SUPER GTとは
市販のスポーツカーをもとに作られたGTマシンによって争われている、レベルと人気の双方が非常に高いレースシリーズです。今日のモータースポーツでは希少なタイヤ競争もあり、ミシュランを含む4つの世界的なタイヤメーカーが参戦。技術を磨き、競い合っています。
世界最高レベルのタイヤ競争レース
SUPER GTは、「GT」と呼ばれる種類の、一般に販売されているスポーツカーをもとに作られたレーシングカーを使用して行われているレースシリーズです。GT500クラスとGT300クラスがあり、各レースでは、この2つのクラスの車両が入り混じって走行しながら、それぞれのクラスにおける順位を争います。レースの途中ではドライバー交替を行わねばならないルールになっており、2名のドライバー(※長距離/長時間レースでは3名の場合もあります)が1台のマシンに交替で乗り込んでレースを戦います。
激しいタイヤ競争があることは、SUPER GTの大きな特徴のひとつです。ミシュランを含む4つの世界的なタイヤメーカーが参戦しており、非常に高いレベルの技術開発をそれぞれに行いながら競い合っています。
SUPER GTにおけるハイレベルのタイヤ競争を勝ち抜くためには、高いグリップ性能と、その性能をライフの最後まで安定的に発揮し続ける能力の双方を極限まで高めたタイヤが要求されます。ゆえに、ミシュランにとってSUPER GTは、技術を磨くのに格好のフィールドなのです。
"Performance Made to Last"
2024年シーズン SUPER GT ミシュランレーシングタイヤ
四輪のF1や二輪のMotoGP、あるいは日本のスーパーフォーミュラなど、世界の様々なモータースポーツの上位シリーズが、昨今はタイヤについては技術競争のないワンメイク制度のもとで行われています。そうした中、自由なタイヤ競争を認めているSUPER GTは際立った存在であり、ミシュランを含む4社のものタイヤメーカーが参戦して、世界最高レベルのタイヤ競争を繰り広げています。
・"Performance Made to Last"
『タイヤのライフの最後までベストの性能を』──これは、ミシュランがすべてのタイヤ作りにおいて掲げているフィロソフィーです。SUPER GTにミシュランが供給するレーシングタイヤも例外ではありません。レースの終盤に入ってもパフォーマンスが衰えず、ペースが落ちない──そんなタイヤを目指して開発に取り組み、そこで磨いた技術を、お客様がお使いになる一般のミシュランタイヤへ注入してゆくことを目指しています。
・クレルモン=フェラン生まれのレーシングタイヤ
SUPER GTで使用されるミシュランのレーシングタイヤは、すべてフランス生まれ。ミシュランの本社があるフランス中部の町 クレルモン=フェランのモータースポーツ用タイヤ専用工場で製造され、空路で日本へ運ばれたのち、各サーキットに送り込まれています。
2024年シーズンのGT300クラスに出場するパートナーチーム車両にミシュランが供給するレーシングタイヤのサイズは、フロント用が30/68-18、リア用が31/71-18です。なお、SUPER GTではタイヤのサイズはシーズンを通じて固定しなければならないルールになっています。
(※ミシュランレーシングタイヤのサイズ表記はタイヤ幅 [cm]/タイヤ外径 [cm] −リム径 [インチ] )
(※ドライ用のスリックタイヤとウェット用のレインタイヤの双方のサイズに違いはありません)
2024年シーズン SUPER GTのタイヤ使用基本ルール
SUPER GTでは、各大会の現場に持ち込むことができるタイヤの本数に制限が設けられています。
■300kmレース:ドライコンディション用タイヤ 4セット=16本まで
■350kmレース:ドライコンディション用タイヤ 5セット=20本まで
■3時間レース:ドライコンディション用タイヤ 6セット=24本まで
なお、第1戦で優勝できなかったタイヤメーカーは、その次の大会から、当該クラスのユーザー車両が優勝を手にした大会までは、各ユーザー車両にドライ用タイヤを1セット多く用意できることになっています。
・ドライコンディション用タイヤの運用について
各大会で各車両が使用するドライ用タイヤには、各レースウィークで最初の走行セッションである公式練習の前に、使用タイヤであることを示すマーキングが施されます。
予選で使用できるドライ用タイヤは1セットのみです。SUPER GTでは、予選はQ1とQ2があり、各車両はどちらのセッションにも出走しなければなりませんが、使えるドライ用タイヤは両セッションを通じて1セットだけなのです。そして、決勝もドライコンディションとなった場合、予選で使用したタイヤでレースをスタートしなければならない規則となっています。つまり、SUPER GTで使用されるレーシングタイヤには、予選で一発の速さを出せる絶対性能とともに、2つの予選セッションをこなしたうえで決勝レースの序盤も戦えるパフォーマンスの持続性が求められるのです。
・ウェットコンディション用タイヤの運用について
公式練習やQ1とQ2の予選セッションにおけるウェット用タイヤは、路面がウェット状態であると競技長によって認定され、「ウェット宣言」というものが発された場合に限って使うことができるルールになっています。一方、決勝レースにおいては、ウェット宣言が出ていなくとも使用することが可能です。その際、各大会の現場に持ち込まれたウェット用タイヤのどのセット/タイヤを使うかは、各チームが自由に決めることができます。
なお、ウェット用タイヤの溝(グルーブ)の面積はトレッド面の25%以上でなければならず、そのトレッドパターンは、SUPER GTの運営団体であるGTアソシエイションに事前登録されたものでなければなりません。そして、各タイヤメーカーが登録できるウェット用タイヤのトレッドパターンは1サイズにつき1種類に限られ、各大会における公式な走行セッションで使うことができるウェット用タイヤは1種類(1サイズ&1パターン)に制限されています。
・より少ないタイヤ本数で
近年のSUPER GTでは、使用できるタイヤ本数の制限がどんどん強化されています。300kmレースで比較すると、2022年シーズンでは6セット=24本まで使えたドライコンディション用タイヤの数が、2023年シーズンでは5セット=20本までとなり、この2024年シーズンでは4セット=16本までとなりました。
こうしたタイヤ本数の削減は、SUPER GTが進めている環境負荷低減の一環です。競技的には、1セットのタイヤに要求されるパフォーマンスと耐久性の両立がどんどん高度なものとなっており、参戦タイヤメーカーには一層の開発努力が求められています。
2024年シーズン SUPER GTミシュランパートナーチーム
ミシュランは、2024年シーズンのSUPER GTにおいて、GT300クラスの3台のマシンにタイヤ供給を行っています。
・No.7 Studie BMW M4
BMW専門店のスタディが運営するBMWモータースポーツ公認チームのBMW M Team Studieよりエントリー。マシンはFIA-GT3車両であるBMW M4 GT3で、ミシュランタイヤとのパッケージでGT300クラスに挑むのもこれで3シーズン目です。
2004年ル・マン24時間においてミシュランタイヤを使用して総合優勝を飾っている荒 聖治がAドライバーとして同車をレギュラーでドライブ。そして、2023年にはGTワールドチャレンジヨーロッパでゴールドクラスドライバーチャンピオンに輝いている21歳のドイツ人ドライバーのニクラス・クルッテンをBドライバーに、昨シーズンも同車を駆った2012年のDTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)のチャンピオンであるドイツ人ドライバーのブルーノ・スペングラーをCドライバーに起用して参戦しています。
・No.20 シェイドレーシング GR86 GT
自動車内装部品メーカーの林テレンプが設立したレーシングチームであるSHADE RACINGよりエントリー。FIA-GT3規定より技術開発領域が広いGTA-GT300規定で製作されたGR86 GTを2022年シーズンより走らせていますが、今シーズンから新たにミシュランタイヤを使用しています。
ドライバーは、ヨーロッパでのレース経験もあるベテランの平中克幸と、21歳の若手でSUPER GT参戦3シーズン目の清水英志郎のコンビです。
・No.45 PONOS FERRARI 296
ゲームメーカーのポノスが運営するPONOS RACINGよりエントリー。マシンはFIA-GT3車両であるフェラーリ 296 GT3を今シーズンより投入し、同時に今シーズンからミシュランタイヤを使用しています。
エースドライバーのケイ・コッツォリーノは、イタリア人の父と日本人の母を持ち、日本生まれの日本育ち。海外レースやGTカテゴリーのレースで豊富な経験を有しています。コンビを組むのは、23歳のフランス人女性ドライバーのリル・ワドゥー。2023年の世界耐久選手権LMGTE Amクラスでは、男性ドライバー2名とともにフェラーリ 488 GTE Evoをシーズンを通してドライブし、第3戦スパ・フランコルシャン6時間でクラス優勝を獲得。四輪耐久レースの世界選手権で優勝を飾った初の女性ドライバーとなっています。
ミシュランは、SUPER GT開催年から参戦し続けて得た経験と技術力を結集させ、GT300クラスに出場する各パートナーチームが好成績を収められるよう、全力でサポートします。