MotoGP 2022 ROUND 9
CATALUNYA
■予選:6月4日/決勝:6月5日
■開催地:カタルニア・サーキット(スペイン)
■レース周回数:24周(111.768 km)
ヤマハのクアルタラロが独走で今季2勝目
厳しい条件下でも新コースレコードが樹立される
二輪ロードレースの世界最高峰シリーズであるMotoGPの2022年シーズン第9戦カタルニアGPが開催され、ヤマハのワークスチームであるMonster Energy Yamaha MotoGPのファビオ・クアルタラロがスタートから一度もトップを譲ることなく走り切って今季2勝目をマークしました。カタルニア・サーキットは路面のグリップが低めで、そのうえ今大会は路面温度が55℃を超える厳しいコンディションのもとでの開催でしたが、予選ではAprilia Racingのアレイシ・エスパルガロが新しいオールタイムラップレコードを叩き出し、決勝レースでも各ライダーはミシュランMotoGP公式タイヤの安定的なハイパフォーマンスに支えられて最後まで好ペースで走り続けました。
カタルニアGP優勝
ファビオ・クアルタラロ(ヤマハ YZR-M1)
ヤマハとの2024年シーズンまでの契約延長を今大会の前に発表したばかりであったクアルタラロ。前後にMICHELIN Power Slickのミディアム仕様を選択した彼は、レース序盤で猛プッシュして後続に対するリードを拡大。問題は、路面が低μ(摩擦係数)のためタイヤのスリップ量が多いことからレース終盤にリアタイヤのある程度のグリップ低下が必至であることでしたが、クアルタラロは巧みなタイヤマネージメントを見せて好ペースを貫いて独走優勝を飾りました。
タイヤに高い荷重をかけながら旋回を続ける時間が比較的長いコーナーが多いカタルニア・サーキット。現在の路面は2018年に舗装されたもので、アスファルトが荒れてきている箇所が至るところにあり、全体的に劣化によるμの低下が進んでいることからタイヤのスリップ量がさらに多くなってきており、タイヤに対する厳しさがひときわ増した状況でした。
カタルニア・サーキットは1周4.627kmの中に6つの左コーナーと8つの右コーナーを持ちますが、右コーナーでの負荷がより高いことから、ミシュランはリアタイヤに関しては右側のショルダー部をよりハードにした左右非対称設計とし、かつ、昨年大会よりもコンパウンド設定を硬めにして、終盤まで一層プッシュしていくことができる性能を与えました。
予選でフロントにミディアム、リアにソフトのMICHELIN Power Slickを履いたアプリリアのアレイシ・エスパルガロが、新しいコースレコード1分38秒742を叩き出して今季2度目のポールポジションを獲得。劣化が進み、しかも温度が55℃を超えてきた路面条件のもとでの好タイムは、ミシュランMotoGP公式タイヤの高性能の表れにほかなりませんでした。
路面温度がやはり55℃に達した中で迎えた決勝レースでしたが、7割のライダーがレース序盤での速さを優先してリアタイヤにミディアム仕様を選択。そのひとりであったクアルタラロは、スタート直後から猛プッシュしてリードを奪い、巧みなタイヤマネージメントによって独走状態を最後までキープ。第5戦ポルトガルGPに続いての今季2勝目を挙げました。
最終ラップに入るところで、2位を走っていたポールスターターのエスパルガロがそこでレース終了と勘違いしてスロットルを緩めてしまい、後続を次々に前へ出してしまうことに。おかげで、写真左のホルヘ・マルティンと写真右のジョアン・ザルコのプラマック・ドゥカティ勢が2位と3位に繰り上がり、エスパルガロは5位でのゴールとなりました。
タイヤに厳しい条件がそろった今大会でしたが、オールタイムラップレコードの更新によってミシュランMotoGP公式タイヤのハイパフォーマンスが鮮やかに示されました。また、決勝レースのトップ6には4つの異なるバイクメーカーのライダーたちが入り、ミシュランタイヤの高性能が特定のバイクにおいてのみ発揮されるようなものでないことが今回も証明されました。