出場全車がミシュラン製公式タイヤを使用して行われている二輪ロードレースの世界最高峰シリーズ MotoGPの2021年シーズン第13戦アラゴンGPが開催され、Ducati Lenovo Teamのフランチェスコ・バニャイアがキャリア初優勝を獲得。今シーズン8人目のMotoGPウィナーが誕生しました。今大会は、予選、決勝ともに45℃を超える高い路面温度のもとで行われましたが、このモーターランド・アラゴンにおけるMotoGPの最速ラップタイム（オールタイムラップレコード）と23周で争われる決勝の優勝レースタイムの双方で新記録が樹立され、厳しい使用条件でも従来以上のパフォーマンスを発揮してみせたミシュランMotoGP公式タイヤの進化が印象づけられました。
今大会のハイライトは、レース終盤に見られた2名のライダーによる優勝をかけた激しい攻防でした。スタートからトップを走ってきたNo.63 バニャイアに、本来のキレあるライディングを取り戻したNo.93 マルケスが最後の3周だけで7度もオーバーテイクを仕掛けていきました。しかし、バニャイアはそれらをことごとく退けてみせ、見事なレース内容で待望のMotoGP初優勝を獲得。また、マルケスも彼らしい勝利への強い執念を見せて復調をアピールしました。
スペイン北東のテルエル県にあるモーターランド・アラゴンはタイヤに過酷な試練を課すサーキットのひとつです。特にタイヤの左側にかかる負荷が高く、ミシュランはリアタイヤに関しては、ドライ用のソフトとハード、そしてレイン用のソフトとミディアムは左側のショルダー部により硬めのコンパウンドを使用した左右非対称設計仕様を用意しました。
Q2（予選第2セッション）へのダイレクト進出を決めるFP3（フリープラクティス3回目）では、トップタイムを記録したファビオ・クアルタラロ（写真）以下14名のライダーがわずか0.5秒差の中にひしめくことに。様々な特性のマシンやライディングスタイルに対応して高性能を発揮するミシュランタイヤの懐の深さが示された結果となりました。
45℃の路面温度で行われたQ2ではドゥカティ・デスモセディッチGP21を駆るバニャイアがMotoGPマシンによるこのサーキットの最速ラップタイムを刻んでポールポジションを獲得。ライダー、マシン、そしてミシュランMotoGP公式タイヤの進化を印象づけました。2位にもチームメイトのジャック・ミラーが続いて、予選ではドゥカティ勢が速さを見せました。
前日の予選よりさらに高い路面温度48℃のもとで迎えた決勝でしたが、その主導権を握り続けたのはNo.63 バニャイアでした。背後にはNo.93 マルケスがつけ続けましたが、6度のMotoGP王者によるチャージをバニャイアはことごとく退け、従来記録を6年ぶりに更新するレースタイムでフィニッシュ。待ち望み続けていたMotoGP初優勝をついにつかみました。
傍から見れば半ば無謀に思えるようなレイトブレーキングも厭わず、ラスト3周のうちに7度もバニャイアに仕掛けていってチャンスの扉を開けてみせようとしたあたりはマルク・マルケスというライダーの真骨頂と言えるものでした。扉は開き切らず今回は2位に終わりましたが、フィニッシュ後の彼の表情は久々に存分に戦えた充実感にあふれていました。
FP3では14名ものライダーが0.5秒差の中にひしめく結果となり、そして今季8人目のウィナーが誕生した今大会。オールタイムラップレコードと優勝レースタイムの両記録の更新も果たされ、際立った対応レンジの幅広さを有しながらパフォーマンスを犠牲にせずそれをさらに高めているミシュランMotoGP公式タイヤの実力が示された一戦となりました。
