エクレール号

3 世界初の自動車レース

ミシュランの歴史 EPISODE.03

1895年、エクレール号が証明した空気入りタイヤの未来

エクレール号

脱着可能な空気入り自転車用タイヤ「デモンターブル」に続いて、自動車用の空気入りタイヤの特許も取得したミシュランにとって、パリ・ボルドー自動車レースへの出場は、その性能を実証するうってつけの舞台でした。

ジグザグと走るこの車を見たパリ市民によって「エクレール(稲妻)号」と名づけられたミシュランの自動車は、プジョーのシャシーにダイムラーのエンジンを載せた手作り。これが世界初の本格的長距離自動車レースに挑むこととなったのです。

往復1200㎞もの長距離を100時間以内で走りきるこのレースはパリをスタートしてボルドーを目指し、またパリへと戻るというものでした。完走できたのはエントリーした46台のうち9台のみ。黎明期の自動車にはとても過酷なこの冒険を終え、ゴールに戻ってきた9台の中に、なんと手作りのエクレール号の姿がありました。

エクレール号

エクレール号

9位はビリでしたが、自転車と馬車が主流でエンジン付き自動車がようやく公道を走り始めたこの時代に、空気入りタイヤを装着した自動車がレースを完走したこと自体が画期的な出来事でした。パリ・ボルドー自動車レースに出場したエクレール号は、唯一の空気入りタイヤを装着した自動車であり、自転車よりも馬車よりもはるかに重い車も空気入りタイヤで走れることを証明し、自動車とタイヤの未来を予感させたのです。

文/ヤマダマサノリ 編集/佐野未代子(Condé Nast Creative Studio)

You are using an unsupported web browser
本ウェブサイトではサポートされていないウェブブラウザをお使いのようです。一部の機能が正常に作動しない場合があります。閲覧中に動作が不安定になる場合があります。このウェブサイトを最大限活用していただくため、以下のブラウザのいずれかを使用していただくか、アップグレードまたはインストールしてください