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SUPER GT 2021 ROUND 2
FUJI

■予選:5月3日/決勝:5月4日
■開催地:富士スピードウェイ(静岡県)
■レース距離:500km(110周×4.563km)

CRAFTSPORTS MOTUL GT-Rが5位でフィニッシュ
開幕2戦連続でミシュラン装着車がGT-R勢最上位に

2021年SUPER GT第2戦富士大会が今シーズン随一のロングディスタンスである500kmレースとして開催され、ミシュラン・パートナーチームのNDDP RACING with B-MAXから出場したNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-R(平手晃平/千代勝正)がGT500クラスの5位に入賞。前戦であるシリーズ開幕戦に続いてミシュランタイヤ装着車が日産 GT-R勢の最上位を獲得しました。もう一台のミシュランユーザーであるNo.23 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ)は序盤にエンジントラブルに見舞われてリタイアに終わる無念のレースとなりました。

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SUPER GT第2戦 富士
CRAFTSPORTS MOTUL GT-R

走行距離500kmのロングディスタンスではレース時間が3時間に及び、その序盤と終盤では路面温度が10℃以上も変化することになります。激しいタイヤ競争が行われているSUPER GTに各社が投入しているタイヤは、高性能を追求しているぶん路面温度の違いに敏感にならざるを得ませんが、ミシュランが今大会に用意したソフト仕様のスリックタイヤは路面温度が低下していった第2スティントと第3スティントで期待どおりに機能し、No.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-Rの日産 GT-R勢最上位獲得に貢献しました。

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中腹付近まで雪に覆われた富士山がその姿を現し続ける中でのレーシングカーの走行シーンは、ゴールデンウィークに開催される500kmレースならではのもの。しかし昨年は新型コロナウイルス感染症の影響で行われておらず、今回は2年ぶりのゴールデンウィーク開催のレースであり、そしてSUPER GTでは2年ぶりのロングディスタンスレースでした。

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SUPER GTの標準である300kmレースでは、各出場車両用にサーキットへ持ち込めるドライコンディション用タイヤの本数は24本=6セットですが、500kmで行われる今大会では28本=7セットとされ、当該シーズン未勝利のタイヤメーカーの場合はそれに1セット追加できることから、今回ミシュランは各8セットのドライタイヤを23号車と3号車に用意しました。

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公式練習を終えたところでデータチェックを行うNISMOの中島 健トラックエンジニア(写真右)とミシュランの23号車を担当するタイヤテクニシャン。今大会にミシュランが持ち込んだドライタイヤの種類はソフトとミディアムの2つですが、タイヤの内圧や足まわりのキャンバー角などの設定によって様々な使い方が可能です。

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過去5回の富士500kmレースにおいて優勝3回、2位1回という素晴らしい強さを見せてきているNo.23 MOTUL AUTECH GT-R&ミシュランタイヤのパッケージ。今大会の予選は7位となりましたが、GT-R勢では最上位の予選結果であり、タイヤ競争で勝つというミシュランのミッションのひとつ目がまず予選において果たされました。

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前戦である開幕戦岡山大会での予選ではGT-R勢で最速だったNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-R。今大会のQ1を任された千代勝正は4周をかけてタイヤを温めたところでアタックに出ましたが、彼がマークしたタイムはQ2進出に0.275秒だけ及ばず。ただしGT-R勢では2番手で、ミシュランタイヤ装着車がGT-R勢の予選1-2を占める結果となりました。

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ピットの裏側のパドックには各チームのトランスポーターが整然と並んでいます。その間隔はちょうどミシュランマンの横幅ほどしかない狭さです。なお、今シーズンのSUPER GTでは新型コロナウイルス感染症に対して陰性で健康であることが確認されている人しかパドックには入場できません。つまりミシュランマンもばっちり陰性&健康です。

ドライバー部門のシリーズポイントに応じて各出場車両にウェイト(重り)の搭載を課すサクセスウェイト制度を採用しているSUPER GTシリーズですが、今大会におけるミシュラン・パートナーチーム車両は、No.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-Rが4kg、No.23 MOTUL AUTECH GT-Rはウェイト搭載なしでの出走でした。

【今大会のミシュランタイヤ】
■ドライコンディション用:スリックタイヤ(ソフト、ミディアム)
■ウェットコンディション用:フルウェットタイヤ(ソフト、ミディアム)、ダンプタイヤ(ソフト、ミディアム)

【予選】
ほぼ晴天と言える空模様ながら、幾分強く吹く風には冷たさを覚えるコンディションであった5月3日(月)の予選日。午後3時03分から開始されたGT500クラスのQ1(予選第1セッション)の開始時の気温は18℃、路面温度は30℃でした。

ポールポジション争いは1分26秒台での勝負となった富士スピードウェイでのGT500クラスですが、Q1は0.4秒というわずかな差の中にトップ10台がひしめく大接戦となりました。その中で、No.23 MOTUL AUTECH GT-Rは松田次生のアタックにより8番手のタイムを記録してQ1突破を果たしました。一方、千代勝正がこのセッションを担当したNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-Rは、No.23 GT-Rに0.275秒及ばないだけで、日産 GT-R勢ではNo.23 GT-Rに続く2番手のタイム。しかし、ハイレベルなGT500クラス全体の中では12位に留まらざるを得ない予選結果となりました。

Q2(予選第2セッション)は午後3時41分より行われましたが、路面温度はQ1開始時と変わらず30℃でした。このセッションに進出した唯一の日産 GT-RであったNo.23 MOTUL AUTECH GT-Rはロニー・クインタレッリのドライブにより7番手のタイムをマーク。速さを見せるトヨタ GRスープラ勢の1台を下しました。

【決勝】
5月4日(火)の決勝日は前日よりさらに良好な晴天に恵まれました。今大会は今シーズン随一の長さとなる500kmのレース距離で争われるもので、その走行時間は3時間に及びます。それでいて決勝レースのスタート時間は、300kmレースであった前戦より1時間遅い午後1時30分で、そのときの気温は22℃、路面温度は36℃でした。

ロニー・クインタレッリが第1スティントを担当したNo.23 MOTUL AUTECH GT-Rはスタート時のポジションをキープしてオープニングラップを終了。そして、ポールポジションスタートから一気に順位を落としてきていたNo.19 トヨタ GRスープラに襲いかかっていきました。ところが、3周目に入ったところでNo.23 GT-Rは突如エンジントラブルに見舞われます。盛大に白煙を噴き上げた愛機を、クインタレッリはコース脇に停めるしかありませんでした。

2015年、2016年、2018年の各シーズンにおいてこの5月の富士での500kmレースを制してきているNo.23 MOTUL AUTECH GT-R+ミシュランタイヤのパッケージがレース開始早々にリタイアを余儀なくされるという苦渋の事態となり、ミシュランの期待は早々にNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-Rの一台に絞られることになりました。そのNo.3 GT-Rは、スタートドライバーを務めた千代勝正の手によってオープニングラップのうちに3つもポジションを上げて9位に浮上していました。そしてNo.23 GT-Rのリタイアによってさらにひとつ順位を上げると、No.23 GT-Rの処理のため導入されたセーフティカーランが解除されて戦闘再開となってからはNo.1 ホンダ NSX-GTとの接戦を演じ続けました。

前年シーズン王者のチャージを激しく受けながらも、No.3 GT-Rを駆る千代はこれをしのぎ切りました。そして31周目に、1台の車両のリアタイヤが脱落するというアクシデントが発生。その処理のためにFCY(フルコースイエロー)が導入されました。

FCYとは、各走行車両には追い越しやピットストップを禁じて一定の低速(SUPER GTの場合は80km/h)での走行を課すものの、セーフティカーや赤旗提示のように競技を中断させることはなしにオフィシャルがコース脇で安全に作業を行える状態を作り出すことを目的とした措置で、SUPER GTには今大会からの採用が決まったばかりのもの。そして、ここで導入されたのがSUPER GTでは初となるFCYでした。

この初のFCYが解除されたのは33周目でした。そしてNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-Rは34周目を終えたところでピットへ。平手晃平が新たに乗り込んでコースに戻ったNo.3 GT-Rでしたが、その2周後には第1スティントで散々やり合ったNo.1 ホンダ NSX-GTの先行を許すこととなりました。しかし、それ以上に順位を落とすことはなく、No.3 GT-Rは40周にわたる長いスティントで安定的に周回。ひとつ前のポジションを行くNo.16 ホンダ NSX-GTに迫っていきました。ただし順位を上げることはかなわず、No.3 GT-Rは74周目を終えたところで2度目のピットストップを実施しました。

ラストスティントでは再び千代がNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-Rのステアリングを握りました。GT500クラスの全車が2度目のピットストップを終えた時点でNo.3 GT-Rは7位につけていましたが、トップを争っていた2台がレース終盤に相次いでペナルティとマシントラブルに見舞われたことでNo.3 GT-Rは5位に順位を上げてフィニッシュ。上位2台の不運があったにせよなかったにせよ、GT500クラスにおける日産 GT-R勢の最上位をミシュランタイヤ装着車が獲得するという最大のミッションは今大会においても果たされました。なお、決勝レース開始時には36℃あった路面温度は、3時間後のレース終了時には25℃にまで低下していました。

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■日本ミシュランタイヤ モータースポーツダイレクター 小田島広明のコメント: 

「23号車も3号車も、予選と第1スティントでは今大会におけるミディアム仕様のスリックタイヤを使いました。そして3号車は、第2スティントと第3スティントではソフト仕様のタイヤを履きました。23号車のスタートは良く、3号車もセカンドグループの中でスムーズなスタートを切りました。我々ミシュランとしては良いレース展開を期待できたのですが、23号車はエンジントラブルによって早々にリタイアを強いられてしまったのは残念でした。3号車は路面温度が下がってきたことに対応して第2スティントと第3スティントではソフト仕様に切り替えましたが、期待どおりに機能して3号車の5位フィニッシュにつながりました。総じて、今回の我々のタイヤのパフォーマンスには満足していますし、とりわけ、変化した路面温度に適正に対応できたところは大変良かったと思っています」

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SUPER GT第2戦 富士
CRAFTSPORTS MOTUL GT-R

今大会におけるミシュラン勢は、レース序盤でNo.23 MOTUL AUTECH GT-Rをエンジントラブルによって失うことになりましたが、残る一台となったNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-Rは終始力走を続けて5位でフィニッシュ。昨シーズンから通算すると5戦連続でミシュランタイヤ装着車が日産 GT-R勢の最上位を得る結果となりました。

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ゴールデンウィーク開催の富士大会は例年であれば決勝日だけで5万人をゆうに超える観客を迎える一戦ですが、今年は新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から空席をあえて設けてソーシャルディスタンスを確保した制限付きの座席数に。それでもお客様の前でレースができることで、各エントラントはモチベーションを改めて高めていました。

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No.23 MOTUL AUTECH GT-Rはポジションをキープして最初の2周を終えると、先行車両のグループに襲いかかっていった3周目の第1コーナーへのブレーキング時に白煙を噴き出しました。ステアリングを握っていたクインタレッリは他車に迷惑をかけることを極力抑えながらマシンをコース脇に停め、本格的な戦いを始める前にレースを終えました。

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千代勝正がドライブした第1スティントでのNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-Rはオープニングラップで3つも順位を上げる進撃を見せると、スティントの前半では16号車、後半では1号車というホンダ NSX-GT勢とバトルし続けながら8位を走行。平手晃平に交替した第2スティントからは路面温度の低下に合わせてタイヤをソフト仕様にスイッチして走りました。

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SUPER GTは、競技走行を中断することなくオフィシャルがコース脇で安全に作業を行える状態を作り出すFCYを今大会から採用することを決定しましたが、するとその初戦から決勝レース中に3度も導入されることになりました。いずれの場合においても問題なく運用され、レース中立化の状態が最小限に留められて、FCYの採用は一定の成功を見ました。

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ラストスティントでは再び千代がステアリングを握ったNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-Rのペースは良好なものでしたが、トヨタ GRスープラ勢とホンダ NSX-GT勢で占められた上位陣を切り崩すには至れませんでした。それでもGT-R勢では最上位となる5位でフィニッシュ。今大会でもミシュランタイヤ装着車が他メーカータイヤ装着車を凌駕しました。

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No.23 MOTUL AUTECH GT-Rをわずか3周でエンジントラブルによって失ったことは大きな痛手でしたが、No.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-Rの奮闘で今大会でもミシュランタイヤ装着車がGT-R勢の最上位を得ました。そして次戦は、昨シーズンに2度レースが開催され、その2戦ともにNo.23 GT-Rが優勝を飾った鈴鹿サーキットが舞台であり、同車の巻き返しが期待されます。

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