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SUPER GT 2023 ROUND 5
SUZUKA

■予選:8月26日/決勝:8月27日
■開催地:鈴鹿サーキット(三重県)
■レース距離:450km(77周×5.807 km)

車両違反により結果は残らずも
ミシュランタイヤは今回も高性能を実証

SUPER GTシリーズの2023年シーズン第5戦鈴鹿大会が開催され、ミシュランタイヤを使用してGT500クラスを戦うNo.23 MOTUL AUTECH Z(松田次生/ロニー・クインタレッリ)が力強いパフォーマンスを披露し、450kmのレース距離で行われた決勝を2番手でフィニッシュしました。しかし、レース後に行われた車両検査において、規則に抵触した箇所が発見されたことから(※詳しくは下記)、同車は失格となりました。残念ながら結果は残りませんでしたが、No.23 MOTUL AUTECH Zが50kgのサクセスウェイトを搭載しながら予選で2位を獲得し、決勝も2番手で走り切ったことにより、ミシュランタイヤの高性能は今大会においても実証されました。
その他のミシュランユーザーですが、GT500クラスのランキング首位に立って今大会に臨んだNo.3 Niterra MOTUL Z(千代勝正/高星明誠)と、GT300クラスにやはりポイントリーダーとして出場したNo.7 Studie BMW M4(荒 聖治/ブルーノ・シュペングラー)は、ともに抱えた100kg級のサクセスウェイトがスピードに大きく響くことを避けられず、No.3 Niterra MOTUL ZはGT500クラス12位、No.7 Studie BMW M4はGT300クラス16位となりました。

※車両の床下に取り付けられる「スキッドブロック」という部品が、走行中の路面との干渉によって削られ、レース後には規定値を満たす厚みが確保されていなかったことが確認されたため、失格の裁定が下りました。

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SUPER GT第5戦 鈴鹿
MOTUL AUTECH Z

50kgのサクセスウェイトを搭載しながらNo.23 MOTUL AUTECH Zは予選で2位を獲得し、2回のルーティンピットストップがある450kmの決勝レースでも2番手を力走。ウェイトがより軽い数々のライバルたちを上回り、ミシュランタイヤのパフォーマンスの高さを示しました。

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鈴鹿サーキットは、比較的ハイスピードのコーナーの割合が他の国内サーキットより高く、ダウンフォースを強めにつけて走ります。そのぶん、タイヤにかかる負荷は大きく、加えて今大会では終始高めであった路面温度がタイヤに試練を課してきました。

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クローズドボディのレーシングカーの車内温度は大変な高さとなります。そこで、昨今のSUPER GT車両はエアコンを装備。ドライバーが車両に乗り込むと、ヘルメットに取り付けられたカバーの継ぎ手にエアコンのホースを繋いで、頭部に冷気を送り込む仕組みです。

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エアコンがあるとはいえ、ヘルメットの内装が汗で濡れてしまうことは必至です。NISMOチームでは、ドライヤーを装備した特製のヘルメット用テーブルを用意しており、着用後のヘルメットの中をできるだけ乾燥させるように努めています。

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予選Q2に向けて準備中のロニー・クインタレッリ。No.23 MOTUL AUTECH Zは、松田次生が3番手のタイムを叩き出してQ1を突破。これを受けてQ2に臨んだクインタレッリは、ウェイトが18kgも軽いライバル車に0.04秒及ばぬだけのセカンドベストを記録しました。

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ポイントリーダーとして今大会を迎えた千代勝正/高星明誠組のNo.3 Niterra MOTUL Zは、98kgというサクセスウェイトを抱えての出場に。さすがにQ2進出はなりませんでしたが、それでも自車よりウェイトが軽い車両を5台も下して、予選10位に食い込みました。

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GT300クラスでミシュランが唯一タイヤ供給を行うNo.7 Studie BMW M4は、荒 聖治のアタックによりQ1をクリア。Q2ではブルーノ・シュペングラーが、同車に乗るのは4月の開幕戦以来でありながら荒と互角のタイムをマークしてみせ、予選13位を獲得しました。

SUPER GTでは、「サクセスウェイト」と呼ばれるハンディキャップを前戦終了時点でのシリーズポイントに応じて各出場車両に課す制度を採用しています。ドライバーズランキング首位で今大会を迎えたNo.3 Niterra MOTUL Zの千代勝正/高星明誠組は、獲得シリーズポイントが49点で、今回課されるサクセスウェイトは98kg。実際には、エンジンへの燃料供給量を制限する燃料リストリクターの規制が3段階も強められた上に、48kgのウェイト(重り)を実装した状態での出走となりました。また、ランキング4位/シリーズポイント25点であるNo.23 MOTUL AUTECH Zの松田次生/ロニー・クインタレッリ組は、50kgのウェイトを積んで出場しました。

【GT500クラス予選】
大会前には不安定な天候が予想されていた週末でしたが、8月26日(土)の予選日は晴天に恵まれ、同日のすべての走行セッションはドライコンディションのもとで実施されました。GT500クラスのQ1(予選第1セッション)は午後3時53分より10分間にわたって行われ、開始時の気温は35℃、路面温度は46℃でした。

No.23 MOTUL AUTECH Zを走らせるNISMOチームは、松田次生にこのセッションを任せました。6月の鈴鹿大会で大クラッシュに見舞われ、負傷によって1カ月半にわたる入院生活を余儀なくされていた松田でしたが、同じコースでのネガティブな記憶を払拭するような気迫あふれるドライビングを見せて3番手のタイムをマーク、Q1突破を果たしました。また、千代勝正がタイムアタックを担当したNo.3 Niterra MOTUL Zは、Q2(予選第2セッション)進出はなりませんでしたが、GT500クラスの中で最も重いサクセスウェイトを抱えていながら10番手タイムと、レース関係者も目を見開くパフォーマンスを見せました。

Q1の上位8台が出走したQ2は午後4時31分から、やはり10分間のセッションとして行われました。開始時の路面温度は46℃と、Q1から変わりありませんでした。No.23 MOTUL AUTECH Zのステアリングを握ったロニー・クインタレッリは、セッション開始から4分近くが経ったところでコースイン。3周目に1分46秒422を叩き出して暫定首位につけました。最終的には、サクセスウェイトが18kg軽いNo.16 ホンダ NSX-GTに上回られましたが、わずか0.04秒及ばなかったにすぎませんでした。そして、自車よりウェイトの軽い車両を何台も後方に従えての予選2位を堂々獲得しました。

【GT500クラス決勝】
決勝日である8月27日(日)も鈴鹿サーキットの上には夏空が広がりました。決勝レースのスタートへと続くパレードラップが開始された14時45分の気温は33℃、路面温度は46℃と、前日の予選と同じ。湿度も高く、人間の身体にもマシンにも、そしてタイヤにも試練を課すコンディションでした。

ロニー・クインタレッリが乗り込んでフロントロウからスタートしたNo.23 MOTUL AUTECH Zは、2番手のポジションをキープしてオープニングラップを終了。その後も多数のライバルたちをリードしながら走り続けました。

すると11周目に、1台のGT300車両がストップ。その処理のために、追い越し禁止/ピットストップ禁止のフルコースイエロー(FCY)の競技状態とされましたが、その直前に、首位を走るNo.16 ホンダ NSX-GTがピットロードへ滑り込むことに成功。これにより同車はレース戦略的に大きなアドバンテージを得ることになるのですが、このときは一時的に順位を下げ、No.23 MOTUL AUTECH Zが首位に押し上げられました。

その後も並み居るライバルたちを従えながら首位を走り続けたNo.23 MOTUL AUTECH Zは、18周目を終えたところでピットロードへ。1回目のピットストップを実施しましたが、ここではドライバー交替は行わず、第2スティントでもクインタレッリがステアリングを握りました。

GT500クラスの全車が1回目のルーティンストップを終えたのは30周目終了時でしたが、No.23 MOTUL AUTECH Zは2番手につけていました。ただし、FCYの直前にピットへ入って給油とタイヤ交換を行うことができたNo.16 NSX-GTが得ていたマージンは大きく、No.23 MOTUL AUTECH Zに対して約37秒ものリードを手にしていました。

その後、No.23 MOTUL AUTECH Zは、No.16 NSX-GTをわずかながらも上回るラップタイムを重ね、ギャップを縮めていきました。そして、77周のレースの半分を過ぎた42周目終了時に2回目のピットへ。今度はクインタレッリから松田次生へのドライバー交替も行いました。

GT500クラスの全車が2回目のルーティンストップを終えたのは54周目終了時。首位はNo.16 NSX-GTで、2番手がNo.23 MOTUL AUTECH Z。2台のギャップは約10秒で、レースは残り27周でした。

ミシュランタイヤを履くNo.23 MOTUL AUTECH Zのサクセスウェイトは50kgであったのに対して、ブリヂストンタイヤを履くNo.16 NSX-GTのそれは32kg。しかし、レース終盤における2台のラップタイムは、ほとんど互角でした。両車のギャップはなかなか縮まりませんでしたが、No.23 MOTUL AUTECH Zは後続を大きく引き離し、50kgのサクセスウェイトを抱えていることを考慮すれば見事と言える2番手でチェッカーフラッグを受けました。

ところが、レース後の車両検査において、No.23 MOTUL AUTECH Zには規則に抵触した箇所が発見され、同車を失格とする裁定が下りました。フィニッシュした順位のとおりであれば、2位で15ポイントを獲得でき、松田次生/ロニー・クインタレッリ組は首位と9ポイント差のランキング3位に浮上できたはずだけに、大変残念な結果となりました。

一方、もう一台のミシュランタイヤ装着車であるNo.3 Niterra MOTUL Zの決勝レースは、タフな内容のものになりました。

千代勝正が前半パートを担当した同車は、オープニングラップで1台をかわして9番手を走りました。するとNDDP RACINGは、6周目終了時という早いタイミングでNo.3 Niterra MOTUL Zをピットに入れ、短い給油とタイヤ交換を実施。予選で使用したタイヤから、高い路面温度のもとで長く安定的に走れる性能を狙ったタイヤへ、早めにスイッチすることが狙いでした。

33周にわたった長い第2スティントの前半は良好なペースで走行したNo.3 Niterra MOTUL Zでしたが、スティントの後半になるとラップタイムの低下が大きく、苦しい走りを余儀なくされました。そして39周目を終えたところで、同車は2回目のルーティンピットストップを行いました。

新たに高星明誠が乗り込んだ第3スティントも38周にわたる長いものでしたが、その前半は好調、後半は苦戦という展開であったことも第2スティントと同様でした。98kgというサクセスウェイトの重さも加わって、ライバルたちと伍することは今回のレースでは難しく、No.3 Niterra MOTUL Zは13番手でフィニッシュ。No.23 MOTUL AUTECH Zの失格によって、正式結果では12位となりました。

No.3 Niterra MOTUL Zの千代/高星組は、今大会ではポイントを獲得できませんでしたが、それでもシリーズランキング首位の座は維持して次戦に臨むことになりました。

【GT300クラス】
今大会のGT300クラスには25台が出場。同クラスでミシュランが唯一タイヤ供給を行うNo.7 Studie BMW M4は、レギュレーション内の最大値である100kgのサクセスウェイトを課された状態での出走でした。

出場台数が多いGT300クラスの予選は2つのグループに分けて行われますが、No.7 Studie BMW M4は今大会ではAグループに出走。荒 聖治がアタックを担当しましたが、自車よりウェイトがずっと軽い6台ものライバルたちを上回る7番手タイムを記録。見事Q1突破を果たしました。

続いて行われたQ2でNo.7 Studie BMW M4のステアリングを握ったのは、ブルーノ・シュペングラーでした。BMWのワークスドライバーである彼は、SUPER GTには開幕戦岡山大会以来の出場で、鈴鹿サーキットを走るのは今回が初めてでした。それにもかかわらず、シュペングラーはQ1での荒の自己ベストに0.2秒及ばなかっただけの好タイムをマーク。No.7 Studie BMW M4は予選13位を獲得しました。

決勝でのスタートドライバーは荒が務め、No.7 Studie BMW M4は予選順位と同じ13番手をキープ。すると、GT500クラスのNo.3 Niterra MOTUL Zと同様に、予選でのパフォーマンスを狙ったタイヤから、長く安定的に走れるタイヤへ早めにスイッチさせるため、BMW M Team Studie x CRSは4周目終了時に1回目のルーティンピットストップを実施しました。

その後、No.7 Studie BMW M4は、ハンディがずっと軽いライバルたちと互角以上のペースで走行。着実に順位を上げていくと、35周目終了時には8番手につけた状態で2度目のルーティンストップを迎えました。

シュペングラーが新たに乗り込んだNo.7 Studie BMW M4は、ウェイトの軽いライバルたちとの競り合いを繰り広げながら、35周にわたる長いスティントでの周回を重ねていきました。やがて、日が陰って路面温度が40℃付近にまで下ってくると、タイヤが十分な発熱を得られずグリップレベルが低下。それでもシュペングラーは踏ん張りを見せましたが、残り5周というところでNo.11 Nissan GT-R GT3にかわされて16番手に後退。その順位でのフィニッシュとなり、ポイント獲得は惜しくも果たせませんでした。

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■日本ミシュランタイヤ モータースポーツダイレクター 小田島広明のコメント:

「このレースに我々は、GT500クラスの3号車と23号車には、ドライコンディション用として、ソフトとミディアムとハードの3種類のスリックタイヤを用意しました。3号車は、予選Q1と決勝の第1スティントではソフトタイヤを使い、第2スティントではハードタイヤ、そして第3スティントではミディアムタイヤへと変えていきました。一方、23号車は、Q1とQ2、そして決勝の第1スティントと第2スティントでミディアムタイヤを使い、最後の第3スティントではハードタイヤに変えました。GT300クラスの7号車には、ソフト仕様とハード仕様のスリックタイヤを用意していましたが、同車はこの週末を通じてハードタイヤを使用しました。
 23号車に対して我々は、パフォーマンス重視のタイヤ選択を行いました。一方、3号車のタイヤは、重いサクセスウェイトを考慮して、レースを確実にフィニッシュするための戦略に対応したものとしました。3号車のスタート時のタイヤは必然的に予選で使用したものでしたが、性能をより安定的に発揮するキャラクターのタイヤへ、早めにスイッチしました。しかし、ラップタイムは我々が期待したようには変わってくれず、タフな状況が続くことになりました。23号車に関しては、今日の高いレンジの路面温度においてもラップタイムの推移がとても良く、安定していました。それだけに、レース後の再車検の結果は、我々としても残念なものでした。
 GT300クラスの7号車は、でき得るかぎりのポイントを稼ぐ作戦でしたが、ドライコンディションにおいて打てる手立ては多くなく、ポジションを上げていくチャンスは作れませんでした」

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SUPER GT第5戦 鈴鹿
Niterra MOTUL Z

GT500クラスの中で最も重い98kgというサクセスウェイトを抱えて今大会に出場したNo.3 Niterra MOTUL Z。予選ではハンディの重さを感じさせない速さを見せましたが、長丁場の決勝ではさすがに大きな影響を受けました。結局、ポイント獲得はなりませんでしたが、それでもランキング首位の座はキープしました。

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グリッド上でタイヤ空気圧の最終調整を行うNo.23 MOTUL AUTECH Zのメカニック。空気圧は、ミシュランがタイヤ仕様やコンディションを考慮して推奨値を定めますが、若干ですが幅があります。その幅の中のどの値で行くかは、最終的にはチームが決定します。

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No.23 MOTUL AUTECH Zは2番手をキープし、先行車両がFCY導入直前にピットに入った後は首位を走り続ける速さを見せました。また、同車のレース後半を担当した松田次生は、前回の鈴鹿大会での大アクシデントの悪夢を振り払うような好走を披露しました。

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2番手でフィニッシュし、優勝を飾った開幕戦岡山大会以来の表彰台に上ったクインタレッリと松田次生。ところが、レース後の車両検査で違反箇所が見つかり、暫定結果に基づいて行われた表彰式でのシャンパンファイトは幻のものとなってしまいました。

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No.3 Niterra MOTUL Zは早めにピットに入って決勝に適したタイヤに履き替え、一時は3番手にまで順位を上げました。しかし、ロングランとなったスティントの後半でのタイムの落ち込みが大きく、同車にとっては今年これまでで最も苦しい戦いとなりました。

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今大会で最も重い100kgのサクセスウェイトを抱えたNo.7 Studie BMW M4。レース前半でのペースは悪くありませんでしたが、レース後半に路面温度が大きく低下したことなどが悪く影響し、16位でのフィニッシュに。それでも荒 聖治はポイントランキング2位につけています。

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50kgのサクセスウェイトを抱えながらNo.23 MOTUL AUTECH Zが2番手で走り切った灼熱の鈴鹿の450kmレース。No.3 Niterra MOTUL Zはポイントランキング首位の座を保っており、ミシュランはGT500クラスでの有終の美を飾るべく、残り3戦も全力を尽くしていきます。

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