開発タイヤを供給します。

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SUPER GTは今シーズンからカーボンニュートラル・フューエルを導入。また、サーキットに持ち込めるタイヤの本数を削減するなど、環境負荷を下げる努力が行われています。

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GT500クラスのミシュランタイヤ装着車は、2台ともにNISMOが走らせるNissan Z GT500。日産のエースカーである「23号車」がミシュランを選択して戦うのも11年連続に。

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コンビを組むのも10年連続となったNo.23 MOTUL AUTECH Zの松田次生とロニー・クインタレッリ。予選では、Q2で松田が圧巻のタイムを刻んでポールポジションを獲得しました。

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No.3 Niterra MOTUL Zは、昨シーズンはランキング2位となった千代勝正と高星明誠のコンビが続投。予選では2位に入り、ミシュラン勢のフロントロウ独占を実現させました。

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GT300クラスにおいてミシュランは、昨シーズンに続いてNo.7 Studie BMW M4の1台にのみタイヤを供給。元DTM王者のブルーノ・シュペングラーが荒 聖治と組んで戦います。

市販のスポーツカーをもとに作られたGTマシンによるレースシリーズである「全日本GT選手権(JGTC)」が始まったのが1994年。それが2005年には「SUPER GT」に改編され、FIA(国際自動車連盟)公認の国際レースシリーズとなりました。そして、この2023年は、JGTCのスタートから数えて30年目のシーズンとなります。

トップカテゴリーであるGT500クラスには、今シーズンも15台のマシンがシリーズを通じて出場します。今日のモータースポーツでは世界的にほとんど行われなくなったタイヤ競争がSUPER GTでは健在であり、ミシュランを含む4つのタイヤメーカーが参戦。GT500クラスでは、ブリヂストンが10台に、横浜ゴムが2台に、ダンロップが1台に、そしてミシュランは2台にタイヤを供給。技術を競い合います。

なお、出場各車には獲得ポイントに応じたハンディキャップを課す制度を持つSUPER GTですが、今大会はシリーズ開幕戦であることから、全車がノーハンディの状態で出場しました。

【GT500クラス予選】
2023年シーズン初戦の走行初日は朝から雨。午後に行われた予選は、安全性を高める目的で、各セッションの時間を本来の10分間から15分間に拡大して実施されました。

GT500クラスのQ1(予選第1セッション)は午後2時53分から開始。気温は14℃、路面温度15℃。雨は小康状態となっていました。

No.23 MOTUL AUTECH Zにはロニー・クインタレッリが乗り込んで、このQ1に出走しました。大雨の中で行われた午前中の公式練習では、大きなクラッシュの発生による走行の中断とセッション後半のキャンセルがあったことから、23号車のもうひとりのドライバーである松田次生は走行できずに終わっていました。その松田にいきなり予選を走らせるのは良案でない、ということで、予定ではQ2の担当だったクインタレッリがQ1にアタック。最後の周回でトップタイムを叩き出し、首位でのQ2進出を決めました。また、千代勝正が乗り込んだNo.3 Niterra MOTUL Zもセッション4位のタイムを刻んで、Q1突破を果たしました。

そして迎えたQ2(予選第2セッション)は午後3時41分から。雨は止んでおり、このセッションに進出したQ1上位8台が周回を重ねるうちにレコードラインがはっきりと浮かび上がってくる、という状況でした。

こうしたコンディションのもとで、ミシュランタイヤを履く2台のNissan Z GT500がライバルたちを圧倒するスピードを見せました。No.23 MOTUL AUTECH ZとNo.3 Niterra MOTUL Zは、周回を重ねるごとにベストタイムを更新。特に、23号車の松田は、午前中の公式練習で1周もできていなかったにもかかわらず、2番手タイムより1秒175も速い断トツのトップタイムをマーク。No.23 MOTUL AUTECH Zが見事ポールポジションを獲得しました。そして、高星明誠がQ2を担当したNo.3 Niterra MOTUL Zも2位で続き、2台のミシュランタイヤ装着車が開幕戦のフロントロウを独占する結果となりました。

【GT500クラス決勝】
岡山国際サーキットの決勝日は、朝から晴天でした。しかし、決勝レース前のパレードラップ&フォーメイションラップの開始時刻が迫る頃になると、雲が急速に拡大。遠からず降雨がある可能性が高まる中で、すべての車両はスリックタイヤを履いてスタートを切りました。

フロントロウから出たNo.23 MOTUL AUTECH ZとNo.3 Niterra MOTUL Zの2台は、オープニングラップのうちに3番手以下を突き放してみせ、ミシュランタイヤの温まりがひときわ早いことを印象づけました。そして、その先のレース展開は、天候の目まぐるしい変化に大きく影響され続けることになりました。

ロニー・クインタレッリがステアリングを握ったNo.23 MOTUL AUTECH Zと、千代勝正が乗り込んだNo.3 Niterra MOTUL Z。この2台のミシュランタイヤ装着車を先頭としたGT500クラスの集団が5周目に入ったあたりから、雨粒が降り落ち始めました。しばらくはパラつく程度でしたが、12周目を迎えた頃から本降りに。やがて激しい降り方となり、コースの一部では雹まで落ちてきていました。

コースが一気にウェットコンディションと化した中、NISMOチームは15周目終了時に、まずNo.23 MOTUL AUTECH Zをピットに呼び入れて、ウェットタイヤにスイッチさせました。その次の周には、今度はNo.3 Niterra MOTUL Zのタイヤを替えよう……というところで、コース上における追い越しとピットストップを禁じるフルコースイエロー(FCY)がレースコントロールによって発令され、続いて、セーフティカーが導入されました。

こうした事態となったことで、割を食ったのがNo.3 Niterra MOTUL Zでした。同車は、スリックタイヤのまま、セーフティカーランを走り続けることに。そして、走行車両の隊列が整った19周目終了時にピットロードがオープンとなり、No.3 Niterra MOTUL Zはここでようやくウェットタイヤを履けたものの、ポジションをほぼ最後尾にまで落とすことになってしまいました。

セーフティカーは22周目終了時にコースから外れ、バトル再開となりました。先のFCYの発令の直後にピットロードに飛び込んでウェットタイヤに交換した2台の車両が前を走り、No.23 MOTUL AUTECH Zは3番手につけていました。

このとき、路面はヘビーウェットで、No.23 MOTUL AUTECH Zが履いたウェットタイヤには最適ではないコンディションでした。このため、No.23 Zは3台の車両に先行されることを余儀なくされました。しかし、雨は上がり、青空が見えるほどとなっていた中で、レーシングライン上の水量は確実に減少。それにともなって、No.23 MOTUL AUTECH Zはペースを上げていきました。やがて、ライバルたちより1秒以上も速いラップタイムに達し、オーバーテイクを繰り返すと、31周目には2番手にまで順位を回復。さらに、41周目に入った直後の第1コーナーで、No.23 MOTUL AUTECH ZはNo.36 トヨタ GRスープラのインをズバリと刺し、ついに首位を奪還しました。

No.3 Niterra MOTUL Zも同様の躍進を見せました。水量が減ってきてからのペースはあからさまに速く、26周目からの16周のうちに11ものポジションアップを実現。41周目には3番手にまで浮上してみせました。

ここまで各車はウェットタイヤを履いての走行でしたが、82周のレースが折り返し点を過ぎ、そろそろルーティンのピットストップを行う頃合いとなったあたりでは、もうスリックタイヤを使う方が好ましい路面状況となってきました。2台のミシュランタイヤ装着車を走らせるNISMOは、今度はNo.3 Niterra MOTUL Zを先にピットインさせることとし、44周目終了時にスリックタイヤへの換装と、高星明誠へのドライバー交替を実施。No.23 MOTUL AUTECH Zのピットストップは2周後の46周目終了時に行い、松田次生が新たに乗り込みました。

すると、48周目にGT300車両のアクシデントが起こり、FCYが導入されました。そうしてレースが中立化されている間に、天候がまたしても急変。再び雨が降り出しました。すると、51周目、首位を走るNo.23 MOTUL AUTECH Zがバックストレートを走行中に、FCYが解除されて、追い越しもピットインも可能な状態になりました。その刹那、別なGT300車両のクラッシュが発生。するとNISMOチームは、コースの後半区間にいたNo.23 MOTUL AUTECH Zの松田に対して、緊急ピットインを指示。セーフティカーが導入されてピットロードが一時閉鎖される直前に23号車をピットへ滑り込ませ、ウェットタイヤへの交換を実施。同車は6番手で戦列に戻りました。

その後、雨は強さを増し、コース上への落雷が予想される悪天候となったことから、レースコントロールは赤旗を提示しました。

約20分間の中断を経た後に、レースはセーフティカー先導で再開されました。もちろん路面はフルウェットですが、この時点でウェットタイヤを履いていたのは、No.23 MOTUL AUTECH Zともう一台の車両のみ。他の13台はスリックタイヤのままであり、彼らはレース再開と同時にピットロードへとなだれ込むことに。これにより、No.23 MOTUL AUTECH Zは自動的に首位へ浮上しました。すると、2番手につけていたNo.36 GRスープラに、ピット作業のミスによるホイールの脱落がピットレーン内で発生。これにより、No.36 GRスープラの真後ろでピットアウトしようとしていたNo.3 Niterra MOTUL Zが2番手に繰り上がることになり、ミシュランタイヤ装着車の1‐2体制が形成されました。

その後もセーフティカー先導によるスロー走行が続きましたが、雨が激しさをまた増してきたため、60周目には再び赤旗が提示されました。そして、レース最大延長時刻まで残り10分となったところで、再度セーフティカー先導によって走行が開始されたものの、コース上の水量が多く、安全性を十分に確保できないという判断から、この日3度目の赤旗が提示され、そのままレースは終了に。この結果、No.23 MOTUL AUTECH Zが優勝、No.3 Niterra MOTUL Zが2位となり、ミシュランタイヤ装着車の開幕戦1‐2フィニッシュが果たされました。

【GT300クラス】
27台が出場したGT300クラスにおいて、ミシュランがタイヤ供給を行う唯一の車両であるNo.7 Studie BMW M4は、2組に分けて行われるQ1のBグループに荒 聖治のドライブにより出走。グループ5番手のタイムをマークして、Q1突破を果たしました。

進出したQ2では、BMWのワークスドライバーであるブルーノ・シュペングラーがアタックを担当。彼にとってはこれが初めて経験するSUPER GTの予選でしたが、堂々の3番手タイムを叩き出して、その実力を示しました。

BMW Team Studie × CSLは、そのシュペングラーに決勝レースのスタート&前半スティントを任せました。2012年のDTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)チャンピオンは、初体験であったSUPER GTのローリングスタートも首尾よく決め、レース序盤はスターティングポジションをキープ。ところが、11周目に他車との接触があり、6番手に順位を落としました。

その後、雨が強まり、FCY、そしてセーフティカーが導入される事態に。No.7 Studie BMW M4は、18周目にピットレーンがオープンになるところまでウェットタイヤへのスイッチを待たされた車両の一台となり、ようやくタイヤを替えてコースに戻ったときには16番手にまでポジションダウンしていました。

ただし、セーフティカーが退いてバトル再開となってからのNo.7 Studie BMW M4のペースは素晴らしく、シュペングラーはオーバーテイクを繰り返し、どんどん順位を上げていきました。そして、No.7 Studie BMW M4は38周目終了時にピットロードへ滑り込み、ルーティンのピットストップを実施。タイヤはスリックに替え、6番手で後半スティントを戦い始めました。

荒 聖治が新たに乗り込んだNo.7 Studie BMW M4は、42周目には2つ、43周目にはさらに1つポジションを上げて3番手にまで浮上します。すると、アクシデントの発生によるFCYとセーフティカーの導入が立て続けにあり、その間に天候が急激に悪化。セーフティカー先導でレースが再開されたところで、チームはNo.7 Studie BMW M4をピットに入れてウェットタイヤに交換。6番手でコースに復帰させました。

しかし、その後はコンディションが悪化の一途をたどり、赤旗が繰り返し提示されたすえにレースは終了に。最後は悪天候に振り回される格好になったレースでしたが、No.7 Studie BMW M4は6位でシリーズ開幕戦を無事終えました。

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■日本ミシュランタイヤ モータースポーツダイレクター 小田島広明のコメント:

「我々が今大会に持ち込んだタイヤですが、ドライコンディション用のスリックタイヤに関しては、GT500クラスには今大会におけるソフト仕様とハード仕様の2種類、GT300クラスにはソフト仕様、ミディアム仕様、ハード仕様の3種類でした。そして、ウェットコンディション用は、GT500とGT300のすべてのユーザー車両に対して、フルウェットタイヤとダンプタイヤ(湿った路面用のタイヤ)を用意しました。

 GT500クラスの23号車と3号車の予選におけるタイヤ選択は同じで、Q1ではフルウェットを使いましたが、Q2ではダンプタイヤにスイッチしました。GT300クラスの7号車は、Q1、Q2ともにフルウェットを履きました。決勝では、23号車はハード仕様のスリックタイヤでスタートし、降雨の後はダンプタイヤに替え、ルーティンのピットストップでソフト仕様のスリックを装着し、また雨になった後は再びダンプタイヤを履きました。一方、3号車と7号車は、クラスは違えどタイヤ選択の変遷は同じで、ソフトスリック→ダンプ→ソフトスリック→ダンプと推移しました。

 2023年の開幕戦はウェットコンディションの予選で始まりましたが、GT500クラスでは、我々のミシュランタイヤを履く2台がトップ2を占め、決勝でも優勢に戦いました。レースはドライ路面のもとでスタートしましたが、その後、不順な天候によって、コースコンディションは大きく変化し続けました。そうした中では、優れたレース戦略と、ウェットタイヤへの変更を適切なタイミングで行うことが要求されました。そして最終的には、ミシュランタイヤ装着車2台が予選と同様に1‐2フィニッシュを飾ってくれました。この週末に我々のタイヤが非常に良く機能したことを示す結果が得られ、とてもうれしく思っています」

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SUPER GT開幕戦 岡山
ミシュラン勢1‐2フィニッシュ

予選と決勝の双方でトップ2を独占するという、完璧な内容で開幕戦を制したミシュラン勢。3度も赤旗が出されて中断となったほどに不安定なコンディションのもとでのレースの完全制覇は、ミシュランのタイヤ性能の高さを強烈に印象づけるものでした。

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2台そろってフロントロウから上々のスタートを切ったミシュラン勢。スタート時は完全にドライコンディションでしたが、この10分後には路面はすっかりウェットとなっていました。

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レース前半の雨はやがて上がり、日差しさえある状況に。路面の水量はどんどん減っていき、それにつれてミシュランタイヤ装着車の走行ペースは跳ね上がっていきました。

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都合3回あったピットストップのタイミングがすべて秀逸だったNo.23 MOTUL AUTECH Zが快勝。クインタレッリはGT500クラス通算18勝目、そして松田は24勝目を飾りました。

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FCYとセーフティカーが入ったことによって、スリックからウェットタイヤへのスイッチを狙ったタイミングで行えず、14番手にまで落ちてしまったNo.3 Niterra MOTUL Zですが、その後の走りで大きく巻き返し、最終的には2位にまで順位を上げてみせました。

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No.7 Studie BMW M4の決勝におけるペースは、ドライ路面でもウェット路面でも良好で、レース後半には3番手を走行。最後にウェットタイヤに替え、その間にポジションダウンしたところからの再浮上を狙っていた途中で、レースが赤旗で終了になったのが残念でした。

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昨シーズンの雨の菅生大会でミシュランタイヤが突出した高性能を見せつけたことで、ライバルのタイヤメーカー各社は特にウェットタイヤについて懸命な開発を行ってきていましたが、それはミシュランも同じこと。果たして、ウェットでの走行が多かった今大会でも1‐2フィニッシュを飾り、「ミシュラン強し」との印象をさらに強めた一戦となりました。

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