ミシュランが供給する公式タイヤを出場全車が使用する二輪ロードレースMotoGP世界選手権の2024年シーズン第19戦マレーシアGPが開催され、土曜日に10周で行われたスプリントレースはPrima Pramac Racingのホルヘ・マルティンが、日曜日に19周で行われたグランプリレースはDucati Lenovo Teamのフランチェスコ・バニャイアがそれぞれ優勝を飾りました。 今大会が行われたセパン・サーキットでは今シーズンの開幕前に公式テストが実施されていましたが、そこでミシュランはドライコンディション用のMICHELIN Power Slickのフロントタイヤの硬さを上げる必要を確認し、3種類あるコンパウンドの仕様変更を行いました。また、リヤタイヤに関しても構造を強化型にし、高温下でのパフォーマンスをより安定的なものにする改良を行っていました。そして迎えた今大会では、バニャイアが従来記録を1.154秒も塗り替える新しいオールタイムラップレコード（当該サーキットにおけるMotoGPマシンでの史上最速ラップタイム）を記録するなど、ミシュランの開発努力の正しさが証明される内容の週末となりました。
予選では上位6名が、昨年大会でバニャイアが記録していたオールタイムラップレコードの従来記録を上回るタイムをマーク。その中でも最速はバニャイア自身で、オールタイムラップレコードホルダーの座は譲りませんでした。ところが彼は、土曜日に行われたスプリントレースではスリップダウンを喫してしまいリタイアに。気を取り直して臨んだ日曜日のグランプリレースでは、序盤のマルティンとのドッグファイトを制して独走優勝を飾りました。
開幕前のテストの結果、ミシュランはMICHELIN Power Slickのフロントタイヤのコンパウンド設定を変更。新しいソフトは従来のミディアムに、新しいミディアムは従来のハードに準じたものへとシフトさせ、新しいハード仕様を追加設定。スプリントレースでは全ライダーがフロントにソフトを使用しました。
スプリントレースのスタートでは、予選は2位だったマルティンがポールポジションのバニャイアを押さえてホールショットを奪取。追走していたバニャイアは3周目に転倒を喫し、マルティンが勝利を手に。上位6名が従来のスプリントレース優勝タイム記録を上回るレースタイムでフィニッシュしました。
グランプリレースでは、序盤にバニャイアとマルティンがドッグファイトを演じたましたが、その後はバニャイアがリードを築いて独走。今季10勝目を飾りました。今大会の結果、ライダー選手権ではマルティンがバニャイアに24点差をつけて、次戦であるシリーズ最終戦に臨むことになりました。
不振が続く日本車勢ですが、今大会ではヤマハが競争力の明らかな向上を見せ、2021年のMotoGPチャンピオンであるファビオ・クアルタラロがスプリントレース、グランプリレースの双方で6位に。チームメイトのアレックス・リンスもグランプリレースで8位と、彼自身の今季ベストリザルトを得ました。
スプリントレースでは全ライダーがリヤにミディアム、フロントにソフトを使用。走行距離が倍のグランプリレースでも全ライダーがリヤにミディアムを、そして22名中17名がフロントにソフトを選択。ただし、フロントにミディアムを選んだマルティンが2位に入るなど、ミシュランタイヤの対応力の幅広さが示されたレース内容になりました。
2024年シーズンのMotoGPも残るは一戦のみとなりました。ただし、そもそも最終戦に予定されていたバレンシアGPは、開催地であるスペインのバレンシア地方が甚大な水害に襲われたことから、開催地を変えて行われることに。ミシュランも、最終戦の新たな開催サーキットに合わせた仕様のタイヤを改めて用意するという対応を行うことになります。
