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SUPER GT 2023 ROUND 4
FUJI

■予選:8月5日/決勝:8月6日
■開催地:富士スピードウェイ(静岡県)
■レース距離:450km(100周×4.563 km)

ウェット路面でまたもミシュランが他を圧倒
Niterra MOTUL Zが独走優勝を飾る

世界随一のタイヤ競争が行われているモータースポーツシリーズであるSUPER GTの2023年シーズン第4戦が富士スピードウェイで開催され、ミシュランタイヤを履くNo.3 Niterra MOTUL Z(千代勝正/高星明誠)が2位に大差をつけて優勝。ミシュランに今季2勝目をもたらしました。ウェット→ドライ→ウェット→ドライと路面が変化した難しいレースとなりましたが、GT500クラスの中で2番目に重いハンディキャップを背負っていた同車が見せた素晴らしいパフォーマンスにより、ミシュランタイヤの高性能が鮮やかに示されました。また、GT300クラスでもミシュランユーザーが好成績を挙げ、No.7 Studie BMW M4(荒 聖治/柳田真孝)が2位でフィニッシュ。これにより、GT500とGT300の両クラスで、ミシュランパートナーチームのドライバーがランキング首位に立ちました。

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SUPER GT第4戦 富士
Niterra MOTUL Z

ファンやレース関係者がよく知るところとなっているミシュランのウェットタイヤの高性能が、今大会でも炸裂。ミシュランユーザーのNo.3 Niterra MOTUL Zは、レース開始から2周のうちに3台を抜き去って首位に立つと、その翌周には写真のとおりにリードを広げて第1コーナーへ進入。韋駄天ぶりを見せつけたNo.3 Niterra MOTUL Z+ミシュランタイヤが独走でレースを制しました。

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前戦の鈴鹿大会から2カ月ぶりのSUPER GTでしたが、予選日には2万200人、決勝日には3万200人、合計で5万人を超えるお客様の来場がありました。写真の予選日は晴天に恵まれましたが、決勝日は一転。雨が降ったり止んだりの不順な天候となりました。

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前戦で大クラッシュに見舞われたNo.23 MOTUL AUTECH Zの松田次生は、約1カ月半にわたる入院生活を強いられていました。しかし、入院中も可能な部位のトレーニングに励み、1戦も休むことなくレースに復帰。Q1のタイムアタックも担当しました。

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No.23 MOTUL AUTECH Zは、鈴鹿での大クラッシュでほぼ全損状態となり、ほとんどの部品を新品に。車体の中核となるモノコックも交換せざるを得ず、そのペナルティとして決勝中に5秒間のピットストップが科されて、レース結果に大きな影響を受けました。

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No.3 Niterra MOTUL Zは、GT500クラスで2番目に重いハンディキャップを背負っての出場でしたが、Q1では6番手、Q2では4番手の好タイムをマーク。ドライコンディションにおけるミシュランタイヤの高いパフォーマンスを改めて示した結果となりました。

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前戦のGT300クラスウィナーであるNo.7 Studie BMW M4は、前戦に続いて柳田真孝を荒 聖治のペアドライバーに起用して今大会に出場。サクセスウェイトは75kgに達していましたが、あと0.012秒詰められたならQ1突破となったほどのスピードを見せました。

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土曜日の公式練習で使用したタイヤのトレッド面に付着したタイヤかすを削り落としているところ。写真中央に姿が見える2名は、3号車担当のミシュランのタイヤテクニシャンと、フランス本国でモータースポーツタイヤ開発にあたっているエンジニアです。

SUPER GTは、シリーズポイントに応じて各出場車両にハンディキャップを課す制度を採用しています。そして、前戦を終えたところでランキング2位につけシリーズポイントは58ポイントとなっていた千代勝正/高星明誠組のNo.3 Niterra MOTUL Zは、エンジンへの燃料供給量の規制が一段階強められ、その上で41kgのウェイトを搭載。ランキング3位につけシリーズポイントは50ポイントとなっていた松田次生/ロニー・クインタレッリ組のNo.23 MOTUL AUTECH Zは、ポイントと同じ数値である50kgのウェイトを積んで出場しました。

【GT500クラス予選】
8月5日(土)の富士スピードウェイの天候は夏らしい晴天となりました。午後3時53分から行われたGT500クラスのQ1(予選第1セッション)の開始時の気温は32℃、路面温度は42℃でした。No.3 Niterra MOTUL Zは高星明誠がこのセッションを担当し、クラスで2番目に重いハンディを抱えたマシンで6番手のタイムを記録。Q1突破を果たしました。No.23 MOTUL AUTECH Zのステアリングは松田次生が握りましたが、13番手のタイムとなりました。

Q2(予選第2セッション)に進出したNo.3 Niterra MOTUL Zには千代勝正が乗り込みました。ポールポジションを獲得したのは、同じNissan Z GT500でも搭載ウェイトが6kgにすぎなかった車両でしたが、ハンディキャップ58kgのNo.3 Niterra MOTUL Zは0.351秒届かぬだけの4番手タイムを記録し、ドライコンディションにおけるミシュランタイヤの性能の高さが示されました。

【GT500クラス決勝】
8月6日(日)の決勝日は、前日とは打って変わって、不安定な天候の一日となりました。午前中の雨は一旦上がったものの、午後1時頃から再び降り出しました。そして、午後1時45分にレース前のパレードラップが開始された段階では、路面は完全なウェット。気温26℃、路面温度32℃というコンディションでした。

レースは、セーフティカーによる先導走行が2周にわたって続いた後にスタートしました。近年、ライバルメーカーを圧倒するパフォーマンスを見せているミシュランのウェットタイヤを履いたNo.3 Niterra MOTUL Zは、千代勝正のドライビングにより、実質的なオープニングラップのうちに2台をパス。その翌周には、ポールポジションからスタートしたNo.24 Nissan Zも抜き去って首位に立ちました。

やがて雨が上がり、周回数が10周を過ぎたあたりからレコードラインの水量の減少が顕著になってきました。そして15周目を終えたところで、NDDP RACINGはNo.3 Niterra MOTUL Zにピットインを指示。スリックタイヤに換えて戦列に戻しました。その2周後には、GT500クラスの全車両がスリックに換装。その時点でNo.3 Niterra MOTUL Zは4番手につけていました。

ドライでの走行に入ると、各車の攻防は一進一退の状況になりました。そして周回数が進み、35周目に入ったところで、GT300車両の火災が発生してセーフティカーが導入されました。バトルは41周目終了時から再開されましたが、先行車両2台が46周目と47周目に相次いでピットストップに入ったことで、No.3 Niterra MOTUL Zは暫定2番手に上がりました。

今大会のレース距離は450kmで、富士スピードウェイを100周して争われるものでした。その中間点を過ぎた56周目終了時に、No.3 Niterra MOTUL Zはルーティンのピットストップを実施。新しいスリックタイヤへの換装とドライバー交替を行いました。

高星明誠が新たに乗り込んだNo.3 Niterra MOTUL Zは、GT500クラスの全車が2回目のルーティンストップを終えたところで4番手を走っていました。すると65周目にGT300車両の火災がまたも発生して、今度は赤旗中断となりました。コース設備の修復等のために、レースの中断は40分以上となり、その間に天候が悪化し、路面はウェットコンディションに。これにより、全車はウェットタイヤに履き替えました。

そして、4周にわたるセーフティカーランの後、レースは再開。すると、ミシュランのウェットタイヤが再び猛威を揮いました。高星の駆るNo.3 Niterra MOTUL Zは、レースが再開された72周目に先行車両をパスして3番手に浮上。74周目にもう1台をかわすと、75周目の第1コーナー進入でさらに1台抜き去り、首位に立ちました。しかも、その周回のうちに後続車両を3秒近くも引き離すという圧倒的なパフォーマンスでした。

その後、雨は降り方が穏やかになり、路面の水量は減っていきましたが、ミシュランタイヤは高いグリップを安定的に持続。その性能を生かし切ったNo.3 Niterra MOTUL Zが見事な独走優勝を飾りました。これにより、同車をドライブする千代勝正と高星明誠のふたりは、ポイントランキングで首位に浮上しました。

一方、No.23 MOTUL AUTECH Zは、今回はひたすら苦しい戦いを強いられました。同車は、前戦での大クラッシュによって、モノコックの交換を余儀なくされていました。そのペナルティによるピットストップ義務が今大会にあり、これを5周目終了時に消化。その後はクラス最後尾を走り続けることになりました。レース終盤には2台の先行車両がスピンやイレギュラーなピットストップによって後退したことで順位を上げ、No.23 MOTUL AUTECH Zは13位で今大会を終えました。

【GT300クラス】
27台が出場するGT300クラスにおいて、ミシュランは1台にのみタイヤ供給を行っており、その車両であるNo.7 Studie BMW M4は先の第3戦鈴鹿で優勝を飾っています。レギュラードライバーの荒 聖治は、ポイントランキング4位につけて今大会に出場。そして今回、彼とコンビを組むドライバーの役は、柳田真孝が前戦の鈴鹿に続いて務めました。

出場台数の多いGT300クラスは、AとBの2つのグループに分けてQ1が行われます。そして、75kgものハンディキャップを背負って今大会に出場したNo.7 Studie BMW M4は、Q1のBグループに出走。荒がアタックを担当しましたが、Q2進出には一歩及ばぬ9番手のタイムとなりました。

ウェットタイヤを装着し、荒が乗り込んで決勝レースをスタートしたNo.7 Studie BMW M4は、GT500クラスのNo.3 Niterra MOTUL Zと同様に、先行車両をどんどんかわして順位を上げていきました。そして10周目を終えたところでピットに入り、スリックタイヤにスイッチ。その後はクラス4番手を走り続けました。

GT300車両の火災によって導入されたセーフティカーがコースを退いた後は、No.7 Studie BMW M4のペースはやや落ちてポジションもダウンしました。そして、49周目を終えたところでピットストップを行い、それまでのソフトコンパウンドからミディアムコンパウンドのスリックタイヤへの交換と柳田真孝へのドライバー交替を行いました。

2台目のGT300車両の火災が発生し、赤旗が提示された時点でのNo.7 Studie BMW M4の順位はクラス10番手でした。そして、約40分にわたったレース中断のうちに雨天となったコンディションに対応し、再びウェットタイヤを履いて再スタート。雨量と路面の水量が減っていった中でどんどんポジションを上げていき、83周目には2番手に。さらに、85周目にはNo.88 ランボルギーニ・ウラカンGT3をかわしてクラス首位に躍り出ました。

その直後、チームはNo.7 Studie BMW M4をピットに入れ、タイヤをスリックに変更。クラス5番手でコースへ戻しました。すると、上位車両にスピンがあり、No.7 Studie BMW M4は4番手に浮上。そして、ウェットタイヤのまま粘り続けていた先行車両2台に迫っていきました。すると、その2台が最終ラップの最終コーナーで交錯。No.7 Studie BMW M4が最後の最後で前に出て、クラス2位でフィニッシュしました。この結果、同車のレギュラードライバーである荒 聖治は、ポイントランキング首位に立ちました。

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■日本ミシュランタイヤ モータースポーツダイレクター 小田島広明のコメント:

「この450kmレースに我々が持ち込んだタイヤですが、3号車と23号車には、ミディアムとハードの2種類のコンパウンドのドライコンディション用スリックタイヤと、ウェットコンディション用として、フルウェット、そしてダンプ(路面が湿り気を帯びたコンディション)タイヤのハードとソフトを用意しました。3号車は、Q1とQ2ではミディアムのスリックを使い、決勝はダンプタイヤのハードでスタートして、第2スティントと第3スティントではミディアムスリックを使い、最後の第4スティントではダンプタイヤのハードに履き替えました。一方、23号車がQ1で履いたのはハードスリックでした。決勝では、スタートでダンプハードタイヤを使い、第2スティントと第3スティントではハードスリックを履き、最終スティントではダンプソフトタイヤを使いました。GT300クラスの7号車には、ソフトとミディアムのスリックタイヤと、フルウェット、ダンプタイヤのハードとミディアムを用意し、Q1ではソフトスリック、決勝第1スティントではダンプハード、第2スティントではソフトスリック、第3スティントではミディアムスリック、第4スティントではダンプミディアム、そしてレースの最後ではソフトスリックをそれぞれ使いました。
 今回のレースでは天候が不安定でしたが、我々のミシュランタイヤ装着車は、雨が降るたびに順位を大きく上げました。赤旗中断の後のレース再開時には、かなり激しい雨が降っていましたが、そのような状況下でも我々のウェットタイヤは非常に良いパフォーマンスを発揮しました。その後、路面が乾き始めると、ウェットタイヤで走るライバルたちのペースは落ちましたが、我々は最後までハイペースで走り続けることができました。我々のタイヤは、路面の水量が少ないダンプコンディションだけでなく、ある程度のウェットコンディションでも優れたパフォーマンスを発揮しました。今回は、我々のタイヤが持つ幅広い性能を証明できたレースだったと思います」

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SUPER GT第4戦 富士
千代勝正/高星明誠

前戦の鈴鹿大会でもウィナーとして表彰台に立っていたNo.3 Niterra MOTUL Zの千代と高星ですが、その後、レース結果に修正が入って4位ということになっていました。ふたりは、そうした裁定にドライバーとしては不本意である思いを飲み込み、今大会を文句なしの内容で制して、再び表彰台の中央へ。シャンパンファイトで喜びを弾けさせました。

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セーフティカーラン解除でレースが始まった周回に2台をかわし、その翌周にも1台を抜いて首位に立ったNo.3 Niterra MOTUL Z。抜きん出た状態が続いているミシュランのウェットタイヤの威力を、またしても見せつけたレース序盤となりました。

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レース中盤はドライコンディションで推移しましたが、終盤は再びウェットに。それも、路面の水量がどんどん減っていくという難しい状況でしたが、ミシュランのウェットタイヤはそうしたコンディション変化にも対応し、高い競争力を発揮し続けました。

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No.23 MOTUL AUTECH Zは、モノコック交換による5秒間のペナルティストップもあり、今回はずっと我慢のレースに。1カ月半の入院生活から復帰した松田次生が、体力面に支障を来すことなく、担当パートを力強く走り切ったことがポジティブな材料となりました。

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ミシュランのGT300用のウェットタイヤも高性能を発揮し、No.7 Studie BMW M4は路面が濡れた状況下で大きく順位を上げました。そして、レースの最終盤に路面が乾いてきたところでスリックタイヤにスイッチ。表彰台に立てるポジションをたぐり寄せました。

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No.7 Studie BMW M4は、前戦の鈴鹿大会での優勝に続いて、今大会では2位に。荒 聖治と柳田真孝のコンビは2戦連続で表彰台に上り、レギュラードライバーとして同車でフル参戦している荒は、GT300クラスのポイントリーダーの座に躍り出ました。

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ミシュランのウェットタイヤの高性能に追いつこうと、他のタイヤメーカー各社は新しい雨用タイヤを次々に投入してきていますが、今大会でも勝利はミシュランの手に。ライバルたちと同様に、ミシュランもSUPER GT用タイヤの開発を精力的に続けています。

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