「飛騨高山・飛騨」ぶり街道

エピキュールの旅「飛騨高山・飛騨」ぶり街道編

Epicures(エピキュール)とは美食家、食道楽を意味することば。ギリシャの快楽を探求していた哲学者、エピクロスを語源とします。
食の快を探求するため、日本の名産品、特産品の産地へ訪れ、その食文化を学ぶ旅。ミシュランガイドを片手に、いざ食道楽ドライブ!
MEM  バナー 「ミシュランニュースレターに登録」

 「飛騨の小京都」とも呼ばれる岐阜県高山市の中心市街地は、江戸時代以来の城下町・商家町の姿がそのままに残されています。日本の原風景を残す街として仏ミシュランの「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」でも三つ星で掲載された飛騨高山へと旅に向かいました。

map hida

※「ミシュランガイド」掲載飲食店/宿泊施設(赤字)と外国人観光ガイド「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」掲載地(緑字)が全てイラスト上に記載されているわけではありません。

#東京から奥飛騨温泉郷へ

 旅のパートナーはAudiのA4 allroad quattro(オールロードクワトロ)。あらゆる道を楽しめるオールマイティなワゴンで、本格オフロード4WD車に迫る悪路走破性を持ちます。加速力も高く、ステアリングがとにかく軽い。楽しくなってきました。さっそく、東京から長野県の松本ICを目指します。出発は12月、スタッドレスのMICHELIN X-ICE 3+(ミシュランエックスアイススリープラス)* をしっかり装備。5時間ほどの長旅でしたが、スタッドレス特有のパターンノイズも少なく感じ、快適でした。
 松本ICからは、奥飛騨温泉郷へ向かう国道158号線を走ります。道は徐々に人里離れた山間へ。この周辺は積雪地帯で、筆者が向かった日も道路脇には雪があり、路面も凍っている状態でした(その後、雨に)。しかし、MICHELIN X-ICE 3+は氷上でのブレーキ性能も高く、走りにくい雪道やシャーベット路面にも効く高性能タイヤです。車の4WDとタイヤの性能のおかげで、今回のドライブは鬼に金棒といった気分。
 むしろ性能を試せる機会とも言えます。

*X-ICE 3+は販売終了となっています。現在のラインナップはこちら

AudiのA4 allroad quattroとスタッドレスのMICHELIN X-ICE 3

AudiのA4 allroad quattroとスタッドレスのMICHELIN X-ICE 3+* は相性もいい

*X-ICE 3+は販売終了となっています。現在のラインナップはこちら

ステアリングの軽さが魅力のA4

ステアリングの軽さが魅力のA4

この日は雨だったが、別日では雪も

この日は雨だったが、別日では雪も

 夕闇の中でたどり着いたのは、『ミシュランガイド愛知・岐阜・三重2019特別版』に宿として掲載された「元湯 孫九郎」です。

奥飛騨温泉郷・福地温泉「元湯 孫九郎」

奥飛騨温泉郷・福地温泉「元湯 孫九郎」に到着

 奥飛騨温泉郷は平湯、福地、新平湯、栃尾、新穂高の5つの温泉から構成されています。孫九郎があるのは、福地温泉。特徴は源泉100%かけ流しの温泉。一年を通して源泉100%の供給は日本でも数少ないと、沖本啓介代表は話します。

 「温度の異なる自家源泉を4本所有しておりますので、ぬるめの温泉をブレンドしたり、熱交換器を使用することで源泉100%を実現しています」

 宿に着くと、ウェルカムティーとして供されるのが飲泉許可取得の自家源泉(薬湯)を使った源泉こぶ茶。ここの温泉は、飲める温泉なのです。
 お風呂は無色透明の大湯(内風呂)と緑褐色のにごり湯、蒼の湯(外風呂)があり、飲めるのはナトリウム炭酸水素塩泉の大湯(内風呂)。ここには飲むための柄杓も置かれています。外風呂は単純泉で、内風呂と外風呂で効能が違うのも魅力。
 湯上がりには、アメリカJBL社の幻のスピーカー「パラゴン」のある部屋へ行くのがおすすめ。すべての行程を手作業で行ったパラゴンから流れるビンテージサウンドを聴きながら、寛いだ時間を過ごせます。

内風呂 大湯 男性

内風呂は、飲泉できる

蒼の湯

露天は内風呂と異なる色合い

パラゴン

パラゴンのある部屋

代表の沖本啓介氏

代表の沖本啓介氏

元湯 孫九郎

元湯 孫九郎
「ミシュランガイド愛知・岐阜・三重2019特別版」に掲載
住所:岐阜県高山市 奥飛騨温泉郷福地1005
TEL:0578-89-2231
Web:http://magokuro.com

#飛騨の「小京都」へ

 「孫九郎」に一泊し、翌朝国道158号線をさらに進めると、高山市の中心街へたどり着きます。観光ガイドなどでは「飛騨高山」と称されるエリアですが、飛騨の味覚で全国的に有名なものを3つ挙げるとすると「飛騨の牛肉」「飛騨の赤蕪漬け」「飛騨のラーメン」でしょう。
 まずはランチに、飛騨のラーメン(高山ラーメンとも呼ばれる)を食べるために、「ミシュランガイド愛知・岐阜・三重2019特別版」にミシュランプレートとして掲載された「まさごそば」へ。ここは「飛騨(高山)ラーメン」発祥の店。スープは豚骨、野菜、鰹を使っただしに、チャーシューの煮汁を加えたタレ(かえし)を一緒に混ぜて煮込み、自家製の縮れ麺とあわせて食べます。

「まさご」の中華そば

高山ラーメン発祥の店「まさご」の中華そば

 具材は葱とチャーシュー、そしてメンマ。見た目は黒く、味は少し濃いめの醤油味。自家製麺にスープが絡み、スープと一緒に食べているよう。創業は昭和13年、板前出身の坂口時宗氏が屋台で創業して現在は3代目のご夫婦がのれんを守っています。

三代目ご夫婦

三代目ご夫婦がのれんを守る

まさごそば

まさごそば
「ミシュランガイド愛知・岐阜・三重2019特別版」にミシュランプレートとして掲載
住所:岐阜県高山市有楽町31-3
TEL:0577-32-2327
営業時間:11:30~17:00
定休日:水曜日・不定休

*ミシュランプレート:ミシュランの基準を満たした料理。適正な食材で作られている。

 「まさごそば」からほど近いところに「高山陣屋」や「中橋」「古い町並み」などがあります。高山陣屋は江戸時代に郡代・代官が治政を行なった場所です。作家の司馬遼太郎は『街道をゆく』で、高山陣屋を次のように記しています。

高山陣屋は江戸期の建物ながらよく修復されていて、若者の肉体を見るように
しっかりしている。その大きな門の前に立つと、意外に優美である。
——『街道をゆく 飛騨紀行』(司馬遼太郎)

高山陣屋

高山陣屋は、江戸期の建物を楽しめる

 高山陣屋のすぐそばに、宮川にかかる朱色の中橋があります。この橋を春の高山祭(山王祭)で屋台が通る姿をとらえた写真は有名。江戸時代はこの中橋を起点として東西南北の5つの街道がありました。それが飛騨街道、野麦街道、平湯街道、高山街道、越中街道の5街道です。

中橋は車でも通行できる

中橋は車でも通行できる

夜はライトアップ

冬の時期、夜はライトアップもある

 中橋の周辺は古い町並みが拡がり、観光客も多いエリア。見所がコンパクトにぎゅっと詰まっているので、車は駐車場に置いて散策するのがおすすめ。出格子の連なる軒下には用水が流れ、町屋の大戸や、老舗ののれんが連なります。

中橋周辺

古い町並みの風情は京都を思わせる

 高山陣屋、そして宮川では朝市もあり、多くの人たちが訪れます。
 市の観光を満喫したところで、夜は「ミシュランガイド愛知・岐阜・三重2019特別版」に宿として掲載された「ホテルアソシア高山リゾート」へ。繁華街から車で10分程度の高台に立つ室数290の同ホテルからは、北アルプスの雄大な景色を楽しめます。大浴場の展望風呂からの眺めは遮るものなく人気だとか。ファミリー向けのプランやサービスも多く、旅館とはまた違う楽しみを味わえます。

ホテルアソシア高山リゾート 露天風呂

露天風呂から絶景を楽しめる

笑顔で出迎えてくれた宿泊支配人の板垣氏とフロントレセプションの平子氏

笑顔で出迎えてくれた宿泊支配人の板垣氏とフロントレセプションの平子氏

眺めの良い部屋でミシュランガイドを開く

眺めの良い部屋で「ミシュランガイド愛知・岐阜・三重2019特別版」を開く

 夜はこのホテルの鉄板焼き「峰」で飛騨牛を。鉄板焼きで飛騨牛を食べられるのは、高山市内では数少ない。そう話すのは板垣隆宿泊支配人。
 今では認知度も高い飛騨牛の歴史は一頭の雄馬「安福号」から始まります。安福号は1981年に兵庫県産・但馬牛の種牛で、岐阜県に落札されてやってきました。これにより飛騨の牛の肉質の改善がなされ、全国トップクラスの地位を確立。彼によって生まれた子牛は4万頭とも。そして今なお、子孫たちが優秀な成績を残し続けています。
 北アルプスの雪解け水、高原の草を食べている飛騨牛は黒毛和種ならではの肉質の良さに加えて、脂がさっぱりとしており、その入りも適度で柔らかく、上品で芳醇な香りが特徴。鉄板焼きではフィレとサーロインが選べます。赤身が好きならフィレ、肉のサシを味わいたいならサーロインでしょう。コースでは、岐阜県産のパプリカやほうれん草なども食べられます。鉄板ならではの蒸し焼き調理で、野菜のシャキッとした歯ごたえとうま味を感じられます。

フィレとサーロイン

フィレとサーロインを選べる

シェフの南さん

シェフの南さんは高山市出身で街の話も聞ける

岐阜県産のパプリカなども用い地産地消

岐阜県産のパプリカなども用い地産地消をすすめる

ホテルアソシア高山リゾート 外観

ホテルアソシア高山リゾート
「ミシュランガイド愛知・岐阜・三重2019特別版」に掲載
住所:岐阜県高山市越後町1134
TEL:0577-36-0001
Web:公式サイト https://www.associa.com/tky/

#車で1時間ほどで白川郷、そしてジビエを味わう
白川郷

白川郷の冬の景色は、世界的にも有名

 ホテルから国道158号線と東海北陸自動車道を進むと1時間ほどでユネスコの世界遺産(文化遺産)に登録された白川郷へも行けます。駐車場まではカーブの多い道ですが、ここでもA4とMICHELIN X-ICE 3+* の相性はよく、快適なステアリング。
 白川郷には大小100棟あまりの合掌造りの集落があり、その様相は高山市の古い町並みと同様、日本の原風景ともいうべき美しいものです。

*X-ICE 3+は販売終了となっています。現在のラインナップはこちら

 

白川郷

雄大な自然と茅葺き屋根の家が点在する白川郷は、まさに日本の原風景

カーブでも身体がふらつくことなく安定した姿勢を維持

カーブでも身体がふらつくことなく安定した姿勢を維持京町家を改装した日本料理店「御幸町 田がわ」

凍結路や雪路面でも安心のスタッドレスタイヤ

凍結路や雪路面でも安心のスタッドレスタイヤ

 世界遺産を堪能したら、再びホテルの近くまで戻り「ミシュランガイド愛知・岐阜・三重2019特別版」で一つ星で掲載された「飛騨季節料理 肴」へ。使われる食材のほとんどは、主が山へ出向き調達した天然食材。
 「春は山菜、夏は川魚、秋はキノコ、冬はジビエ」と話すのは主の今井速雄氏。「美味しいだけではない、私が大好きな飛騨高山、その料理を通じて感動してもらうサービスを目指しています」

飛騨季節料理 肴

県外からのお客様が多い「飛騨季節料理 肴」

 今井氏は「もう冬だから、ぼたん鍋もいいとは思ったのだけど、面白いものが手に入ったから」とアナグマの鍋を出してくれました。「鍋にしたら熊よりも美味しい」と言われるアナグマ鍋、その肉質は非常に柔らかく、脂がさっぱりとしており口の中で溶けていきます。

店内完全貸切となる囲炉裏料理コース

店内完全貸切となる囲炉裏料理コースなら、他のお客様に気を使うことなく愉しめる(4名~10名様程度まで)

古民家風離れ個室「楽味庵」

古民家風離れ個室「楽味庵」

四季折々の天然食材を中心とした料理

四季折々の天然食材を中心とした料理

アナグマの鍋

めずらしいアナグマの鍋は甘みのある脂が上品な逸品

ジビエの燻製

塩・味噌・ワインなどをベースとしたジビエの燻製

 囲炉裏料理コースのほかには店主のおまかせコースなどがあり、料理はその日に手に入れた食材をベースにコースが組み立てられるので、毎回どんなものが食べられるのか、その日にならないとわからないことも多いとか。そのためか、多くの人がまたあの味を楽しみたいと再訪するといいます。

#飛騨ぶり街道

 飛騨といえば江戸時代の「飛騨ぶり」も有名。富山湾で水揚げされたぶりが、飛騨を通り、信州へ向かう約200キロの道のりは、現在でもぶり街道とも呼ばれ、愛されています。飛騨の国へ入ったぶりは当時、高山まで運ばれ、そこから国道361号にあたる「美女峠」を越えて信州へ向かうのです。
 富山湾の浜でふった塩が、険しい山道を辿るにしたがってぶりの中に染みこみ、刺身とは異なる味わいを醸し出します。飛騨高山では、12月31日の夜に出世魚であるぶりを食べる「年取り」という習慣がまだ行事として残っており、スーパーなどでもぶりが販売されていました。
 ぶりを運んだ人たちを「ボッカ(歩荷)」といいますが、彼らの足取りを感じるべく、帰りは国道361号線から再び松本へ戻り、東京へ戻りました。高山市によると、同市の訪日外国人旅行者数は宿泊ベースで過去最高の55万2000人(平成30年度)となり、その多くが物を買うことから日本の文化や歴史を体験することを目的としているといいます。多くの人が体験を求めて旅する時代、あなたも車をパートナーに、日本再発見を楽しんでみませんか。

飛騨季節料理 肴

飛騨季節料理 肴
「ミシュランガイド愛知・岐阜・三重2019特別版」に一つ星として掲載
住所:岐阜県高山市越後町1126−1
TEL:0577-36-1288
営業時間:昼・夜 完全ご予約制
[昼]12:00~15:00
[夜]17:30~22:00
定休日:不定休
Web:http://takayama-sakana.com

2020年2月28日掲載(取材日:2019年12月16日〜12月19日)
※記載の内容は掲載時点の情報です。(ミシュランガイド公式リストbyクラブミシュランは、現在、終了しております。)
※全世界のミシュランガイドセレクション(レストラン・ホテル)の閲覧・検索はミシュランガイド公式ウェブサイトをご利用ください。
※グリーンガイドの情報は『グリーン・ガイド・ジャパン改訂第6版』のものです。

今回のクルマ

今回のクルマ

Audi A4aIIroad quattro
Audi A4 allroad quattroは、 スタイリッシュなワゴンのフォルムに、 本格オフロ ー ド4WD車に迫る悪路走破性を秘め、 アクティブかつワイルドなエクステリアと、 洗練された室内空間を備える。

https://www.audi.co.jp/jp/web/ja/models/a4/a4_allroad_quattro.html

フォトギャラリー

MEM鯖街道 中村

中村祐介 Yusuke NAKAMURA

編集者、ジャーナリスト、フォトグラファー
食生活ジャーナリストの会所属
一般社団法人おにぎり協会代表理事
一般社団法人日本編集部代表理事
株式会社エヌプラス代表取締役

MEM バナー 「ミシュラン ニュースレターに登録」
MICHELIN EXPERIENCE MAGAZINE これまでの記事はこちらから
You are using an unsupported web browser
本ウェブサイトではサポートされていないウェブブラウザをお使いのようです。一部の機能が正常に作動しない場合があります。閲覧中に動作が不安定になる場合があります。このウェブサイトを最大限活用していただくため、以下のブラウザのいずれかを使用していただくか、アップグレードまたはインストールしてください