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WRC 2018 ROUND 2
SWEDEN

■2月15日〜18日
■開催国:スウェーデン/ノルウェー
■ステージ路面:雪/氷

伝統のスノーイベントをヌービルが制覇
同ラリー史上3人目の非北欧人勝者に

今シーズンのWRCでは唯一の全面スノーイベントとして開催された第2戦ラリー・スウェーデンは、ヒュンダイのティエリー・ヌービルがほぼ完璧と言える内容で優勝。この29歳のベルギー人ドライバーは、セバスチャン・ローブ、セバスチャン・オジェに続く同ラリーで3人目の非スカンジナビア人ウィナーとなりました。また、併催されたWRCのサポートシリーズであるWRC2選手権では、トヨタの若手育成プログラムのもとで活動中の勝田貴元が初優勝を飾りました。

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ハイライト

ギャラリー

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ラリー・スウェーデン総合優勝
ティエリー・ヌービル(ヒュンダイ i20クーペ WRC)

攻めるところと守るところをしっかりと分け、リスクを完璧にコントロールして今季1勝目を飾ったヌービル。昨年のこのラリー・スウェーデンにおいて彼は独走態勢を築いていた中でミスを犯して勝利を逃すという苦い経験をしており、その雪辱を見事に果たした格好になりました。

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すべてのスペシャルステージが雪や氷に覆われた状態で行われた今大会では、各クルーが使用できるタイヤはルールにより1種類に限定されていました。そしてミシュランがワールドラリーカーで出場した各パートナーチームに供給したのはMICHELIN X-Ice North 3(195/65R15)でした。スチール製の本体の先端にタングステン製のチップをつけた全長20mmのスタッド(鋲)が1本のタイヤに384本装着されており、トレッド面から6.5mm突き出たこれらのスタッドとそれらを支えるタイヤ本体によって、雪上にもかかわらず乾いたアスファルト舗装の路面と同等以上のグリップ力を発揮するWRC専用のスタッドスノータイヤです。

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今年のラリー・スウェーデンは各スペシャルステージに降り積もった雪の量が多めで、そのぶん出走順によってコース上の雪の影響を受ける度合いが大きい状況でした。そうした中でもヌービルは安定して好タイムを並べ、全部で19本行われたスペシャルステージのうち5本でトップタイムをマーク。SS3を終えたところで首位に立つと、その後は一度もポジションを譲ることなく全面スノーイベント初制覇を成し遂げました。

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雪量の多さはコースサイドの雪壁の十分な高さや厚みにつながっていました。多少オーバースピードでコーナーに入ってラインが膨らんでも雪壁によってコースアウトせずに済むことから、よりアグレッシブに攻めていけるという状況が今回は生じていました。各トップドライバーは雪壁を積極的に使った果敢なドライビングを見せ、その結果、リアフェンダーをボロボロにした車両が多数見受けられました。

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今回、ひときわ強い輝きを見せたドライバーがシトロエンのクレイグ・ブリーンでした。セッティング変更が奏功したC3WRCに自信をつかんだ彼は、3本のステージでトップタイムを叩き出すスピードを披露。首位をひた走ったヌービルには届きませんでしたが、ヒュンダイのアンドレアス・ミケルセンの追撃はしっかりと振り払い、WRCでの自己ベストリザルトなる2位をもぎ取りました。

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隣国ノルウェー出身のミケルセンは、今回優勝を飾ったチームメイトのヌービルと同様に速さを見せていましたが、SS10でスピンを喫して20秒近くのタイムを失ったことによってシトロエンのブリーンの先行を許し、その後もブリーンが好走を続けたことで彼を抜き返すことはできず。それでもミケルセンは3位でフィニッシュし、昨シーズン後半にヒュンダイに加入して以来初となる表彰台獲得を果たしました。

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固定した顔ぶれの3名のドライバーによって今シーズンのWRC全戦に出場するトヨタですが、ワールドラリーカーで初めてのフル参戦に臨んでいるエサペッカ・ラッピが今回はチームのベストリザルトをつかみました。SS6でブレーキングミスから雪壁にぶつかり、その影響で一時は7位に後退したものの、その後着実に追い上げ、最後は2本のステージで連続ベストをマーク。最終ステージでヒュンダイのヘイデン・パッドンを逆転することに成功し、4位でフィニッシュしました。

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開幕戦ラリー・モンテカルロの勝者で今大会のDAY2まで先頭走者を務めたMスポーツ・フォードのセバスチャン・オジェは、各スペシャルステージの路面が深めの雪に覆われたことによって大きなハンディを負わされたドライバーの筆頭でした。どれだけプッシュしてもタイムは伸びず、最終ステージを迎えた段階で10位に甘んじる事態に。そこでチームは、トップ5のドライバーにはボーナスポイントが加算される最終ステージを少しでもより良い路面条件のもとでオジェを走らせるべく、4分10秒ものペナルティを受けさせながらWRC2選手権エントラントの後に最終ステージに出走させるという戦略を実施。これにより、オジェは総合順位では11位となりましたが、最終ステージで2番手タイムを叩き出し、選手権争いにおいて貴重な4ポイントを稼いでラリーを終えました。

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今回、多くの関係者やファンの目を見開かせる素晴らしいパフォーマンスを見せたのが、併催のWRC2選手権にフォード・フィエスタR5で出場した勝田貴元でした。北欧人ドライバーが絶対的に優勢である高速イベントのラリー・スウェーデンにおいて、昨年のWRC2選手権チャンピオンである地元スウェーデン出身のポンタス・ティデマンドを真っ向勝負で打ち破る見事な内容でWRC2初優勝をマークしてみせました。なお、ラリーの世界選手権における日本人ドライバーの優勝は、2007年のラリー・ニュージーランドにおいて新井敏弘がプロダクションカーWRC選手権での優勝を飾って以来のことでした。

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MICHELIN X-Ice North 3を使用して今大会を制したヌービル。「誰も手を抜くことができない今回のような状況では、ミシュランタイヤのグリップとコントロール性の良さが鍵だった」と語りました。

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