
WEC 2023 ROUND 5
MONZA
■予選:7月8日/決勝:7月9日
■開催地:モンツァ・サーキット(イタリア)
■レース時間:6時間
トヨタがフェラーリを下して雪辱
ミシュランタイヤが高温・高負荷の一戦を支える
全8戦のシリーズである2023年シーズンの世界耐久選手権(WEC)第5戦が、イタリアのモンツァ・サーキットにおいて6時間レースとして開催され、マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ・マリア・ロペス組のNo.7 トヨタ GR010ハイブリッドが、No.50 フェラーリ 499Pを16.5秒差で下して今季3勝目をマーク。先のル・マン24時間でフェラーリに惜敗を喫したトヨタが、ライバルメーカーの母国での雪辱を果たしました。
今大会の舞台であるモンツァは、タイヤにかかる負荷がとても高いサーキットであり、そして決勝レースは50℃前後の高温域で路面温度が推移し続けました。タイヤにとっては非常に厳しいコンディションでしたが、ハイパーカークラスとLMGTE Amクラスの出場全車が使用するミシュランタイヤは、2スティント連続使用が基本となる条件のもと、高いパフォーマンスを安定的に発揮。各パートナーチームからの厚い信頼に応えました。

モンツァ6時間
ハイパーカークラス優勝
No.7 トヨタ GR010ハイブリッド
シリーズ独自の車両性能調整(BoP)制度を持つWECですが、先のル・マン24時間の前に、トヨタにはプラス37kg、フェラーリにはプラス24kgの車両重量の加算がありました。そして今大会を前に、フェラーリには、さらに5kgの車重の加算と12kW(16.31PS)の最高出力削減、そして1スティントで使用できるエネルギー量の8MJの削減が決定。一方のトヨタにさらなる性能調整はありませんでした。そして迎えたモンツァのレースウィークでは、トヨタがフェラーリに対するスピード的な競争力を取り返した格好になり、結果的に小林可夢偉組のトヨタ7号車がポール・トゥ・フィニッシュを飾りました。

モンツァは、特に左リアタイヤに高い負荷がかかるコース。そこで、ミシュランタイヤの懐の深さを活かし、左リアにはハード、残る3輪にはミディアムと、コンパウンドをミックスさせて走らせたチームもありました。

ライバルに性能抑制措置が取られたとはいえ、トヨタのアドバンテージは決して大きくはありませんでした。それでも、トヨタ7号車は、予選で最速タイムを刻み、決勝でも主導権を握り続け、地力の高さを示しました。

厳しいBoPを受けながらも、フェラーリ50号車は予選でポールに0.017秒差と迫り、決勝でもトヨタ7号車に食い下がり続けたすえ2位に。フェラーリ 499Pはデビューからまだ4カ月と思えない強さを見せています。

昨年のモンツァでデビューしたプジョー 9X8が、今大会で自己ベストのパフォーマンスを披露。予選で4位に入った93号車が、決勝では優勝車両と同一周回の3位で走り切り、9X8初の表彰台獲得を果たしました。

今シーズンで廃止されるLMGTE Amクラス。今大会を4位でフィニッシュしたコルベット・レーシングのNo.33 コルベット C8.Rが、この先にまだ2レースを残しながらシリーズタイトル獲得を決めました。

タイヤにとって厳しい使用条件であった今大会ですが、ハイパーカークラスの中には、同一のタイヤで3スティント連続走行をこなす車両も現れるなど、性能と耐久性を高い次元で両立させたミシュランタイヤの持ち味が存分に発揮されたレースとなりました。