2020年MotoGP第14戦バレンシアGPが開催され、ペトロナス・ヤマハ SRTのフランコ・モルビデッリがプラマック・ドゥカティのジャック・ミラーとの接戦を制してポールtoフィニッシュを決め、今季3勝目を飾りました。また、スズキのワークスチームであるチーム・スズキ・エクスターのホアン・ミルが7位でフィニッシュし、今シーズンのMotoGPライダー選手権のタイトルを獲得。スズキのライダーが20年ぶりにロードレース世界選手権の最高峰クラスを制しました。
2カ月前に23歳になったばかりであるスペインはマヨルカ島出身のミルが参戦2年目にしてMotoGPチャンピオンに輝きました。スズキのライダーがロードレース世界選手権の最高峰クラスでタイトルを獲得したのは2000年シーズン以来。バリー・シーン（1976-1977）、マルコ・ルッキネリ（1981）、フランコ・ウンチーニ（1982）、ケビン・シュワンツ（1993）、ケニー・ロバーツJr.（2000）、そして今回のミルと、最高峰クラスを制したスズキのライダーはすべてミシュランタイヤとともに栄冠をつかんでいます。
今回のバレンシアGPで最も速かったのはペトロナス・ヤマハ SRTのNo.21 フランコ・モルビデッリでした。結果的にポールtoフィニッシュで今季3勝目をマークした彼は、「タイヤのグリップ低下と摩耗をとてもうまくコントロールでき、タイヤには最後までバトルができるポテンシャルがあった。ミシュランの素晴らしい仕事のおかげだ」とコメントしました。
先週行われたヨーロッパGPと同じサーキット・リカルド・トルモで開催された今大会でしたが、コンディションはより温暖なものに。その中で、ヨーロッパGPでMotoGP初優勝を飾ったばかりのミルは一変してマシンのセッティングに苦戦し、予選は12位に留まりました。それでも決勝レースは7位にまで順位を上げてフィニッシュし、最終戦を待たずにタイトル獲得を決めました。
悲願のタイトル獲得に感極まったスズキチーム代表のダビデ・ブリビオから祝福と感謝の言葉を受けながら、新チャンピオンとして表彰台に上ったミル。チームメイトのアレックス・リンスが4位でフィニッシュしたこともあり、スズキは初のチームタイトルも獲得。同社の創業100周年、世界グランプリ参戦60周年という節目の年を、自らの大仕事によって祝うことになりました。
今回のレースの勝利はNo.21 モルビデッリとNo.43 ミラーの間で延々と争われました。ポールスターターのモルビデッリはオープニングラップからずっとトップを走りましたが、ミラーがその後方につけ続け、そして最終ラップにアタック。モルビデッリも応戦して、両者はコーナーごとに順位を入れ替え合う白熱したバトルを展開し、最後はモルビデッリがミラーを0.093秒の僅差で制しました。
3位争いは前戦に続いてKTMワークスのNo.44 ポル・エスパルガロとLCR ホンダ・イデミツのNo.30 中上貴晶の間で繰り広げられました。レース中盤に自己ベストを繰り返し更新する力走を見せた中上は、20周目の最終コーナーでエスパルガロのインに飛び込んで一瞬前に出ましたがフロントを切れ込ませて転倒。これで単独の3位となったエスパルガロが今季5度目の表彰台に上りました。
2週連続でサーキット・リカルド・トルモでのグランプリ開催となりましたが、今大会はタイヤにとってはより良い条件に恵まれました。先週のヨーロッパGPと今回のバレンシアGPの決勝レース周回数は同じく27周ながら、今大会では前戦より約15秒も短縮された優勝レースタイムが記録され、最新のミシュランMotoGP公式タイヤの本来のパフォーマンスが示された一戦となりました。
