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SUPER GT 2022 ROUND 4
FUJI

■予選:8月6日/決勝:8月7日
■開催地:富士スピードウェイ(静岡県)
■レース距離:450km(100周×4.563km)

MOTUL AUTECH Zが好走を見せるもトラブルに泣く
ミシュラン勢にとってタフな週末に

SUPER GTの2022年シーズン第4戦が富士スピードウェイで開催されました。ミシュランタイヤを使用してGT500クラスを戦うNo.23 MOTUL AUTECH Z(松田次生/ロニー・クインタレッリ)は上位進出が期待できる走りを見せましたが、不測のマシントラブルに見舞われ、最終的にはトップから10周遅れとなってのフィニッシュに。また、前戦の鈴鹿大会で圧倒的な勝利を飾ったNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL Z(千代勝正/高星明誠)は、今回のGT500クラス出走車両で最も重いサクセスウェイトが響いて、12位にとどまりました。

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SUPER GT第4戦 富士
MOTUL AUTECH Z

8番手グリッドからのスタートだったNo.23 MOTUL AUTECH Zでしたが、8周目までに5番手へとポジションアップ。幅広い温度レンジに対応できるミシュランタイヤによって、450kmと長めのレースであった今大会で多彩な戦略を描くことが可能な状況でした。しかし、その後マシントラブルに襲われ、ピットで修理を受けねばならない事態に。無念の一戦となってしまいました。

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ミシュランのタイヤガレージに用意された、湿った路面用のダンプタイヤ。土曜日の午前中の公式練習は雨上がりの路面状況のもとでの開始となったため、これらのタイヤの出番となりました。どのような天候にも対応するべく、ミシュランは常に万全の備えを期しています。

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フランス本国のミシュラン・モータースポーツでSUPER GT用タイヤの開発にあたっているエンジニアが今大会に参加。GT300クラスにおいてミシュランが唯一タイヤ供給を行っているNo.7 Studie BMW M4の荒 聖治やアウグスト・ファルフスからの意見も吸い上げました。

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予選アタックに出て行く直前、彼一流のウォーミングアップを行っているロニー・クインタレッリ。今大会におけるNo.23 MOTUL AUTECH ZはQ1を彼に任せましたが、このイタリア人ドライバーは8位のタイムをマーク。23号車としては今季初のQ2進出を果たしました。

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前戦の鈴鹿大会での優勝により、No.3 CRAFTSPORTS MOTUL Zの千代勝正/高星明誠組は堂々のポイントリーダーとして今大会に登場しました。それは、最も重いサクセスウェイトを積むことを意味しており、Q1では高星がアタックしましたが、14番手タイムが精一杯でした。

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やはり前戦のGT300クラスウィナーであるNo.7 Studie BMW M4は、同クラスで2番目に重いサクセスウェイトでしたが、それでも荒のアタックによってQ1を突破。16台が出走したQ2では、ファルフスがQ1での荒よりさらに0.5秒近く速いタイムを刻んで、予選8位を獲得しました。

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前戦の鈴鹿大会からの2カ月強のインターバルの間に新型コロナウイルス感染症の再拡大がありましたが、それでも今大会は無事にお客様をサーキットに迎えて開催されました。予選日には1万8600人、決勝日には2万9300人の来場があり、ピットウォークも行われました。

前戦の鈴鹿大会で優勝を飾ったNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL Zの千代勝正/高星明誠のコンビはドライバー部門でランキング首位タイに立って今大会を迎えました。SUPER GTでは、シリーズポイントに応じて各出場車両にウェイト(重り)の搭載を課すサクセスウェイト制度を採用しており、今大会でNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL Zに与えられたハンディは、GT500クラスに出場したすべての車両の中で最も重い52kg。実際には、ウェイト50kg分のハンディとしてエンジンへの燃料供給量の規制が一段階強められ、その上で50kgを超える分である2kgの重りを実装して出走しました。一方、No.23 MOTUL AUTECH Zは30kgのウェイト搭載での出場でした。

【今大会のGT500クラス用ミシュランタイヤ】
■スリックタイヤ:ソフト、ミディアム

【予選】
続いていた猛暑が、今大会のレースウィークの始まりと同時にその勢いを弱めました。予選日であった8月6日(土)の富士スピードウェイは、未明に降雨があり、その影響で朝は濃霧に包まれていました。そして、午後3時35分から開始されたGT500クラスのQ1(予選第1セッション)では、気温24℃、路面温度28℃と、ほとんどの人々の予想を大幅に下回るコンディションでした。

No.23 MOTUL AUTECH Zを走らせるNISMOチームは、いつものレースでは松田次生をQ1に出走させていますが、今大会ではアプローチを変えてロニー・クインタレッリに任せました。その3日後に42歳の誕生日を迎えたイタリア人ドライバーは、チームの期待に応えて8位のタイムをマーク。No.23 Zとしては今シーズン初となるQ1突破を果たしました。

そして進出したQ2(予選第2セッション)において、No.23 MOTUL AUTECH Zは松田のドライブによって8位に。決勝は4列目のグリッドからのスタートとなりました。

一方、No.3 CRAFTSPORTS MOTUL Zは高星明誠にステアリングを託してQ1に臨みました。しかし、クラス最大のサクセスウェイトがやはり響いて、予選14位にとどまらざるを得ませんでした。

【決勝】
8月7日(日)の決勝日も、いまひとつ安定しない天候でした。やはり朝を迎えるまでに降雨があり、午前中に行われたサポートレースは路面にウェットパッチが残る状態での開催に。そして、SUPER GT決勝のスタートまで1時間を切ったところで、大粒の雨が富士スピードウェイを見舞いました。ただし、降雨はすぐに止み、そして路面はすぐに乾いていって、出場全車両が前日の予選で使用したスリックタイヤを履いてスタートを切りました。

にわか雨が直前にあったことから、フォーメーションラップが急きょ1周追加されました。それを受けて、決勝レースの周回数は予定の100周から1周減って99周とされました。

ロニー・クインタレッリが乗り込んで8番手グリッドからスタートしたNo.23 MOTUL AUTECH Zは、オープニングラップのうちにひとつポジションを上げて7番手に浮上。4周目終了時に先行車両の1台がペナルティストップのためピットロードへ向かったことで、No.23 Zは6番手に。そして7周目には、ポールポジションからスタートしたNo.19 トヨタ GRスープラをかわして5番手に上がりました。

それから先のNo.23 MOTUL AUTECH Zは、先行車両のペースと遜色はなくても、追いついていけるほどのマージンはなく、クインタレッリは5番手をキープしながら周回。レースのちょうど3分の1にあたる33周をこなしたところでピットロードへ向かい、NISMOチームは1回目のピットストップを実施しました。

No.23 MOTUL AUTECH Zは、新たに松田次生がそのステアリングを握ってピットを後にしました。ところが、コースに戻った翌周、マシンに異変が生じてスローダウン。再びピットインを余儀なくされました。冷却ダクトが外れるというマイナートラブルでしたが、その修理には時間を要し、戦列に復帰したときには5周遅れとなってしまいました。

その後、No.23 MOTUL AUTECH Zは松田の手により良好なタイムを並べながら走行を続けましたが、やがて、先に出た不具合が再発することに。それでも第2スティントを予定どおりこなしたNo.23 Zは66周目終了時に2度目のルーティンピットストップを実施。そこで不具合の再修理を行いました。ポイントの獲得など、とうに望みようのない状況となっていましたが、No.23 MOTUL AUTECH Zは再びコースに出て、トップから10周遅れながらもチェッカーフラッグを受けました。

予選でサクセスウェイトの重さに苦しんだNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL Zは、決勝ではさらに苦戦を強いられました。第1スティントは千代勝正が担当しましたが、前を行くライバルに接近することはできても、それを抜くだけのスピードは発揮できませんでした。そして、No.3 CRAFTSPORTS MOTUL Zは33周をこなしたところでピットストップを実施。交替した高星明誠は、第2スティントを安定的に走り続けましたが、順位を上げていくことはできませんでした。

NISMOが運営するNDDP RACINGは、No.3 CRAFTSPORTS MOTUL Zの2度目のピットストップを72周目終了時まで引っ張りました。そして、ドライバー交替は行わず、第3スティントも高星に引き続き任せました。ミシュランタイヤで戦うのは今年が初めてである高星にとっては、ドライビングのマイレージを伸ばす貴重な機会となりましたが、レースも残り2周となったところでひとつポジションを上げ、12位でフィニッシュラインを跨ぎました。

【GT300クラス】
今大会のGT300クラスには26台が出場。同クラスでミシュランが唯一タイヤ供給を行っているNo.7 Studie BMW M4は、予選Q1ではB組に出走しました。このセッションで乗り込んだのは荒 聖治で、63kgという今大会で2番目に重いサクセスウェイトを課されながらも7位のタイムをマーク。Q1を見事に突破しました。そしてQ2ではアウグスト・ファルフスがアタックし、予選8位を獲得しました。

決勝でのNo.7 Studie BMW M4は、第1スティントを荒、第2スティントをファルフスが担当。ふたりのドライバーは、重いサクセスウェイトに予選時以上に苦しむことになりました。それでも11番手前後を走り続け、10位以上となれば果たせるポイント獲得が期待されました。しかし、レースも終盤を迎えた75周目、No.7 Studie BMW M4はコース上に落ちていた異物によって右リアタイヤを破損させてしまい、スロー走行状態に。ピットに戻ってタイヤを交換し、戦列に戻りました。しかし、マシンの状態がおかしく、再度ピットイン。チェックの結果、先のパンクによってサスペンションを傷めていたと分かり、その場での即時修理は困難との判断から、ここでレースを終えることになりました。

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■日本ミシュランタイヤ モータースポーツダイレクター 小田島広明のコメント:

「今回のGT500クラスに我々は、ソフトとミディアムの2種類のコンパウンドのスリックタイヤを持ち込みましたが、予選では2台ともにミディアムで走り、決勝では3号車が1回目のピットストップでソフトに履き替え、最後のスティントもソフトを使いました。一方、23号車はすべてのスティントでミディアムタイヤを使用しました。GT300クラスの7号車に関しては、我々はソフトとハードのスリックタイヤを用意し、予選ではソフトタイヤを使用しました。そして第2スティントでハードタイヤに交換し、最終スティントではソフトタイヤに戻しました。
 我々は、この時期の暑いコンディションをカバーすることを目的とした温度レンジのタイヤを用意しましたが、予選日は予想以上に涼しかったですね。それでも23号車は全体として良い予選パフォーマンスを発揮してくれましたし、タイヤに問題は一切ありませんでした。したがって、この450kmのレースに向けて、戦略上の可能性を幅広く提供できました。それだけに、このマシンが技術的なトラブルに見舞われ、レースで良い結果を得るチャンスを失ってしまったことは残念でした。3号車については、サクセスウェイトが大きく、そのために競争力のあるスピード域に達せませんでした。チームにとってはタフな週末になりました。7号車は前戦の鈴鹿で優勝しましたが、ここ富士スピードウェイで我々はテストであまり距離を走ることができておらず、その上にサクセスウェイトが重かった。そのため、鈴鹿でお見せしたようなイメージをこの週末でも形にすることは難しかったですね。
 次戦の鈴鹿は、3号車がシリーズポイントで日産 Z勢のトップをキープしていますが、12号車も迫ってきています。次戦も450kmレースですので、ピット戦略も含め、前戦の鈴鹿とは異なるフォーマットで行われます。そのため、それらのマシンのパフォーマンスがどのようなものになるのか、見ていく必要があります。7号車は十分速かったですが、GT300は他のチームがどういう戦略を採るかによって、GT500クラスよりも混沌としてくるでしょう。我々のタイヤの適合性に不安はありませんが、ピット戦略で状況が一変することもあるので、あまり楽観的でいるわけにはいきません」

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SUPER GT第4戦 富士
CRAFTSPORTS MOTUL Z

前戦で見せた圧倒的な強さの印象が強く、多くの人が今回もNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL Zのスピードに注目しました。しかし、クラス最大のサクセスウェイトによる影響は大きく、12位でのフィニッシュに。SUPER GTの競争の厳しさを図らずも示す形になりました。

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スタートまで1時間を切ったところで、富士は降雨に見舞われました。雨はすぐに上がり、路面はすぐに乾いてドライに。ただし、これによって路面温度が幾分下ることに。硬めのコンパウンド設定で今大会に臨んでいたミシュランにとっては、うれしい雨ではありませんでした。

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決勝のスタートに先立ち、静岡県警察の交通機動隊/高速道路交通警察隊の白バイ9台とパトカー4台がGTマシンを先導する「交通安全啓発活動パレードラップ」が実施されました。SUPER GTでは開催サーキットの地元警察と協力して、こうした交通安全啓発活動を行っています。

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クインタレッリが乗り込んで8番手グリッドからスタートしたNo.23 MOTUL AUTECH Zは、8周目にはポールシッターのNo.19 トヨタ GRスープラをかわして5番手に浮上。さらなる追い上げを期しましたが、その後、繰り返しトラブルに見舞われてしまい、悔しいレースとなりました。

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予選で苦しんだNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL Zでしたが、決勝でもサクセスウェイトの重さによるハンディが大きく影響しました。ずっとクラス最後尾を走らねばならない状況でしたが、千代も高星もプロフェッショナルらしく走り続け、残り2周でひとつ順位を上げてレースを終えました。

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予選で健闘したNo.7 Studie BMW M4ですが、決勝ではサクセスウェイトの重さが一層響くことになりました。それでもポイントを獲得できる10位以内が見える位置を走り続けましたが、タイヤが異物によってパンクし、サスペンションまで破損されてしまって万事休すとなりました。

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前戦の鈴鹿大会とは一変し、今大会におけるミシュラン勢は総じて苦しい戦いを余儀なくされました。しかし、今回の問題点は明らかであり、そして次戦である第5戦の開催地は再び鈴鹿。前戦と同様にミシュランの高い競争力を示せるよう、しっかりと備えて臨みます。

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