WEC 2021 ROUND 5
BAHRAIN
■予選:10月29日/決勝:10月30日
■開催地:バーレーン・インターナショナル・サーキット(バーレーン)
■レース時間:6時間
小林可夢偉組のGR010ハイブリッド7号車が3連勝
トヨタがハイパーカー時代初のチームチャンピオンに
FIA世界耐久選手権(WEC)の2021年シーズン第5戦バーレーン6時間が開催され、前戦のル・マン24時間を制したNo.7 トヨタ GR010ハイブリッドが今大会でも優勝。同車をドライブしたマイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ‐マリア・ロペス組はこれで3連勝を飾り、この勝利によってトヨタは今シーズンからWECのトップカテゴリーとなったハイパーカークラスのチームタイトル獲得を確定させました。バーレーン・サーキットは砂漠の中にあることから路面に砂が舞い落ち、それがタイヤを痛めつけてくるという特徴があります。そのうえ今大会は決勝レースの大半の走行が40℃以上の路面温度のもとで行われるという過酷なものでしたが、ミシュランタイヤは各パートナーチームの戦いを足元からしっかりと支え抜きました。
バーレーン6時間 ハイパーカークラス優勝
No.7 トヨタ GR010ハイブリッド
トヨタ GR010ハイブリッドの7号車と8号車は序盤から拮抗した戦いを続け、レースが折り返しを迎えた時点でも両車を隔てる差は10秒ほどに過ぎませんでした。その後、今大会においてタイヤに対してより優れたマネージメントを見せた7号車がリードを奪い、今季3勝目をマーク。マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ‐マリア・ロペスのトリオはハイパーカークラスのドライバーズタイトルに王手をかけました。
砂漠の中にあるバーレーン・サーキットでのWEC戦は、これまでは日が沈みかける夕方にスタートし、路面温度がどんどん下がっていく中で行われるものばかりでした。しかし、今大会は午前11時に決勝レースがスタートとあえて路面温度が高い中での開催とされ、バーレーンではこれまでになくタイヤの耐久性が問われる一戦となりました。
決勝レースのスタート時の路面温度は42℃で、やがてそれは45℃に。40℃を下回ったのはレースが残り2時間を切ってからでした。この一戦にミシュランは、ハイパーカークラス各車にはホットウェザー用のソフト仕様とミディアム仕様、LMGTEカテゴリー各車にはホットウェザー用のミディアム仕様と標準のミディアム仕様のスリックタイヤを用意しました。
今大会にグリッケンハウス・レーシングは出場せず、ハイパーカークラスは3台での戦いに。その中でも2台のトヨタ GR010ハイブリッドがレベルの高いトップ争いを演じ続け、結果的に今季これまでのすべてのレースにおいてトヨタが優勝を飾ることに。ただし、#36 アルピーヌ A480・ギブソンも善戦し、トヨタ勢に対して1周遅れにとどめて走り切りました。
タイヤの摩耗をいかに抑えてハイペースで走り切るか、というミッションを最もうまくやり抜いたのがトヨタ7号車のコンウェイ/小林/ロペス組でした。彼らは、第3戦モンツァ6時間、第4戦ル・マン24時間、そして今回の第5戦バーレーン6時間と3戦連続で優勝。ドライバー選手権でのリードを15ポイントに広げ、2年連続のタイトルに王手をかけました。
GTカテゴリーの上位クラスであるLMGTE Proクラスは、WEC独自の性能調整措置による影響を強く受けたフェラーリ勢が終始劣勢に立ち、ポルシェGTチームの2台のポルシェ 911 RSR-19がレースを支配。チャンピオン争いを演じている92号車のケヴァン・ウストル/ニール・ジャニ組が優勝を飾り、ポイントリーダーとの差を1点に縮めて最終戦に臨みます。
タイヤに厳しい条件で行われた今大会でしたが、トヨタはルーティンのピットストップにおいて、可能な場合はタイヤ交換を車両左側の前後輪だけにとどめて停止時間を短縮する戦略を採ってきました。つまり、右側の前後輪は通常のレースと同じくダブルスティントが標準。ミシュランタイヤに寄せる厚い信頼があるからこそ実行できた戦略でした。