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SUPER GT 2023 ROUND 3
SUZUKA

■予選:6月3日/決勝:6月4日
■開催地:鈴鹿サーキット(三重県)
■レース距離:450km(77周×5.807 km)

不測の事態の中、Niterra MOTUL Zが4位
Studie BMW M4がGT300クラス優勝を飾る

2023年のSUPER GTシリーズ第3戦が鈴鹿サーキットで開催されました。ミシュランタイヤを履くNo.23 MOTUL AUTECH Z(松田次生/ロニー・クインタレッリ)は、GT500クラスのポイントリーダーとして今大会に出場。最も重いサクセスウェイトを抱えながらも表彰台を争うスピードを見せましたが、59周目にGT300車両と交錯してクラッシュ。ドライブしていた松田はドクターヘリで病院へ搬送されましたが、検査の結果、大事には至らないことが確認されたのは大変幸いでした。
このアクシデントのため、レースは20周近くを残した段階で打ち切りとなり、GT500クラスにおけるもう一台のミシュランタイヤ装着車であるNo.3 Niterra MOTUL Z(千代勝正/高星明誠)は4位に。そして、GT300クラスでミシュランがタイヤ供給を行う唯一の車両であるNo.7 Studie BMW M4(荒 聖治/柳田真孝)はクラス優勝を飾る結果となりました。

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SUPER GT第3戦 鈴鹿
Studie BMW M4

No.23 MOTUL AUTECH Zのアクシデントにより赤旗がすぐに出され、走行は中断に。そして、レースはそのまま打ち切りとなりました。その結果、アクシデントの前の周回を終えた時点でGT300クラスの首位を走行していたNo.7 Studie BMW M4が、同クラスの今大会ウィナーに。BMW Team Studie × CSLとミシュランとしては、5月の鈴鹿ラウンドのGT300クラスを昨年に続いて制することとなりました。

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タイヤにかかる負荷がひときわ高く、タイヤに試練を課す鈴鹿サーキット。ミシュランは、このコースでのSUPER GT戦を過去4大会連続で制しており、今回も自信を持ってタイヤ競争に臨んでいました。

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直前まで台風の影響を受けていた鈴鹿サーキットですが、予選日と決勝日は上々の天候に恵まれました。コロナ禍の中では自粛されていたピットウォークも開催され、大勢のお客様がSUPER GTを満喫されました。

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ポイントリーダーとして、最も重いウェイトを積んで今大会に臨んだNo.23 MOTUL AUTECH Zでしたが、予選ではロニー・クインタレッリのアタックで好タイムをマーク。それでもQ1突破には一歩及びませんでした。

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GT500クラスで2番目に重いウェイトを積んだNo.3 Niterra MOTUL Zでしたが、決勝を見据えた戦略から、予選ではソフト仕様ではなくミディアム仕様のスリックタイヤを選択。その分、予選タイムは伸びませんでした。

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No.7 Studie BMW M4は、前戦に続いて柳田真孝が荒 聖治と組む体制で出場。予選Q1では、ハード仕様のタイヤを使いながらグループ2番手につけました。Q2でもハード仕様を履きましたが、こちらでは振るわず16位に。

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決勝のスターティンググリッドでNo.7 Studie BMW M4の装着タイヤを最終確認するミシュランのタイヤテクニシャン。『この選択で間違いないはず。だから、頼むぜ』とタイヤに語りかけているところです。

前戦である5月の第2戦富士大会を終えた時点で、No.23 MOTUL AUTECH Zの松田次生/ロニー・クインタレッリ組はドライバー部門のランキング首位、No.3 Niterra MOTUL Zの千代勝正/高星明誠組はランキング2位につけていました。SUPER GTは各ドライバーの獲得ポイントに応じた重さのサクセスウェイトを課す制度を採用しており、No.23 MOTUL AUTECH ZはGT500クラスの中で最も重い50kg、No.3 Niterra MOTUL Zは2番目に重い42kgのハンディキャップを背負って今大会に出場しました。

【GT500クラス予選】
搬入日であった6月2日(金)は、日本列島付近を大型台風が通過し、鈴鹿サーキットも大雨に見舞われました。しかし、夜のうちに低気圧は抜け、明くる3日(土)午後のSUPER GT公式予選はドライコンディションのもとで開催されました。GT500クラスのQ1(予選第1セッション)が開始された午後3時58分の気温は25℃、路面温度は36℃でした。

GT500クラスのミシュランタイヤ装着車は、No.23 MOTUL AUTECH Zにはロニー・クインタレッリ、No.3 Niterra MOTUL Zには千代勝正がそれぞれ乗り込んでQ1に挑みました。出走した15台の中で最も重いサクセスウェイトを抱えた2台ですが、ともに果敢なタイムアタックを行い、特に23号車のクインタレッリは一時はセッション3番手につける好タイムを刻みました。しかし、ウェイトの軽い車両が次々にタイムを更新していったため、23号車はこのセッションで9番手、3号車は14番手となり、ともにQ2(予選第2セッション)進出はなりませんでした。

すると、予選後に行われた車検で最速タイムを記録した車両が不合格となり、No.23 MOTUL AUTECH Zは順位がひとつ繰り上がって予選8位に。また、Q1で11番手のタイムを記録していた車両に走路外走行による当該ラップタイム抹消のペナルティがあったため、No.3 Niterra MOTUL Zは合計でふたつ順位が繰り上がって12位という予選結果となりました。

【GT500クラス決勝】
6月4日(日)、決勝日の鈴鹿サーキットは薄曇りのドライコンディションとなりました。決勝レースのフォーメイションラップが開始された午後1時30分の時点で、気温は29℃、路面温度は41℃でした。今大会も前戦に続いて450kmのレース距離であり、周回数は77周。途中で給油のためのピットストップを2度行うこと、という義務づけがありました。

GT500クラスを戦う2台のミシュランタイヤ装着車ですが、No.23 MOTUL AUTECH Zにはロニー・クインタレッリ、No.3 Niterra MOTUL Zには千代勝正がそれぞれ乗り込んでスタート。レース序盤は、2台ともに予選順位と同じポジションを走り続けました。そして、GT500クラスの上位車両が8周目に入ったところで、GT300車両にタイヤの脱落があり、レースを中立化するFCY(フルコースイエロー)、そしてセーフティカーが導入されました。

レースは13周目に再開。その直後の第1コーナーで、No.3 Niterra MOTUL Zが前走車をかわして11番手に上がりました。そして、14周目にも1台、さらに16周目にも1台をかわして9番手に浮上。僚友車であるNo.23 MOTUL AUTECH Zの背後に迫っていきました。すると、17周目を終えたところで、23号車が1回目の給油とタイヤ交換のためにピットイン。これでNo.3 Niterra MOTUL Zは8番手へと順位を上げました。

第2スティントに入ったNo.23 MOTUL AUTECH Zですが、同車のステアリングはクインタレッリが第1スティントに続いて握りました。タイヤはソフト仕様からハード仕様にスイッチしましたが、そのパフォーマンスはとても良く、23号車は第2スティントで順位を大きく上げていくことに。42周目には、暫定的なポジションながらも2番手にまで上がりました。そして46周目を終えたところで2回目のピットストップを実施。今度はドライバー交替を行い、松田次生が新たに乗り込みました。

第3スティントに入ったNo.23 MOTUL AUTECH Zは、第2スティントと同様にハード仕様のスリックタイヤを履き、松田のドライビングで快調に走行。表彰台を争うポジションで走り続けました。

一方、No.3 Niterra MOTUL Zは30周目終わりに1回目のピットストップを実施。千代から高星明誠にドライバー交替しました。また、23号車とは異なるタイヤ戦略を今大会で採った3号車は、ここではミディアム仕様からソフト仕様にスイッチ。そうして臨んだ第2スティントでのペースも非常に良好で、50周目には暫定的な順位ながらも首位に浮上します。そして、後続に対するリードを拡大していきました。

ソフト仕様のミシュランスリックを履いたNo.3 Niterra MOTUL Zが第2スティントの終盤に入ってもハイペースで暫定首位を走り続け、最も重いウェイトを積んだNo.23 MOTUL AUTECH Zが実質的な表彰台を争うという展開となり、ミシュランタイヤのパフォーマンスの高さが印象づけられることになりました。そうした中、59周目にNo.23 MOTUL AUTECH ZがGT300車両と接触し、激しくクラッシュ。結果的に、レースはここで打ち切りとなりました。

No.23 MOTUL AUTECH Zをドライビングしていた松田は、大破した車両から救出されると、ドクターヘリで病院へと搬送されました。そして行われた検査の結果、大事には至らないことが確認されました。

レースが打ち切りとなった前の周回を終えた時点で、GT500クラスの首位にはNo.3 Niterra MOTUL Zがつけており、同車の千代/高星を優勝として暫定の表彰式が行われました。しかし、その後、暫定結果に対する抗議がライバルチームから出されました。各車に義務づけされていた2度のピットストップの2度目を、3号車がまだ行っていなかったところでレースは終了となっており、その結果の裁定に対する抗議でした。大会審査委員会は抗議を認め、2度目のピットストップの所要時間に相当するとした60秒を3号車のレースタイムに加算することに。その内容で改訂版の暫定結果が出され、No.3 Niterra MOTUL Zは4位とされました。すると今度は、3号車のエントリーチームであるNDDP RACINGが抗議を提出。しかし、大会審査委員会はこれを却下しました。これを受けてNDDP RACINGと競技関係者は協議を行い、その結果、NDDP RACINGは控訴を行わないことを決断。これにより、レースから8日後の6月12日に、No.3 Niterra MOTUL Zを4位とした内容で今大会のGT500クラスの正式結果が出されました。

【GT300クラス】
27台が出場した今大会のGT300クラス。その中で、ミシュランがタイヤ供給を行う唯一の車両であるNo.7 Studie BMW M4は、Q1ではAグループに出走。荒 聖治がグループ2番手のタイムを叩き出して、Q1突破を悠々決めました。そして進出したQ2では、柳田真孝がタイムアタックを担当。前戦に続いて7号車のステアリングを握った柳田でしたが、16番手のタイムに終わりました。

明くる日の決勝では、まず荒が乗り込んでスタート。すると、No.7 Studie BMW M4は1周目を終えたところで早くもピットロードへ滑り込み、わずかな量の給油を実施。これで、2度の義務づけがあるピットストップのひとつ目を済ませてしまい、その後の周回を他車に妨げられることなくハイペースでこなして、レース後半には一気に上位へ進出しようというBMW Team Studie × CSLの戦略でした。

果たして、28周目終了時をもってGT300クラスの全車が1回目のピットストップを終えたところで、No.7 Studie BMW M4はクラス3番手にまで浮上していました。そして、36周目終了時に2度目のピットストップを実施。同時にピットに入っていた実質2番手の車両がタイヤ交換に手間取ったため、7号車はピットで順位を上げることに成功し実質2番手に。その2周後、No.7 Studie BMW M4は、実質の首位であったNo.2 トヨタ GR86がピットアウトしてきたところへ追いつき、見事にオーバーテイクを決めて実質の首位に浮上しました。

その後、49周目を終えたところで、2度目の給油をまだ行っていなかった暫定首位車両がピットへ向かい、これでNo.7 Studie BMW M4は名実ともに首位に立ちました。No.2 トヨタ GR86が背後につけていましたが、柳田はそれを押さえ続けました。そうしたところへ、No.23 MOTUL AUTECH Zの大クラッシュが発生し、レースは終了に。GT300クラスの先頭車両が54周目を終えたところでの順位が同クラスの正式結果となり、No.7 Studie BMW M4が今季初優勝を手にしました。

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■日本ミシュランタイヤ モータースポーツダイレクター 小田島広明のコメント:

「今回の450kmレースに我々が持ち込んだドライコンディション用のスリックタイヤですが、GT500クラスの23号車には今大会におけるソフト仕様とハード仕様を、同じく3号車にはソフト仕様とミディアム仕様を用意しました。23号車は、予選Q1と決勝の第1スティントではソフト仕様を使い、第2スティントと第3スティントではハード仕様を履きました。一方3号車は、Q1と決勝第1スティントでミディアム仕様を使用し、第2スティントではソフト仕様に切り替えました。GT300クラスの7号車に関しては、ソフト仕様とハード仕様を用意していましたが、予選と決勝のすべての走行でハード仕様を選択しました。
 今大会で出場各車に義務づけがあった2度のピットストップの2度目をまだ実施していなかった、ということで、表彰式まで行われた3号車の優勝が消滅してしまったのは残念でした。しかし、GT500クラスの中で最も重いサクセスウェイトだった23号車が、より軽量な車両を相手に3位を争ったことは、我々にとって大いに励みになりました。タイヤの観点からしますと、我々のミシュランタイヤを履いたGT500クラスの2台は、同じNissan Zで他メーカーのタイヤを履いた車両と比べて、満足のいくパフォーマンスを見せたと思います。GT300クラスでも同様で、7号車はレースを通じて安定的に走行しました。この7号車が優勝となったことには幸運も作用しましたが、いずれにせよ上位でフィニッシュするには十分なパフォーマンスがあったと思います」

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SUPER GT第3戦 鈴鹿
Niterra MOTUL Z

No.23 MOTUL AUTECH Zの大クラッシュを受けてレースは打ち切りに。その前の周回を終えた時点でGT500クラスの首位につけていたのは、レース中に大幅なポジションアップを果たしたNo.3 Niterra MOTUL Zでした。しかし同車は、レギュレーションに明文化されていないルールによってペナルティの裁定を受けました。チームは争う姿勢を見せましたが、競技関係者との協議のすえに、改訂版の暫定結果を受け入れ、今大会は4位となりました。

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決勝序盤、No.23 MOTUL AUTECH Zはスタート位置から変わらぬ8番手を走り続けたのに対して、No.3 Niterra MOTUL Zは13周目以降、ポジションをどんどん上げ、やがて23号車のすぐ後ろにまで迫りました。

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No.3 Niterra MOTUL Zとミシュランタイヤのコンビネーションは、スティントの後半に入ってもペースが衰えませんでした。そこで、2回目のピットストップは他のどの車両よりも後に行う作戦を採りました。

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No.23 MOTUL AUTECH Zもレース後半には巻き返し、重いウェイトを抱えながら表彰台争いを展開。その真っ只中でクラッシュが発生しました。ドライブしていた松田次生に大きな怪我がなかったことは本当に幸いでした。

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16番手グリッドからスタートしたNo.7 Studie BMW M4でしたが、車両とタイヤのパフォーマンスを生かした戦略を的中させ、50周目には首位に浮上。結果的に、5月の鈴鹿大会を2年連続で制することになりました。

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レース後の暫定結果では、GT500クラス優勝はNo.3 Niterra MOTUL Z、GT300クラス優勝はNo.7 Studie BMW M4であり、この順位で暫定表彰式も行われました。しかし、正式結果が出て、3号車は4位となることが決まったのは、この日から8日後の6月12日。そもそも、レギュレーションに明文化されていないルールによって今大会の結果が決されたことなど、競技運営に大きな反省の残るレースとなりました。

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GT300クラスのウィナーとなったNo.7 Studie BMW M4の荒 聖治は優勝記者会見で「BMWとミシュランタイヤのおかげ」と勝因を語りました。タイヤにかかる負荷がひときわ高い鈴鹿で、ミシュランの高性能が光りました。

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