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WRC 2019  ROUND 4
FRANCE

■3月29日〜31日
■開催国:フランス
■ステージ路面:アスファルト

最終ステージで勝利目前のエバンスに非運
劇的展開のツール・ド・コルスをヌービルが制す

地中海に浮かぶコルシカ島を舞台とする「ツール・ド・コルス」が今年もWRCのフランス大会として行われました。今回が62回目の開催であったこの伝統の一戦において、WRCの舗装路イベントでは自身初となる勝利に目前まで迫ったのはMスポーツ・フォードのエルフィン・エバンスでした。しかし、彼は最終ステージで異物によって右フロントタイヤをパンクさせてしまい大きくタイムロス。11.5秒のビハインドを抱えて最終ステージを迎えていたヒュンダイのティエリー・ヌービルが望外の逆転を果たして今季初優勝を飾りました。

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ハイライト

ギャラリー

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ラリー・フランス/ツール・ド・コルス総合優勝
ティエリー・ヌービル(ヒュンダイ i20クーペ WRC)

Mスポーツ・フォードのエルフィン・エバンスとの首位争いを演じてきてはいたものの、最終ステージを前に11.5秒差をつけられ、「今回は2位で仕方なし」とヌービルは覚悟していました。ところが、19.34kmの最終ステージも残り6kmのところでエバンスがパンクに見舞われ、最後の最後で勝利はヌービルのもとへ転がり込むことに。ラリー終了後、ヌービルは「エルフィンのことは本当に残念に思う。彼は本当にいい仕事をしていたからね。だけど、僕らもこの勝利に値するだけの仕事をしたと思う。すごくいいバトルだったね」とコメントしました。

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長年にわたってWRCフランス大会の開催地となっているコルシカ島。その山道に設けられる各スペシャルステージの路面はすべて舗装路ですが、路面の状態が一定でなく、μ(摩擦係数)がひっきりなしに変わるという難しさがあります。ミシュランのWRCプログラムマネージャーであるアルノー・レミーは今大会を前に、「コルシカの道は以前よりスムーズになっていますが、場所によっては路面が非常に荒れていて、今回もまたタイヤのライフが重要な役割を果たすことになります」と語っていました。

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グラベルラリー育ちであるエルフィン・エバンスが、今回、舗装路イベントにおけるこれまでの彼にない速さを発揮し続けました。オープニングステージでトップタイムを叩き出すと、さらにSS4、SS5と制してラリーをリード。デイ2に入るとトヨタのオィット・タナックの猛攻を受けて一旦は2位に後退しましたが、すぐさま反撃に転じるという強さが今回のエバンスにはありました。

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もはやどのようなタイプのラリーでも首位争いを演じるだけのスピードを見せるトヨタのオィット・タナック。デイ1を首位エバンスと4.5秒差の2位で終えると、デイ2序盤のSS7とSS8で連続トップタイムをマーク。SS9を終えたところでエバンスをかわしてラリーリーダーとなりました。しかし、SS11でタナックはステージ中でのタイヤ交換を余儀なくされ約2分を失うことになり、最終的には6位でのフィニッシュに終わりました。

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タナックに替ってエバンスに猛攻を仕掛けていったのがヒュンダイのティエリー・ヌービルでした。デイ2最後のスペシャルステージであった47.18kmのSS12でヌービルはエバンスを16.0秒も上回る驚異的なトップタイムを叩き出し、一気に首位浮上を果たしました。かわされたエバンスは「何が起こったのか分からない。僕は全力を尽くしたし、自分の走りは良かったと思っているけれど……」と語るのがこのときは精一杯でした。

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ラリー最終日となるデイ3は2本のスペシャルステージのみという設定でした。その1本目であった31.85kmのSS13では、今度はエバンスがヌービルに16.0秒差をつける圧倒的な最速タイムを刻んで首位を奪還。11.5秒のリードを持って19.34kmの最終ステージを迎えることになり、そんなエバンスの勝利を大半の人々が確信する状況となりました。

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エバンスの勝利を確信していた者のひとりが、彼を追うライバルたちの筆頭であったヌービルでした。2位・18ポイントを確実に手にすべく過度にリスクを冒さない走りで最終ステージに臨んだ彼でしたが、しかし、終わってみれば優勝という結果に。今季初優勝、WRC通算10勝目を手にしたヌービルは、ドライバー選手権でランキング首位に浮上しました。

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19.34kmの最終ステージも残り6kmというところで異物を踏み、右フロントタイヤをパンクさせてしまったエバンス。やがてタイヤは砕け散り、ホイールのみとなった状態で走行を続けてステージを走り切り、3位でラリーをフィニッシュしました。最終結果は彼が望んだものとは異なりましたが、今大会を通じて見せた強力なパフォーマンスにより評価を大いに高めました。

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今大会の本命のひとりに目されていたシトロエンのセバスチャン・オジエですが、オープニングステージでスピンを喫して大きく遅れ、その後も強いアンダーステアに悩まされ続けました。それでも粘り強く走り続けて順位をじりじり上げ、最後はエバンスの最終ステージでのタイムロスもあって2位を獲得。一度もトップタイムを刻むことができなかった中ではベストと言える結果を残し、持ち前の強さを改めて示しました。

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WRCでは今シーズン初の全面舗装路イベントであった今大会にミシュランは、ハードコンパウンドのH5を28本、ソフトコンパウンドのS6を20本、そしてヘビーレイン用のFW3を8本、計3種類・56本のMICHELIN Pilot Sport舗装路ラリー用WRC公式タイヤをパートナーチームのワールドラリーカー各車に用意。その中から各車のクルーはラリー本番において使用できる28本のタイヤの内訳をスタート前に決定して競技に臨みました。主に使用されたのはハードコンパウンドのH5でしたが、パフォーマンスの高さと強靭さ、そしてライフの長さを存分に発揮し、ユーザーの戦いを力強く支えました。

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