WRC 2018 ROUND 1
MONTE-CARLO
■1月25日〜28日
■開催国:モナコ/フランス
■ステージ路面:アスファルト/雪/氷
トリッキーさ極まりしモンテカルロで
王者オジェが5年連続優勝を達成
全13戦で争われる2018年のWRCが例年同様にラリー・モンテカルロで開幕しました。雪や氷の影響により一本のスペシャルステージにおいても様々な状態の路面が出現するこのラリーですが、2018年大会は大半のトップドライバーが大なり小なりのミスを犯したほどにトリッキーなコンディションでの開催になりました。その中でも、タイムロスを最小限に抑え込み、王者にふさわしい強さを見せたMスポーツ・フォードのセバスチャン・オジェが、5年連続となるモンテカルロ制覇を達成しました。
ハイライト
Highlights - 2018 WRC Rallye Monte-Carlo - Michelin Motorsport
Leg 1 - Top moments - 2018 WRC Rallye Monte-Carlo - Michelin Motorsport
Leg 2 - Top moments - 2018 WRC Rallye Monte-Carlo - Michelin Motorsport
Leg 3 - Top moments - 2018 WRC Rallye Monte-Carlo - Michelin Motorsport
ギャラリー
ラリー・モンテカルロ総合優勝
セバスチャン・オジェ(フォード・フィエスタ WRC)
冬期のフレンチアルプスを駆け抜けるモンテカルロの醍醐味にあふれた今大会を制したオジェ。2013年大会から5年連続、通算6度目となるこの伝統の一戦での優勝を果たしました。
2018年のWRCには前年と同じ顔ぶれの4つの自動車メーカー(フォード、ヒュンダイ、トヨタ、シトロエン)がそれぞれワークスチームを組織してシリーズ参戦します。WRCではタイヤ競争が認められていますが、いずれのワークスチームもタイヤパートナーにミシュランを選択。結果的に、トップカテゴリーであるワールドラリーカーのクラスはミシュランタイヤのワンメイクに近い状況で戦いが行われることになりました。
今大会にワールドラリーカーで出場したパートナーチームの各クルーに対してミシュランは4種類のタイヤを用意しました。その内訳は、アスファルト舗装用 WRC公式タイヤ MICHELIN Pilot Sportのソフトコンパウンド S6とモンテカルロ専用のスーパーソフトコンパウンド SS6、そして、やはりモンテカルロ専用の雪用タイヤであるMICHELIN Pilot Alpin A41とそのスタッド(鋲)付き仕様のA41 CL(写真)でした。
雪や氷が全面的あるいは部分的に路面を覆っている区間があれば、それらが溶け出してシャーベット状になっている区間、あるいは雪や氷が溶け切って路面が濡れているウェットアスファルト区間や乾き切ったドライアスファルト区間など、ラリー・モンテカルロでは一本のスペシャルステージの中でも様々な状態の路面が出現します。それでいて各クルーは、車両装着4本+スペア搭載2本の計6本のタイヤであらゆる路面状況に対応しなければなりません。おまけに今回は大会期間中にも天候が目まぐるしく変わったことから、ことさらタイヤ選択が難しい一戦となりました。
1月25日(木)の夕刻、ラリーはモナコ公国をスタート。写真の左側に見えるのが世界的に有名なカジノ「モンテカルロ」で、右側の奥に見える建物はオテル・ド・パリ。この後、出場各車は暗闇のフレンチアルプスの山中に設けられた計62.18kmの2本のスペシャルステージにアタックし、オジェが後続に17.3秒のリードを早々と築いて首位に立つことになりました。
モンテカルロはSS1からその牙をむき、5人ものワークスドライバーがコースアウトや岩にタイヤを当ててパンクを喫するといったアクシデントに見舞われました。最も被害が大きかったのはヒュンダイのティエリー・ヌービルで、コースから外れてスタックしてしまい、4分をゆうに超えるタイムを失うことに。それでも、その後の彼は果敢な追い上げを実らせ、最終的には5位まで挽回してフィニッシュしました。
首位を行くオジェをDAY2に入って猛然と追い上げたのは、チームを移籍して今年はトヨタで戦う前年ランキング3位のオット・タナクでした。彼も前日のSS1でコースアウトを喫し40秒近くを失っていましたが、DAY2最初のSS3でのトップタイムを皮切りに好タイムを連発。SS5を終えたところで2位に浮上し、オジェのリードを切り崩さんとする勢いを見せました。
ラリー・モンテカルロ総合優勝
セバスチャン・オジェ(フォード・フィエスタ WRC)
DAY2でタナクに接近されたオジェでしたが、DAY3を迎えて出走順が有利なものに変わると、その一本目のSS9で前年のチームメイトを1分近くも突き放す圧倒的なタイムを叩き出します。その後はリスクを最小限に抑えながらも十分に速いペースで走り続け、1分弱のリードを保ったままゴール。トミ・マキネンの4連覇(1999年大会〜2002年大会)を上回るモンテカルロ5連覇を飾りました。
「今年のモンテカルロは格別にトリッキーだった。タイヤ選択にこんなに苦労したことはなかった」と語ったオジェ。34歳になったこのフランス人ドライバーの速さ、巧みさ、そして強さが改めて際立った内容のラリーとなりました。
正表彰式にて、ラリーのホスト国であるモナコ公国のアルベール2世大公と握手を交わすオジェとコ・ドライバーのジュリアン・イングラシア。モンテカルロの勝者にだけ与えられる栄誉ですが、オジェとイングラシアが浴すのはこれで5年連続となりました。
ラリー後半はポジションキープに専念したタナク。先輩チームメイトであるヤリ‐マティ・ラトバラの追撃を振り切って、トヨタでのデビュー戦をチーム内最上位の2位で終えました。
モナコ王宮で催された正表彰式。優勝のオジェ/イングラシア組、2位のタナク/マルティン・ヤルヴェオヤ組に続く3位にはラトバラ/ミッカ・アンティッラ組が入り、トヨタ勢が表彰台の2つのポジションを占める結果に。そして、トップ3のすべてのクルーが新デザインのミシュランキャップを被って表彰台に上りました。
優勝候補のひとりであったシトロエンのクリス・ミークでしたが、オープニングのSS1でコースアウトを喫して1分40秒以上をロスするという無念の出だしに。しかし、その後は着実に追い上げ、最終的には4位にまでポジションを上げることに成功しました。
アスファルト舗装用WRC公式タイヤ MICHELIN Pilot Sportのソフトコンパウンド S6とモンテカルロ専用のスーパーソフトコンパウンド SS6は今大会がデビュー戦でしたが、狙いどおりのパフォーマンスを発揮しました。そして、モンテカルロ専用の雪用タイヤ MICHELIN Pilot Alpin A41とそのスタッド(鋲)付き仕様のA41 CLを加えた計4種類のワールドラリーカー用タイヤはそのすべてが今大会において使用され、各パートナーチームの多様な戦略を支えました。