
日本にある
イタリア半島を
ワンデードライブ
ある人が言いました。「三浦半島ってイタリア半島のカタチに似ているでしょ!」。その場は笑い話のようにとらえましたが、家に帰って調べてみると確かに似てなくはありません。ブーツに例えられるイタリア半島をグッと縮めますが、観音崎がカカト、三崎口がつま先といったところでしょうか。なんだかそう思って見ると、もはやイタリア半島のミニチュア版にしか見えなくなりました。実際三浦半島は南イタリアのように気候は温暖で、海産物はもちろん農作物も豊富です。三浦大根はもちろん、キャベツやスイカなど一年を通して食卓を彩ります。ある農園ではイタリアンのシェフが「イタリア野菜を作って欲しい」と訪ねてきたのをきっかけに生産を始めたとか。ということで、今回は日本のイタリアをドライブ。まずは横浜横須賀道路の終点からスタートします!

横浜横須賀道路はその名の通り横浜の保土ヶ谷区と横須賀市を結ぶ道路です。開通は区間ごとで70年代の終わりから随時インターをのばしてきました。横浜方面から向かった現在の終点馬堀海岸インターが開通したのは2009年。その意味ではまだまだ新しい道路と言えるでしょう。我々はもっと有効に使うべきですね。
そんなことも踏まえ、今回は馬堀海岸インターの出口からグルッと時計回りで三浦半島の先端部分をドライブします。インターを下りるとすぐ目の前が海なので、そこから気分は変わります。「来た!」と思わず叫んでしまいそうですね。ちなみに今回のドライブプランはランチを目指すような時間にスタートしますが、思い切り早起きする手もあります。というのも、観音崎は三浦半島で海からの日の出が見られる数少ないスポット。水平線に浮かぶご来光もいいもんです。ブルーの世界とオレンジの光のコントラストは絶妙ですから。

※「ミシュランガイド」掲載飲食店/宿泊施設(赤字)と外国人観光ガイド「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」掲載地(緑字)が全てイラスト上に記載されているわけではありません。
今回ドライブをお供する車はMAZDA CX-8。2017年12に発売開始した3列シートのクロスオーバーSUVです。最大7名乗車を可能にしながらもMAZDAらしいスポーティな走りとシュッとした都会的なデザインが特徴ですね。
そしてタイヤはMICHELIN Premier LTX (ミシュラン プレミア エルティーエックス、サイズは225/55R19)。SUVに適したタイヤで高い重心の足元を安定させます。高速道路では車を滑らかに走らせるばかりか快適さも感じさせるほど。小さい段差は後席にいたら気づかないでしょう。もちろん、安定感ある走りはドライバーに運転の楽しみをもたらします。背の高い車にありがちなハンドルを切ったときのふらつきを軽減するので、同乗者が揺さぶられることを気にせず運転できます。つまり積極的に運転に集中できるってことです。運転が楽しくないとロングドライブはできませんからね。これ重要。それとサイズが豊富なのもMICHELIN Premier LTXの美点。16から22インチのワイドなラインナップには驚かされます。

さて、ルートは馬堀海岸インターを出て突き当たりまで行き、国道16号線を右折します。別名“よこすか海岸通り”。チラチラ海を臨みながらのドライブです。しばらくすると、右手に横須賀美術館が見えてきます。“海の広場”と名付けられた広い芝生が目印。建物自体が美術品のようでもあり、とてもお洒落です。興味があればぜひ立ち寄ってください。

前述した日の出スポットの観音埼灯台はその先。県道209号をまっすぐ行った観音崎海水浴場を超えます。八角系の白い灯台は日本最古の洋式灯台といわれ、日本の灯台50選にも選ばれているとか。駐車場は近くに5箇所あるのでご心配なく。

灯台からの絶景を堪能した後はペリー公園を目指します。再び県道209号を浦賀駅方面へ。浦賀は大型船やドッグ、海上自衛隊の艦船を身近に感じられる独特の情緒があります。時間があれば散策したくなる街です。そこにはペリー上陸を記念する上陸記念碑や資料を保管した記念館があります。知っているようで知らない歴史の勉強タイムですかね。

ペリー公園の次は宮川公園へ。小さな港町からの海沿いの移動は地中海に面したポルトフィーノ周辺を思い起こします。人の手が入っていない素朴さが似ています。きっと何年も同じ景色なのでしょう。県道212号線に沿った久里浜、三浦海岸の長い砂浜はプーリア州バーリあたり。目の前がパッと開けます。水平線の向こうに貨物船が見えるのも情緒的ですね。宮川公園に到着。ここでは道の反対側に車を止め公園の先端にある展望スポットへ足を運んでください。眼下に広がるのは観音山下のマリーナと釣り場スポット。ここも絶景です。
といったスポットを巡りながら今回のメインとなる三崎へ車を進めましょう。ここからはもうほんの数分。三崎ではランチタイム!と行きたいところですが、その前にちょっとだけ気分を変えて船に乗るのはどうでしょう。その名は水中観光船“にじいろさかな号”。乗船は漁港にある“うらりマルシェ”すぐ横。車を漁港にある大きな駐車場に入れ、桟橋のすぐ前側でチケットを買い乗り込みます。この船の特徴は魚を目の前で見られること。そうです、デッキから階段を降りると水中展望室が現れます。航路は城ヶ島との間を東に抜けます。目的地は先ほど宮川公園から見下ろした釣り場スポット。ここで海へ餌をまき魚を誘き寄せるんです。水中展望室から見る魚群はなかなかの光景でした。

下船したらいよいよランチ。今回暖簾をくぐったのは“咲乃家”です。“うらりマルシェ”を出て右手に1分歩いたところにあります。店の外壁には大きく“まぐろずし”の文字が躍っているのですぐに気づくでしょう。お品書きはにぎり、ちらしを中心に構成されます。店内は木の温もりを感じる雰囲気。

三崎公園信号の直ぐ側、海に面した咲乃家は1952年に創業。外海に面した三崎は、東京湾、相模湾と三方を海に囲まれ魚種も豊富だ。厳選したマグロは「めばち」、「南インドマグロ」を使用する。

「シャリは絶対! 釜土炊」。天然物の地魚とともに、創業時からこだわるのは、釜土で炊いたご飯だ。カウンターに陣取れば鮮やかな職人の手さばきも食欲をそそる。コースメニューも楽しめる。

咲乃家では三浦半島各地の漁港から旬の地魚を仕入れ、養殖・畜養の魚は一切使用しない。今回いただいたのは海鮮丼。その他に、平日限定のランチ(11時00分~14時00分)、おまかせ寿司コースもある。
咲乃家(寿司)
住所: 三浦市三崎 3-6-7
TEL: 046-881-3266
営業時間: 11時00分~21時00分(L.O.20時30分)
定休日: 月曜(祝日の場合は火曜)、12月31日、元日
Web: http://www.misaki-sakinoya.com

海洋実習船が停泊する岸壁から、路地を1本入ったところにあるちりとてちん。店内は、カウンター席、テーブル席、お座敷と多様な店構え。一人でもふらりと立ち寄れる雰囲気が漂うマグロ料理専門店だ。

気さくなご主人との会話を楽しみに地元の方々が足繁く通う。先代が落語好きだったことから、屋号は上方落語の「ちりとてちん」となったそうだ。店内に流れる出囃子に思わず納得してしまう。

いろいろな丼ぶりが食べたい、という声に応える形でお好みの3種類を組み合わせたちりとてちん丼が完成。無論、マグロ料理専門店だけに一品料理も様々。マグロのさつま揚げなど揚げ物も専門店ならでは。
ちりとてちん(日本料理)
住所: 三浦市三崎 3-10-1
TEL: 046-882-6956
営業時間: 昼11時30分~14時00分/夜17時00分~24時00分/日祝11時00分~21時00分
定休日: 木曜(祝日除く)、年末年始

遠洋漁業で賑わった最盛期から三崎の歴史をつぶさに見てきたご夫婦が営む海浜割烹のお店。ご家族には世界中を航海するマグロ船経験者もいらっしゃるとか。リアルな話がうかがえるかもしれない。

四人掛けの小上がり3卓とカウンター席の中心の親しみやすい店内。お二階には大広間があり団体様は応相談とのこと。ランチタイムが午後3時までなので、思わず観光に時間を取られても安心だ。

マグロのお刺身は無論のこと、希少部位である鉢(はち)の照り焼きが味わえるおもてなし御膳。丼ぶり物や定食、一品メニューも豊富だが、部位や調理法など相談に乗ってくれる。地魚は当日のお楽しみ。
柳(日本料理)
住所: 三浦市三崎 2-2-13
TEL: 046-881-3027
営業時間: 昼11時30分~20時00分/夜17時00分~24時00分/日祝11時00分~21時00分
定休日: 水曜(祝日除く)、元旦
Web: http://www.misakiyanagi.com
お腹がいっぱいになったら再び三浦半島先端の時計回りドライブを続けます。次の目的地は白髭神社。油壺方面です。海沿いの県道26号を使って潮風に当たりながらのドライブがいいでしょう。この道は意外にも交通量が少なく快適に走れます。目印はシーボニアマリーナ。その入り口を左手に車を進めればもう少しで白髭神社です。ここは海上安全の守り神。シーボニアマリーナに集まるヨットマンたちも参拝します。名物はカンカン石かな。その名の通り石なんですが、叩くとカンカンと金属音がします。海の安全を祈願しながらそんなことも楽しんでください。

白髭神社を後にしたらソレイユの丘に向かいます。ここは自然や動物と触れ合える体験型のレジャースポット。バラエティに富んだ遊具がいっぱいです。なので、ドライブスポットとしてもそうですが、家族みんなで一日中遊ぶのもいいでしょう。名前の通り丘の上にあるので景色がいいですし、気持ちのいい海風を運んでくれます。ですが、今回はあくまでも立ち寄りスポットのひとつとします。ソレイユの丘の後はすぐ近くの荒崎公園で夕陽を拝む。そんなのもロマンチックでいいですね。

そして最後は大型農産物直売所“すかなごっそ”でお買い物。ここはJAよこすか葉山が経営する直売所で、三浦半島の特産物が豊富に揃っています。野菜、果物、魚、肉、云々。ここで旬な鮮魚を購入、シェフになって家族や大切なパートナーのために腕を振るってみるのもいいですね。もちろん、自分へのご褒美としても。まさに三浦半島ドライブの締めにうってつけの立ち寄りスポット。休日の夜イタリアンのシェフに変身してみては?!

さてさて、“すかなごっそ”からの帰りは134号を北上し三浦縦貫道路経由で衣笠インターから横浜横須賀道路へ戻ります。これで日本版イタリア半島のカカトからのグルッと時計回りドライブは終了。帰りの高速道路もMICHELIN Premier LTXで快適にMAZDA CX-8を操ります。ドライブは目的地も大切ですが乗っている時間の過ごし方も大切。その意味タイヤは重要ですね。SUVだからこそ、そう感じたドライブでした。

2019年3月26日掲載(取材日:2018年7月27日)
※記載の内容は掲載時点の情報です。(ミシュランガイド公式リストbyクラブミシュランは、現在、終了しております。)
※全世界のミシュランガイドセレクション(レストラン・ホテル)の閲覧・検索はミシュランガイド公式ウェブサイトをご利用ください。
※グリーンガイドの情報は『グリーン・ガイド・ジャパン改訂第4版』のものです。
(『ミシュランガイド横浜・川崎・湘南2015』(2018年12月終了))
フォトギャラリー
フォトギャラリー

白髭神社 鳥居

三浦 景色1

にじいろさかな号 眺め

にじいろさかな号 内観

三浦 景色2

三浦 景色3

三浦 景色4

三浦 景色5

ソレイユの丘 動物1

ソレイユの丘 動物2

ソレイユの丘 動物3

三浦 景色6

Writer
Tatsuya KUSHIMA
MADURO Editorial Director/
Motor Journalist

Photographer
Kosuke ARAI