WEC 2022 ROUND 4
MONZA
■予選:7月9日/決勝:7月10日
■開催地:モンツァ・サーキット(イタリア)
■レース時間:6時間
新型ハイパーカー プジョー 9X8がデビュー
アルピーヌがトヨタを下して優勝をつかむ
ル・マン24時間から約1カ月のインターバルを置いてFIA世界耐久選手権(WEC)の2022年シーズン第4戦が開催されました。イタリアのモンツァ・サーキットで行われた6時間レースには、注目のニューマシンであるプジョー 9X8が初登場。トップカテゴリーであるハイパーカークラスに4つのマニュファクチャラーがそろいました。レースでは、プジョーもトヨタもグリッケンハウスもそれぞれ問題に見舞われることに。そうした中、トラブルフリーで走り続けたNo.36 アルピーヌ A480・ギブソンのアンドレ・ネグラオ/ニコラ・ラピエール/マシュー・ヴァクシヴィエール組が、セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川 亮組のNo.8 トヨタ GR010ハイブリッドを2.762秒差で下して、今季2勝目を挙げました。
モンツァ6時間
No.36 アルピーヌ vs No.8 トヨタ
レース終盤には、ヴァクシヴィエールがステアリングを握ったNo.36 アルピーヌ A480・ギブソンと、平川が乗り込んでいたNo.8 トヨタ GR010ハイブリッドが、時にはテールtoノーズとなるほどの僅差のトップ争いを展開。ハイパーカークラス出場4戦目の平川はよく戦いましたが、最後は2.762秒届かず。非ハイブリッド車のアルピーヌが開幕戦セブリング1000マイルに続く勝利を飾りました。
プジョーが10年ぶりに耐久レースに復活。注目の新型ハイパーカー、プジョー 9X8をデビューさせました。装着するのはもちろんミシュランタイヤで、フロント/リアともに31/71-18というサイズ。一方、トヨタ GR010ハイブリッドは、フロントが29/71-18、リアが34/71-18という違いを見せています。
トヨタ7号車と接触する場面もあったNo.36 アルピーヌ。最後はトヨタ8号車との一騎討ちとなりましたが、WEC独自の性能調整措置による恩恵もあって若干ペースに勝ったアルピーヌが勝利。ラピエール/ネグラオ/ヴァクシヴィエールのトリオはドライバーズランキング首位に浮上しました。
今大会の性能調整措置が厳しく影響したトヨタ勢は、予選でも決勝でもライバルの非ハイブリッド車に届きませんでした。それでも、8号車は序盤に電気系トラブルに見舞われたところからよく挽回。ミシュランタイヤの耐久性を信頼して、時には左側2輪のみのタイヤ交換とするなどの戦略が光りました。
初陣を迎えたプジョー 9X8はトラブル三昧でしたが、それは端から折り込み済みの話。同じハイブリッドのハイパーカーであるトヨタ GR010ハイブリッドの自己ベストに対して、予選では0.9秒落ち、決勝では0.5秒落ちのタイムをマークしました。ここからどこまで性能を上げてくるかが注目されます。
GTカテゴリーの上位クラスであるLMGTE Proクラスでは、AFコルセのフェラーリ 488 GTE EVOがレースの主導権を握り続けましたが、優勝を目前にして燃料が持たなくなり、残り2分で給油を強いられることに。シボレー・コルベット C8.Rがチェッカー間際の大逆転でシリーズ初優勝を飾りました。
今大会は、スタート時で46℃、最高時で55℃にも達した路面温度のもとでの耐久レースでした。そんな過酷なコンディションのもとでもミシュランタイヤは高性能を安定的に発揮。1セットのタイヤで2スティントを連続でこなすレース戦略を立てている各チームの信頼にしっかりと応えました。