MotoGP第8戦オランダGPは、ミシュランのMotoGP公式タイヤMICHELIN Power slickによる4種類の組み合わせを使用した4つの異なるバイクメーカーのマシンを駆る6名のライダーがトップを奪い合う激戦となりました。この戦いを制したのはホンダのマルク・マルケスで、今季4勝目をマーク。そしてポイント獲得圏内の上位15名のライダーがMotoGP史上で最も接近したタイム差（16.043秒）の中で相次いでフィニッシュするという歴史的な一戦となりました。
写真はレース終盤のトップ争い。何とか混戦から抜け出そうとしているマルケスを先頭に、ドゥカティのアンドレア・ドビツィオーゾ、ヤマハのバレンティーノ・ロッシ（写真ではドビツィオーゾの姿に完全に隠れるほど接近した位置を走行）、ヤマハのマーベリック・ビニャーレス、スズキのアレックス・リンス、LCR ホンダのカル・クラッチロー、少しだけ離れてドゥカティのホルヘ・ロレンソと続く状況です。複数のライダーによるこうした接近戦が今大会ではレースの序盤から終盤に至るまでコースの各所で繰り広げられ続けました。
スタートでホールショットを取ったのは、このオランダGPのMotoGPクラスでは初めてのポールポジションを獲得したマルケスでしたが、先の2戦を立て続けに制してきたロレンソがオープニングラップのうちにライバルをパス。その後、マルケスが一旦はトップを奪い返すものの、4周目にはロレンソが再び前に出てトップ争いをリードしました。しかし、26周のレースの折り返しを過ぎたあたりからロレンソはグリップバランスの悪化に伴ってライディングのリズムを失いポジションダウン。最終的には7位でのフィニッシュとなりました。
レースも残り5周となったところでスパートをかけ、激戦を制したマルケス。「今回は僕がリアにソフトタイヤを初めて使ったレースだった。それをうまく使うすべを学ばなければならなかったけど、最終的には全力を尽くすことができたし、ミシュランタイヤはそれに存分に応えてくれた。これはとても重要なことだった」と語りました。
写真はレースも後半に入ったところでの3位以下のグループ。その先頭から、ドビツィオーゾ、ロレンソ（写真ではロッシの姿に完全に隠れています）、ロッシ、リンス、クラッチロー。彼らの前にはビニャーレスとマルケスが走っている、という状況です。特に今回はMotoGP参戦2年目のスズキのリンスがレースを通じて高い競争力を見せ、最終的にはビニャーレスを僅差で下してMotoGPキャリア自己ベストタイとなる2位を奪いました。
レース終盤には、同世代の同胞であるリンスとドッグファイトを演じたビニャーレス。リンスには少しだけ届きませんでしたが3位でのフィニッシュを果たし、第3戦アメリカGP以来となる今季2度目の表彰台に上りました。
20代前半のスペイン人ライダー3名によって独占された今大会の表彰台。4勝目を挙げたマルケスは、ライダー選手権のポイントのリードをさらに広げ、今回は5位でフィニッシュしたランキング2位のロッシに対するアドバンテージを41ポイント差としました。
カタルニア・サーキットはオフシーズン中に路面が再舗装され、新しい路面のデータが限られていた中で適切なタイヤを用意しなければならないという難しさがミシュランにはありました。そして決勝レースは、前後タイヤをともにソフトとしたロレンソと前後にハードを履いたマルケスがわずか4.479秒の違いで相次いでゴールする結果となり、ライディングスタイルやマシンの特性の違いに幅広く対応するミシュランタイヤの総合性能の高さが今回も強力に示される格好になりました。
