WRC 2019 ROUND 13
SPAIN
■10月25日〜27日
■開催国:スペイン
■ステージ路面:グラベル/アスファルト
オィット・タナックがドライバーズタイトルを決定
トヨタのドライバーが25年ぶりにWRCチャンピオンに
2019年WRC第13戦ラリー・スペイン・カタルニアが開催され、ドライバー選手権で逆転王座の可能性を残していたヒュンダイのティエリー・ヌービルが快勝を収めて今季3勝目をマーク。しかし、ランキングトップを行くトヨタのオィット・タナックが2位でフィニッシュしたことにより、このエストニア人ドライバーはシリーズ最終戦を待たずに今シーズンのWRCドライバーズタイトル獲得を果たしました。これにより、1994年のディディエ・オリオール(トヨタ・セリカ GT-FOUR ST185+ミシュラン)以来となるトヨタ車を駆ったWRCチャンピオンの誕生となりました。
ハイライト
Highlights - 2019 WRC RallyRACC Catalunya - Rally de Espana - Michelin Motorsport
Highlights
Leg 1 - Top Moments - 2019 WRC RallyRACC Catalunya - Rally de España - Michelin Motorsport
Leg 1
Leg 2 - Top Moments - 2019 WRC RallyRACC Catalunya - Rally de Espana -Michelin Motorsport
Leg 2
Shakedown - 2019 WRC RallyRACC Catalunya - Rally de España - Michelin Motorsport
Shakedown
ギャラリー
2019年WRCチャンピオン
オィット・タナック(トヨタ・ヤリス WRC)
最終ステージでライバルたちを圧倒する最速タイムを叩き出し、それまで2位につけていたヒュンダイのダニエル・ソルドを0.4秒差でかわしてフィニッシュ。土壇場での逆転・2位浮上により、タナック(写真右)とコ・ドライバーのマルティン・ヤルヴェオヤ(写真左)のコンビはエストニア人初のWRCドライバー/コ・ドライバーチャンピオンに輝きました。
今大会はグラベルとアスファルトの両タイプの路面のスペシャルステージが設けられたミックスサーフェイスイベントとして開催されました。ミシュランパートナーチームの各ワールドラリーカーは、グラベルステージが行われたデイ1では写真のグラベル用タイヤ MICHELIN LTX Force(205/65R15)のH4(ハード)とM6(ミディアム)を、デイ2とデイ3ではアスファルト用タイヤ MICHELIN Pilot Sport(225/40R18)のH5(ハード)とS6(ソフト)をそれぞれ使用しました。
グラベルステージが行われたデイ1を最速で駆け抜けたのは5カ月ぶりのWRC参戦となったセバスチャン・ローブでした。今や45歳となったWRC史上最多勝ドライバーの彼ですが、6本のステージのうち3本でトップタイムをマークして、衰えぬ実力を示しました。ただし、明くる日からステージの路面がアスファルトに変わると、ローブはマシンの動きがままならぬ状況にしばしば直面し、最終的には4位でのフィニッシュとなりました。
デイ1を走り切ったラリーカー各車は、通常より長い75分間が確保されたこの日の最終サービスにおいてグラベル仕様からアスファルト舗装仕様に変更されました。サスペンションやディファレンシャルは仕様の異なるものにそっくり交換されたほか、エンジン等の制御マップが変更され、翌日からの2日間にわたるアスファルト路面での戦いに備えました。
今回のラリー・スペインではヒュンダイ勢が終始好調で、特にグラベルのデイ1は1-2-3位を独占して終えてみせました。そのデイ1を首位と1.7秒差の2位で終えたティエリー・ヌービルは、路面がアスファルトに変わったデイ2の最初のステージでトップタイムを叩き出してラリーリーダーとなると、その後も好走を続けてリードを広げていきました。
最終的に2位に対して17.2秒差を築いたヌービルは、4月のラリー・アルゼンチン以来となる優勝を手に。今季3回目、キャリア通算12回目のWRC総合優勝を飾りました。タナックが2位に入ったことでシリーズ争いはここで決してしまいましたが、ラリーのフィニッシュを迎えたときにヌービルが見せた表情は、できることはやり切ったという自信に満ちたものでした。
チャンピオン争いにおいて圧倒的に有利な立場にあったオィット・タナック。しかし、ペースを抑えていっても不意にアクシデントに見舞われてしまうのがラリーであり、タナックは攻めていくことで自らのペースを作り出していくことを選択。デイ2には圧巻の4ステージ連続トップタイムでラリー序盤の出遅れを挽回し、表彰台圏内へと浮上していきました。
最終ステージでトップタイムを刻んで2位に浮上したことにより、最終戦まで決着を持ち越すことなくシリーズタイトルを決めたタナック(写真右)とコ・ドライバーのマルティン・ヤルヴェオヤ。史上初のエストニア人WRC王者が誕生し、同時に、2003年以来初めて「セバスチャン」という名前のフランス人ではないドライバーがWRCを制することになりました。
2013年の初戴冠以来、6年連続でWRCチャンピオンとして君臨してきたシトロエンのセバスチャン・オジエでしたが、ついにその座から下りることとなりました。今大会における彼はSS2で油圧系のトラブルに見舞われたことでいきなり勝負権を失い、8位でのフィニッシュに。最終戦ラリー・オーストラリアではヌービルを10点差で追いかける形でランキング2位の座をかけた争いに臨みます。
ひとつのラリーでグラベルとアスファルトの両タイプの路面のステージが行われることは、話題性は高いものの、参加者にかかる負担が大きく、今回のラリー・スペインがWRCではおそらく最後のミックスサーフェイスイベントになると見られています。そんな今大会にミシュランは、ワールドラリーカー用に700本、WRC2用に840本、合計1540本のタイヤを持ち込み、計14名のスタッフによる全力でのサポートを展開しました。