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WRC 2018 ROUND 12
SPAIN

■10月25日〜28日
■開催国:スペイン
■ステージ路面:グラベル/アスファルト

スポット参戦の元王者ローブが優勝
自身のWRC史上最多勝記録を79勝に更新

シリーズ第12戦ラリー・スペインが開催され、WRCへのシリーズ参戦は2012年をもって最後とし、今大会は古巣シトロエンからのスポット参戦であったセバスチャン・ローブが、並みいる現役レギュラードライバーたちを制して5年ぶりのWRC総合優勝を果たすという快挙を成し遂げました。現在44歳のローブは、自身が持つWRC史上最多勝記録を更新し通算79勝目を飾りました。2位にはMスポーツ・フォードのセバスチャン・オジェが入り、ドライバー選手権を争うヒュンダイのティエリー・ヌービルは4位に。この結果、オジェがヌービルを2点リードする形となり、今シーズンのWRCのチャンピオン争いは次戦である最終戦ラリー・オーストラリアで決することとなりました。

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ハイライト

ギャラリー

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ラリー・スペイン優勝
セバスチャン・ローブ(シトロエン C3 WRC)

ラリー最終日を迎えた時点では首位と8.0秒差の3位であったローブ。最終日前半の2本のスペシャルステージに臨む際、他のトップドライバーたちが全輪にソフトコンパウンドのMICHELIN Pilot Sport S6を選んだ中、ローブだけがハードコンパウンドのH5を全輪に履き、その1本目のSS15で圧倒的なトップタイムを叩き出して一気に首位に浮上。続くSS16も最速で駆け抜けてリードを広げました。ローブはSS17ではスピンを喫して約10秒を失いましたが、追い上げてきたセバスチャン・オジェを最終的には2.9秒差で振り切り、2013年ラリー・アルゼンチン以来となるWRC優勝をつかみ取りました。

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カタルニア地方で開催されるラリー・スペインは今年も木曜日の夕方に大都市バルセロナのど真ん中で行われたスーパーSSで開幕。明くる金曜日は大半がグラベル路面、土曜日と日曜日はすべてアスファルト路面で各スペシャルステージが実施されるという、シーズンで唯一のミックスサーフェイスラリーとして行われました。

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6本のグラベルステージが行われた金曜日をリードしたのはトヨタのオット・タナク。2位に26.8秒差を築き上げるという好調ぶりでした。しかし、各スペシャルステージの路面がアスファルトに変わった土曜日の3本目のステージにおいてタナクは左フロントタイヤをパンクさせ、ステージ中でのタイヤ交換を強いられて勝機を逸することに。結局、タナクは6位でのフィニッシュとなり、大逆転でのシリーズチャンピオン獲得の可能性がかなり小さなものとなってしまいました。

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最終日にタイヤ選択を成功させて一気に首位へ浮上。そしてスポット参戦ながら5年半ぶりのWRC優勝を飾り、シトロエンに今季初勝利をもたらしたセバスチャン・ローブ。元体操選手でもある彼は、とっておきの時にしか見せないバック宙を表彰式で披露。44歳となり白髪交じりの頭となっても、ドライビング的にも身体的にも衰えぬ史上最強のラリードライバーの実力を見せつけました。

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今大会ではタイヤ選択が裏目に出ることが多かったオジェでしたが、それでも最終日を首位と4.7秒差の2位でスタート。最終のひとつ手前のステージでは渾身の走りでトップタイムを叩き出し、自分を超える戦績を持つただひとりのドライバーであるローブを追い詰めましたが、2.9秒届かず2位に。しかし、ドライバー選手権ではヒュンダイのティエリー・ヌービルを再逆転してランキング首位に返り咲き、2点リードした形で最終戦ラリー・オーストラリアに臨むこととなりました。

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オジェを3点リードしてのランキング首位で今大会を迎えたヌービルでしたが、ラリー直前の練習走行セッションであるシェイクダウンでマシンを転倒させてしまうハプニングが。彼のi20クーペWRCはメカニックの見事な作業によって完璧に修復されてスタートを迎えましたが、金曜日のグラベルステージでのヌービルは先頭走者が背負う路面掃除役のハンディをまともに受け、首位と約1分差の9位に。路面がアスファルトに変わった土曜日と日曜日は全般的に好調に戦いましたが、最終ステージで前走車が掻き出した岩にホイールをぶつけてパンクするという不運もあって4位止まり。次戦の最終戦には2点のビハインドを背負いつつ初のタイトル獲得をかけて出場することになります。

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サポート選手権であるWRC2選手権は、ミシュランユーザーであるシュコダワークスから出場のカッレ・ロバンペラが優勝。プジョーや三菱のワークスドライバーとして活躍したハリ・ロバンペラの息子である彼は、2000年10月生まれで18歳になったばかり。WRC2選手権ではこれが今季2勝目で、来シーズンにはワールドラリーカーへのステップアップがウワサされている存在です。

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フォルクスワーゲンがラリーの世界に帰ってきました。2013年から4シーズンにわたってWRCのドライバー選手権とマニュファクチャラー選手権の双方を支配し、2016年をもってWRCから撤退した彼らは、今度はカスタマーが購入して走らせることになるグループR5仕様ラリーカー、ポロGTIR5を新開発。そのデビュー戦となった今大会にはワークス体制で2台を送り込んできました。うち一台は、元Mスポーツ・フォードのエリク・カミリーが駆り、一時はWRC2選手権をリード。彼はギアボックストラブルによりリタイアしましたが、2003年のWRCチャンピオンであるペター・ソルベルグが走らせたもう一台はWRC2選手権3位でフィニッシュしました。

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シーズン唯一のミックスサーフェイスラリーである今大会にミシュランは、アスファルト用タイヤ MICHELIN Pilot Sport(サイズは225/40R18)とグラベル用タイヤ MICHELIN LTX Force(WRC用)およびMICHELIN Latitude Cross(WRC2用)(ともにサイズは205/65R15)を合わせて2008本用意。これはグラベル路面だけで行われた前戦のラリー・グレートブリテンより約700本も多いという数でした。ミシュランはこれらのタイヤをエンジニアによる適切なアドバイスとともに各パートナーチームに供給。ワールドラリーカーおよびWRC2選手権を走るグループR5ラリーカーに乗る各クルーの戦いを支えました。

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土曜日は強い雨が降ったり止んだりの不順な天候に見舞われ、アスファルトステージにおけるヘビーウェット専用タイヤ MICHELIN Pilot Sport FW3(サイズは215/45R18)がその威力を発揮することになりました。この特別なタイヤの各クルーへの割り当ては8本に限定されており、どのタイミングで何本使用するかという判断が勝敗の行方を大きく左右することになりました。

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