MOTOGP 2018 ROUND 2
ARGENTINA
■予選:4月7日/決勝:4月8日
■開催地:アウトドルモ・テルマス・デ・リオ・オンド(アルゼンチン)
新鮮な顔ぶれが熱いトップ争いを展開
波乱に満ちた一戦をクラッチローが制す
MotoGP第2戦アルゼンチンGPは、予選、決勝ともに不順な天候の影響を強く受け、波乱に満ちた一戦となりました。決勝レースは雨上がりの中で迎え、ポールポジションからスタートしたプラマック・ドゥカティのジャック・ミラー、スズキのアレックス・リンス、テック3・ヤマハのジョアン・ザルコ、LCR ホンダのカル・クラッチローという新鮮な顔ぶれが激しいトップ争いを展開。これを制したクラッチローがMotoGP通算3勝目をマークし、同時にホンダが世界グランプリ全クラスを通じての750勝目を獲得しました。
アルゼンチンGP優勝
カル・クラッチロー(ホンダ RC213V)
2位のジョアン・ザルコ(写真左)と3位のアレックス・リンスから祝福のシャンパンを浴びせかけられる優勝のクラッチロー(写真右)。「決勝レースに向けたタイヤ選択に関して、ミシュランは的確なアドバイスをくれた。路面は汚れていたし、濡れているところに乗ったり外れたりすることを繰り返さなければならなくて、タイヤにとっては良いことじゃなかったけど、それでも僕らはレース終盤に至っても速かったし、存分にやり合うことができた」と語りました。
今大会が開催されたアウトドルモ・テルマス・デ・リオ・オンドはMotoGP開催サーキットの中でもひときわタイヤに厳しいコースです。さらに今年は、路面が全面的に再舗装され、しかしながら事前テストを行う機会はないままにレースを行わなければならない状況でした。そこでミシュランは、ドライコンディション用のスリックタイヤMICHELINPower Slickを、通常はフロント用/リア用ともに3種類ずつ用意しているところ、今大会には前後ともに4種類ずつ用意。具体的には、通常は1種類のミディアムタイヤを、フロント用はコンパウンド違いで2種類、リア用は構造違いで2種類用意し、各ライダーが最善のバランスを得られるように備えました。
上位12台のスターティンググリッドを決定するQ2(予選第2セッション)は雨上がりのハーフウェットコンディションでの実施となりました。多くのライダーはレインタイヤMICHELIN Power Rainを使用して走行しましたが、プラマック・ドゥカティのジャック・ミラーはドライコンディション用のMICHELIN Power Slickで果敢にアタック。何度かヒヤリとする場面がありながらも、最後にホンダのダニ・ペドロサを0.177秒上回るトップタイムを叩き出して、MotoGPで自身初となるポールポジションを獲得しました。
決勝レースの前に降雨があり、大半のライダーはレインタイヤを選んでコースインしましたが、路面は急速に乾いていったことから各ライダーはピットに戻りスリックタイヤを装着したマシンに乗り換えてスタートを迎えました。オープニングラップを制したのはポールポジションから出たミラーでしたが、すぐにホンダのマルク・マルケスが迫り、2周目にはトップへ。しかし、マルケスはスタート直前にエンジンをストールさせ、押し掛けで再始動させてレースに臨んでいたことから、ピットロード通過のペナルティが課されて後退を余儀なくされました。
マルケス後退後のレースは、中盤まではミラーが果敢にトップを走り続けましたが、後半に入るとリンスが彼に襲いかかって首位を奪取しました。ミラーはミスを犯してやや後退。彼をかわしてきたザルコとクラッチローが、今度は次々にリンスを攻略していき、レース終盤はテック3・ヤマハのフランス人ライダーとLCRホンダのイギリス人ライダーの一騎討ちとなりました。
クラッチローは、レースも残り2周となったところのバックストレートでスリップストリームを使ってザルコをパス。その後は首位の座を譲ることなくチェッカーフラッグを受けて、MotoGPキャリア3勝目をつかむとともに、ポイントランキングトップへと躍り出ました。シーズン中の暫定状態ながらもイギリス人ライダーがポイントリーダーとなったのは、1979年のバリー・シーン以来、実に39年ぶりのこととなりました。
MotoGP参戦2年目のリンスが3位に入り、同クラスでは初めての表彰台に登壇。昨年は不振にあえいだスズキですが約1年半ぶりの表彰台獲得を果たし、復活を印象づけました。