
SUPER GT 2023 ROUND 2
FUJI
■予選:5月3日/決勝:5月4日
■開催地:富士スピードウェイ(静岡県)
■レース距離:450km(100周×4.563 km)
Niterra MOTUL Zが5位でフィニッシュ
ミシュラン勢がランキングトップ2を堅守
2日間で8万人を超える大観衆を迎えて開催された2023年SUPER GTシリーズ第2戦で、ミシュランタイヤを履くNo.3 Niterra MOTUL Z(千代勝正/高星明誠)は5位、No.23 MOTUL AUTECH Z(松田次生/ロニー・クインタレッリ)は7位にそれぞれ入賞。先の開幕戦で1‐2フィニッシュを決めている2台は、今大会で最も重いハンディキャップウェイトを課された車両でしたが、「Performance Made to Last」をコンセプトとするミシュランタイヤの安定した高性能に支えられ、チャンピオン争いにおいて重要なシリーズポイントを獲得。ドライバー部門で、松田/クインタレッリ組はランキング首位、千代/高星組はランキング2位を堅守しました。


SUPER GT第2戦 富士
今シーズンのSUPER GTの全8戦のうち、5戦は450kmのレース距離で行われます。その1戦目であった今大会は、終始晴天に恵まれた中での開催に。ウェットコンディションでの開幕戦で1‐2フィニッシュを決めたNo.23 MOTUL AUTECH ZとNo.3 Niterra MOTUL Zは、ドライコンディションにおいても力強い走りを披露。ミシュランタイヤ装着車2台が、今大会におけるNissan Z GT500勢のトップ2を占める結果となりました。

新型コロナウイルス感染症による公的な行動規制が解かれた中で迎えたゴールデンウィーク決戦には、予選日だけで3万1600人、決勝日に4万8600人と、2日間で8万人を超えるお客様が来場しました。

今大会で各車両に用意することが許されたドライ用タイヤは6セット=24本でした。今大会は終始晴天に恵まれたため、前戦でライバルを圧倒したミシュランのウェット用タイヤの出番はありませんでした。

今回の予選Q1を突破した8台のうち6台は、搭載するウェイトが10kg未満の軽量な車両ばかりでした。対して、30kgを積んでアタックしたNo.3 Niterra MOTUL Zは、Q2進出に0.3秒ほど届かず予選9位に。

ウェイト42kgのNo.23 MOTUL AUTECH Zの予選タイムは、3号車に0.046秒及ばなかっただけ。感触は悪くなかったからこそ、アタックを担当した松田次生は、Q1突破を逃した悔しさをあらわにしました。

ミシュランのステッカーが貼られたヘルメットの奥から眼光を鋭く光らせているのは、今回No.7 Studie BMW M4をドライブした柳田真孝。ミシュランタイヤでGT500クラスチャンピオンに2度輝いているドライバーです。

SUPER GTは今シーズンから、バイオマス由来のカーボンニュートラルフューエルを公式燃料として採用。2030年までにシリーズ全体のCO2排出量の半減を目指すSUPER GTの、SDGsへの取り組みの一環です。
SUPER GTは、各ドライバーの獲得ポイントに応じた重さのウェイトの搭載をハンディキャップとして課す制度を採用しています。前戦である開幕戦で優勝した松田次生/ロニー・クインタレッリ組のNo.23 MOTUL AUTECH Zは、今大会にはドライバーズランキング首位につけての出場であり、GT500クラスの中で最も重い42kg、ランキング2位につける千代勝正/高星明誠組のNo.3 Niterra MOTUL Zは30kgのウェイトを積んでの出走でした。
【GT500クラス予選】
予選日の5月3日(水)は朝から晴天。午後3時48分からのGT500クラスのQ1(予選第1セッション)は、開始時で気温が20℃、路面温度が30℃というコンディションのもとで行われました。
このセッションを担当したミシュランタイヤ装着車のドライバーは、No.23 MOTUL AUTECH Zが松田次生、No.3 Niterra MOTUL Zが高星明誠でした。どちらも、マシンやタイヤに良いフィーリングを得ながらタイムアタックを行いましたが、出場車両の中で最も重いハンディキャップウェイトの影響は大きく、No.3 Niterra MOTUL ZがQ1突破に0.3秒届かず予選9位、No.23 MOTUL AUTECH Zは予選10位となりました。
【GT500クラス決勝】
シリーズ第2戦は、決勝日の5月4日(木)も快晴に恵まれました。午後1時30分に決勝レースのフォーメイションが開始された時点で、気温は24℃、路面温度は36℃でした。
今大会のレース距離は450km、周回数は100周。その途中に給油のためのピットストップを2度行うことが義務づけられたことから、基本的には3つのスティントで構成されるレースでした。一方、ドライバー交替の義務回数は1回で、GT500クラスでは全車がレギュラーのドライバー2名という体制で出場しました。
9番手グリッドにつけたNo.3 Niterra MOTUL Zには千代勝正、10番手グリッドのNo.23 MOTUL AUTECH Zにはロニー・クインタレッリがそれぞれ乗り込んでスタート。両車は、ミシュランタイヤのウォームアップ性能の高さを生かしてオープニングラップのうちに順位を上げ、とりわけNo.23 MOTUL AUTECH Zは4つもポジションアップを果たして6番手に、No.3 Niterra MOTUL Zは8番手につけて2周目に入っていきました。
やがて、ウェイトを一切積んでいないNo.36 トヨタ GRスープラが先行していき、7番手となったNo.23 MOTUL AUTECH Zと8番手を行くNo.3 Niterra MOTUL Zのミシュラン勢が数珠繋ぎで走る状態が続きましたが、20周目にNo.3 Niterra MOTUL Zが僚友車をかわして順位が入れ替わりました。
22周目を終えたところから、1回目の給油に入る車両が断続的に現れました。そして、28周目終了時には、No.23 MOTUL AUTECH Zが1回目のピットストップを実施。ドライバー交替はなく、クインタレッリが連続の2スティント目に入っていきました。それに対して、35周目まで第1スティントを引っ張ったNo.3 Niterra MOTUL Zは、1回目のピットストップで、給油やタイヤ交換とともにドライバー交替を実施。高星明誠が新たにステアリングを握りました。
GT500クラスの全車が1回目のルーティンピットストップを終えた42周目の段階で、No.23 MOTUL AUTECH Zは6番手、No.3 Niterra MOTUL Zは9番手に。43周目には、No.3 Niterra MOTUL ZがNo.19 トヨタ GRスープラをかわして8番手に浮上しました。
その後、GT500クラスの上位陣にはコース上での順位変動がない状況が続きました。やがて、2回目の給油に入っていく頃合いが訪れ、59周目終了時にはNo.23 MOTUL AUTECH Zがピットイン。2スティント連続走行をこなしたクインタレッリに替わり、松田次生が乗り込みました。その翌周にはNo.3 Niterra MOTUL Zもピットに入りましたが、こちらはドライバー交替なしで、高星が連続の2スティント目に出て行きました。
結果的に、2回目のピットストップにおいてミシュランタイヤ装着車2台の順位が入れ替わり、3スティント目ではNo.3 Niterra MOTUL ZがNo.23 MOTUL AUTECH Zの前を走ることになりました。そして、GT500クラスの全車が2回目のピットストップを終えた79周目の段階で、No.3 Niterra MOTUL Zは5番手、No.23 MOTUL AUTECH Zは9番手につけていました。
残り周回数が10周を切ったあたりから、No.3 Niterra MOTUL Zを含む3台のマシンによる4番手争いがヒートアップしました。そして、レース最終盤での3号車は、ノーウェイトであったNo.37 トヨタ GRスープラの猛攻を受けましたが、これを押え切って5位に入賞しました。
一方、最も重い42kgのウェイトを搭載したNo.23 MOTUL AUTECH Zは、レース終盤は思うようにペースを上げることができませんでしたが、ウェイト6kgのNo.39 トヨタ GRスープラのチャージを松田が巧みに押さえ込み、条件を考えれば上々のポジションと言える7位でフィニッシュしました。
【GT300クラス】
今大会のGT300クラスには26台が出場。その中で、ミシュランがタイヤ供給を行う唯一の車両であるNo.7 Studie BMW M4は、2組に分けて行われるQ1のBグループに荒 聖治のドライブにより出走。その自己ベストタイムはグループ11番手で、Q1突破ならず、予選21位となりました。
BMW Team Studie × CSLは明くる日の決勝で、BMW M4 GT3とミシュランタイヤのパッケージでのレース出場は今大会が初めてである柳田真孝にスタートドライバーの任を託しました。2011年と2012年にミシュランタイヤでGT500クラスのチャンピオンに輝いている柳田は、オープニングラップで6つもポジションをアップ。その後も毎周のように順位を上げていき、10周目からはクラス8番手を走行しました。
14周目を終えたところで、チームはNo.7 Studie BMW M4をピットに呼び入れ、1回目の給油とタイヤ交換を実施。ドライバーは柳田のままで戦列に復帰させました。GT300クラスの走行中の全車が1回目のルーティンピットストップを終えたのは34周目で、No.7 Studie BMW M4はこの時点でも8番手。ただし、その後の同車はペースの維持が難しくなり、ポジションを落としていきました。
そして、No.7 Studie BMW M4は、47周目終了時に2回目のピットストップを実施。今度はドライバー交替も行い、荒が乗り込みました。アウトラップを終えた時点での同車の順位はクラス21番手でしたが、上位車両と遜色ないラップタイムで走るNo.7 Studie BMW M4は、ポジションを着実に回復。72周目にGT300クラスの走行中の全車が2回目のピットストップを終えたときには、13番手を走行していました。
その後、No.7 Studie BMW M4は、前を行くライバル車両のトラブルによって順位をひとつ上げましたが、残り2周となったところで1台にかわされ、91周を周回した今大会を13位で終えました。

■日本ミシュランタイヤ モータースポーツダイレクター 小田島広明のコメント:
「この週末のレースに我々は、GT500クラスのドライコンディション用には今大会におけるソフト仕様とハード仕様、GT300クラスにはソフト仕様とミディアム仕様のスリックタイヤを持ち込みました。GT500クラスの23号車と3号車は、どちらも予選Q1ではハード仕様を履き、自ずとそのタイヤで決勝をスタートして、第2スティントでもハード仕様を使いました。そして、最後の第3スティントでソフト仕様に切り替えました。GT300クラスの7号車は、予選Q1と決勝の第1スティントではソフト仕様を、第2スティントと第3スティントではミディアム仕様を使いました。GT500の2台の第3スティントでソフト仕様を使ったのは、夕方に近づいた時間帯となるため、路面温度が低下するのを見込んでのことでした。しかし実際には、我々の予測ほどには低下しませんでした。ポジションをさらに上げていくことを狙ってのタイヤ仕様のスイッチだったのですが、ソフトタイヤの良さを期待していたほどには得られませんでした。
今大会に我々が持ち込んだタイヤは、とても安定したパフォーマンスを発揮しました。今日(決勝日)は、路面温度が30℃を超える暑さになりましたが、我々のタイヤは、ラップタイムやタイヤの性能低下の面で、問題を起こすことは一切ありませんでした。我々は開幕戦で1‐2フィニッシュという完璧な結果を得ましたが、そのことにより、今大会のGT500クラスにおける我々のミシュランタイヤ装着車2台は、他の車両より重い状態で走ることになりました。この条件から考えると、出来得るだけのポイントを獲得することが今回の我々の目標でした。その点、5位と7位は、悪くない結果だと思います。
GT300に関しては、このクラスに我々が用意しているタイヤはBMW M4 GT3専用のものですが、昨年のこのレースよりも、さらに安定したパフォーマンスを見せ、このクルマのためのタイヤを我々はそれなりに進化させてきたと評価しています。しかし、ラップタイムにおいては、トップレベルの車両との間に大きな隔たりがありますから、もう少しスピードを上げる必要がある、というのが正直なところです」

SUPER GT第2戦 富士
Niterra MOTUL Z
山頂部を雪が覆った富士山に見守られながらの、色濃い青空のもとでのレース開催は、この時期ならではのもの。写真で、富士スピードウェイのテクニカルな区間である最終セクターをクリアしているNo.3 Niterra MOTUL Zは今大会を5位、僚友車のNo.23 MOTUL AUTECH Zは7位でフィニッシュ。ミシュランタイヤは終始ドライコンディションで行われた今大会でも、良好なパフォーマンスを安定的に発揮しました。

この日だけで5万人近い入場者を数えた決勝日。強い日差しに照らされて路面温度は上がり、午後1時30分の決勝レース開始時で36℃。午後4時過ぎのレース終了時でも、まだ30℃あるコンディションでした。

タイヤが温まり切っていない中で、限界ギリギリまでプッシュできる能力に定評のあるクインタレッリが、今回もNo.23 MOTUL AUTECH Zで見事なスタートダッシュを披露。1周目で4つも順位を上げてみせました。

No.3 Niterra MOTUL Zは、レース終盤は2台のホンダ NSX-GTと息詰まるバトルを展開。観客を沸かせた後、最後はNo.37 トヨタ GRスープラの追撃を押え切って5位でゴール。今大会におけるNissan Z最上位を得ました。

No.23 MOTUL AUTECH Zは、今大会のGT500車両の中で最も重いウェイトを搭載。それは、同車の競争力をどうしても減じましたが、それでも7位・4ポイントを獲得してみせ、ランキング首位をしっかりキープしました。

No.7 Studie BMW M4は、第1&第2スティントを柳田、第3スティントを荒が担当。ほぼノーミスでこのレースを戦いましたが、結果は13位。ミシュランとしては、さらなる開発努力の決意を新たにした一戦に。

今大会におけるミシュランタイヤは、ほぼ狙いどおりのパフォーマンスを発揮しました。しかし、GT500勢の第3スティントにおけるタイヤ選択や、GT300クラスのBMW M4 GT3のラップタイムなどに反省を残しました。