2019年MotoGP第12戦イギリスGPは、前戦のオーストリアGPに続いて、決勝レース中のファステストラップ、決勝レースの優勝タイム、最高速、同サーキットにおける二輪車の最速ラップタイムという4つの記録がすべて更新されたレコードラッシュの一戦となりました。決勝レースはホンダのマルク・マルケスとスズキのアレックス・リンスが毎周のようにポジションを入れ替え合う攻防を繰り広げ、最終ラップの最終コーナーで前に出たリンスが今季2勝目を飾りました。
コーナーでリンスが前に出ると、ストレートですかさず抜き返すマルケス。そうした攻防が演じ続けられたすえに迎えた最終ラップの大半はマルケスが前を走りましたが、最終コーナーでマルケスのアウトから仕掛けて鋭い加速で立ち上がったリンスが、わずか0.013秒差で激戦を制しました。なお、彼らのレースタイムは従来の最短レースタイムを30秒以上も更新する素晴らしいものでした。
全面的に再舗装されて今大会を迎えたシルバーストーン・サーキット。新舗装のもとでのテスト走行の機会はなく、ミシュランは路面に関する情報が乏しい中で最適なタイヤを用意しなければならないという難しい仕事に取り組みました。
前戦オーストリアGPで最高峰クラス歴代最多となるポールポジションを獲得したマルケスですが、今回の予選でも素晴らしく速く、このシルバーストーンにおける二輪車の最速ラップタイムを1.773秒も更新する圧倒的なタイムをマーク。4戦連続・今季8回目・キャリア通算60回目のポールポジションを奪いました。
レースは序盤からNo.93 マルケスがリードし、これにNo.42 リンス、そしてNo.46 バレンティーノ・ロッシをはじめとするヤマハ勢が食い下がる形に。やがてマルケスとリンスが首位の座をかけて激しくやり合うことになりましたが、それは交互にコースレコードを更新しながらという素晴らしいハイペースでのドッグファイトでした。
最後に狙い澄ましてのオーバーテイクを成功させ、第3戦アメリカズGPに続いて今季2度目、そして彼のキャリアにおいても2度目となる表彰台の頂点に立ったリンス。「舗装が新しく、タイヤにとっても新しい挑戦だったけど、この週末を通してミシュランタイヤの働きにはとても喜んでいる」と語りました。
3位にマーベリック・ビニャーレス、4位にロッシ、5位にペトロナス・ヤマハ SRTのフランコ・モルビデッリと、3-4-5位を占めたヤマハ勢の底上げぶりが印象づけられた一戦ともなりました。また、今年で40歳となったNo.46 ロッシですが、予選では2位・フロントロウを奪い、決勝でも4位に入って健在ぶりを示しました。
決勝レースはこの時期のイギリスとしてはかなり暑い31℃という気温と44℃という路面温度のもとで迎え、大半のライダーが前後ともにハードタイヤを選んで出走。トップ10までのライダーが従来の最短レースタイムを上回るタイムで走り切り、ミシュランMotoGP公式タイヤの性能向上がまたしても明瞭に記録されたレースとなりました。
