オーストラリア東部のニューサウスウェールズ州で開催準備が進んでいた2019年WRC最終戦ラリー・オーストラリアですが、大規模な森林火災の影響から開催中止となりました。この結果、前戦ラリー・スペインを終えたところでマニュファクチャラー選手権のトップであったヒュンダイが自動的にマニュファクチャラーチャンピオンに輝きました。なお、ドライバー選手権はトヨタのオィット・タナックがタイトル獲得をすでに決めています。トヨタもヒュンダイもミシュランユーザーであり、これでミシュランのWRCタイトル獲得数は59個（ドライバータイトル 27個／マニュファクチャラータイトル 29個）となりました。
首位ヒュンダイと2位トヨタが18ポイント差を争う形で最終戦に決着がもつれ込んでいたマニュファクチャラー選手権。ラリーの開催中止という不測の事態によって、タイトルは自動的にヒュンダイのものとなりました。この韓国の自動車メーカーにとっては初の世界選手権タイトル獲得となりました。（※写真は2019年ラリー・スペイン）
今年もラリー・オーストラリアはオーストラリア大陸東岸のコフス・コースト一帯での開催が予定されていましたが、同地域を含むニューサウスウェールズ州北部で極めて規模の大きな森林火災が発生。ラリー主催者は、一時は324.53kmから94.37kmにステージ距離を短縮した新しいルートで何とか大会を行おうとしましたが、開催地域への影響やスタッフの安全性などの観点から、ラリーのスタートが2日後に迫ったところで開催中止を決めました。（※写真は2018年ラリー・オーストラリア）
ヒュンダイは1990年代からWRCに断続的に挑戦。現在のチーム体制を築いた2014年からは毎年WRCにワールドラリーカーでフル参戦しており、2016年から昨年までは3年連続でマニュファクチャラー選手権ランキング2位を獲得してきました。今シーズンは第4戦ラリー・フランスを終えたところで同選手権ランキング首位に立ち、その座を一度も譲ることなく、ついに初の世界タイトルをつかみ取りました。（※写真は2014年ラリー・モンテカルロ）
18ポイント差を逆転すべく最終戦では上位独占を期していたトヨタでしたが、森林火災によるラリー開催中止という事態となっては為す術はありません。それでも、1-2-3フィニッシュを決めたラリー・ドイツをはじめとする6戦で優勝を飾り、オィット・タナックによって25年ぶりにドライバー選手権を制し、マニュファクチャラー選手権は2位という上々の結果を残しました。（※写真は2019年ラリー・ドイツ）
ラリー・オーストラリアの開催中止によって今シーズンにおいて使用されたイベント数は10戦となったグラベル用WRC公式タイヤ MICHELIN LTX Force。サイズは205/65R15で、H4（ハード）とM6（ミディアム）とS6（ソフト）の3種類のコンパウンドがあり、適した2種類を各ラリーに投入しました。なお、レギュレーションにより、構造やトレッドパターンは全コンパウンド共通です。
今シーズンは4戦で使用されたアスファルト用WRC公式タイヤ MICHELIN PILOT SPORT。サイズは225/40R18で、H4（ハード）とS6（ソフト）とSS6（スーパーソフト）の3種類のコンパウンドがありましたが、SS6は0℃付近かそれ以下という極低温の路面温度に対応したラリー・モンテカルロ専用タイヤで、通常のアスファルトステージにはH4とS6が使用されました。
ミシュランはWRCにおいて2011年から公式タイヤサプライヤーの一社という立場で活動しており、これで9年目のシーズンにおける仕事を終えることとなりました。ただし、WRCのオフシーズンは極めて短く、約2カ月後の2020年1月半ばには新たなシーズンがラリー・モンテカルロで開幕。そして同年11月にはシリーズ最終戦としてWRCの日本ラウンドであるラリージャパンが開催されます。（※写真は2019年ラリー・モンテカルロ）
