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タイヤの選び方
初夏の房総を駆ける休日ドライブ
- Pilot Sports 5・Pilot Sports 4S 比較インプレッション -

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 各地で続々と梅雨も明け、夏休みを目前にお出かけのプランを立てている方も多いのではないでしょうか。今回は、私がオススメする、景色も楽しめるドライブルートをご紹介しましょう。今回のドライブルートは東京都心から2時間強、「房総フラワーライン」と房総半島最南端「野島崎灯台」を目指すルートです。スポーティなハンドリングが実現するミシュランタイヤのPilot Sport 4 SとPilot Sport 5のどちらを選ぶか迷っている方の参考になるよう2つのサマータイヤについても、併せて、お話していきたいと思います。
それでは目的地の野島崎灯台を目指して、出発しましょう!

房総フラワーライン

今回ドライブする房総フラワーライン。春にはその名の通り、道端に葉の花が咲き誇る。

昔は東京から房総半島に向かうには東京湾をぐるりと迂回するか、横須賀の久里浜から東京湾フェリーに乗るという2択がほとんどでした。そこに1997年に神奈川県川崎市と千葉県木更津市を結ぶ「東京湾アクアライン」が開通したことで千葉県房総半島へのアクセスが劇的に改善されました。例えば、羽田空港から木更津JCTへ走行した場合では、湾岸線ルートと東京湾アクアラインを利用するルートでは、走行距離で約60km、所要時間で約45分の短縮できるようになったのです。アクアラインの千葉側の玄関口となる木更津市の注目が集まり、ショッピングモールなどが賑わいを見せ観光客や移住者が年々増えています。今回はそんな人気スポットを横目に目的地の房総半島最南端を目指してどんどん進んでいきましょう。
木更津ジャンクションから富津館山道路へと入り、終点の冨浦インターチェンジを降りて少し走れば、海を横目にドライブできる海岸沿いの鏡ケ浦通りへと出られます。
ここで今回使用するタイヤの特徴を紹介していきましょう。

まずPilot Sport 4 SはPilot Super Sportを進化させたPilot Sportシリーズのフラッグシップモデルです。ハイパフォーマンスと安全性を高い次元で両立させ、公道のみならずサーキット走行も可能にしているパフォーマンスを持っています。

Pilot Sports 5は2022年3月から販売が開始された最新のハイグリップスポーツタイヤです。ドライ路面での高いグリップ性能を持つスポーツタイヤでありながら、ウェット路面での高い排水性能による耐ハイドロプレーニング性能を高次元で両立させたPilot Sport 4の進化モデルになります。デザイン面の特徴として、プレミアムタッチが「フルリングプレミアムタッチ」へと進化したことで、ベルベット加工による深みのある黒いデザインがタイヤのサイドウォール全体を覆い、タイヤの質感そのものを大きく高めているのが特徴です。

ミシュラン スポーツシリーズ歴代モデルの系譜

ミシュラン スポーツタイヤシリーズ歴代モデルの系譜(1999年発売以降の製品)

ミシュラン プレミアムタッチ ベルベット加工

深い黒を全周にまとった「フルリングプレミアムタッチ」。「プレミアムタッチ」はミシュラン独自の金型技術によって実現したデザイン。単なる黒ではない漆黒の深みがある黒さは、ベルベットのような質感をまとい、高性能なタイヤにふさわしい佇まいを与える。*2013年 MICHELIN Pilot Sport Cup 2より採用を開始。

番場彬 モータージャーナリスト 車載 ドライブ

モータージャーナリスト番場彬によるPS5/PS4比較インプレッション

海を横目に鏡ケ浦通りに入ればすぐに最初の目的地「北条海岸」に到着です。北上海岸からは天気が良ければ対岸の富士山がハッキリと見え、夕日が富士山に沈んでいく光景を見ることが出来る絶景スポットなのです。実はアクアラインの南側には富津岬という尖った岬があり、この岬と神奈川県横須賀市の東端にある観音崎を結ぶラインより北側が東京湾内湾(ないわん)と言われています。このラインから南側には急激に水深が深くなる海底谷があり浦賀水道と呼ばれます。外海(太平洋)に面していることで水質が良く、暖かい水を好む南方系の魚が生息しているため漁業が盛んな地域なのです。そのため美味しい地魚料理店が多いため、ドライブがてら美味しい魚料理を食べて帰るのが醍醐味といえるでしょう。それでは房総半島最西端の洲崎灯台を通り、名物のアジ料理を求めてどんどん進んでいきましょう。

ここからの道中でPilot Sport 4 Sについて紹介していきましょう。ドライ性能もウェット性能も高い次元の性能を持つのが特徴を実現させているのが「バイ・コンパウンド・テクノロジー」です。アウトサイドにはコーナーで優れたドライグリップを発揮するシリカとカーボンブラックのハイブリッドコンパウンドを採用し、インサイドにはウェット路面でしっかりとしたグリップ力を発揮するシリカの結合を高めた新コンパウンドを採用しています。このように異なる2種類のコンパウンドを配分しているのが特徴のスポーツタイヤになります。房総半島の内房エリアの特徴として、山と海が隣接する地域が多いことで回り込むカーブや見通しが悪いカーブが多いです。こういったステアリングを切り足さなければならないようなシーンでも、Pilot Sport 4 Sならではのスポーティなレスポンスの恩恵による狙った走行ライン通りに走れる高い安心感が得られるでしょう。このリニアなレスポンスにはステアリング操作するたびに驚かされるばかりです。
そして「ウルトラ・リアクティブ・トレッドパターン」によってウェット性能を犠牲にすることなくトレッド面に対する溝の割合を抑え、接地面積を最大限に確保するトレッドパターンを採用しています。直進時やコーナリング時の接地面圧を最適化することにより、路面をしっかりと捉え続けることができるので、高い走行性能と高速安定性を発揮します。
さらに「ダイナミック・レスポンス・テクノロジー」はトレッドの内側には高強度で、耐熱安定性に優れたハイブリッド・アラミド/ナイロンベルトを採用することで、タイヤと路面との密着度が高められるため、ドライバーのハンドリングにダイナミックに反応することでコーナリングでの優れた操縦安定性能を実現しています。房総半島の内房エリアによくあるシーンですが、主要道路から脇道へ入り込むと山と海が近いこともあり急な勾配や直角カーブなどが多い傾向にあります。そういった不安に感じるようなシーンでも、ドライ/ウェットによる影響を不安に思うことなくスムーズに走ることができるのです。南房総エリアに入ると交通量こそ少ないのですが、一部路面が古くなっているところがたまにあり、亀裂があったり舗装面が荒れてしまったりと、急な路面変化が起きます。そういったシーンでも不快なロードノイズや突き上げ感が少なく、必要十分なロードインフォメーションがドライバーに程良く伝わることで、不安が払拭され安心感が得られるのです。また、低車外音タイヤの基準を満たし騒音環境にも配慮したタイヤとなっています。様々なテクノロジーによって、スポーツタイヤでありながら高いウェット性能を持つPilot Sport 4 Sの高い次元の性能が実現しているのです。

房総半島 海 富士山

洲崎灯台付近から望む富士山は圧巻。

さて、房総半島最西端の洲崎灯台は東京湾と太平洋の境界ポイントになります。この灯台は大きく海に入り込んだ地形の先端にあるため、周辺の道路は山間を縫うように道は狭く、急なカーブが多いのが特徴です。灯台を過ぎ、太平洋に面するエリアに入ると見通しが良い直線が多く、道のカーブは大きくなります。さらに南房総は太平洋の沖合を流れる暖流(黒潮)の影響から、冬は暖かく、夏は涼しく、年間を通して温暖な気候に恵まれているのが特徴です。景色が変わり始めたあたりから、いよいよ房総フラワーラインが始まります。房総フラワーラインは3月初旬ごろまでは菜の花に囲まれた美しい道を気持ちよく走ることができるのが特徴です。もちろん菜の花だけではなく、7月には可憐で涼しげなタカサゴユリも見ることができ、温暖な土地柄を生かした様々な花々を楽しめるドライブが期待できます。フラワーラインを少し走ったところに、地元の方やファンから愛される地魚料理店「味処 あさみ」があります。今日の食の目的地はここです。こちらのおみせではアジフライを始め、アジのたたき、お刺身や海鮮丼など、新鮮で美味しい地魚の定食を食べることができます。人気店なので曜日や時間帯によっては行列もできますが、お勧めのお店です。

灯台 洲崎 菜の花

洲崎灯台では春、沢山の菜の花が出迎えてくれる。

房総フラワーライン ユリ

初夏には、可憐なユリの花にも出会える。

さて、ここから最終目的地の房総半島最南端は「野島埼灯台」を目指して出発です。
ここからはミシュランタイヤの最新モデル「Pilot Sport 5」をご紹介しましょう。Pilot Sport 5は高いグリップ力がもたらす ウェット&ドライ性能を持ち、意のままのハンドリングを実現する ハイグリップ スポーツタイヤになります。特徴のひとつに「デュアル・スポーツ・トレッド デザイン」があり、モータースポーツからのフィードバックによって進化した非対称トレッドパターンを採用しています。ボイドレシオ(トレッド面全体に占める溝の割合)を上げ排水性を高めたトレッド内側と、高い剛性をもたらすトレッド外側の大型ブロックによりウェット・ドライどちらの路面でも高いグリップ力を発揮するのが特徴ですね。そしてPilot Sport 4 Sにも採用された最新の高強度で、耐熱安定性に優れたハイブリッド・アラミド/ナイロン ベルトを採用した「ダイナミック・レスポンス・テクノロジー」により、タイヤが路面と密着することで、ドライバーの意思をしっかりと路面に伝え、意のままのハンドリングを実現しているため、高いレベルのハンドリングが実現しているのです。
さらに「バリアブル・コンタクト・パッチ3.0」によってコーナリング時における接地圧分布をより均等になるように内部構造を最適化し、グリップ力とコントール性が増し、安定したコーナリングを実現させることで走りを楽しみながらも優れた操縦安定性を得られるのです。
Pilot Sport 4 Sと比べるとアクセルを踏んだ時のクルマの軽快さに違いを感じました。野島埼灯台に向かう道中や周辺では観光地ということもあり、しばらく見る事の無かった信号機付きの交差点がいくつか出てきます。こういった再発進するようなシーンではPilot Sport 5の走り出しの軽快さからアクセルを踏む量が減り、落ち着いた気持ちで安全に観光地をドライブすることができるのです。
 

 

 

こういった走り出しの特性を表すのがラベリング表記です。私のクルマのタイヤサイズ「225/40R18」のラベリング表記の転がり抵抗係数はPilot Sport 5が「A」(Pilot Sport 4 Sは「B」)なので、加速やアクセルを離した時にクルマに抵抗感が無く軽やかに進むのは納得できます。Pilot Sport 5はほとんどのサイズで低燃費タイヤ認証モデルというのも大きな特徴と言えるでしょう。しかし、従来のタイヤであれば低燃費化を狙い軽やかに進む特性を強くし過ぎるとロードインフォメーションが得にくい「路面と密着している感じが少なくなる」傾向が増えてしまうため、低燃費を得る代わりに、不安も高まってしまうものが多い傾向にありました。Pilot Sport 5には進化した最新のダイナミック・レスポンス・テクノロジーが採用されているため、今までのPilot Sport シリーズよりもタイヤと路面との密着度が高まっており、より高い安定感と安心感が得られます。この安定感と安心感はスポーツモデルのクルマだけに恩恵があるものではなく、どんなクルマにでも必要な要素だと私は思います。Pilot Sport 5はモータースポーツを意識した特別モデル向けというわけではなく、どんなボディタイプのクルマでもパフォーマンスをしっかり発揮できる特性を持っています。例えば各自動車メーカーが展開するモデルの中には通常のグレードよりスポーツ志向を高めるために車高を落としているスポーティなグレードがありますよね。もちろん自身の手でカスタマイズされた場合も同様ですが、サスペンションストロークが短くなっているとどうしても硬めの乗り心地になってしまう傾向があります。Pilot Sport 5では今まで乗り心地を諦めてしまっていたストイックな方の場合でも、ハンドリング性能を犠牲にせずに、十分に乗り心地良くドライブできるのが特徴なのです。そして、もうひとつの特徴としてタイヤの静かさも忘れてはいけません。速度が上がっても不快なロードノイズが目立たなく、エンジンサウンドもより鮮明に、車内の会話も好きな音楽も音量を上げる必要がないのも嬉しいですね。また、Pilot Sport 5の45サイズは騒音環境にやさしい「低車外音タイヤ」の基準をクリアしていることもポイントですさらに、ミシュランタイヤにとって大切なことが「最後まで変わらない性能を目指して作られている」ということです。私自身、Pilot Sport 4を始め、かなりの走行距離を重ね各Pilot Sport シリーズの摩耗を経験してきましたが、パフォーマンスの低下が少なく、安心感と満足感がずっと続く魅力こそミシュランタイヤを選ぶ価値と言えるでしょう。タイヤの高いグリップ性能や乗り心地、ロングライフ性は一切妥協したくない、ワンランク上の上質な世界を求められる人には、私自身にも一番合っているタイヤだと実感しているPilot Sport 5が本当にオススメです。

海と砂浜を横目に走り、いよいよ最終目的地の野島崎灯台に到着です。野島崎灯台は全国に16しかない「のぼれる灯台」ということもあり、灯台内の急な階段を登った先の景色は太平洋を一望できる絶景灯台なのです。目の前に広がる太平洋を目的地に、みなさんもぜひ房総半島ぐるりと回るドライブを満喫してみてください。

灯台 番場彬 モータージャーナリスト

野島埼灯台に登ると思わずシャッターを切りたくなる。

灯台 風景

野島埼灯台から太平洋が一望。海風が心地よい。

みなさんもミシュランタイヤを履いて静かで上質な乗り心地に包まれながらドライブしてみませんか?是非、帰り道にはワインディングが気持ち良い「安房グリーンライン」を通ってミシュランタイヤをお楽しみ頂きたいと思います。

灯台車 タイヤ

PS5を装着したドライブ。乗り心地の良さと静粛さの両立に驚かされた。

番外編
①番場彬がプライベートで選ぶ「ミシュランタイヤ」とは?

皆さんの日常に置き換えてイメージして頂きやすいように、それぞれのタイヤを普段の生活の中で使用した私の目線もお伝えしていきましょう。年間3万キロ弱を走行する生活をしている私にとって、私生活の中でタイヤに求める性能とは、安全性に関わる確かなグリップ性能の高さとコンフォート性能です。スポーティなクルマに乗っていたとしても、常にワインディングロードを走る日常ではありませんし、日常のほとんどが高速道路や一般道です。だからこそ快適に静かに移動する時間も大切だと思うのです。だからこそ自分のクルマに履くタイヤの条件としてはスポーティなモデルに見合った「ウェット&ドライ性能」はもちろんのこと、「乗り心地の良さと静粛性を確保したコンフォート性能」を重要視しています。

Pilot Sport 4 Sを履いて一番印象的だったのはグリップの高さとレスポンスでした。走り始めた最初の瞬間からまるでレース用のハイグリップタイヤを履いているかのようなグリップの高さから絶対的な安心感を得たのを覚えています。私自身がモータースポーツをやってきている中で、最初のカーブを曲がった時に感じる「あ、このタイヤなら間違いなく勝負ができるな」と感じる瞬間に近いものがあり、地面とタイヤとステアリング操作にズレが圧倒的に少なく、安心して運転に集中できるような感覚ですね。特に一番の違いを感じたのは、ステアリングを切ってからクルマが曲がるまでの“時間の少なさ”です。時間といっても100分の何秒というような小さいものですが、そのちょっとした小さいものがステアリングを動かすたびに感じられるため、走りを楽しむ人たちにとってはステアリングを動かすたびに感じることが出来るとても大切なものと言えます。一般的なタイヤはステアリング操作をしてからタイヤの向きが変わりスリップアングル(摩擦円)が増加すると同時に、タイヤがたわみ、これら両者の動きが落ち着いたところからクルマが曲がるようになるのです。 Pilot Sport 4 Sは、ステアリングを動かしたと同時にクルマが曲がり始めるような印象を持つほどのダイレクト感は本当に印象的でした。さらにハイグリップタイヤにありがちな、路面にへばりつくような感じは一切なく、クセのない上品なハンドリングが得られ、乗り心地も良く、静かに走れるというのがPilot Sport 4 Sの印象です。
Pilot Sport 5にタイヤを履き替え、クルマを走り出したその瞬間、自然と笑顔になったのを覚えています。それは走り出しからハッキリと感じる「しなやかさ」は路面のつなぎ目による突き上げ感を抑え、非常に乗り心地の良い上質な世界へと導いてくれました。言い換えると、自分のクルマが一つ上の上質なグレードになったかのような印象です。そしてウェット路面では、ウェット路面を走っていることを感じさせないような確かなグリップ感があり、非常に高いレベルの安心感を得られました。そしてひとたびアクセルを踏めばタイヤが軽快に転がる感覚が伝わり、走り出しの度にアクセルを踏み込む量が少し減るような印象があります。もちろん高速道路などでの巡行する際の抵抗の少なさは非常に印象が良く、静かに、乗り心地も良く、そして滑らかに走り、少ない力でどんどん進んでいく感覚があります。それでいてスポーティでリニアなハンドリング特性はPilot Sport 共通の優位性といえます。この高いレベルの乗り味を一度知ってしまうと、他のタイヤに戻るには勇気が必要です。私の生活においてPilot Sport 5こそベストマッチタイヤといえるでしょう。

番場彬 モータージャーナリスト

PS5を装着した愛車との一枚。乗り心地の上質さに感動している。

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ライター

番場彬プロフィール画像

番場 彬 / Akira BAMBA

1986年 東京生まれ。2006年世界ラリー選手権で初ラリー参戦(20歳)を果たす。2010~11年にはアジア・パシフィック・ラリー選手権ジュニアカップ2年連続チャンピオンを獲得。2010年より自動車メーカー公認ドライビングインストラクターを務める。現在では2019年よりモータージャーナリスト活動をスタートし活動の場を広げている。

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