二輪ロードレースの世界最高峰シリーズであるMotoGPの2022年シーズン第12戦イギリスGPが開催され、Ducati Lenovo Teamのフランチェスコ・バニャイアがAprilia Racingのマーベリック・ビニャーレスを僅差で下してシーズン4勝目をマークしました。前戦から1カ月強のインターバルを挟んで行われた今大会でしたが、シルバーストーン・サーキットにおけるMotoGPマシンの史上最速タイム（オールタイムラップレコード）、決勝レース中の最速ラップタイム、そしてシルバーストーンを20周して争われるレースの優勝タイムのすべてで従来記録が塗り替えられることに。出場全ライダーが使用しているミシュランタイヤの進化が、またも明らかな結果をもって示されました。
43℃と少し高めでさえあった路面温度のもと、ミシュランのMotoGP公式タイヤ MICHELIN Power Slickは高性能を安定的に発揮し続け、トップライダーたちのアグレッシブな走りを支え続けました。その結果、優勝の#63 バニャイアを筆頭に、トップ5のライダーが従来の最速レースタイムを上回る記録でフィニッシュしました。
そもそもは7月にフィンランドGPが行われる予定でしたが、ロシアのウクライナ侵攻を受けて開催中止となり、結果的にMotoGPは1カ月強の夏休みを持つことに。そして迎えた今回のイギリスGPは、週末を通じて夏らしい天候に。入場者の規制は特になく開催され、パドックも、入場パスを買い求めた大勢のファンによってごった返していました。
シルバーストーンは右コーナーの割合が高く、それに対応してミシュランは、リアタイヤに関しては全種類を、右側ショルダー部により硬めのコンパウンドを使用した左右非対称設計仕様として用意。予選Q2ではPrima Pramac Racingのジョアン・ザルコが従来記録を0.401秒更新して、新オールタイムラップレコードを叩き出しました。
決勝は4人のライダーが入れ替わりながらトップを走りました。後半に入ったところでドゥカティのバニャイアがレースリーダーとなりましたが、アプリリアのビニャーレスが追い上げてきて、終盤には0.1秒差を争う接戦に。しかし、バニャイアは首位の座を冷静に守り切って優勝。前戦のオランダGPからの連勝を飾り、シーズン4勝目をマークしました。
昨シーズンの途中からアプリリアで戦っているビニャーレス。10位以内に入ることも難しいレースがずっと続いていましたが、先のオランダGPで3位表彰台を獲得。その好調ぶりは1カ月のインターバルを挟んでも変わらず、今大会ではアプリリアで初のフロントロウを獲得すると、決勝でも移籍後のベストリザルトとなる2位でフィニッシュしました。
シーズン後半戦の初戦であった今大会。今シーズンかぎりでMotoGPを撤退するスズキの意気込みは強く、2019年のこのイギリスGPで優勝を飾っているアレックス・リンスは、今回もレース前半で6周にわたってトップを走りました。ただし、後半に入るとペースが落ちてしまい、7位でのゴールに。スズキのMotoGPにおけるレースは残り8戦となります。
オールタイムラップレコード、決勝レース中の最速ラップタイム、優勝レースタイムのいずれにおいても新記録が生まれました。また、予選Q2では8名のライダーが従来のオールタイムラップレコードを上回るタイムをマーク。そして決勝では5名が従来の最速レースタイムを更新。ミシュランのMotoGP公式タイヤの進化が明確に示された一戦となりました。
