2020年11月1日 9:30 MICHELIN | 文:小鮒 康一/写真:日本ミシュランタイヤ
突然ですが、皆さんの愛車のタイヤは今、どんな状態になっているか把握しているでしょうか?
この質問に即答できる人は意外と少ないかもしれません。というのもタイヤはどちらかというと縁の下の力持ちで、見た目と同じく黒子のような存在と言えるからです。
しかし、タイヤはクルマと路面を繋ぐ唯一の接点であり、それはどんな車種であろうとも変わりのない事実。例えどんなに優れたクルマであっても適切なタイヤの状態が維持されていなければ、実力を発揮することができないどころか、危険な状態に陥ってしまうことも大いにあり得る重要な部分なのです。
どんなに高いポテンシャルを持ったアスリートであってもビーチサンダルではまともに走ることはできませんし、メンテナンス不足のシューズでも靴ひもが切れてしまったり、スパイクが曲がってしまっていたら思わぬケガに繋がってしまうのと同じことですね。
とはいえ、いきなりタイヤの状態をチェックしようとしてもどこをどう見たらいいのか分からない、という人もおられるでしょう。そこで、簡単にできる2つのチェックをまずはオススメしたいと思います。それがタイヤの「溝」と「ゴムの状態」です。
タイヤには溝が刻まれているのはご存知の方も多いと思いますが、これにはさまざまな理由があります。
その中でも一番大きな理由となるのが”雨の日の排水性“です。濡れた路面を走行するときに、路面に貯まった水をかき出しながらタイヤが回転することでしっかりと路面とタイヤが接地することができ、雨の日でも安心してドライブができるというワケなのです。
ちなみにタイヤと路面の間に水があると滑るというのは、ウォータースライダーをイメージしていただけるといいかもしれません。水が流れていないウォータースライダーでは、人間の皮膚とパイプ部分がピッタリ密着してしまってなかなか滑りませんが、その間に水が入ることで勢いよく滑っていく。それがクルマで起こってしまうということになります。
そのためタイヤの溝が少なくなって排水性が低下すると、雨の日のドライブが非常に不安定になって事故のリスクが大幅に上がってしまいます。そうならないためにも日ごろのタイヤチェックが大切と言えるのです。
なお、タイヤの残り溝をチェックする方法は、カー用品店などで販売されている専用ゲージを使用するのがベストですが、簡易的に測るのであれば100円玉を使うのもアリです。
その方法は、100円玉の「1」の部分を水平にタイヤの溝に入れてみるというもの。実はこの「1」の文字が見える状態ならちょうど5ミリの位置となり、この部分が隠れるようであればまだまだ溝があるという判断になります。
また、「平成〇〇年」という製造年が書かれた部分を下にして溝に入れたときに、その文字が完全に見えている状態だと残り溝が1.6ミリ以下ということになり、車検にも通らないレベルまで摩耗が進んでいる証拠ですので、速やかにタイヤ交換の手配をしてくださいね。
ただし、タイヤの溝が多く残っていてもまだ安心してはいけません。次はタイヤの「ゴムの状態」をチェックしてみましょう。
タイヤはご存知の通りゴムが主成分となっており、その柔軟性を持って凹凸のある路面をしっかりとらえています。しかし、製造から年月が経つと次第にその柔軟性は失われ、本来の力を発揮できなくなってしまいます。
また、ゴムの劣化によってタイヤのサイドの部分などに細かなひび割れが発生することもあり、これは走行中のタイヤバースト(破裂)にも繋がる危険な状態と言えます。
遠目から見ると問題ないように見えるタイヤでも、近づいてよく見てみると細かなひび割れが発生していることもありますので、まずはじっくり近くでタイヤの状態を見てみることがタイヤの状態を知る近道です。
そしてやや専門的な話になりますが、実はタイヤにはいつそのタイヤが製造されたのかを示す記号が示されています。これは「製造年週」と言われるもので、4桁の数字がタイヤのサイド部分に刻印されているのです
(メーカーによっては4桁の数字の前にアルファベットがあるものもあります)。
その4桁の数字は前2桁が製造週、後2桁が製造年となり、「1319」であれば、2019年の13週目(3月後半)ということになります。
ミシュランでは製造日から10年以上した経過したタイヤは、外見上は使用可能に見える場合も万一に備えて新しいタイヤに交換することを推奨していますが、これはミシュランのタイヤが劣化しにくく、ロングライフ性能に自信があるからこそ。タイヤの状態に不安がある人は、ミシュランをチョイスすれば安心感が長く続くと言えるでしょう。
今回の記事を読んでセルフチェックをしてみたものの、それでもまだ心配という人や、気になる点があるという人はお近くのタイヤ販売店に相談してみるのもひとつの手段です。お近くに販売店がないという人や、いきなりお店に足を運ぶのに抵抗がある人には、ミシュランが相談窓口も設けています。親切な担当者が対応してくれますので、問い合わせてみてはいがでしょうか。
ライター
Kouichi KOBUNA
フリーランス自動車ライター。
軽自動車からスポーツカー、ミニバン、電気自動車と幅広い車両を所有し、
ユーザーの目線に立つことを第一に記事を執筆中。