WRC 2018 ROUND 8
FINLAND
■7月26日〜29日
■開催国:フィンランド
■ステージ路面:グラベル(一部アスファルト)
新型MICHELIN LTX Force M6がデビュー
タナク&ヤリス WRCが高速戦を席巻
WRC随一のハイスピードラリーとして知られるラリー・フィンランドが開催され、トヨタのオット・タナクがオープニングステージから一度も首位を譲ることなく優勝。このエストニア人ドライバーは、5月のラリー・アルゼンチンに続く今季2勝目、WRC通算4勝目をマークしました。また、今大会においてミシュランはミディアムコンパウンドのグラベル用WRC公式タイヤ MICHELIN LTX Force M6をデビューさせ、ミシュランタイヤを選択して今シーズンのWRCに参戦しているすべての自動車メーカーのワークスチームから高い評価を獲得しました。
ハイライト
Highlights - 2018 WRC Rally Finland - Michelin Motorsport
Leg 1 - Top Moments - 2018 WRC Rally Finland - Michelin Motorsport
Leg 2 - Top Moments - 2018 WRC Rally Finland - Michelin Motorsport
Shakedown - 2018 WRC Rally Finland - Michelin Motorsport
ギャラリー
ラリー・フィンランド総合優勝
オット・タナク(トヨタ・ヤリス WRC)
今回のフィンランドはトヨタ勢が際立った速さを見せたラリーとなりました。今大会では全部で23本のスペシャルステージが実施されましたが、そのうちの18本で最速タイムを記録したのは、タナク、ヤリ‐マティ・ラトバラ、エサペッカ・ラッピのトヨタ勢でした。そして最終結果も、タナクとラトバラによるトヨタ勢の1-3フィニッシュとなりました。写真は優勝したタナクと彼のコ・ドライバーであるマルティン・ヤルヴェオヤを称える表彰式で、彼らの間で喜びの表情を見せているのはトヨタ自動車の豊田章男社長。その後ろでバンザイポーズを見せているのはトヨタのチーム代表で元WRCチャンピオンであるトミ・マキネン。
数あるラリーイベントの中でもラリー・フィンランドは人気や注目度が特に高い一戦です。その理由には、コースの難易度の高さや速度の高さ、数多くの優れたラリードライバーを輩出してきたフィンランドの歴史的背景などがあります。そして今年もラリー・フィンランドのサービスパークはホストタウンであるユバスキラの街の中心部に近いコンベンションセンターに設けられ、地元フィンランドやヨーロッパ各地から訪れた数多くのファンで賑わい続けました。
ラリー・フィンランドのスペシャルステージが設けられるコースは、おしなべてハイスピードで、起伏に富み、結果的にラリーカーが宙を舞う状況が多々発生します。ジャンプから着地した直後にコーナーが控えている、ということもしょっちゅうです。そうしたことから、「レッキ」と呼ばれるラリー前のコースの下見走行で作製するコースの指示書「ペースノート」をいかに正確に作れるかが他のラリーにも増して重要となります。
林道ステージ初日のデイ2はトヨタのタナクとシトロエンのマッズ・オストベルグによる僅差のトップ争いが演じられました。しかし、明くるデイ3に入ると、タナクが5ステージ連続でトップタイムを叩き出すという速さを見せて一気にリードを拡大。彼は、勝利を手にするには流し気味で走るだけでも十分だった最終ステージでもマキシマムアタックを敢行して今大会12回目の最速タイムをもぎ取り、文句なしの優勝を飾りました。
トヨタ自動車の豊田章男社長は、年に一度あるかないかのWRC現地視察に訪れたラリーでチームの優勝に立ち合うという幸運に恵まれました。豊田社長がモータースポーツの世界選手権イベントにおける優勝の表彰台に上ったのはこれが初めてのことでした。
シトロエンは足まわりに大幅な改良を施したC3WRCを今大会から投入。オストベルグがいきなりトップを争い、一時はラリーをリードするというスピードを披露しました。デイ3に入るとタナクには水を空けられ、後方から追撃してきたトヨタのラトバラと僅差の2位争いを繰り広げることになりましたが、オストベルグは見事にこのバトルを制し、2015年4月のラリー・アルゼンチン以来となる2位に。彼にとっても、そしてシトロエンにとっても、大きな励みとなる表彰台を獲得しました。
今年は思うようにならない戦いが続いていたラトバラでしたが、地元での今大会を迎えて奮起。改良型マシンを得て先行したオストベルグも手強く、彼を かわすには至りませんでしたが、ラトバラは3位でフィニッシュし、開幕戦ラリー・モンテカルロでの3位以来となる表彰台登壇を果たしました。
ヒュンダイ勢は、路面の掃除役を強いられたポイントリーダーのティエリー・ヌービルが9位、アンドレアス・ミケルセンが10位と、そろって奮わぬ結果に終わりましたが、残る一台のi20クーペWRCを駆るヘイデン・パッドンが力強い走りを見せて4位に。マニュファクチャラー選手権でのヒュンダイの首位キープに貢献しました。
ポイントランキング2位で今大会を迎えたセバスチャン・オジェは、ポイントリーダーのヌービルと同様に路面の掃除役となったハンディが大きく、苦戦を余儀なくされました。果敢に攻めていった中では、マシンのスライドが収まらずコースからはみ出して横転寸前となるような状況も。そして最後は、チームメイトのティーム・スンニネンにポジションを譲られるという格好で5位でフィニッシュ。今大会は9位に終わったヌービルとの差を19ポイントに詰めました。
これまでのミシュランのグラベル用WRC公式タイヤはソフトコンパウンドとハードコンパウンドの2種類でしたが、その中間のポジションにあたるミ ディアムコンパウンドのMICHELIN LTX Force M6を今回デビューさせました。また、ソフトコンパウンドも同時にバージョンアップさせ、今大会からMICHELIN LTX Force S6を投入。万全の構えで各パートナーチームの戦いを支えました。