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SUPER GT 2018 ROUND 5
FUJI

■予選:8月4日/決勝:8月5日
■開催地:富士スピードウェイ(静岡県)
■レース距離:500マイル(177周×4.563km)

ミシュラン勢、予選最速を奪うも
決勝レースは渋難の展開に

2018年SUPER GTシリーズ第5戦が灼熱の富士スピードウェイにおいて開催されました。土曜日に行われた公式予選では、ミシュランタイヤを履くNo.23 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ)がQ1(予選第1セッション)とQ2(予選第2セッション)の双方で最速タイムを記録してポールポジションを獲得。しかし、日曜日の決勝レースでは、各スティントの後半におけるタイヤの性能低下が大きく、ライバルより1回多くピットストップを行わざるを得ない状況となったことから、No.23 MOTUL AUTECH GT-Rは9位という結果に終わりました。ただし、同車は今大会に出場した全車両の中で最も速いラップタイムをレース終盤に記録し、パフォーマンスの高さを示しました。一方、もう一台のミシュランタイヤ装着車であるNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-R(本山 哲/千代勝正)はトランスミッショントラブルに見舞われてレースを終えました。

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SUPER GT第5戦富士
MOTUL AUTECH GT-R

No.23 MOTUL AUTECH GT-R&ミシュランタイヤのパッケージは、土曜日に行われたすべてのセッションにおいてトップタイムを記録。その速さには、さすがのライバルたちも目を見張らせていました。

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ランキング3位につけて今大会を迎えたNo.23 MOTUL AUTECH GT-Rは62kgのウェイトハンディを抱えて出場。リアウイングの翼端板に描かれたNISMOベアは、今回は富士山型のヘルメット(?)を被っての登場でした。

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No.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-Rは搭載するウェイトハンディが18kgと比較的軽く、好成績が期待されました。

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走行後のNo.23 MOTUL AUTECH GT-Rのタイヤの状態を確認するミシュランの鴨下エンジニア。土曜日の段階ではすべてが順調でした。

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No.23 MOTUL AUTECH GT-Rは、松田次生のドライブによってQ1(予選第1セッション)をトップタイムで通過。そしてQ2(予選第2セッション)ではロニー・クインタレッリが見事なタイムアタックを決めてポールポジションを奪取。62kgものウェイトハンディを抱えながらの素晴らしいパフォーマンスに、サーキットが沸き返りました。

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各々担当した予選セッションでともにトップタイムを叩き出した松田とクインタレッリ。速さを追求するレーシングドライバーとしては至福のひとときでした。

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No.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-Rは、写真の千代勝正がQ1でセカンドベストのタイムを刻み、Q2では本山 哲が4番手タイムをマークしてセカンドロウを確保。決勝レースを有利に戦う条件を確保しました。

8月に富士スピードウェイで開催されるSUPER GTのシリーズ戦は、昨年までは300kmのレース距離で行われてきましたが、今年は500マイル(約800km)と昨年までの2.5倍以上の距離での実施となりました。そして今大会の特別規則により、各車両にはレース中に4回以上のピットストップを行うことが義務付けられました。富士はピットロードが長く、ピットストップによるロスタイムが大きいことから、ミニマムの4回ストップ・5スティントでレースを戦うことが基本的な戦略となりました。

今大会に臨んだミシュラン勢ですが、No.23 MOTUL AUTECH GT-Rの松田次生/ロニー・クインタレッリのコンビはドライバーランキング3位につけて出場。前戦終了時点での獲得ポイントは31ポイントで、今大会におけるウェイトハンディは62kg。実際には、35kgのウェイト(重り)を搭載した上で、エンジンが使うことができる燃料の量が1ランク絞られた状態での出走でした。一方、No.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-Rの本山 哲/千代勝正のコンビは、前戦を終えたところでランキング14位、獲得ポイントは9ポイントで、今大会には18kgのウェイトを搭載して臨みました。

8月4日(土)の予選日におけるミシュラン勢は非常に好調でした。午前中に行われた公式練習では、No.23 MOTUL AUTECH GT-Rがトップタイムを叩き出し、No.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-Rが2番手タイムを記録して、ミシュラン勢の1-2となりました。

その勢いは同日の午後2時55分から開始された公式予選のQ1(予選第1セッション)でも変わらず、No.23 MOTUL AUTECH GT-Rが松田次生のアタックにより最速タイムをマーク。このセッションを千代勝正が担当したNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-Rが2番時計で続き、またもミシュラン勢がトップ2を占める結果となりました。

そして、続いて行われたQ2(予選第2セッション)では、ロニー・クインタレッリが魅せました。渾身のタイムアタックを決めて1分28秒461という最速タイムを叩き出し、No.23 MOTUL AUTECH GT-Rが昨年の最終戦もてぎ以来となるポールポジションを奪取。本山 哲がステアリングを握ったNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-Rも4番手タイムをマークし、セカンドロウのグリッドを獲得しました。

明くる8月5日(日)。富士スピードウェイは決勝日も好天に恵まれ、終日熱気に包まれ続けました。そして、1周4.563kmのコースを177周して争われ、レース時間は4時間半を超える長丁場の一戦は午後1時37分に開始されました。

クインタレッリが乗り込みポールポジションから出たNo.23 MOTUL AUTECH GT-Rは順調なスタートを切り、同車の前を走る車両が1台もいない状態でレースを戦い始めました。好調な走りを見せるクインタレッリは、4周目にはただひとりタイムを1分31秒台に突入させ、10周目には約3秒、20周目には約6秒と、後続に対するリードを広げていきました。

ところが、周回数が20周を過ぎたあたりからNo.23 MOTUL AUTECH GT-Rのペースが鈍り始めました。そのため、2位を走るNo.36 レクサス LC500がNo.23 GT-Rにじりじりと接近。そして、No.36 レクサスがいよいよ背後に迫ってきた31周目終了時、No.23 GT-Rは1回目のピットへと向かいました。

NISMOチームの素早いピットワークに後押しされ、松田に交替したNo.23 MOTUL AUTECH GT-Rは第2スティントでもトップを走行しました。同車の第1スティントは予定よりかなり短いものとなってしまったため、No.23 GT-Rがこのレースを4回のピットストップで乗り切るためにはこの第2スティントで極力多くの周回数をこなす必要がありました。

タイヤをできるだけいたわって周回数を伸ばすため、松田はライバルのチャージに対していつものように応戦することは許されませんでした。その結果、No.23 MOTUL AUTECH GT-Rは3位へとポジションを落とすことになりましたが、しかし、松田の奮闘は第2スティントで37周もの周回数をこなすという成果に結実しました。

しかしながら、クインタレッリが乗り込んだNo.23 MOTUL AUTECH GT-Rの第3スティントは、その後半でラップタイムがまたしても大きく落ち込む状況となりました。そのため、同車は予定を大幅に下回る30周でピットへ戻ることを再び余儀なくされる事態に。この時点でNo.23 GT-Rがこのレースを4回のピットストップでこなすことは不可能となり、同車の今大会における表彰台獲得は絶望的となってしまいました。

それでもスタッフとドライバーたちは最後まで全力を尽くし続けました。No.23 MOTUL AUTECH GT-Rは、予選から第3スティントでまではずっとハードタイヤを使用しましたが、第4スティントではミディアムタイヤにスイッチしてラップタイムの向上を狙い、第6スティントではミディアムハードタイヤを投入。同スティントの5周目にあたる153周目にはクインタレッリが今大会におけるファステストラップ 1分30秒899をマークしました。

そしてNo.23 MOTUL AUTECH GT-Rは、ライバルより1回多くピットストップを行うという決定的なビハインドを負いながらも優勝車両と同一周回の9位でフィニッシュ。貴重なドライバーポイント4点を獲得しました。

No.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-Rの決勝レースも難しいものとなりました。第1スティントは千代が担当し、GT300クラスの集団をかわしていく際にコースアウトを喫してポジションを落とすということもありましたが、スティントの半ばまでは良好なペースで走行しました。

しかし、No.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-Rもまた、各スティントの周回数が20周を過ぎるあたりからタイヤの性能低下によってペースが大きく落ち込み、当初の予定より早くピットへ向かって新品タイヤに交換せざるを得ないという事態を繰り返すことになりました。その結果、No.3 GT-Rは、このレースを4回のピットストップでこなすことができなくなり、上位進出は困難なものとなりました。

厳しい状況ながらも懸命に走り続けていたNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-Rを今度は不測のミッショントラブルが襲いました。スロー走行となった同車は139周目の周回を終えるところでピットロードへ。戻ってきた車両をチームはピットの中へ入れ、No.3 GT-Rは他車よりひと足早くレースを終えることになりました。なお、優勝車両の周回数の7割は超えるものであったため、No.3 GT-Rは完走扱いとなり、15位という決勝結果が記録されました。

■日本ミシュランタイヤ モータースポーツマネージャー 小田島広明のコメント:

 「土曜日の朝の公式練習、そして午後の予選Q1、Q2は非常に好調に戦うことができました。スピードという観点においては、我々のタイヤのパフォーマンスをフルに示すことができたと思っています。しかしながら、今回我々が持ち込んだタイヤのコンパウンドは、決勝レースで予定していた1スティントの周回数をこなせるだけの耐久性がありませんでした。そのため、ピットストップの回数を増やすことになり、タイムを失い、ポジションを落とすことになってしまったのは残念でした」

日本ミシュランタイヤ モータースポーツマネージャー 小田島広明 2018
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SUPER GT第5戦富士
MOTUL AUTECH GT-R

うだるような暑さが終日続いた決勝日の富士スピードウェイ。レース時間が4時間半を超える長丁場をNo.23 MOTUL AUTECH GT-Rはしっかりと走り切りましたが、残された結果は期待には及ばないものとなってしまいました。

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この週末の2日間で富士スピードウェイには6万人を超える観客が来場。ミシュランマンも暑い中で笑顔を絶やさず頑張りました。

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ポールポジションから出たNo.23 MOTUL AUTECH GT-Rは確実なスタートダッシュを決め、第1スティントは終始トップを走行しました。

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今大会にミシュランが持ち込んだスリックタイヤは、今回の条件では各スティントの後半に入るとタイヤのパフォーマンスが著しく低下してしまいました。そのため、No.23 MOTUL AUTECH GT-RもNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-Rも各スティントにおいて予定していた周回数をこなすことができず、ピットストップの回数を予定より1回多くせざるを得ない事態となってしまいました。

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ピットストップの回数がライバルより1回多くなってしまったNo.23 MOTUL AUTECH GT-Rですが、それでも優勝車両と同一周回の9位でフィニッシュ。レース終盤にはファステストラップもマークして、持ち前の速さは示しました。

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やはりピットストップの回数がライバルより1回多くなる状況となったNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-Rですが、実際には5回目のピットストップを行う前にミッショントラブルに見舞われ、自らピットに戻ってレースを終えるという無念の事態となりました。

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土曜日と日曜日で、内容がまったく異なるものとなってしまったミシュラン勢。速さは示しましたが、速いだけではダメであること、そして、あっという間に形勢が変わってしまうSUPER GTのタイヤ競争の厳しさを改めて思い知らされるような一戦となりました。

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