MotoGP第4戦スペインGPは、予選最速タイム、決勝レース中のファステストラップ、そして25周で行われる決勝レースの優勝タイムのすべてにおいて従来のベストを上回る記録が叩き出された一戦となりました。予選ではヤマハのサテライトチームであるペトロナス・ヤマハSRTのMotoGPルーキー、ファビオ・クアルタラロが従来記録を0.773秒も更新する絶対レコードでポールポジションを獲得。決勝レースではホンダのマルク・マルケスが従来記録を0.684秒上回るファステストラップを刻みつつ、従来のベストを30秒以上も縮めたレースタイムで今季2勝目をマーク。そして、ポイントを獲得した15名のライダー全員が昨年の優勝タイムを上回るレースタイムでフィニッシュし、ライダー、マシン、そしてミシュランMotoGP公式タイヤの性能の向上ぶりが如実に示されることになりました。
路面温度は45℃というタフなコンディションのもと、タイヤを労りながらレースをコントロールし、スタートから首位の座をライバルに一度も明け渡すことなく逃げ切ったマルケス。2年連続でのスペインGP優勝でしたが、昨年の自らの優勝タイムを今回は30.993秒も更新しての見事な勝利でした。
予選を制したのは、これがMotoGP出場4戦目であったペトロナス・ヤマハSRTのファビオ・クアルタラロ。20歳と14日での最高峰クラスポールポジション獲得は新しい史上最年少記録でした。また、クアルタラロが叩き出した1分36秒880は、このヘレス・サーキットで二輪車によって記録された史上最速のラップタイムとなるものでした。
決勝レースのスタートでは、予選は3位であったマルケスが好ダッシュを決め、これにNo.21 フランコ・モルビデッリとNo.20 クアルタラロのペトロナス・ヤマハSRT勢が続きました。しかし、クアルタラロはマシントラブルに見舞われてリタイア。モルビデッリは追い上げてきたライバルたちに飲み込まれていき、最終的には7位でのフィニッシュとなりました。
クアルタラロが14周目にリタイアすると、翌15周目にマルケスは従来記録を更新するファステストラップをマーク。残る10周弱の周回数はタイヤの温存に努めつつ、しかし後続に脅かされることなくレースをリードし続けるという盤石の戦いぶりを見せたマルケスが、第2戦アルゼンチンGPに続く今季2勝目を挙げ、ポイントリーダーの座に返り咲きました。
前戦アメリカズGPでMotoGP初優勝を飾ったスズキのアレックス・リンスは、今回の予選ではコース後半区間でやや遅れを取って9位に留まりましたが、決勝レースでは全般的に速く、強豪たちを次々にかわしていきました。そして最後は優勝のマルケスに1.654秒差にまで迫りながら2位でゴール。この結果、リンスは首位マルケスとわずか1点差のランキング2位に浮上しました。
予選では速さを見せるものの決勝では徐々に後退していくという戦いを繰り返し、思うような結果をなかなか残せずにきていたヤマハのマーベリック・ビニャーレスですが、今大会では力強いライディングを終始披露。ダニロ・ペトルッチやアンドレア・ドビツィオーゾのドゥカティ勢とのバトルを制して3位に入り、今季初の表彰台に上りました。
決勝レースは高い路面温度のもとでの開催となり、多くのライダーがフロントとリアの双方にハードタイヤを使用しましたが、レースも折り返しをとうに過ぎた15周目に従来記録を0.684秒も上回るファステストラップが叩き出され、そして従来より30秒以上も速い優勝タイムが記録される結果に。ハードタイヤであってもかように高いパフォーマンスを披露したことにより、ミシュランへの評価がさらに上がった一戦となりました。
