2018-2019年シーズンのWEC第7戦スパ・フランコルシャン6時間は、レース中に降雪に見舞われる事態が繰り返し発生するという、極めて不順な天候のもとでの開催となりました。その中で、レース前半に首位を走ったNo.7 トヨタ TS050ハイブリッド（マイク・コンウェイ／小林可夢偉／ホセ‐マリア・ロペス）はトラブルに襲われて後退し、No.8 トヨタ TS050ハイブリッド（セバスチャン・ブエミ／中嶋一貴／フェルナンド・アロンソ）が今季4勝目をマーク。そしてトヨタが次戦である最終戦ル・マン24時間を待たずに2018-2019年シーズンのLMP1世界選手権のチームタイトル獲得を決めました。
2012年にスタートした現在のWEC（FIA世界耐久選手権）の歴史の中で初めて、雪が降り落ちる中で行われたレースとなった今大会でしたが、No.8 トヨタ TS050ハイブリッドが前戦セブリング1000マイルに続いて優勝。同車をシリーズ全戦でドライブするセバスチャン・ブエミ／中嶋一貴／フェルナンド・アロンソのトリオは次戦ル・マン24時間でのLMPドライバーズタイトル獲得決定に向けて大きく前進しました。
レース序盤、雨や雪はやんだ中で水煙を上げながら僚友車をリードするマイク・コンウェイ／小林可夢偉／ホセ‐マリア・ロペス組のNo.7 トヨタ TS050ハイブリッド。予選で最速タイムを刻んだ同車は決勝レースでも序盤から首位を快走し、一時は50秒近いマージンを築きました。しかし、レースが折り返しを過ぎたところでセンサートラブルに見舞われ、勝機を失うことに。No.7 トヨタはクラス6位でのフィニッシュにとどまりました。
チームメイトが不運なトラブルに見舞われた一方で、No.8 トヨタ TS050ハイブリッドは安定した走行を続けてシーズン4勝目をマークしました。この結果、No.8 トヨタのブエミ／中嶋一貴／アロンソの獲得ポイントは160点となり、No.7 トヨタのコンウェイ／小林可夢偉／ロペスに31ポイント差をつけて、最終戦ル・マン24時間（決勝レースは6月15〜16日開催）にドライバーズタイトル獲得をかけて臨むことになりました。
今回はトヨタの一角が崩れたことにより、LMP1クラスの2位の座はプライベートチームのレベリオン・レーシングとSMPレーシングの間で争われることになりました。この戦いを制したのはナタナエル・ベルトン／トマス・ローラン／グスタボ・メネゼス組のNo.3 レベリオン R13・ギブソンで、No.11 SMPレーシングを6.5秒差で振り切ってプライベーター優勝を飾りました。
GTマシンの上位クラスであるLMGTE Proクラスでは、No.97 アストンマーチン・ヴァンテージ AMRとNo.51 フェラーリ 488 GTE EVOがレース終盤に秒差を争う緊迫した首位争いを展開。そしてフィニッシュまで残り11分というところで天候悪化によって赤旗が提示されてレース終了となり、その時点で前を走っていたアレクサンダー・リン／マキシム・マルタン組のNo.97 アストンマーチンが今季初優勝をマークしました。
優勝争いには絡めませんでしたが、No.92 ポルシェ 911 RSRがLMGTE Proクラスの3位でフィニッシュしました。これにより、同車を駆るミカエル・クリステンセン／ケバン・ウストルのコンビはランキング首位を行くGTEドライバー選手権のリードを拡大。そしてポルシェは、次戦である最終戦ル・マン24時間を待たずにGTEマニュファクチャラー選手権のタイトルを決めました。
雪が降り落ちる状況がレース序盤、中盤、終盤と3度も訪れるという大荒れの天候のもとでの開催となった今大会。降雪時はセーフティカー先導によるスロー走行でしのいだものの、雪がやんでも極めて低温の路面コンディションが続きましたが、ミシュランタイヤは確かなグリップ力を安定的に発揮し続け、各チームの粘り強い戦いとレースの円滑な開催に貢献しました。
