supergt 2022 rd5 hero

SUPER GT 2022 ROUND 5
SUZUKA

■予選:8月27日/決勝:8月28日
■開催地:鈴鹿サーキット(三重県)
■レース距離:450km(77周×5.807 km)

ミシュラン装着車がポールポジションを獲得
不運に阻まれ勝利はならずも、4位&5位に入賞

世界随一のタイヤ競争が繰り広げられているSUPER GTシリーズの2022年シーズン第5戦が鈴鹿サーキットで開催されました。トップカテゴリーのGT500クラスでは、ミシュランユーザーであるNo.23 MOTUL AUTECH Z(松田次生/ロニー・クインタレッリ)が予選で見事ポールポジションを獲得。Nissan Z GT500+ミシュランタイヤのパフォーマンスの高さを鮮やかに示しました。決勝レースでも同車は優勝を狙える位置につけて終盤まで戦いましたが、不運な状況からドライブスルーペナルティを受けることになり、最終的には5位でのゴールに。一方、もう一台のミシュランタイヤ装着車であるNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL Z(千代勝正/高星明誠)は、予選9位から着実な追い上げを果たし、4位でフィニッシュしました。

supergt 2022 rd5 result
supergt 2022 rd5 01

SUPER GT第5戦 鈴鹿
MOTUL AUTECH Z

予選ではずっと苦労続きだったNo.23 MOTUL AUTECH Zですが、今大会では一閃。Q1を3番手タイムで軽く通過すると、Q2では堂々のトップタイムをマーク。2019年第5戦富士大会以来のポールポジションを奪いました。ただし、決勝レースでの同車の様相はいささか異なるものとなりました。

supergt 2022 rd5 02

今大会の開催週を迎えた時点では、その週末は悪天候になることが予想されていました。ところが実際には、8月最後の週末にふさわしい、夏らしい天候に恵まれました。

supergt 2022 rd5 03

土曜午前の公式練習で各種データに注視するミシュランのテクニシャンたち。公式練習は様々な仕様を試すことができる希少な機会であり、1分1秒も無駄にできません。

supergt 2022 rd5 04

GT500クラスのQ1は、0.978秒のタイム差の中に全15台がひしめく超接戦模様でしたが、No.23 MOTUL AUTECH Zは松田次生のドライビングで3番手タイムを記録しました。

supergt 2022 rd5 05

見事ポールポジションを獲得し、カメラの砲列に向かう23号車のクルー。Q2のアタックを決めたクインタレッリは、さすがに達成感に満ちた表情を浮かべていました。

supergt 2022 rd5 06

3番目に重いサクセスウェイトを考えれば悪くない予選9位となったNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL Zの高星明誠(写真左)と千代勝正(写真右)。写真中央はNISMOの松村基宏総監督。

supergt 2022 rd5 07

GT300クラスでミシュランが唯一タイヤ供給を行うNo.7 Studie BMW M4は、Q1を荒 聖治が担当しましたが、63kgものサクセスウェイトが響いて、予選クラス23位にとどまりました。

SUPER GTでは、搭乗ドライバーの獲得シリーズポイントに応じてウェイト(重り)の搭載を各出場車両に課すサクセスウェイト制度を採用しています。今大会のGT500クラスにおけるミシュランパートナーチーム車両は、松田次生/ロニー・クインタレッリ組のNo.23 MOTUL AUTECH Zが30kgのウェイトを搭載。千代勝正/高星明誠組のNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL Zはサクセスウェイトが52kgで、実際にはエンジンへの燃料供給量を制限する燃料リストリクターの規制が1段階強められ、その上で35kgの重りを積んだ状態での出走でした。

【今大会のGT500クラス用ミシュランタイヤ】
■ドライコンディション用:スリックタイヤ(ソフト、ミディアム)

【GT500クラス予選】
8月27日の予選日は終日ドライコンディションに恵まれました。その午前中に行われた公式練習では、No.23 MOTUL AUTECH Zが2番手、No.3 CRAFTSPORTS MOTUL Zが4番手のタイムを記録。ミシュラン勢の好調ぶりを印象づけていました。

そして、GT500クラスのQ1(予選第1セッション)は午後3時53分からスタート。気温31℃、路面温度37℃というコンディションでした。No.23 MOTUL AUTECH Zには松田次生が乗り込み、同セッションのトップタイムとはわずか0.063秒差の3番手タイムを叩き出して、Q2進出を決めました。一方、千代勝正がこのセッションを担当したNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL Zは、Q1突破まであとひとつ届かぬ9番手に。予選結果は残念でしたが、燃料リストリクターの1ランクダウンという規制を受けながらもトップタイムから0.789秒落ちにとどめた好タイムを記録し、No.3 CRAFTSPORTS MOTUL Zとミシュランタイヤのパッケージングの強さを示した予選となりました。

続いて午後4時31分から行われたGT500クラスのQ2(予選第2セッション)は、気温30℃、路面温度36℃のもとでの実施に。No.23 MOTUL AUTECH Zのステアリングはロニー・クインタレッリが握り、最後のアタックラップで1分45秒169のトップタイムをマーク。2019年第5戦富士大会以来となるポールポジションを獲得しました。これは、今年デビューしたNissan Z GT500にとっても初めてのポールでした。

【GT500クラス決勝】
決勝日である8月28日(日)も良好な天候となり、レースの開始時刻が近づくにつれて日差しが強まっていくようなコンディションに。14時30分にパレードラップへ向けて出場車両の隊列が動き出した時点で、気温32℃、路面温度43℃となっていました。

クインタレッリが乗り込んでポールポジションから出たNo.23 MOTUL AUTECH Zは、スタートをしっかり決めると、レース序盤は後続を押えながらトップを走り続けました。一方、千代勝正が第1スティントを担当したNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL Zは、オープニングラップでNo.39 トヨタ GRスープラを仕留め、2周目に入る第1コーナーではNo.100 ホンダ NSX-GTをアウトからかわして7番手に浮上。さらに、8周目にはNo.24 Nissan Zを抜いて6番手に上がり、サーキットを沸かせました。

レースはNo.23 MOTUL AUTECH Zがリードし続けました。そして、17周目を終えたところでNISMOチームは同車をピットインさせます。ここで給油とタイヤ交換を行い、ドライバーはクインタレッリのままコースへ送り出しました。その2周後には、No.3 CRAFTSPORTS MOTUL Zも同様のピット作業を行いました。

今大会は450kmのレース距離で行われるもので、その途中には2度のピットストップが必須でした。そして、GT500クラスの各車が1度目のピット作業を済ませたところで、No.23 MOTUL AUTECH Zは2番手、No.3 CRAFTSPORTS MOTUL Zは7番手につけていました。

引き続きクインタレッリがステアリングを握った第2スティントにおけるNo.23 MOTUL AUTECH Zでしたが、そのスティントの後半になるとペースを維持するのが難しい状態になっていきました。そして、37周目には2台にかわされて4番手に後退。23号車は41周目を終えたところでピットに向かい、給油とタイヤ交換、クインタレッリから松田次生へのドライバー交替を行いました。No.3 CRAFTSPORTS MOTUL Zは23号車より第2スティントを少しだけ長く取り、45周目終了後に2度目のピットストップを実施。千代から高星明誠に交替しました。

49周目、GT300車両の大きなクラッシュが発生しました。その処理のためにセーフティカーが導入され、それが退去したのは54周目終了時でした。そして60周目を終えたところで、GT500クラスの全車が2度目のピットストップを終了。この時点で、No.23 MOTUL AUTECH Zは2番手、No.3 CRAFTSPORTS MOTUL Zは6番手につけていました。

No.23 MOTUL AUTECH Zは、No.17 ホンダ NSX-GT、そしてNo.12 Nissan Zとの三つ巴の優勝争いを激しく繰り広げました。周回遅れにしていくGT300車両を次々に抜き去りながらの攻防でしたが、その中で65周目に23号車がNo.12 Zをコース外へ押し出すような格好になりました。ドライバーの松田にそのような意図がなかったのはもちろんですが、レースディレクションは23号車に対してドライブスルーペナルティを科します。70周目にこのペナルティをこなしたNo.23 MOTUL AUTECH Zは、6番手への後退を余儀なくされました。

この23号車へのペナルティにより、No.3 CRAFTSPORTS MOTUL Zは5番手にポジションを上げました。そして、高星が駆る3号車は73周目にNo.100 ホンダ NSX-GTをかわして4番手に浮上。表彰台には一歩届きませんでしたが、燃料リストリクターの1ランクダウン規制を受けた車両の中では断トツの上位となる4位でのフィニッシュを果たしました。

一方、No.23 MOTUL AUTECH Zを駆る松田は、ドライブスルーペナルティ後もレースを諦めることなく懸命に走り続けました。そして最終ラップには、前を走るNo.100 ホンダ NSX-GTをついに捉え、ハイスピードコーナーの130Rでインを奪取。最後の最後でひとつポジションを上げ、5位でゴールしました。

【GT300クラス】
今大会のGT300クラスには27台が出場。同クラスでミシュランが唯一タイヤ供給を行うNo.7 Studie BMW M4は、63kgものサクセスウェイトを抱えた状態での出走でした。GT300クラスは2つのグループに分けて行われる予選Q1ではA組に。このセッションにおけるタイムアタックは荒 聖治が担当しましたが、12番手のタイムに終わり、予選クラス23位という結果になりました

決勝レースのスタートドライバーはアウグスト・ファルフスが務めました。このブラジル人ドライバーは、オープニングラップで4つもポジションを上げたものの、ジャンプスタートの裁定が下されてドライブスルーペナルティを受けることに。6周目にペナルティをこなし、クラス25番手からの追い上げとなりました。その後はひたすら着実にポジションを上げていくレースを戦い、13番手にまで浮上してフィニッシュ。するとレース後に上位車両1台がペナルティを受けて降格となったため、No.7 Studie BMW M4の第5戦の最終結果は12位となりました。

odajima 2022
■日本ミシュランタイヤ モータースポーツダイレクター 小田島広明のコメント:

「この週末に我々ミシュランは、GT500クラス用のドライタイヤとしてはソフトとミディアムの2種類を、GT300クラスのドライタイヤとしてはソフト、ミディアム、ハードの3種類を持ち込みました。GT500クラスの23号車と3号車は、ともにミディアムタイヤで予選を走り、3号車については決勝においても終始ミディアムを使いました。一方の23号車は、最後の第3スティントでソフトタイヤにスイッチしました。GT300クラスの7号車は、予選も決勝もすべてミディアムタイヤを使用しました。
 今回は、良い結果を得られる可能性が高かっただけに、残念なレースとなりました。ですが、SUPER GTでは長丁場の450kmレースでしたから、いろいろな要素が加わってきましたし、『これもまたレース』というところです。
 GT500クラスでは、23号車が予選で我々の期待以上の速さを見せてポールポジションを獲得しました。しかし、もしかしたらそのためか、決勝の第1スティントでの彼らのタイヤは少しオーバーヒートしてしまい、予定していたよりも早くタイヤ交換を行わねばなりませんでした。そこでタイヤの内圧を再調整しましたので、その後は大きな問題なく走り続けました。3号車は、重いサクセスウェイトにもかかわらず、いろいろ起こったレースの中で着実にポジションを上げていきました。
 GT300クラスの7号車は、レース序盤に受けたペナルティがレースを難しいものにしてしまいましたが、サクセスウェイトの重さに加えてBoP(性能調整措置)も厳しい内容であったため、そもそも今大会は難しいことが予想されていました。こうした状況において、チームはフレキシブルにレース戦略を変えて対応し、ポイント獲得圏内まであと一歩のところまで追い上げてみせました。
 総じて、今大会に我々が持ち込んだタイヤは、完璧ではなかったかもしれません。ですが、競争力は十分にあるものであったと考えています」

supergt 2022 rd5 08

SUPER GT第5戦 鈴鹿
CRAFTSPORTS MOTUL Z

決勝レースも終始好天に恵まれ、大きな太陽が地平線に近づいていく頃にフィニッシュを迎えました。9番手グリッドからのスタートであったNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL Zは、450kmと比較的長丁場のレースを見事に戦い、燃料リストリクター1ランクダウンのハンディを抱えながらも、表彰台獲得まであと一歩のところに迫りました。

supergt 2022 rd5 09

青空が広がった中、ポールポジションに着いたNo.23 MOTUL AUTECH Z。ドライバーにとってもチームスタッフにとっても、先頭グリッドからのスタートは、やはり格別です。

supergt 2022 rd5 10

スタートをしっかり決めた23号車は、ミシュランタイヤのウォームアップ性能の高さを生かして、いきなりリードを広げ、17周目にピットインするまでトップを走り続けました。

supergt 2022 rd5 11

No.3 CRAFTSPORTS MOTUL Zは、1周目でひとつ順位を上げると、2周目に入る第1コーナーではNo.100 ホンダ NSX-GTをアウトからパス。レース序盤の大きな見所を作りました。

supergt 2022 rd5 12

23号車は、各スティントの後半でかなりの苦闘を強いられましたが、それでもレース終盤まで優勝争いを展開。不測のペナルティがなければ、勝てたと思える戦いを見せました。

supergt 2022 rd5 13

No.7 Studie BMW M4は、重いサクセスウェイトやBoPを課されながらも力走。ドライブスルーペナルティを受けながらも、ポイント獲得まであと2台というところまで巻き返しました。

supergt 2022 rd5 14

ポールポジションは獲得しましたが、決勝についてはミシュランとしても反省の残るレースでした。それでも優勝争いを展開し、持ち前の高い競争力を示した一戦となりました。

You are using an unsupported web browser
本ウェブサイトではサポートされていないウェブブラウザをお使いのようです。一部の機能が正常に作動しない場合があります。閲覧中に動作が不安定になる場合があります。このウェブサイトを最大限活用していただくため、以下のブラウザのいずれかを使用していただくか、アップグレードまたはインストールしてください