
WEC 2025 ROUND 3
SPA-FRANCORCHAMPS
■予選:5月9日/決勝:5月10日
■開催地:スパ・フランコルシャン・サーキット(ベルギー)
■レース時間:6時間
Hertz Team JOTAポルシェが初優勝
ミシュランタイヤの温まりの早さが勝利に貢献
四輪車による耐久レースの最高峰シリーズであるFIA世界耐久選手権(WEC)の2025年シーズン第3戦スパ・フランコルシャン6時間が行われ、アレッサンドロ・ピエール・グイディ/ジェイムズ・カラード/アントニオ・ジョビナッツィ組のNo.51 フェラーリ 499Pが優勝。アントニオ・フォコ/ミゲル・モリーナ/ニクラス・ニールセン組のNo.50 フェラーリ 499Pが2位に入り、Ferrari AF Corseが1-2フィニッシュを飾りました。
今大会が行われたスパ・フランコルシャンは、昨年大会の後にコースの半分以上の舗装が新しくされていました。そして、トップカテゴリーであるハイパーカークラスの全車に供給されるミシュランタイヤの高性能が加わり、1カ月後に迫ったル・マン24時間の前哨戦であった今大会では、非常に高いラップタイムでの戦いが安定的に行われました。

スパ6時間 ハイパーカークラス優勝
No.51 フェラーリ 499P
フェラーリが今大会で見せた速さは素晴らしいものでした。3台出場した499Pですが、予選ではトップ3を独占。レースでは、1台はトラブルに見舞われましたが、残る2台は首位を走るかそれをうかがうポジションを走り続けました。また、ミシュランがハイパーカークラスの全車に供給したMICHELIN Pilot Sportエンデュランスレーシングタイヤのミディアムコンパウンドは、路面温度が15℃という低さから高いグリップ性能を発揮し、それを長く持続。その一方で、一部のチームはレースを通してソフトコンパウンドを使用し、ミシュランタイヤの高性能と対応レンジの幅広さが示されたレースになりました。

全長が7.004kmで、19カ所のコーナーを持つスパ・フランコルシャンですが、昨年6月にコースの半分以上で再舗装が施され、特に速度の高いコーナーでのグリップが向上。ラップタイムが著しく上がると同時に、タイヤの摩耗が抑えられることになりました。

6時間レースの前半はフェラーリ 499Pの50号車がリードしましたが、後半での同車は燃料消費を抑えるためペースをコントロール。一方、チームメイトの51号車はハイペースでの走行を続けて、最後の短い給油の時間を稼ぎ出し、前戦に続く勝利をもぎ取りました。

アルピーヌ A424は、全戦のイモラ6時間で3位に入ったとき以上の競争力を今回発揮。36号車は終始表彰台圏内を走りつつ、2台のフェラーリ勢の間に割って入り、一時は首位にも立ちました。最終的には3位でゴールし、2戦連続の表彰台獲得を果たしました。

トヨタは予選で苦戦し、ハイパーカークラスの最後尾近くからのスタートに。しかしレースでは、チーム戦略の巧みさもあって、表彰台を狙える位置にまで上がっていきました。最後はキャデラックとの攻防を制して、8号車が4位でフィニッシュしました。

今シーズンはワークスチームをシリーズ参戦させていないキャデラックですが、新たにVシリーズ.RのユーザーチームとなったTeam Jotaが奮闘しており、今大会では2台の車両が5位と6位でフィニッシュ。1カ月後に控えるル・マン24時間への期待を高めました。

タイヤウォーマーの使用が禁止されているWECでは、タイヤが早く温まって本来の性能を発揮することも重要です。それでいて、パフォーマンスのピークを長く維持できる能力も求められますが、ミシュランタイヤがそれらを兼ね備えていることが今回のレース内容からも証明されました。