富山湾越しに立山連峰の3000m級の山々を望むことができる雨晴海岸付近

文化や歴史そして絶景に魅了され、美味しい食材と出会う富山トリップ(後編)

落ち葉の季節も過ぎ去り、天気予報コーナーにも雪マークが出始めた。家のコタツも大好きだけど、たまにはゆっくりのんびり女子2人旅。今回は歴史と文化の豊かな富山県を周遊しながら、地元の食材を使い地産地消にこだわるSDGs実現に向けた取り組みを行なっているレストランへ。道中はハイブリッド車の静かな車内で、仕事に恋や趣味と話題は尽きない。
MEM  バナー 「ミシュランニュースレターに登録」
富山の文化と歴史に触れる旅はまだまだ続く。湾の奥にある穏やかな海と山脈を堪能しに「道の駅 雨晴」へ
富山 道の駅 雨晴 外観

「道の駅 雨晴」は、多くの人が海岸を見渡せるように横長な建物

続いては海沿いで車を少し走らせることに。前日は相当な降雪量だったにも関わらず、この日は午前中から太陽も顔をのぞかせ絶好のドライブ日和に。雪景色と海岸線からの景色をここぞとばかりに堪能しに「道の駅 雨晴(あまはらし)」にちょっと寄り道。「日本の渚百選」に選ばれた雨晴海岸が目の前、海と山々を眺めながらのブレイクタイムにぴったり。

道の駅 雨晴のレストランで昼食

道の駅 雨晴のカフェ「Cafe ISOMI TERRACE」でちょっと遅めの昼食

道の駅の館内にあるオーシャンビューが自慢のカフェ「Cafe ISOMI TERRACE」では、地元産食材をたっぷり使ったメニューを提供中。開放感抜群のカフェで目の前に広がる富山湾を眺めながらランチやカフェタイムがゆったり過ごせる。

高岡産たまごのトロトロオム 白えびシーフードカレーサラダ付きとサラトガクーラー雨晴バージョン

高岡産たまごのトロトロオム 白えびシーフードカレーノンアルコールカクテル「サラトガクーラー 雨晴バージョン

一番人気は「高岡産たまごのトロトロオム 白えびシーフードカレー」。富山名産の白えびとエキスたっぷりのカレーに地元産の新鮮卵を使って、誰もが笑顔になれる味わいに。プラスして、目の前の海をイメージした“雨晴ブルー”のノンアルコールカクテル「サラトガクーラー 雨晴バージョン」もライムをキュッと絞ってゴクリ。雪道ドライブで緊張気味の体に沁みる。

雨晴海岸から見た立山連峰

天気のいい日はもっとはっきりと立山連峰が見られるという

日本海と聞くと荒れているイメージもあると思うが、富山湾の最も奥に位置する同海岸は比較的穏やかな海としても有名。透明度の高い水質は、館内から見ても魚が泳いでいるのが見えるほど。また、海とともに3000m級の立山連峰を望む景色はまさに絶景だが、実はこの雨晴海岸から立山連峰を見ることができるのは、1年のうち約80日しかないそうだ。この日は多少雲がかかっていたものの、館内からでも遠くの立山連峰を見渡せた。また、暖かい日はレストランの1つ上の階にある「展望デッキ」で眺めるのもおすすめ。

道の駅 雨晴の展望デッキ

道の駅 雨晴の3階にある展望デッキなら外の空気を吸いながら絶景を楽しめる

目の前の雨晴海岸には波打ち際へ降りることもできる。その透明度の高さに驚くはず。この日は波も穏やかで海鳥が羽を休める姿も見られた。女岩越しの立山連峰の景色は必見!

なお、道の駅 雨晴の館内にあるお土産屋さん「Souvenir Shop ARISO」では、富山県西側の6エリア(高岡市、氷見市、射水市、砺波市、南砺市 小矢部)の名産品を中心にラインアップ。氷見うどんから、知る人ぞ知る地元の人気アイテム「大門素麺」も販売中。麺が長いまま丸めて袋に入っているので、袋から出す前に手で麺を半分に割ってから茹でるといいそう。夏は冷たく、冬はお鍋の締めにぴったりとのこと。

道の駅 雨晴
住所:富山県高岡市太田24-74
電話:0766-53-5661
営業時間:9:00〜17:00
URL:https://michinoeki-amaharashi.jp/

どんな冬道でも安定&安心感抜群。「立山黒部アルペンルート」玄関口まで走ってみた
立山駅へと向かう道中のヤリス クロス

海からの絶景を堪能したあとはまだ雪の残る立山駅へ

海沿いを走ったあとは、毎年4月中旬に開通する「立山黒部アルペンルート」周辺へ。富山と長野を結ぶ山岳観光ルートで、富山屈指の観光エリア。特に「大谷(おおたに)」と呼ばれるエリアは、雪のふきだまりのため積雪が最大約20mもの高さになるという。足を運んだときはまだ開通前で入れなかったが、いつか訪れてみたい場所のひとつになった。

立山駅とヤリス クロス

立山黒部アルペンルートの玄関口「立山駅」。立山黒部アルペンルートの全面開通時期(例年4月中旬~6月下旬。2022年度は4月15日~6月25日)には多くの観光客で賑わう。年によって開通時期は変動するので日程は公式ホームページ(https://www.alpen-route.com/)をチェックしてほしい

訪れた時期はウィンターシーズン半ばで、まだまだ立山黒部アルペンルートの開通にはほど遠い。今回は、次回の旅に備えてアルペンルートの入口でもある立山駅までドライブ。なお、立山黒部アルペンルートは自家用車の乗り入れはNG。クルマは立山駅付近の駐車場に預け、立山ケーブルカーで美女平駅まで登り、そこから立川高原バスで標高2450mの室堂ターミナルへ。室堂ターミナルから雪の壁が一番高い地点までは、約500mのウオーキングコースが用意されているので、例年4月中旬~6月下旬であれば雪壁を眺めながら片道15分~20分の散歩を楽しめる。

立山黒部アルペンルートの雪壁

アルペンルートは例年4月中旬~6月下旬に開通。室堂ターミナル付近(写真左)では6mほどの積雪だが、そこから15分~20分ほど歩いた場所にある雪の大谷(写真右)は、国見岳から伸びる稜線の風下であることから、吹きだまりとなるため毎年このような雪壁が見られる。(写真提供:立山黒部アルペンルート)

雪道を走るヤリスクロス

日陰は部分的に凍結している場所もあったが、ミシュランのスタッドレスタイヤ「X-ICE SNOW」はタイヤのブロックがしっかりと雪をつかんでいるかのような安心感があった

立山駅までのワインディングロードは、除雪がしっかりしている雪国とはいえまだ雪が残っていた。陽が当たりシャーベット状の路面ではタイヤの表面にあるV字の溝で雪や水をしっかりと排出してくれるので接地感が高い。

また、クルマ通りの少ない脇道にはふかふかの雪もあるし、山陰には凍った路面もちらほら。しかし、スタッドレスタイヤ「X-ICE SNOW」は、路面にピタッと吸い付いている感じがあり、常に安心してドライブを楽しめた。乾いた路面でのロードノイズも静かで、おしゃべりを楽しみながらの冬旅や日常使いにはベストな印象だ。

ミシュランx ice snowのトレッド面

「Ever Winter Grip(エバー・ウインター・グリップ)コンパウンド」と、雪と水を排出するVシェイプトレッドパターンにより、高いグリップ力をキープしてくれる

X-ICE SNOWは、硬い雪の上に乗った時のジャリジャリ感や、溶け気味のシャバシャバ感などが乗り手に伝わることがなく、とても快適。今まで体験したスタッドレスタイヤのワンランク上の性能を感じるひとときだった。安心感は結果的に安全運転につながるため、ドライバー&同乗者ともにタイヤに感謝。

ミシュランガイド北陸2021掲載レストラン「トレゾニエ」訪問。持続可能な食材採用の創作フレンチにうっとり
リゾートホテル river retreat 雅樂倶 外観

リゾートホテル「RIVER RETREAT 雅樂倶」に到着。夕食は同館のレストラン「Trésonnier」で。

2050年までにタイヤを100%持続可能にするための取り組みを進めているミシュランタイヤ。環境に優しい素材やリサイクル素材を活用しながら、高い性能も維持し、持続可能なモビリティを実現すべく活動しているが、美食の分野にも“サステナブル”が大きな流れとなりつつある。そのためミシュランガイドの2021年度版から、持続可能な美味しさを提供するレストランに「グリーンスター」を導入し、環境への配慮や取り組みも評価のひとつとしている。

今回訪れたレストラン「Trésonnier(トレゾニエ)」は、シェフ自らが地元の名人と山を訪れて食材を調達。流通に適さない小魚や白エビの殻などを買い取り、畑に使う液体肥料として再利用。さらに新鮮なまま味わえるだけでなく輸送コストがかからない自家農園の野菜を使うなど、持続可能で環境に配慮した食材を用いた料理を提供。地元ならではのジビエを使った本格フレンチがコースで味わえると評判のお店だ。

trésonnierでの前菜

(左)月の輪熊の肉を薄くスライスしてボイルし、エゴマソースをあえた一品。(右)紅ずわい蟹とボイルし焼き目を付けた真鱈の白子を、子持ちのモズク蟹とともに味わう料理

山で狩猟された月の輪熊の肉を薄くスライスしてボイル。隣町で採れたエゴマを使ったソースでいただく一品は、シェフ自らが秋に山に赴き摘んできた秋茗荷を甘酢で漬け込み保存食として保管していたものと、葉タマネギを軽く焼いて添えてある。牛肉のような繊細さと柔らかな熊肉は、まさにジビエの概念が覆る一皿だ。さらに、富山湾の名産紅ずわい蟹とボイルし焼き目を付けた真鱈の白子が主役の料理は、地元の名人が山の奥の川で獲ってきた子持ちのモズク蟹とともにいただく。後継者不足でなかなかお目にかかれないモズク蟹を活用することで、地域社会活性化にも貢献しているという。とろりとろける濃厚な白子と蟹から滲み出た色彩、味わいのハーモニーが絶品だ。もちろん、スープも一緒にいただこう。

猪の骨付きロース

じっくりと焼き上げた猪の骨付きロース

地元の山で狩猟された猪をそのまま一頭買いし、できる限り多くの部位を食材として活用。続いては猪の骨つきロースを焚き火でじっくり焼き上げた一皿。薪の香ばしさとロースのジューシーさがたまらない。口溶けの良い脂身が特徴でスッと切れる柔らかさも。ソースは猪肉や骨ガラを活用し旨味を凝縮。隣には栗と日野根株を薄くスライスし、カリンのドレッシングをプラス。

特製ノンアルコールドリンクや地元のワイン
特製ノンアルコールドリンクや地元のワイン 2

コース料理と一緒に味わうならば、「ペアリングコース」がおすすめ。宿泊するのであれば、氷見のワイナリー「SAYS FARM(セイズファーム)」で作られた地元のワインなどを堪能できるし、車での移動があるなら料理に合わせて生み出された富山素材を使った特製ノンアルコールドリンクも楽しめる

trésonnier の田中逸平シェフ

「Trésonnier」の料理を手掛ける田中逸平シェフ。仕事あがりに食材を採りに行くこともあるという

「Trésonnier」の料理を手掛ける田中逸平シェフは「料理人として食材ロスをできる限り防ぎ、使える食材はしっかりと使い切りたい」と話す。鹿や熊、猪をはじめ猟師から一頭買いし、全てを活用するのは料理人としてもやりがいを感じるという。

「一頭買いは本当に面白いし、メニューの幅が広がります。もちろん使い切るまでのプレッシャーも含め。腕は硬いからリエットに、頭を全部炊いてほぐしてゼリーにしたり、脳みそ、心臓全部美味しい。それに捌いて出た臓物は素晴らしい肥料になります」と田中シェフ。

自家栽培にんじんと青首鴨

青首鴨のムネ肉に自家農園で育てた人参を添えて。ソースは鴨のガラを煮込み、血液をアクセントに加えた出汁を使っている。人参が美味しく育ちすぎ、野生動物に食べられてしまったが、なんとか助かった数本を朝採ってきたとシェフが話してくれた

すぐ近くの自家菜園で採れた新鮮な野菜は味が濃く、甘さを感じるほど。前述の山の恵みは敷地内の土に時間をかけて返すとともに、さらに富山湾で揚がった未利用魚を買い取り液体肥料にしたうえで畑に撒いているのこと。名人とともに山や川へ向かい、食材に向き合うこともしばしば。勤務後に深夜食材探しに向かうこともあるとか。田中シェフは「富山だからこそ知り得たことだと思っています。日々学び、周りの方々に教えてもらっている最中。昔はこうだった、こうすると美味しくなる、技術と教えを受け継ぎながら。日々学びと実践の繰り返しです。全部知りたい。山菜にしてもどういう状態で生えているのか、ナマズもどうやって釣るのか……使う食材すべてに責任も持ちたいですし」と語る。

ある意味料理を生み出す際のパートナーでもある自然との持続可能な関わり方も聞いてみた。「自然の恵みは僕らにとって宝です。山も川も絶えないように、摂りすぎないよう自然と対話・相談しながらお裾分けしてもらっています。また、保護的な観点から一部育てている里山食材もあります。山のもの、川のもの、技術を受け継ぎながら環境も含め次につながるように。富山で生きる人間として本来の姿を体に染みつかせながら、料理を提供していきたいと考えています」と田中シェフは教えてくれた。

スモールラグジュアリーホテル リバーリトリート雅樂倶 の部屋

「Trésonnier」で美食を堪能したら、そのままスモールラグジュアリーホテル「リバーリトリート雅樂倶」での宿泊がおすすめ。全部で23室あり、それぞれ趣が異なる内装がポイント。今回訪れたのは「幻樂の間」で、朱を基調とした客室にはテラスや中庭、天然温泉がありゆったりくつろげる

Trésonnier(トレゾニエ) ※ホテル「リバーリトリート雅樂倶」内
住所:富山県富山市春日56-2
施設予約電話:076-467-5550
ディナー営業時間:スタート時間 18:00~ / 19:00~ 二部制 ※前日までの予約が必要
定休日:水曜日
URL:https://www.garaku.co.jp/dining/tresonnier/

トヨタ ヤリスクロス

トヨタの「ヤリス クロス」は、コンパクトSUVながら、安定感のあるどっしりとした走りが特徴。こだわりのインテリアは落ち着いた雰囲気で、ワンランク上のクルマ旅にぴったり。冬のドライブにはありがたいシートヒーターや、旅のスーツケースをはじめスノーグッズなども置ける広いラゲッジスペースもありがたい。モータージャーナリストの藤島智子氏によるミシュラン最新スタッドレスタイヤ「X-ICE SNOW」のインプレッションは「Car Watch」をチェックしてほしい(リンクURL:https://car.watch.impress.co.jp/topics/michelin2210/

2022年1月25日掲載
※内容は掲載時の情報です。

企画構成/Car Watch、文/相川真由美、写真/堤晋一
取材協力/富山市ガラス美術館・高岡山 瑞龍寺・道の駅 雨晴・Trésonnier・RIVER RETREAT 雅樂倶

MEM バナー 「ミシュラン ニュースレターに登録」
MICHELIN EXPERIENCE MAGAZINE これまでの記事はこちらから
You are using an unsupported web browser
本ウェブサイトではサポートされていないウェブブラウザをお使いのようです。一部の機能が正常に作動しない場合があります。閲覧中に動作が不安定になる場合があります。このウェブサイトを最大限活用していただくため、以下のブラウザのいずれかを使用していただくか、アップグレードまたはインストールしてください