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WEC 2021 ROUND 1
SPA-FRANCORCHAMPS

■予選:4月30日/決勝:5月1日
■開催地:スパ・フランコルシャン・サーキット(ベルギー)
■レース時間:6時間

ミシュランタイヤのワンメイクでハイパーカー時代が幕開け
中嶋一貴組のNo.8 トヨタ GR010ハイブリッドが初戦を制す

四輪耐久レースの世界最高峰シリーズであるFIA世界耐久選手権(WEC)の2021年シーズンが幕を開けました。新しい車両規則が導入され「ハイパーカークラス」へと名称が改まった同シリーズのトップカテゴリーはミシュランタイヤのワンメイクで行われていくことになりましたが、その初戦をセバスチャン・ブエミ/中嶋一貴/ブレンドン・ハートレー組のNo.8 トヨタ GR010ハイブリッドが制しました。ミシュランはこのハイパーカークラス専用タイヤを約10カ月かけて開発してきましたが、タイヤにひときわ負荷がかかるスパ・フランコルシャンで迎えたデビューレースを大きな問題なくこなし、今後の開発につながる多くのデータを手にしました。

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スパ・フランコルシャン6時間 優勝
No.8 トヨタ GR010ハイブリッド

WECの新トップカテゴリーであるハイパーカークラスに今回出場したのは、新しい車両規則であるLMH(ル・マン・ハイパーカー)規定に基づいた新型車GR010ハイブリッドを持ち込んだトヨタと、今シーズン限定でハイパーカークラスへの参戦が認められた従来のLMP1規定のマシンを使用するアルピーヌでした。WEC独自の性能調整措置によって各車両のスピードが接近したものとなったこともあって、レース中盤からはNo.36 アルピーヌがトヨタ勢を押えてトップを走行。しかし、終盤にNo.8 トヨタがレースリーダーの座を奪い返し、ハイパーカー時代の初戦を勝利で飾りました。

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完全な新型車であるトヨタ GR010ハイブリッドは、3.6ℓV6ツインターボエンジンで後輪を、モーター・ジェネレーター・ユニット(MGU)で前輪をそれぞれ駆動する4輪駆動車です。従来のLMP1車両では735kW(約1000馬力)あったパワーユニットの合計最高出力は、新しいLMHの車両規則では500kW(約680馬力)に制限され、LMP1車両で高まりすぎたスピードの抑制が図られています。

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ハイパーカークラスのタイヤはミシュランのワンメイクとなりました。そしてミシュランは、この新たなLMH規定の車両に向けた専用タイヤを用意。LMH車両は従来のLMP1車両に対してパワーが32%も絞られたのに対して車重は162kgも増え、車体は100mmワイドかつ250mmロングなものとなっており、こうした変化に対応し最適化を図ったタイヤをミシュランは約10カ月かけて開発しました。

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性能が抑制されたハイパーカークラス車両とLMP2クラス車両との速度差がかなり小さいことが、事前に行われた公式テストで確認されていました。そして迎えた今大会の予選でしたが、最少限の燃料を搭載し新品タイヤでタイムアタックを行った2台のトヨタ GR010ハイブリッドがトップ2を占めて上位カテゴリーの面目を保ち、小林可夢偉が駆った7号車がポールポジションを獲得しました。

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車両性能調整の効果は2台のトヨタ GR010ハイブリッドとLMP1車両のNo.36 アルピーヌが6時間のレース中に計7回も首位の座を入れ替えるという形で現れました。そして優勝はレース前半の給油ミスによるペナルティを跳ね返したNo.8 トヨタが獲得し、同車と同一周回でNo.36 アルピーヌが2位に。No.7 トヨタはコースアウト等があって周回遅れとなり3位でフィニッシュしました。

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今シーズン限定で使用が特別に認められた従来のLMP1車両でハイパーカークラスに参戦するアルピーヌ。4.5ℓ自然吸気エンジン車であるA480・ギブソンが今大会で見せたスピードはトヨタ GR010ハイブリッドとほぼ互角で、レース中盤以降は首位を走りました。最後は追加給油を行わざるを得ずNo.8 トヨタに首位を譲ることになりましたが、次戦以降に向けて手応えアリの一戦となりました。

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GTカテゴリーの上位クラスであるLMGTE Proクラスにはポルシェとフェラーリのワークスチームがシリーズ参戦しますが、長年LMP1クラスで活躍してきたニール・ジャニが加わってケヴァン・ウストルと組むポルシェ GTチームのNo.92 ポルシェ 911 RSR-19が、今大会では従来記録を約2.5秒も更新する最速タイムで予選トップを獲得すると決勝でも終始主導権を握り続けてポールtoフィニッシュを飾りました。

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今シーズンのLMGTE Amクラスには、チームオーナーの星野 敏がドライバーも務め、プロドライバーの藤井誠暢が参加するD' STATION RACINGがアストンマーチン・ヴァンテージAMRを使用してフル参戦します。その初戦となった今大会は、トラックリミットオーバーにより予選タイム抹消となって最後尾グリッドからのスタートとなったものの、粘り強く戦ってクラス7位でフィニッシュしました。

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スパ・フランコルシャンはタイヤにかかる負荷が非常に高いサーキットです。上り勾配の中での高速右コーナーである世界的に有名な「オー・ルージュ」では、アウト側の前後輪が1500kgの垂直荷重と3.5gの遠心力を同時に受けます。そうした過酷な試練が、1周7.004kmの全周にわたって、そして6時間の決勝レースの間、出走33台中19台が履くミシュランタイヤに課され続けたのが今大会でした。

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決勝レースは終始ドライコンディションのもとで行われましたが、スタート時の路面温度は10℃未満という低さでした。現在のWECでは1セットのタイヤで2スティント、つまりハイパーカークラスであればスパ・フランコルシャンを50周=約350kmをこなすことが求められますが、ミシュランタイヤは過酷な使用条件のもとでも高いパフォーマンスを発揮し続け、各パートナーチームの戦いを支え抜きました。

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