
MOTOGP 2025 ROUND 9
ITALY
■予選:6月21日/決勝:6月22日
■開催地:ムジェロ・インターナショナルサーキット(イタリア)
■レース周回数:23周(120.635 km)
50℃レベルの高い路面温度と高い負荷に打ち勝ち
マルケスとミシュランタイヤがイタリアGPを制す
世界最高峰の二輪ロードレースシリーズであるMotoGP世界選手権の2025年シーズン第9戦イタリアGPが開催され、Ducati Lenovo Teamのマルク・マルケスが、土曜日に行われたスプリントレース、日曜日に行われたグランプリレース(決勝レース)の双方で優勝を飾りました。
今大会は猛暑に見舞われ、スプリントレースもグランプリレースも路面温度が50℃を超える条件のもとでの実施に。そして、開催コースであるムジェロはタイヤにかかる負荷がそもそも高いことから、週末を通じてタイヤは試練にさらされ続けました。そうした中、マルケスは予選で新しいオールタイムラップレコード(当該サーキットにおけるMotoGPマシンでの史上最速ラップタイム)を記録し、ミシュランタイヤの進化を明らかな結果をもって証明。長丁場のグランプリレースにおいても、出場全車が履くミシュランのタイヤは高いパフォーマンスを落とすことなく発揮し続け、ユーザーたちを支えました。

イタリアGP グランプリレース
日曜日の午後2時にグランプリレースのスタートを迎えると、MotoGPマシン各車のエンジン音とともに大歓声が沸き起こり、観戦スタンドの至るところで赤と黄色のスモークがたかれて、ラテンの地ならではの高揚したムードにサーキットは包まれました。強い日差しが照りつけ、気温は30℃を超え、路面温度は50℃に達している中で、40分間を超える全力走行を各ライダーは展開。路面温度が前年大会より10℃以上も高かったため、優勝レースタイムの記録更新はなりませんでしたが、高性能タイヤにありがちな突然の性能低下をきたすことなくミシュランタイヤは高いパフォーマンスを安定的に発揮し続け、おかげで各ライダーは激しいバトルを延々と繰り広げることができました。

ムジェロはMotoGP開催コースの中では最長である1.141 kmという長さのストレートを持ち、最新MotoGPマシン各車は軒並み360 km/hを超えるトップスピードに到達します。また、通過速度が非常に高く、そのぶんタイヤにかかる負荷も非常に高いコーナーがいくつもあり、タイヤに試練を課すサーキットです。

このサーキットにおけるオールタイムラップレコードは1分44秒504で、それは前年大会でホルヘ・マルティンがドゥカティを駆って打ち立てたものでした。その記録を今大会の予選でマルク・マルケスが更新。0.335秒も短縮する1分44秒169を叩き出し、キャリア通算100回目のポールポジションを獲得しました。

土曜日のスプリントレースにおけるマルケスは、スタートでやや出遅れたもののすぐに挽回して優勝。そして日曜日のグランプリレースには、ドゥカティにとっての地元ラウンドならではの特別カラーリングに装いを変えて出走しましたが、こちらでも主導権を握り続ける戦いを見せ、今季5勝目をマークしました。

グランプリレースの表彰台。今大会の予選と2つのレースをすべて制したマルク・マルケス(写真中央)は、シリーズポイントのリードを40点に拡大。2位には実弟のアレックス・マルケス(写真左)が、3位にはバレンティーノ・ロッシのチームから出場のファビオ・ディ・ジャンアントニオ(写真右)が入りました。

復調のきざしを見せている日本車勢ですが、今大会では浮上し切れず。ヤマハの#20 ファビオ・クアルタラロはグランプリレースの大半でトップ10圏内を走ったものの、終盤に順位を落として14位に。ホンダの#36 ジョアン・ミルは11位。怪我により2戦を欠場して今大会から復帰した#79 小椋 藍は10位でフィニッシュしました。

今大会は、レース時間が約20分のスプリントレースでも約40分のグランプリレースでも、ほとんどのライダーが、フロントにはミディアム、リヤにはソフトのMICHELIN Power Slickを使用。性能の大幅低下を起こさないミシュランタイヤの高度な安定性により、50℃レベルの路面温度で続いたレースの終盤に至っても激しくバトルを繰り広げました。