二輪ロードレースの世界最高峰シリーズであるMotoGP世界選手権の2023年シーズン最終戦バレンシアGPが開催され、Ducati Lenovo Teamのフランチェスコ・バニャイアが優勝。今季７勝目を飾って、２年連続でMotoGPチャンピオンの座に就きました。バニャイアの優勝レースタイムは、従来記録を17秒も短縮したものでした。また、今大会の予選では、Aprilia Racingのマーベリック・ビニャーレスがこのバレンシアにおけるMotoGPマシンの最速ラップタイム（オールタイムラップレコード）を、そして決勝では、Red Bull KTM Factory Racingのブラッド・ビンダーがレース中のファステストラップ記録を更新。これらを含む計36個の重要記録の更新が今シーズンの全20戦において果たされ、タイヤ競争がない中でもパフォーマンス向上の努力を怠らぬミシュランの努力が、明らかな結果によって示された一年となりました。
チャンピオン争いを演じてきた相手であるPrima Pramac Racingのホルヘ・マルティンは、決勝レースの６周目に、ホンダでの最後の一戦に臨んでいたマルク・マルケスと接触して転倒。一方、バニャイアは、レースが残り３分の１となったところで首位に立つと、後続のチャージをしのぎ切って優勝。自らの勝利により、２年連続・２度目のMotoGPチャンピオンに輝きました。二輪ロードレースの最高峰クラスにおけるミシュランタイヤ使用ライダーのタイトル獲得は、これで34回目となりました。
バレンシアは路面の再舗装が行われたばかりでしたが、ミシュランは豊富なデータに基づいて適切なタイヤ仕様を設定。通常は、フロント用スリックタイヤのトレッドは全面的に同一コンパウンドですが、今回はフロント用、リア用ともに左サイドを強化した左右非対称仕様としました。
予選ではAprilia Racingのマーベリック・ビニャーレスが新しいオールタイムラップレコードを樹立。2016年にホルヘ・ロレンソが刻んで以来、長らく破られずにきたこの記録を、今大会の予選上位９名が上回り、新しい路面に適応したミシュランMotoGP公式タイヤの高性能が示されました。
土曜日に行われたスプリントレースでは、６番手グリッドスタートだったマルティンが、ライバルたちを次々にかわして首位に立ち勝利。今季９回目のスプリント優勝を飾ると同時に、ポイントリーダーであるバニャイアとのポイント差を14点にまで縮めて、翌日の最終決戦を残すのみとしました。
決勝でマルティンは自滅してしまい、その時点でバニャイア（写真中央）のタイトル獲得が確定。それでもバニャイアはレースでの勝利を果敢に狙い、見事手中にしました。なお、２番手でフィニッシュしたファビオ・ディ・ジャンアントニオ（写真左）には、タイヤ最低内圧の違反がレース後に見つかり、レースタイムに３秒加算のペナルティを受けて、正式結果は４位に。今大会の２位はジョアン・ザルコ（写真右）、３位はブラッド・ビンダーとなりました。
決勝レース終了後、一騎討ちでのチャンピオン争いを演じてきたバニャイアとマルティンが互いの健闘を称え合いました。チーム選手権では、マルティンとザルコを擁したドゥカティのサテライトチーム Prima Pramac Racingが、ワークスチームであるDucati Lenovo Teamを下してタイトルを獲得しました。
８シーズン目であったミシュランのMotoGP公式タイヤ供給活動も、今大会をもって無事終了。性能向上を示す重要記録の更新が今回のバレンシアGPを含む多数の大会で果たされ、第15戦インドネシアGPではロードレース世界選手権の最高峰クラスにおけるミシュランタイヤ装着車の優勝回数が通算500勝に達するなど、実りの多いシーズンとなりました。
