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SUPER GT 2019 ROUND 5
FUJI

■予選:8月3日/決勝:8月4日
■開催地:富士スピードウェイ(静岡県)
■レース距離:500マイル(177周*×4.563km)


* レース最大延長時間18時40分に達したため、175周終了時でレース終了に。

ミシュランタイヤがパフォーマンスで他を圧倒
予選1-2位を占め、決勝はMOTUL AUTECH GT-Rが3位に

炎天下の富士スピードウェイにおいて開催された2019年SUPER GT第5戦において、ミシュランタイヤを履くNo.23 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ)は3位でフィニッシュして今季3度目の表彰台を獲得。No.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-R(平手晃平/フレデリック・マコヴィッキ)はトラブルの修理で1時間近くピットに留まりながらもレース復帰を果たし、11位での完走を果たしました。この2台のミシュランタイヤ装着車は500マイル(約800km)という長丁場のレースの中でアクシデントや不運に見舞われてポジションを落とすことになりましたが、公式予選では2つのセッションの双方において1位と2位を占めるなど、タイヤに関しては他を圧倒するパフォーマンスを印象づけました。

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2019年SUPER GT第5戦 富士
MOTUL AUTECH GT-R

予選において今季3度目のポールポジションを獲得したNo.23 MOTUL AUTECH GT-R。49kgという重いハンディウェイトを積んでいることを忘れさせるほどのスピードでした。そして予選2位にはNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-Rが入り、ミシュラン勢がフロントロウ独占という結果となりました。

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今大会にミシュランは、スリックタイヤを3種類持ち込んだほか、通常のレインタイヤに加えて、ドライイングタイヤも3種類用意。長丁場のレースであること、そして天候が変わりやすいことに対して万全に備えました。

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500マイル(約800km)のレース距離で行われた今大会は、レース中に4回以上のピットストップを行うことから、ピット作業の速さがひときわ問われる一戦。レース前のピットワーク練習にも一段と熱が入りました。

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気象庁が熱中症への警戒を厳に呼びかけるほどの暑さの中でも多数の熱心なファンを迎えた今大会。土曜日に2万2500人、日曜日に3万8100人、2日間で計6万人を超える入場者を数えました。

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エアレース世界選手権の2017年シリーズチャンピオンである室屋義秀選手がデモンストレーションフライトを実施。グランドスタンドの屋根より低いところを飛ぶ迫力の飛行にSUPER GTの大観衆が酔いしれました。

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Q1では松田次生(写真左)が1番時計をマークし、それを受けてQ2に臨んだロニー・クインタレッリ(写真右)も同セッションの最速タイムを叩き出してNo.23 MOTUL AUTECH GT-Rがポールポジションを獲得。互いの好走を称え合っていました。

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No.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-Rも予選で快走。Q1ではフレデリック・マコヴィッキが、Q2では平手晃平がそれぞれセッション2位のタイムをマークしてセカンドグリッドを手に。同車初のフロントロウを奪いました。

今大会は2019年のSUPER GT全8戦の中で最も長い500マイル(約800km)のレース距離での開催。そのため、各車両にはレース中に4回以上のドライバー交替を伴うピットストップを行うことが義務付けられました。

この一戦にミシュラン勢は、NISMOのNo.23 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ)が49kg、NDDP RACING with B-MAXのNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-R(平手晃平/フレデリック・マコヴィッキ)が32kgのハンディウェイトをそれぞれ搭載して臨みました。

また、ミシュランは、5時間近くになる長丁場のレースであることを考慮し、ドライコンディション用のスリックタイヤは今大会におけるソフト仕様、ミディアム仕様、ハード仕様の3種類用意。また、天候が崩れることも大いにあり得る時期であることを考慮し、標準的なレインタイヤに加えて、路面がハーフウェットからさらに乾いていく方向のコンディションに対応する「ドライイングタイヤ」をミディアム、ハード、スーパーハードの3種類持ち込んで備えました。もっとも、連日30℃をゆうに超える最高気温に達したこの週末の富士スピードウェイに雨が降り落ちることはなく、レインタイヤやドライイングタイヤを使用する機会はありませんでした。

そして、このレースウィークはその当初からミシュランタイヤの際立ったハイパフォーマンスが光るものとなりました。最初の走行セッションである8月3日(土)午前の公式練習ではNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-Rがマコヴィッキのドライブによりトップタイムをマーク。同日午後の公式予選Q1(予選第1セッション)では、松田がステアリングを握ったNo.23 MOTUL AUTECH GT-Rが最速タイムを叩き出し、マコヴィッキがこのセッションを担当したNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-Rがセカンドベストを刻んでミシュラン勢が1-2を占めました。

続いて行われたQ2(予選第2セッション)では、このセッションで真っ先にコースインしたNo.23 MOTUL AUTECH GT-Rがクインタレッリの渾身のアタックにより1分28秒519を記録します。その後このタイムを上回るライバルは現れず、No.23 MOTUL AUTECH GT-Rが49kgという重いハンディウェイトをものともせず、今季5戦目にして3度目の、そして8月の富士ラウンドでは昨年大会に続いてのポールポジション獲得を果たしました。また、平手がこのセッションでドライブしたNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-Rも1分28秒649をマークして予選2位に。2台のミシュランタイヤ装着の日産 GT-R NISMO GT500は、同じGT-Rで他メーカーのタイヤを履く車両を大きく引き離すベストタイムをそれぞれ刻んでフロントロウを独占し、ミシュランタイヤのパフォーマンスのアドバンテージを明確に示しました。

明くる8月4日(日)。1周4.563kmのコースを177周し、レース時間は4時間半を超える長丁場の一戦は、午後1時47分に開始されました。天候は快晴、気温34℃、路面温度49℃というコンディション。ミシュラン勢2台はともにミニマムの4回ピットストップ=5スティントで戦うレースプランで、No.23 MOTUL AUTECH GT-Rはクインタレッリ→松田、No.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-Rはマコヴィッキ→平手の順でのローテーションでした。

レース前半におけるミシュラン勢の戦いは順調でした。No.23 MOTUL AUTECH GT-RとNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-Rの2台はスタートからトップ2を走行。1回目のピットストップを挟み、ピット戦略の異なる車両の存在などから一時的に順位が変わることはありましたが、実質的な1-2体制をキープし続け、とりわけ49kgのハンディウェイトを抱えながらも速いNo.23 GT-Rの力走が光りました。ただし、好事魔多しで、第2スティント中の62周目にNo.23 GT-Rは周回遅れのGT300車両と交錯して軽くコースオフ。この間にNo.3 GT-Rが前に出て首位に立ち、No.23 GT-Rが2位に続く格好になりました。

その後、GT500車両の事故処理のためにセーフティカーが入り、それが退去した後、No.23 MOTUL AUTECH GT-Rは前にいた車両を立て続けにかわして首位を奪還しました。真後ろにつけていたNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-RもNo.23 GT-Rを追走しましたが、No.19 レクサス LC500と交錯してスピン。13位にまで後退してしまいました。しかし、No.3 GT-Rはここから鬼神の追い上げを見せ、177周のレースの約60%を消化した105周目には4位にまで挽回。一方、No.23 GT-Rはここまでずっと首位を走り続けていました。

No.3 GT-Rが4位に上がった直後、1台のGT500車両がピットロード入口付近で炎上したことから今大会2度目のセーフティカーが導入されました。自ずとピットロードは一時的に閉鎖されることになりましたが、その直前に前戦優勝のNo.6 レクサス LC500がピットロードへ飛び込んでセーフティカーラン中にピット作業を行うことに成功。同車以外の車両はセーフティカーがコースから退いた後の通常レース状態の中でピットストップを行わざるを得ず、No.6 レクサスが一躍1分をゆうに超えるマージンを持って首位を走るという状況に変わりました。

さらに、112周終了時にセーフティカーがコースから退いた際、ミシュラン勢2台をはじめとする各車が大挙してピットロードへ向かった中、GT500クラスでは1台だけコースに留まることを選択した車両がいました。それがNo.1 ホンダ NSX-GTで、同車は他に車両がまったくいなくなったコースを1周にわたって全力で攻めてマージンを稼ぎ出してピットイン。この戦略が奏功し、各車が3度目のピットストップを終えたところでNo.1 ホンダはNo.6 レクサスに続く2位を確保。これにNo.23 MOTUL AUTECH GT-Rが3位で続くというオーダーで第4スティントは進んでいきました。

そして144周目を終えたところでNo.23 MOTUL AUTECH GT-Rは最後のピットストップを実施。このピット作業とコースに復帰した周回の速さは素晴らしく、No.23 GT-Rは前を行くNo.1 ホンダへの急接近を果たしました。その後、クインタレッリが乗るNo.23 GT-RはNo.1 ホンダの背後につけてプレッシャーをかけ続けましたが、前に出ることはかなわず3位でフィニッシュ。パフォーマンスを考えれば悔しさの残る結果ではありましたが、松田とクインタレッリのコンビは今季3度目の表彰台に上り、ドライバーズランキングで3位に再浮上しました。

一方、No.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-Rはレース中盤からブレーキに不調を抱え、3度目のピットストップを終えて第4スティントを走り出したところでそれが決定的に深刻な状況に。再びピットインすると今度は車両をガレージに入れることとなりました。それでもチームはレースを捨てることなくブレーキの修理に取り組み、約1時間の作業を経てNo.3 GT-Rは走行を再開。11位でレースを走り切りました。

なお、今大会におけるファステストラップを記録したのはNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-Rで、99周目にマコヴィッキがマークした1分30秒852がそのタイムでした。

日本ミシュランタイヤ モータースポーツマネージャー 小田島広明 2019
■日本ミシュランタイヤ モータースポーツダイレクター 小田島広明のコメント: 

「今回、我々は今大会用のソフト、ミディアム、ハードという3種類のスリックタイヤを用意しましたが、23号車と3号車はともに、予選、そして決勝の第1スティントから第4スティントまでではミディアムを使用し、そして路面温度の低下に合わせて最後のスティントでは両車ともにソフトを履きました。
総じて今大会における我々のタイヤは非常に良く機能したと思います。予選では、総合順位においても1位と2位を獲りましたし、我々が重視しているGT-R同士の競争においては他のメーカーのタイヤを履く車両を圧倒することができました。決勝では、今回はセミ耐久レースということもあって思わぬ出来事がいろいろ起こり、予選から期待された結果にはなりませんでしたが、それでも我々のタイヤを履いた車両がGT-R勢の最上位を得ました。決勝レースにおける路面温度変化に我々のタイヤは想定どおりの十分な対応を示しましたし、摩耗の問題もありませんでした。タイヤサプライヤーとしての仕事はほぼ満点に近い内容で行えたと考えています」

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2019年SUPER GT第5戦 富士
MOTUL AUTECH GT-R

レースの半分以上の周回で首位を走ったNo.23 MOTUL AUTECH GT-R。ピットストップのタイミングの違いによってレース結果は悔しさが残るものとなりましたが、パフォーマンスの高さは存分に示した一戦となりました。

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レース前のグリッドウォークにて。いつも人気のミシュランマンですが、このとき彼が笑顔を向けた先の少年は、ちょっと怖そうな表情……。それでも笑顔を浮かべ続ける、けなげなミシュランマンでした。

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フロントロウから出たミシュラン装着車2台はそろって良好なスタートを切り、レース前半を1-2体制で走行。コンスタントなペースでの走りではミシュラン勢は確実にライバルたちを上回っていました。

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セーフティカーをめぐるピットストップのタイミングが最終結果を本意でないものに変えてしまいましたが、No.23 GT-Rは49kgのウェイトハンディを抱えながら、灼熱の決勝レースにおいて終始トップに相当するラップタイムで走行しました。

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3位でのフィニッシュとなり、今季3度目の表彰台に上った松田とクインタレッリ。ドライバーズランキングを3位に戻し、逆転王座を目標にしながら戦うレースはあと3戦となります。

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他車との接触によるスピンとブレーキトラブルによって結果は奮いませんでしたが、No.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-Rは最速ラップを奪うなど、同車が今大会で見せたパフォーマンスはこれまででベストと言えるものでした。

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ミシュランとしては、GT-R勢の最上位を獲得するという目標を今大会においても達成したばかりでなく、パフォーマンス的に明らかにライバルを圧倒した内容を示し、技術的には大いに収穫のあったレースとなりました。

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