supergt 2023 rd6 hero

SUPER GT 2023 ROUND 6
SUGO

■予選:9月16日/決勝:9月17日
■開催地:スポーツランドSUGO(宮城県)
■レース距離:300km(84周×3.586 km)

MOTUL AUTECH Zが2位を獲得。シリーズ残り2戦で
ミシュランタイヤ装着車がランキング1位&3位に

世界随一のタイヤ競争が繰り広げられているSUPER GTシリーズ。その2023年シーズン第6戦がスポーツランドSUGOで開催され、トップカテゴリーであるGT500クラスをミシュランタイヤで戦うNo.23 MOTUL AUTECH Z(松田次生/ロニー・クインタレッリ)は、予選で2位を奪うと、決勝でも2位を獲得し、ドライバー部門のシリーズランキングで3位に再浮上しました。また、もう一台のミシュランタイヤ装着GT500車両であるNo.3 Niterra MOTUL Z(千代勝正/高星明誠)は、同クラスで最も重いサクセスウェイトのハンディを抱えながらの戦いでしたが、今大会を9位で終え、チャンピオン争いにおいて貴重な2ポイントを手に入れて、ランキング首位の座をキープ。これにより、今シーズンも残り2戦となったところで、GT500クラスに参戦する2台のミシュランタイヤ装着車のドライバーがシリーズランキングで1位と3位を占めることになりました。

supergt 2023 rd6 result
supergt 2023 rd6 01

SUPER GT第6戦 菅生
松田次生/ロニー・クインタレッリ

50kgという軽くはないサクセスウェイトを課されながら今大会に出場したNo.23 MOTUL AUTECH Zでしたが、土曜午前の公式練習でトップタイムを記録すると、Q1(予選第1セッション)でも最速。進出したQ2(予選第2セッション)では2位のタイムをマークしました。そして臨んだ決勝レースでも、優勝を狙うポジションを力強く走り続けたすえに3番手でフィニッシュ。すると、レース後の車両検査において、トップでゴールしたマシンに規定違反が発見されて同車は失格となったため、松田とクインタレッリが駆ったNo.23 MOTUL AUTECH Zの今大会の最終成績は2位となりました。

supergt 2023 rd6 02

SUPER GTのサクセスウェイト制度のもとでは、今大会までは、規定で最大の係数を獲得シリーズポイントにかけた数値のハンディが各車に課されます。その上限は100kgとされており、No.7 Studie BMW M4がそのステッカーを貼ることは、同車の強さの証と言えるのです。

supergt 2023 rd6 03

今大会の舞台となったスポーツランドSUGOは、コースの高低差が大きく、コンパクトなコーナーが続くサーキットです。今シーズンのSUPER GTではただ一度となる東北地方開催ラウンドでしたが、土曜と日曜の2日間で合計2万7900人の来場者がありました。

supergt 2023 rd6 04

フィジカルトレーナーの指示のもと、縄跳びなどで心身をウォームアップさせている松田次生。6月の鈴鹿大会で大きなアクシデントに見舞われ、約1カ月半にわたる入院生活を余儀なくされた彼ですが、体調を万全の状態に戻して今大会に臨んでいました。

supergt 2023 rd6 05

松田のドライブにより、No.23 MOTUL AUTECH Zは公式練習、Q1と立て続けにトップタイムをマーク。ロニー・クインタレッリが担当したQ2では、首位に0.073秒だけ及びませんでしたが、ハンディの軽い車両と互角以上に戦える23号車の競争力を印象づけました。

supergt 2023 rd6 06

今大会でもGT500クラス最大のサクセスウェイトを抱えたNo.3 Niterra MOTUL Zでしたが、Q1で8番手のタイムを叩き出してQ2進出を決めてみせました。決勝で10位以内に入ればポイント獲得が可能であり、少しでも多くのポイントを持ち帰ることが今回の目標でした。

supergt 2023 rd6 07

規定最大のサクセスウェイト100kgを抱えて今回のGT300クラスに出場した車両は4台。そのうち3台がQ1を突破してQ2へ進みましたが、その一台がNo.7 Studie BMW M4でした。SUPER GT出場2戦目のブルーノ・シュペングラーが菅生に挑むのは、これが初めてでした。

SUPER GTでは、「サクセスウェイト」と呼ばれるハンディキャップを各出場車両に前戦終了時点での獲得シリーズポイントに応じて課す制度を採用しています。今大会をドライバーズランキング首位で迎えたNo.3 Niterra MOTUL Zの千代勝正/高星明誠組は、獲得ポイントが49点で、課されたサクセスウェイトは98kg。実際には、エンジンへの燃料供給量を制限する燃料リストリクターの規制が3段階も強められた上に、48kgのウェイト(重り)を実装した状態での出走でした。また、ランキング7位/獲得ポイント25点であるNo.23 MOTUL AUTECH Zの松田次生/ロニー・クインタレッリ組は、50kgのウェイトを積んで出場しました。

【GT500クラス予選】
9月半ばの東北地方では不安定な天候が続いていました。今大会の搬入日であった9月15日(金)のスポーツランドSUGOも、日中にゲリラ的な豪雨に見舞われたほか、未明にも降雨がありました。予選日である9月16日(土)の朝には雨は上がっていましたが、午前中に実施された公式練習の開始時点では路面は濡れた状態。走行が進むにつれて路面は乾いていき、完全にドライコンディションとなったセッション終盤には、ミシュランタイヤを履くNo.23 MOTUL AUTECH Zが松田次生のドライブによりトップタイムを記録しました。

その後も曇天模様で推移したスポーツランドSUGOでしたが、公式予選の最初のセッションとなるGT300クラスのQ1(予選第1セッション)Aグループの開始前にも降雨が。ただし、ほどなく止み、GT300クラスの2グループのQ1セッションが行われていくうちに路面は乾いていくことに。そして、午後3時13分からのGT500クラスのQ1は、路面温度29℃のドライコンディションでのセッションとなりました。

ここでトップタイムを叩き出したのは、またも松田が乗り込んでいたNo.23 MOTUL AUTECH Zでした。また、高星明誠がこのセッションを担当したNo.3 Niterra MOTUL Zは、GT500クラスの中で最も重いサクセスウェイトを抱えながら8番手のタイムを出してQ1突破を果たしました。

GT500クラスのQ2(予選第2セッション)は午後3時51分にスタート。雲の合間から日差しが降り注ぐ天候となり、路面温度は32℃でした。No.23 MOTUL AUTECH Zのステアリングは、このセッションではロニー・クインタレッリが握りましたが、従来のコースレコードを塗り替える1分09秒486をマーク。その後、No.8 ホンダ NSX-GTに0.073秒だけ上回られてしまいましたが、23号車は2戦連続での予選2位獲得を果たしました。

No.3 Niterra MOTUL ZのQ2は千代勝正が担当しました。予選結果は8位となりましたが、ハンディが88kgも軽いNo.24 Nissan Zに1000分の8秒及ばなかっただけの好タイムを記録。総じて、ミシュラン勢のパフォーマンスの高さを強く印象づけた予選となりました。

【GT500クラス決勝】
決勝日である9月17日(日)のスポーツランドSUGOも朝から曇天。午後1時30分のフォーメーションラップ開始時の気温は28℃、路面温度は31℃で、レース距離300km/周回数84周の決勝は終始ドライ路面で行われました。湿度が高く、体力の消耗が激しいコンディションでした。

GT500クラスを戦う2台のミシュランタイヤ装着車は、レース序盤はそれぞれのスタート時のポジションをキープ。もちろん、平穏に走っているわけではなく、各々の位置におけるライバルたちとの細かな駆け引きやバトルを繰り広げながらの走行でした。やがて、GT300クラスの車両群が周回遅れとなって現れ始めると、No.3 Niterra MOTUL Zは9周目に一気に3つポジションを失いましたが、翌10周目にはすぐに1台を抜き返しました。

28周目には今大会のレース周回数の3分の1を超え、ひとりのドライバーの義務周回数がクリアされた状態となりました。すると、30周目を終えたところでNo.23 MOTUL AUTECH Zがルーティンのピットストップを実施。その4周後にはNo.3 Niterra MOTUL Zもピットに入り、給油、タイヤ交換、そしてドライバー交替を行いました。

No.3 Niterra MOTUL Zがピットアウトしてから数分後、メインストレート上でGT500車両がGT300車両と交錯してクラッシュする大きなアクシデントが発生しました。すぐにセーフティカーが導入され、その後、赤旗が提示されてレースは中断となりました。

クラッシュ車両の処理などのための中断は1時間近くにわたり、レースは午後3時20分にセーフティカー先導により再開に。45周目をもって、バトルの火蓋が再び切って落とされました。アクシデント発生後にセーフティカーが入ったタイミングの影響によって、優勝争いは3台に絞られた状況となっており、その中にはNo.23 MOTUL AUTECH Zも含まれていました。

レース後半でトップ2を走り続けたのは2台のホンダ NSX-GTでした。そして、両車が激しくやり合う背後にNo.23 MOTUL AUTECH Zがつけ、虎視眈々とチャンスを狙い続けました。23号車は、レースも残り6周となるメインストレート上でNo.8 NSX-GTの前へ一旦出てみせましたが、第1コーナーでインをしっかり押えたライバルを抜き切ることはできませんでした。

レース後半で23号車を駆った松田次生は、その後もライバルの背後につけてオーバーテイクを狙い続けました。チャンスは残念ながら訪れませんでしたが、No.23 MOTUL AUTECH ZはNo.8 NSX-GTに遅れることわずか0.529秒でゴール。レース後の車両検査もクリアし、同車検での失格裁定のために2位表彰台を失った前戦鈴鹿大会の雪辱を果たしました。

GT500クラスにおけるもう一台のミシュランタイヤ装着車のNo.3 Niterra MOTUL Zは、34周目終了時に千代勝正から高星明誠に交替すると、GT500クラスの走行全車がルーティンのピットストップを終えたところで7番手につけていました。しかし、スティントの後半ではペースの維持に苦しみ、3つポジションを落として10番手でチェッカーフラッグを受けました。

するとレース後の車両検査の結果、トップでフィニッシュしたNo.17 ホンダ NSX-GTに対して失格の裁定が下り、2番手以下のGT500クラス完走車両の順位がひとつずつ繰り上がることに。これにより、No.23 MOTUL AUTECH Zは2位、No.3 Niterra MOTUL Zは9位で今大会を終え、それぞれ貴重なポイント獲得を果たしました。

【GT300クラス】
25台が出場したGT300クラスですが、その中でミシュランが唯一タイヤ供給を行っているNo.7 Studie BMW M4は、レギュラードライバーの荒 聖治がポイントランキングで首位タイにつけた状態で今大会に出場。獲得シリーズポイントは40点で、レギュレーション内の最大値である100kgのサクセスウェイトを前戦に続いて課されながらのレースとなりました。

GT300クラスは出場台数が多いため、予選は2つのグループに分けて行われますが、No.7 Studie BMW M4は今大会ではAグループへの出走でした。すると、そのセッションの直前に降雨が。セッション開始時には雨脚は弱まっていたものの、路面は完全に濡れた状態となっており、全車がウェットタイヤを履いての走行となりました。

このQ1のAグループでNo.7 Studie BMW M4をドライブしたのは荒でした。同車には、午前中の公式練習でステアリング系にトラブルが出ていましたが、しっかり修理され、予選では順調に走行。自車よりサクセスウェイトが軽いライバルたちを上回る5番手タイムを記録して、Q1突破を果たしました。

進出したQ2で、No.7 Studie BMW M4にはブルーノ・シュペングラーが乗り込みました。彼は、スポーツランドSUGOを走るのは今大会が初めてで、しかも1周を公式練習でこなしただけの状態で予選アタックを余儀なくされました。路面はすでに乾いていて、各車ドライタイヤを履いての走行でしたが、No.7 Studie BMW M4は、サクセスウェイトが最も重い上に、シュペングラーがまさにぶっつけでのアタックになったことが重なって、上位タイムは望みようがなく、予選16位となりました。

ドライコンディションで迎えた決勝レースにおいて、BMW M Team Studie x CRSはスタートドライバーの役割をシュペングラーに任せました。2012年のDTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)チャンピオンである彼は、コース幅の狭いスポーツランドSUGOでのローリングスタートを順調にこなし、ポジションをキープしながらレース序盤を走行。10周目には1台をかわして15番手に順位を上げました。その後、GT500車両との軽い接触がありましたが、相手にも自車にも問題はなく、目標レース周回数の3分の1をクリアした26周目終了時にピットへ。給油、タイヤ交換、そして荒へのドライバー交替を行いました。

後半スティントは51周にわたる長いものとなりましたが、荒が駆るNo.7 Studie BMW M4とミシュランタイヤは安定的に周回を重ねていきました。そして、最終的にはスタート位置から2つポジションを上げた14番手でゴール。すると、GT300クラスにおいてもレース後の車検でトップフィニッシュ車両に失格裁定が下ったことから、No.7 Studie BMW M4の順位はひとつ繰り上がって13位となりました。もっとも、ドライバーズポイントの獲得はいずれにせよならず、荒はドライバーズランキングにおいて2位とは同ポイントの3位に。首位との差は10ポイントで、シーズンは残り2戦となりました。

odajima 2023
■日本ミシュランタイヤ モータースポーツダイレクター 小田島広明のコメント:

「今回の300kmレースに持ち込んだ我々のドライコンディション用タイヤですが、GT500クラスの3号車にはソフトとミディアムとハード、23号車にはミディアムタイヤでした。GT300クラスの7号車については、ソフトとハードのドライタイヤを用意しました。ウェットコンディションに対しては、GT500クラスの2台にはフルウェットのハードとダンプのソフトとハード、GT300クラスの7号車にはフルウェットのハードとダンプのミディアムとハードを、それぞれ持ち込んでいました。結果的に、GT500クラスの2台は、この週末を通じてミディアムのドライタイヤで走行しました。GT300クラスの7号車は、Q1ではダンプタイヤのハードを使いましたが、路面が乾いたQ2ではドライタイヤのソフトを履き、そのタイヤで決勝の前半スティントを走りました。そして後半スティントでは、ドライタイヤのハードを使用しました。
 23号車は、公式練習から予選に至るまで、常に最上位につけ、そのパフォーマンスの高さを示していました。決勝レースはカオス的な状況のものになりましたが、その中でも3番手でフィニッシュしてみせました。その結果、ポイントランキングで再び上位に浮上しました。3号車は、重いサクセスウェイトを抱えていたにもかかわらず好走を見せ、まずまずのポイントを獲得しました。このクルマが、98kgのサクセスウェイトを課されながらQ2に進出したのは、すごいことだと思っています。
 7号車に関しては、ブルーノ・シュペングラーが菅生を走ったことが一度もないという事情があり、彼には公式練習でコースに慣れてもらおうとチーム側では計画していました。ところが、車両がトラブルを抱えたことにより、ブルーノは本当にわずかにコースを走っただけの状態で予選アタックに臨み、コースに慣れないままレースを走ることになりました。重いサクセスウェイトとBoP(性能調整措置)により、7号車にとっての今回のレースはタフなものになるだろうとは思っていたのですが、実際に、本当に厳しいものになりました」

supergt 2023 rd6 08

SUPER GT第6戦 菅生
Niterra MOTUL Z

サクセスウェイト制度にもとづいて、燃料の流量を絞られてエンジンのパワーを抑えられ、さらに48kgの重りを積まされたハンディは、No.3 Niterra MOTUL Zからフットワークの軽さを奪い、レース中に周回遅れとなる多数のGT300車両をタイミングよく抜いていこうとする際にはとりわけ重い足かせになりました。それでも、千代勝正と高星明誠のコンビは懸命な走りを続けたすえにポイント獲得を果たし、シリーズランキング首位の座を守りました。

supergt 2023 rd6 09

決勝レースのスタートが迫ってきていたスポーツランドSUGOの上空は灰色の雲で覆われていましたが、降雨がある可能性は低いと予想されていました。いずれにせよミシュランとしては、ドライのままでも、ウェットになっても、存分に戦える用意がありました。

supergt 2023 rd6 10

ロニー・クインタレッリが乗り込み、2番手グリッドからスタートしたNo.23 MOTUL AUTECH Zは、後続のライバルたちを巧みに押さえ込み続けてポジションをキープ。クインタレッリの乗車義務周回数をクリアしたところでピットに入り、その後も順調に戦いを進めました。

supergt 2023 rd6 11

37周目に大きなアクシデントが発生し、レースは赤旗中断に。その前にセーフティカーが入ったタイミングが各車の明暗を分けましたが、No.23 MOTUL AUTECH Zは引き続き優勝争いを展開。最終的には2位を獲得し、ランキング3位に再浮上することになりました。

supergt 2023 rd6 12

レース前半におけるNo.3 Niterra MOTUL Zのペースは、サクセスウェイトの重さを考えれば上々のものでしたが、路面温度が下がってきた後半パートでは苦戦。それでも戦い抜いた結果として9位・2ポイントを手に入れ、ランキング首位の座を守ってみせました。

supergt 2023 rd6 13

GT300クラスのNo.7 Studie BMW M4は、100kgの重さのサクセスウェイトだけでなく、厳しさを増したBoP(性能調整措置)も受けながら今大会に臨んでいました。抱えたハンディの大きさから、ポイントを獲得できる10位以内に入ることはいずれにせよ困難でした。

supergt 2023 rd6 14

同じNissan Z GT500で他メーカーのタイヤを履く車両に勝つ──ミシュランのGT500クラスにおける一番のターゲットを2戦連続で達成し、シリーズランキングで1位と3位を占めた状態でラスト2戦へ。ミシュランはタイヤメーカーとしての全力を尽くしてパートナーチームを支え続けます。

You are using an unsupported web browser
本ウェブサイトではサポートされていないウェブブラウザをお使いのようです。一部の機能が正常に作動しない場合があります。閲覧中に動作が不安定になる場合があります。このウェブサイトを最大限活用していただくため、以下のブラウザのいずれかを使用していただくか、アップグレードまたはインストールしてください