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SUPER GT 2023 ROUND 7
AUTOPOLIS

■予選:10月14日/決勝:10月15日
■開催地:オートポリス(大分県)
■レース距離:450km(97周×4.674 km)

Niterra MOTUL Zが3位表彰台を獲得
ミシュランは今季5度目の日産勢最上位に

高度なタイヤ競争が行われているSUPER GTシリーズの2023年シーズン第7戦がオートポリスで開催され、ミシュランタイヤ装着車のNo.3 Niterra MOTUL Z(千代勝正/高星明誠)が3位に入り、同車としては今季3度目の表彰台を獲得しました。この結果により、ミシュランは、異なる3つのメーカーのタイヤを使用している日産のGT500勢の中で最上位を得るという目標を、今シーズンここまでの7戦のうち5戦で達成することになりました。
GT500クラスにおけるもう一台のミシュランタイヤ装着車であるNo.23 MOTUL AUTECH Z(松田次生/ロニー・クインタレッリ)は10位でフィニッシュ。そして、GT300クラスでミシュランがタイヤ供給を唯一行っているNo.7 Studie BMW M4(荒 聖治/ブルーノ・シュペングラー)は、クラス8位で今大会を終えました。

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SUPER GT第7戦 オートポリス
Niterra MOTUL Z

決勝レース中に果敢なオーバーテイクを何度も決め、コース上で強い輝きを見せた一台となったNo.3 Niterra MOTUL Z。開幕戦岡山での2位、第4戦富士での優勝に続く今大会の3位入賞により、今シーズン3度目の表彰台獲得を果たしました。そして今大会の結果、同車を全戦でドライブする千代勝正と高星明誠のコンビは、ドライバー部門のシリーズ成績において首位と7ポイント差のランキング2位となり、次戦である最終戦をシリーズタイトルをかけて戦うことになりました。

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オートポリスは、路面の舗装が粗めなことなどから、タイヤへの攻撃性が比較的高いサーキットです。同コースで、450kmと長めのSUPER GT戦が開催されるのは今回が初めてで、どのような戦略を組み立てて臨むかが、チームによってかなり分かれたレースとなりました。

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No.23 MOTUL AUTECH ZとNo.3 Niterra MOTUL Zは、車両も運営チームの母体も同じですが、各レースで採る戦略は異なり、それに基づいてミシュランが用意するタイヤの仕様も違います。また、レース開催時の気象条件の予測も、タイヤの仕様決定に大きく影響します。

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No.3 Niterra MOTUL Zは、今大会において燃料リストリクターの規制強化のハンディを唯一抱えた車両でしたが、あと1台を上回れればQ1突破となったというレベルの好タイムをマーク。予選結果は9位でしたが、決勝での活躍が大いに期待できる仕上がりでした。

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No.23 MOTUL AUTECH Zの予選Q1は松田次生が担当しました。僚友車であるNo.3 Niterra MOTUL Zの千代勝正がQ1で記録したタイムには約0.4秒及ばなかっただけでしたが、そのタイム差の中に4台が割って入り、23号車は予選14位に沈むことになりました。

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No.7 Studie BMW M4を走らせるBMW M Team Studie x CRSは、オートポリスを今回初めて走ったブルーノ・シュペングラーにQ1を任せました。彼はチームの期待に見事に応え、Bグループ4位のタイムをマーク。進出したQ2は荒 聖治が担当し、予選11位となりました。

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決勝レーススタート時のオートポリスの上には、黒い雲が覆いかぶさっていました。しかし、この雲は移動していき、やがて青空が広がりました。また、スタート前には、航空自衛隊のF-15戦闘機がサーキットの上を低空で通過する歓迎飛行が実施されました。

SUPER GTでは、各出場車両に前戦終了時点での獲得シリーズポイントに応じてハンディキャップを課す「サクセスウェイト制度」を採用しています。GT500クラスでは、第2戦から第6戦までは獲得ポイント1点につき2kgのハンディという計算ですが、シリーズの7戦目では獲得ポイント1点につき1kgに。すなわち、第7戦である今大会における各車は、抱えるハンディが前戦のほぼ半分となった状態でレースを戦いました。

GT500クラスのミシュランパートナーチームの場合、No.3 Niterra MOTUL Zの千代勝正/高星明誠組は、獲得ポイント51点=サクセスウェイト51kgで、実際には、エンジンへの燃料供給量を制限する燃料リストリクターの規制が1段階強められた上で、34kgのウェイト(重り)を搭載。そして、No.23 MOTUL AUTECH Zの松田次生/ロニー・クインタレッリ組は、獲得ポイント数と同じ40kgのウェイトを実装して出場しました。

【GT500クラス予選】
今大会の舞台であるオートポリスは、九州阿蘇山系の中にあり、このレースウィークの気候は秋本番の訪れを感じさせるものでした。予選日である10月14日(土)の早朝には降雨がありましたが、同日の午前中に行われた公式練習のうちに路面は乾き、午後の予選はドライコンディションのもとでの実施となりました。

GT500クラスのQ1(予選第1セッション)は、午後3時33分に開始。気温は19℃、路面温度は23℃と低めでした。このQ1に出走したミシュランタイヤ装着車のドライバーは、No.23 MOTUL AUTECH Zが松田次生、No.3 Niterra MOTUL Zが千代勝正でした。

No.3 Niterra MOTUL Zは、今大会における出場車両の中で、燃料リストリクター規制を強められるハンディを抱えた唯一の車両でした。それにもかかわらず、同車は1分32秒681という好タイムをマークしました。しかし、8位とはわずか0.14秒の差で9位となり、8位以上が進出できるQ2(予選第2セッション)には進めませんでした。一方、No.23 MOTUL AUTECH Zはコンディションとのマッチングに苦しみ、14位に終わりました。

【GT500クラス決勝】
今大会は、オートポリスでのSUPER GT戦としては初の450kmという長さのレースで、1周4.674kmのサーキットを97周し、その途中で2度の給油の義務づけがあるという戦いでした。決勝日であった10月15日(日)は、雲が多いながらも晴天で、しかし冷たい風が強く吹くという天候。3時間弱にわたった決勝レースは終始ドライコンディションのもとで行われ、スタート時の気温は18℃、路面温度は22℃と、前日のQ1開始時より1℃ずつさらに低いものでした。

GT500クラスに出場したミシュランタイヤ装着車2台は、ともにオープニングラップでひとつ順位を上げ、No.3 Niterra MOTUL Zは8番手、No.23 MOTUL AUTECH Zは13番手に。その後、両車は数周にわたってポジションをキープしましたが、No.3 Niterra MOTUL Zは6周目に順位をひとつ落とし、No.23 MOTUL AUTECH Zは逆に7周目にふたつポジションアップしました。

今大会では、各チームが採ったレース戦略は様々なものとなり、ピットストップのタイミングも一律でなかったため、ピットにおける順位変動がひっきりなしに生じるレースとなりました。そうした中で、No.3 Niterra MOTUL Zはコース上でのオーバーテイクをたびたび披露。レース前半で同車のステアリングを握った千代勝正は、21周目にはNo.14 トヨタ GRスープラを果敢なレイトブレーキングで抜き去ってみせ、観衆を沸かせました。

その21周目を終えたところで、当時7番手を走っていたNo.23 MOTUL AUTECH Zがピットストップを実施しました。同車を走らせるNISMOチームは、ここで行う作業はタイヤ交換のみとして停止時間を短く済ませ、コース上で競り合っていたライバルたちを出し抜く作戦を採りました。

一方、NDDP RACINGは異なるレース戦略を採り、No.3 Niterra MOTUL Zは29周目終了時まで引っ張ったところで1回目のピットストップへと向かい、タイヤ交換と給油を行いました。そしてピットアウト後も同車のドライビングを引き続き担当した千代は、35周目に同じNissan Z GT500でブリヂストンタイヤを履くNo.1 Nissan Zをパスし、コース上での直接対決でまたも順位を上げてみせました。

39周目を終えたところで、No.23 MOTUL AUTECH Zが2度目のピットストップを実施しました。今度は、タイヤ交換に加えて給油も行いましたが、ドライバー交替はまだなく、ロニー・クインタレッリが3スティント目に入っていきました。

中盤に入るとレース状況は全般的に落ち着きを見せ、No.3 Niterra MOTUL Zは4番手、No.23 MOTUL AUTECH Zは13番手を走り続けました。そして、先行車両3台が先に2回目のピットストップへと向かっていったことで、No.3 Niterra MOTUL Zは60周目には暫定トップに浮上。ただし、その5周後にはNo.3 Niterra MOTUL Zもピットロードへと進み、タイヤ交換と給油、そしてドライバー交替を行いました。

高星明誠が新たに乗り込んだNo.3 Niterra MOTUL Zは、66周目にライバル車1台をかわすと、続く67周目にも1台を抜き去って2番手に上がりました。もっとも、その背後には、チャンピオン争いにおける直接のライバルでもあるNo.36 GRスープラが迫ってきました。

やがて、No.3 Niterra MOTUL ZとNo.36 GRスープラはテール・トゥ・ノーズの状態となりましたが、高星は巧みなドライビングでライバルを抑え続けました。しかし、76周目のコース後半で、No.3 Niterra MOTUL ZはGT300車両に前を塞がれた格好になり、その状況を逃さず仕掛けてきたNo.36 GRスープラに先行されました。

その後、No.36 GRスープラはもう一台をかわして首位に浮上しました。そして、No.36 GRスープラにかわされて2番手に後退したNo.16 ホンダ NSX-GTを、No.3 Niterra MOTUL Zが追い立てていきました。高星は果敢なチャージを見せましたが、しかし0.38秒届かず、No.3 Niterra MOTUL Zは3位でのフィニッシュとなりました。

今大会の結果、GT500クラスドライバー部門のランキング首位にはNo.36 GRスープラの坪井 翔/宮田莉朋組が立ち、これを7点差で追うランキング2位にNo.3 Niterra MOTUL Zの千代勝正/高星明誠組、さらに9点後方のランキング3位にNo.16 ホンダ NSX-GTの
福住仁嶺/大津弘樹組がつける、というオーダーに。そして、次戦であるシリーズ最終戦にチャンピオンの可能性を持って臨むのは、以上の3台のドライバーたちに絞られました。

なお、No.23 MOTUL AUTECH Zは67周目終了時に3回目のピットストップを実施し、タイヤ交換と給油、そしてドライバー交替を行いました。松田次生が担当した最終スティントでのNo.23 MOTUL AUTECH Zの走行ペースは良好で、17秒以上あった前走車との差を1秒を切るところにまで縮めて追い詰めましたが、オーバーテイクには至らず、10位で今大会を終えました。

【GT300クラス】
今大会のGT300クラスへのエントリー台数は25台。その中で、ミシュランが唯一タイヤ供給を行っているNo.7 Studie BMW M4は、クラス中2番目に重い60kgのサクセスウェイトを実装しての出場でした。

GT300クラスの予選Q1は2つのグループに分けて行われますが、今大会におけるNo.7 Studie BMW M4はBグループへの出走でした。そのQ1でのタイムアタックを、BMW M Team Studie x CRSは今回はブルーノ・シュペングラーに任せました。彼がオートポリスを走るのは今大会が初めてでしたが、2012年のDTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)チャンピオンは、その実力をもって早々にコースを攻略。Bグループ4位のタイムを叩き出して、見事にQ1突破を果たしました。

予選Q2でのNo.7 Studie BMW M4のステアリングは荒 聖治が握りました。彼が同セッションでの自己ベストを記録した時点では5番手に相当するタイムでしたが、その後、ライバルたちのタイム更新があり、最終的には11位で予選を終えました。

決勝は2回の給油が義務づけられた長丁場のレースでしたが、BMW M Team Studie x CRSは、6割の周回数を荒に、4割をシュペングラーにそれぞれ任せました。レース前半の走行を担当したのは荒で、その序盤は10番手を走行。20周目終了時に1回目の、そして55周目終了時に2回目のピットストップを行い、その2回目のピットでシュペングラーに交替しました。

No.7 Studie BMW M4は、荒の1スティント目の途中から車両に不具合を抱えていましたが、両ドライバーがそれをカバーして力走を続けました。そして最終的には、予選順位から3つポジションアップを果たした8位でフィニッシュを迎えました。

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■日本ミシュランタイヤ モータースポーツダイレクター 小田島広明のコメント:

「今回はオートポリスで初めての450kmレースでしたが、我々はドライコンディション用タイヤについては、GT500クラスの3号車には今大会におけるソフトとミディアムとハードの3仕様を、23号車にはソフトとミディアムの2仕様を用意しました。3号車は、Q1、そして決勝の3つのスティントすべてでミディアムを使用しました。23号車は、Q1と決勝の最初のスティントではソフトを使いましたが、ロニーが引き続きドライブした2スティント目ではミディアムタイヤを選び、3スティント目ではソフトに戻し、最後の4スティント目ではまたミディアムを履きました。GT300クラスに関しては、我々はソフトとハードの2種類のコンパウンドのドライコンディション用タイヤを7号車に用意していました。Q1とQ2、そして決勝の最初のスティントではソフトを使い、2スティント目と3スティント目ではハードを使用しました。
 同じマシン同士のタイヤメーカー間の競争という点では、我々の製品は非常に良い結果を出したと、タイヤサプライヤーとしては評価しています。シリーズ争いを考えますと、3号車は、もちろん依然としてタイトル獲得の可能性を持っているわけですが、最終戦のひとつ手前であるこのレースを迎えるまでは首位を走っていたチームが、ここでひとつポジションを落としたことによって、緊張感は増すことになりました。
 3号車が履いたミディアムタイヤは、よく機能しました。しかし、23号車においては、ソフトタイヤもミディアムタイヤも、期待どおりではありませんでした。データをよく分析する必要があります。GT300クラスの7号車が今回どのくらい良い結果を出せるかということについて、我々は決して楽観的ではいられませんでしたが、このコースを一度も走ったことがなかったブルーノ・シュペングラーが予選Q1で良好なタイムを記録してQ2進出を果たしたことは良かったですし、荒も決勝で巧みなタイヤマネージメントを披露して、よく健闘したと思います。8位でフィニッシュし、わずかでもシリーズポイントを獲得できましたが、タイトル獲得の可能性がなくなってしまったのは残念です」

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SUPER GT第7戦 オートポリス
Niterra MOTUL Z

GT500クラスの中で最も重いサクセスウェイトのハンディを背負って今大会を戦ったNo.3 Niterra MOTUL Zとミシュランタイヤのコンビネーションですが、9番手グリッドのスタートから、順位を6つも上げて3位でフィニッシュし、ここまでランキング首位を走ってきた同車の地力の高さを示しました。次戦である最終戦は、チャンピオンの座をかけた大一番となります。

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ミシュランタイヤは今大会でも、ウォームアップ性能の高さを発揮。GT500クラスのNo.3 Niterra MOTUL ZとNo.23 MOTUL AUTECH Z、そしてGT300クラスのNo.7 Studie BMW M4と、すべてのユーザー車両がオープニングラップでポジションアップを果たしました。

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No.3 Niterra MOTUL Zは、パフォーマンスもリザルトも上々でした。しかし、チャンピオン争いにおける最大のライバルのNo.36 トヨタ GRスープラに上回られたため、千代勝正と高星明誠は表彰台に上りながらも、晴れ晴れとした笑顔を見せることができませんでした。

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1回目のピットストップを給油なしで短く済ませるという戦略に出たNo.23 MOTUL AUTECH Zでしたが、今回は走行ペースそのものが振るわず、10位でのフィニッシュに。今大会の結果、松田次生/ロニー・クインタレッリ組のタイトル獲得の可能性はなくなりました。

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GT300クラスのNo.7 Studie BMW M4は、安定走行時のペースはトップ車両のものと互角でしたが、その状態をキープすることが難しく、上位進出はなりませんでした。そして、同車を全戦でドライブする荒 聖治のタイトル獲得の望みも、ここで断たれました。

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今大会では、23号車用と7号車用のタイヤは、期待したレベルのパフォーマンスを発揮できませんでした。一方、3号車におけるタイヤの働きは良好で、今シーズン5度目となるミシュランタイヤ装着車によるNissan Z GT500勢の最上位獲得が果たされました。

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次戦であるシリーズ最終戦は、ミシュランがGT500クラスでタイヤ供給を行う最後のレースとなりますが、これまでと変わりなく、4つの参戦タイヤメーカーの中で最も優れたパフォーマンスを示すことを目標に、パートナーチームとともに全力で勝負に臨みます。

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