
WEC 2021 ROUND 3
MONZA
■予選:7月17日/決勝:7月18日
■開催地:モンツァ・サーキット(イタリア)
■レース時間:6時間
小林可夢偉組のNo.7 トヨタが今季初優勝
ハイスピードのモンツァでミシュランの高性能が光る
FIA世界耐久選手権(WEC)の2021年シーズン第3戦モンツァ6時間が開催され、No.7 トヨタ GR010ハイブリッドをドライブしたマイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ‐マリア・ロペス組が今季初優勝を飾りました。世界で2番目に長い歴史を持つ常設サーキットのモンツァは世界屈指のハイスピードコースであり、トップカテゴリーであるハイパーカークラスの車両の最高速度は315km/h前後に達します。この速度域におけるタイヤは遠心力によって最大で5cm程度も膨張し、そして車両が減速すると収縮します。つまり、タイヤは膨張と収縮を繰り返し、その上でブレーキングや加速における縦方向の負荷やコーナリングにおける横方向の負荷にさらされ続けることになります。今回がWEC初開催となったタイヤに過酷なモンツァでの一戦においても、ミシュランのWEC用レーシングタイヤ MICHELIN Pilot Sportはパートナーチーム各車の足元をしっかり支え続けました。

モンツァ6時間 ハイパーカークラス優勝
No.7 トヨタ GR010ハイブリッド
結果的にはポールtoフィニッシュを飾ったマイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ‐マリア・ロペス組。小林の走行中に車両を止めてシステムを再起動させなければならない事態が発生するなどすべてが順調だったわけではありませんでしたが、地力の高さで今季初優勝をもぎ取りました。一方、チームメイトのセバスチャン・ブエミ/中嶋一貴/ブレンドン・ハートレー組のNo.8 トヨタ GR010ハイブリッドには、同車両のデビュー戦であった前々戦と前戦では見られなかったトラブルが複数発生。トヨタとしては、次戦であるル・マン24時間を前にトラブルの芽を潰しておく良い機会となりました。

今シーズン限定で使用が特別に認められている従来のLMP1車両でハイパーカークラスに参戦しているアルピーヌ。今大会における彼らのレースペースはトヨタ GR010ハイブリッドにはやや及ばなかったものの決して悪くはなく、優勝したNo.7 トヨタとは同一周回でフィニッシュ。地元フランスで行われる次戦ル・マン24時間に向けて良好なムードを高めていました。

オリジナルのハイパーカーによるWEC参戦を前戦ポルティマオ8時間から開始したグリッケンハウス・レーシングは、前戦から1台増やして今大会から2台体制で出場。そのうちの1台はトラブルによりリタイアを喫しましたが、ロマン・デュマらが駆る709号車はピットに入って修理を行うことを余儀なくされながらもトップから4周遅れで6時間レースを走り切りました。

GTカテゴリーの上位クラスであるLMGTE Proクラスはポルシェ GTチームのNo.92 ポルシェ 911 RSR-19とAFコルセのNo.51 フェラーリ 488 GTE EVOが耐久レースらしからぬテールtoノーズのバトルを延々と展開。最後はNo.51 フェラーリが少量の給油が必要になったことで決着がつき、No.92 ポルシェのケヴァン・ウストル/ニール・ジャニ組が今季2勝目を手にしました。

昨年はミシュランタイヤでSUPER GT GT300クラスに出場し、今年はWECのLMGTE Amクラスに挑んでいる日本のD' STATION RACINGが、今大会ではクラス2位を走り続ける好パフォーマンスを披露。最終ラップでひとつ順位を落としましたが、星野 敏/藤井誠暢/アンドリュー・ワトソン組が世界挑戦3戦目にして3位表彰台を獲得しました。

現在のWECがスタートしたのは2012年で、モンツァでのレース開催は今回が初めてでした。1周5.793kmのコースに中には11カ所のコーナーがあり、長いストレートではタイヤが冷やされますが、その後のブレーキングやコーナーでは高いグリップ力が必要。そのため、タイヤには即座に暖まって作動するウォームアップ性能の高さもひときわ求められるコースでした。

WECの次戦は8月21〜22日に決勝レースが行われるル・マン24時間となります。例年のル・マンは6月に開催されおり、8月開催となる今年のレースは気温/路面温度が例年より高い条件となることが必至です。ハイスピードのモンツァで行われた今回のレースは、ハイスピードにおけるミシュランの最新タイヤ技術をル・マンに先立って評価する良い機会となりました。