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SUPER GT 2022 ROUND 6
SUGO

■予選:9月17日/決勝:9月18日
■開催地:スポーツランドSUGO(宮城県)
■レース距離:300km(83周×3.586km)

ミシュラン勢が圧巻の1-2フィニッシュ
不安定な条件下で傑出したタイヤ性能を披露

高度なタイヤ競争が繰り広げられているSUPER GTシリーズの2022年シーズン第6戦菅生大会が行われ、No.3 CRAFTSPORTS MOTUL Z(千代勝正/高星明誠)とNo.23 MOTUL AUTECH Z(松田次生/ロニー・クインタレッリ)のミシュランタイヤ装着車2台が圧倒的な1-2フィニッシュを飾りました。今大会は、ドライ→ウェット→ドライと、路面状況がどんどん変化する中での開催となりました。一様ではないコンディションのもとで、ミシュランタイヤは他の追随を許さぬ高性能を発揮し、パートナーチームの活躍に大きく貢献しました。なお、今季2勝目をマークしたNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL Zの千代と高星のコンビは、GT500クラスドライバー部門のランキングトップに再び立ちました。

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SUPER GT第6戦 菅生

表彰台のトップ2の位置で、互いの健闘を称え合うミシュランパートナーチームの面々。最上段に立ったNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL Zの千代勝正と高星明誠はGT500クラスドライバー部門のランキングトップに、No.23 MOTUL AUTECH Zの松田次生とロニー・クインタレッリはランキング3位にそれぞれ浮上しました。

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今大会は、各車がシーズン中で最大のサクセスウェイトを課された状態で臨む一戦でした。また、日産陣営はシーズン2基目のエンジンを投入して、競争力を上げてきていました。

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非常に大型の台風が九州に接近していた中での開催でしたが、土曜日の走行はすべてドライ路面のもとで行われ、No.23 MOTUL AUTECH Zは予選で3番手に入る速さを見せました。

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ランキング3位で今大会に臨んだNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL Zは、クラスで3番目に厳しいサクセスウェイトを抱えたハンディが一発の速さに響き、予選は11位にとどまりました。

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GT300クラスでミシュランが唯一タイヤ供給を行っているNo.7 Studie BMW M4は、荒 聖治のアタックでQ1を突破。アウグスト・ファルフスがQ2で11番手のタイムをマークしました。

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グリッドで、装着タイヤの温度保持のためにその横に置かれていたのが、湿った路面用のダンプタイヤ。これがレースの途中で使用され、猛威を振るうことになりました。

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スタート前に雨がパラつきましたが、本降りにはならず、ドライ路面でレースは始まりました。23号車はスタートポジションを守り、3号車はひとつ順位を上げて進攻を開始しました。

SUPER GTシリーズでは、サクセスウェイトと呼ばれるハンディを、ドライバー部門のシリーズポイントに応じて各出場車両に課す制度を採用しています。ランキング3位につけて今大会に臨んだ千代勝正/高星明誠組のNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL Zのサクセスウェイトは68kgで、実際には、エンジンへの燃料供給量の規制が2段階強められ、その上で34kgの重りを積んだ状態での出走に。また、ランキング9位で今大会を迎えた松田次生/ロニー・クインタレッリ組のNo.23 MOTUL AUTECH Zは、44kgのサクセスウェイトを実装して走りました。

【今大会のGT500クラス用ミシュランタイヤ】
■ドライコンディション用:スリックタイヤ(ソフト、ミディアム)
■ウェットコンディション用:フルウェットタイヤ、ダンプタイヤ

【GT500クラス予選】
九州に接近しつつあった大型台風。その影響を本州も全域で受けた週末でしたが、9月17日(土)の公式練習と予選の走行は無事ドライコンディションのもとで行われました。

GT500クラスのQ1(予選第1セッション)は午後3時03分より開始。気温は26℃、路面温度は34℃でした。No.23 MOTUL AUTECH Zを走らせるNISMOは、このセッションにおける同車のタイムアタックをロニー・クインタレッリに任せました。8月に43歳となったイタリア人ドライバーは、6番手のタイムをマーク。Q1突破を決めて、チームの期待に応えました。一方、高星明誠がこのセッションを担当したNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL Zは、クラスで3番目に重いサクセスウェイトが響いて、11番手となりました。

No.23 MOTUL AUTECH Zが進出したQ2(予選第2セッション)は、Q1時と同じ34℃の路面温度のもと、午後3時41分から開始されました。第4戦富士大会に続いてQ2を走った松田次生は、アタックラップを見事にまとめ、3番手のタイムをマークしました。ただし、ペナルティポイントの累積によって、No.23 MOTUL AUTECH Zは4グリッド降格となることがあらかじめ決まっており、23号車は実際には7番手グリッドから決勝レースを戦うことになりました。

【GT500クラス決勝】
9月18日(日)、スポーツランドSUGOは不安定な天候に見舞われました。レース前のウォームアップ走行時には日差しさえありましたが、出場各車がスターティンググリッドにつくと、雨がパラつき始めました。しかし、雨が本降りになることはなく、路面はドライコンディションが保たれ、出場各車はスリックタイヤでレースを開始。このときの気温は28℃、路面温度は35℃でした。

7番手グリッドからスタートしたNo.23 MOTUL AUTECH Zにはクインタレッリ、11番手グリッドから出たNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL Zには千代がそれぞれ乗り込んでいました。No.23 MOTUL AUTECH Zはポジションをキープし、No.3 CRAFTSPORTS MOTUL Zは1台をかわしてオープニングラップを終了。すると、GT300車両のアクシデントのため早速セーフティカーが導入されました。

3周目を終えたところでセーフティカーは退去し、バトルが再開されました。No.23 MOTUL AUTECH ZとNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL Zは、それぞれのポジションを保ちつつ、前走車にプレッシャーをかけていきます。特にNo.23 MOTUL AUTECH Zは、前を行くNo.16 ホンダ NSX-GTに並びかけていくほどにチャージ。ただし、オーバーテイクには至りませんでした。

すると、13周目に入ったあたりから、ついに雨が降り出しました。ただし、サーキットの全域ではなく、コースの後半区間はスリックタイヤのほうが速く走れる状態がしばらく保たれました。チームによって判断が分かれることになりましたが、No.3 CRAFTSPORTS MOTUL Zは15周目を終えたところでピットイン。湿った路面コンディション用のダンプタイヤに履き替え、ドライバーは千代のまま戦列に復帰しました。一方、No.23 MOTUL AUTECH Zは、まだスリックタイヤのまま走ることを選択。それにより、暫定的に2番手にまで順位を上げました。

No.3 CRAFTSPORTS MOTUL Zがダンプタイヤにスイッチしてからさらに3周もNo.23 MOTUL AUTECH Zがスリックタイヤで粘り続けていたところへ、GT300車両のコースアウトがありました。その処理のために、全車追い越し不可となるFCY(フルコースイエロー)が発動される可能性が高いと読んだNISMOチームは、ここでNo.23 MOTUL AUTECH Zをピットに呼び戻すことに。19周目を終えたところで、同車もダンプタイヤに履き替えました。そして、GT500の全車がウェット用のタイヤに交換したところで、No.23 MOTUL AUTECH Zは5番手、No.3 CRAFTSPORTS MOTUL Zは7番手につけていました。

ここからは、ミシュランならではのダンプタイヤが、その本領を存分に発揮するステージとなりました。No.23 MOTUL AUTECH ZとNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL Zは他車を圧倒するハイペースで周回を重ね、幅が狭く、抜きどころが限られているコースにもかかわらず、先行車両を次々にオーバーテイク。27周目には、首位走行中であったNo.38 トヨタ GRスープラを第1〜2コーナーでアウトから抜き去るというスピードの差を見せつけ、No.23 MOTUL AUTECH Zが首位を奪いました。さらに、翌28周目にはNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL ZもNo.38 GRスープラをかわして2番手に上がり、ミシュランタイヤ装着車の1-2態勢に。2台は、その後もペースを緩めることなく走り続け、後続との差を大きく広げていきました。

そして、44周目を終えたところで、首位を走るNo.23 MOTUL AUTECH Zがピットへ。給油と、松田へのドライバー交替、新品のダンプタイヤへの交換を行いました。No.3 CRAFTSPORTS MOTUL Zがこの間に先行して首位に立ちましたが、No.23 MOTUL AUTECH Zはピットストップを行いながらも2番手で戦列に復帰。それまでに後続に対して築いていたリードがいかに大きかったかがうかがえました。

日産のワークスチームであるNISMOが走らせているNo.23 MOTUL AUTECH ZとNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL Zの2台ですが、レースはそれぞれが独自判断を利かせて戦っています。そして、No.3 CRAFTSPORTS MOTUL Zを走らせるNDDP RACINGは、僚友車と同様にピットに入ることを今回は選択せず、16周目から履いてきたダンプタイヤで可能なかぎり引っ張る作戦を採りました。

83周のレースが半分を過ぎたあたりで雨は上がり、路面がどんどん乾いていく状況になりました。そうしたコンディションのもとで、No.3 CRAFTSPORTS MOTUL Zが装着したミシュランのダンプタイヤは、すでに25周以上を走ってきた状態ながら、ライバルたちが履くフレッシュなレインタイヤを凌駕するパフォーマンスを発揮し続け、首位の座を確たるものにしていきました。

周回数が50周を超えた頃には、レーシングラインはすっかりドライとなり、レインタイヤからスリックタイヤにスイッチする車両が続出しました。そして54周目を終えたところで、No.23 MOTUL AUTECH Zが2度目のピットストップを行い、2セット目のダンプタイヤからスリックタイヤに履き替え、ドライバーは松田のままピットアウト。すると、その次の55周目終了時にはNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL Zがピットに入り、16周目から履き続けてきたダンプタイヤからスリックタイヤに交換。給油と、スタートから乗り続けた千代から高星へのドライバー交替を行いました。そして同車は首位の座を保ったままコースへ復帰。No.23 MOTUL AUTECH Zが引き続き2番手につけ、その後方とは30秒以上の大差がついた状態となっていました。

ゴールまでは30周弱がまだ残っていましたが、勝敗の行方はこの時点で決していました。No.3 CRAFTSPORTS MOTUL Zをドライブする高星は、後方とのギャップを見ながら、リスクを極限まで省いた丁寧なドライビングに徹し、3号車を今季2度目の優勝へと導きました。11番手という後方グリッドからスタートし、68kgという重いサクセスウェイトを抱えながらの大勝利でした。

また、No.23 MOTUL AUTECH Zは、最後まで勝利の可能性を諦めない松田がレース終盤においても猛烈なドライビングを展開。首位3号車とのギャップを約20秒も縮めたすえに、2位でフィニッシュしました。3位に入ったNo.16 ホンダ NSX-GTに対しては37秒ものリードを築き上げていました。

【GT300クラス】
ミシュランが今シーズンのGT300クラスでタイヤ供給を行っている唯一の車両であるNo.7 Studie BMW M4は、同クラスで6番目に重い63kgのサクセスウェイトを課されての出場でした。

それでも予選Q1は、荒 聖治のアタックにより7番手で突破。アウグスト・ファルフスが出走したQ2では11番手でしたが、上位に予選タイム抹消の車両とグリッド降格ペナルティの車両があったため、スターティンググリッドは9番手となりました。

そして決勝では、ミシュランタイヤのハイパフォーマンスが、GT500クラスとは逆パターンで発揮されました。レース序盤で雨が降り始めた中、ファルフスがステアリングを握ったNo.7 Studie BMW M4はスリックタイヤで走り続けました。しかも、ウェットタイヤにスイッチしたライバルたちと遜色のないタイムで周回を重ね、ついにはクラス首位に浮上。そして、28周目終了時にルーティンのピットストップを迎えるまで、とうとうスリックタイヤのままで走り通したのでした。

ダンプタイヤにスイッチしたNo.7 Studie BMW M4に新たに乗り込んだ荒も好走を見せ、一時はクラス2番手にまで進出。やがて路面が乾いていき、7号車は48周目終了時にピットに入ってスリックタイヤに換装しました。このレース後半でのドライタイヤでのペースは、やや競争力を欠くもので、幾分ポジションを落とすことになりました。それでもNo.7 Studie BMW M4は5位でフィニッシュし、6ポイントを獲得。同車でシリーズ全戦に出場している荒は、ポイントランキングを5位に上げました。

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■日本ミシュランタイヤ モータースポーツダイレクター 小田島広明のコメント:

「我々のミシュランタイヤを使用してGT500クラスに出場した23号車と3号車は、ともにソフトのスリックタイヤで予選を走り、決勝の最初のスティントも自ずとそのタイヤで走りました。3号車については、第2スティントでダンプタイヤを、第3スティントではミディアムのスリックタイヤを使用しました。一方、23号車は、第2スティントと第3スティントではダンプタイヤを履き、第4スティントでミディアムのスリックタイヤにスイッチしました。GT300クラスの7号車は、予選と決勝の第1スティントではミディアムのスリックタイヤを履き、第2スティントではダンプタイヤ、そして第3スティントではソフトのスリックタイヤを使用しました。
 我々は、ウェットタイヤにおいて進歩を遂げてきていたのですが、それを実戦で証明する機会がなかなかありませんでした。他のタイヤメーカーも進化していると思いますが、今回は我々のレインタイヤがとても高いパフォーマンスを示しました。GT500クラスのミシュラン勢は、各車がウェットタイヤに履き替えた中では、他の車両より1周で4秒以上も速いタイムで走行しました。雨が降り出して路面がウェットになりましたが、やがて雨が上がって路面は乾いていきました。そうした中で、我々のウェットタイヤはライバルに大きなアドバンテージを示すことができました。3号車の千代は、チームが戦略的なアドバンテージを握るまでウェットタイヤで走り続けて、ピットストップを遅らせることができました。我々のレインタイヤは、変化していく路面コンディションに幅広く対応できるキャパシティの大きさを証明しました。
 GT300クラスでは、他の車両がウェットタイヤに切り替えていく中で、7号車のファルフスはドライバー交替ができるタイミングになるまでスリックタイヤで走り続けたことが、大きなポイントになりました。ただし、第3スティントでは、今度は荒が濡れた路面をスリックタイヤで走り続けましたが、このときは第1スティントにおけるファルフスのようなアドバンテージは得られませんでした。これは、我々が究明しなければならない問題だと考えています」

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SUPER GT第6戦 菅生

雨が路面を濡らしてからは、ミシュラン独自のダンプタイヤの独壇場でした。2台のミシュランタイヤ装着車は、ライバル車両を1周につき数秒も上回るハイペースで周回。そして、レース半ばに雨が上がって路面が乾き出してからも、ミシュランのダンプタイヤは高いグリップを発揮し続けました。

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15周目終了時にNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL Zはピットに入り、ダンプタイヤにスイッチ。ここで履いたタイヤを、その後40周にわたって履き続け、圧倒的なリードを築き上げました。

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快心の勝利を決め、普段は控え目な高星も、ご覧のポーズを決めてくれました。今季2勝目により、彼と千代のコンビはランキング首位に再浮上。タイトルを視野に捉えました。

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終盤に猛烈な追い上げを見せたNo.23 MOTUL AUTECH Z。2位は悪い結果ではありませんが、松田とクインタレッリにとっては、勝利を逃した悔しさのほうが強いレースとなりました。

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ウェット路面をスリックで走り続けたNo.7 Studie BMW M4のラップタイムは、レインタイヤ装着車と遜色ないものでした。ミシュランタイヤの懐の深さがここでも披露されました。

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GT500で1-2フィニッシュを飾り、GT300でも高性能を示したミシュランタイヤ。仲間からの称賛に、小田島広明モータースポーツダイレクターもさすがに満面の笑顔でした。

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2022年の菅生大会は、ミシュランタイヤ装着車による圧倒的な1-2フィニッシュで記憶されるレースとなりました。写真のダンプタイヤに用いた技術は、やがては、お客様が使用される一般の乗用車用ミシュランタイヤにも注ぎ込まれていくことになります。

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