世界最大規模のモータースポーツイベントのひとつであるル・マン24時間の2023年大会が、同レースの初開催から100年を数える記念大会として開催。フェラーリ AFコルセとトヨタGAZOOレーシングが22時間以上に渡って緊迫した首位争いを繰り広げ、No.51 フェラーリ 499P（アレッサンドロ・ピエール・グイディ／ジェイムズ・カラード／アントニオ・ジョビナッツィ）がこれを制しました。 今大会は、レース序盤から中盤に至るまで、不安定な天候が続きました。ミシュランが今シーズン投入したハイパーカークラス用の新しいウェットタイヤは、その材料の30％以上にリサイクル原料もしくは生物由来原料のサステナブル素材を用いたものですが、フルウェットから半乾きまで、様々な路面コンディションに対応する懐の深さを今回存分に発揮。ユーザー車両の戦いを強力に支え、ミシュランタイヤ装着車がこの伝統の一戦の総合優勝を26年連続で飾るという結果を手にしました。
左から、カラード、ピエール・グイディ、ジョビナッツィ。今シーズンからハイパーカークラスへ参戦を開始したフェラーリが、初めての勝利を大一番のル・マンで飾りました。フェラーリのワークスチームがル・マンのトップカテゴリーに出場したのは50年ぶり。そしてル・マンでの総合優勝は1965年大会以来でした。
通算では91回目の開催であった今年のル・マン24時間は、トップカテゴリーに５つもの自動車メーカーがワークス参戦するという盛況ぶり。一般客が車両を間近で見られる公開車検も、例年以上の人出で賑わいました。
第１回大会が1923年に行われてから100年。その記念大会の優勝トロフィーも特別なものが用意され、９回のル・マン総合優勝を誇るトム・クリステンセンが、レースのスタート前に出場者と観客の前へ運んできました。
今大会におけるユーザー車両は37台。ミシュランは約8000本のタイヤをル・マンに持ち込み、各パートナーチーム専任のタイヤテクニシャン28名、タイヤフィッター54名等からなる、総勢101名のサービス体制を組みました。
予選ではフェラーリ勢が1-2。６年連続優勝を狙って出場のトヨタの２台は、WEC独自の性能調整措置によるバラスト37kgの搭載義務づけが大会直前に決まった影響が大きく、予選は３位＆５位にとどまりました。
決勝レースの前半は雨交じりの天候。強く降ったり止んだり、そして、コースの場所によって降っていたり晴れていたりというトリッキーさ。不意に足元をすくわれスピンオフしてダメージを負うマシンが続出しました。
レース中盤から首位争いはNo.51 フェラーリ 499PとNo.8 トヨタ GR010ハイブリッドの一騎打ちに。スピードではフェラーリが上回っており、加えて、51号車はほぼトラブルフリー。見事な内容で記念大会を制しました。
残り２時間で首位フェラーリ51号車の後方16秒につけていたトヨタ８号車。そのギャップを埋めるべく、乗車していた平川 亮は全力でアタックしていきましたが、痛恨のコースオフ。順位は落とさず、２位でゴールしました。
決勝のスタート前には、水素燃料電池レーシングカー Green GT H24がデモンストレーション走行を実施。同車は、生物由来原料やリサイクル原料を高い割合で使用したミシュランタイヤを装着。同様に登場していた昨年大会でのタイヤのサステナブル材料割合は53％でしたが、今年は63％に。"Everything Sustainable"を企業目標とするミシュランの、確かな前進を印象づけました。
ミシュランは2050年までに、製造するタイヤの材料の100％を生物由来原料やリサイクル原料とする、という目標に突き進んでいます。その実験のフィールドとして、ル・マン24時間を筆頭とする耐久レースはうってつけ。ミシュランはこれからも“変革”を目指してモータースポーツに注力していきます。
