サイドウォールの損傷を放置しておくとどうなる?
サイドウォールの損傷は細かい傷であっても、放置するとパンクやバーストのリスクが出てくるため、非常に危険です。
サイドウォールは走行中の衝撃を吸収するために、たわむように作られています。少しの亀裂がたわむことで、どんどん広く深くなり、最終的に大きなトラブルにつながるということも珍しくありません。
定期的に状態を確認し、「どのような傷がついているか」を判断することで、トラブルを未然に防げます。
サイドウォールの主な損傷のタイプと対処法
1 - サイドウォールの擦り傷、えぐれ
擦り傷はタイヤのサイドウォールに生じる損傷の一種です。縁石や車止めなどに強く当たることで、タイヤが擦れて、深い傷が残ることがあります。
1~2回であればそこまで大きな影響はありませんが、繰り返し擦られることで、ひび割れや亀裂の発生が起き、パンクやバーストといった重大なトラブルにつながる恐れがあるので、注意が必要です。
運転中に「いま擦ったかも」と思ったら、こまめにサイドウォールを確認して、状況を確認してみてください。傷の数が多い場合や損傷が激しい場合は、タイヤ専門店に点検を依頼しましょう。
2 - サイドウォールの切り傷
タイヤサイドウォールの切り傷は、その深さによって深刻度が異なります。
ただし、専門的な知識を持ったスタッフ以外の方が傷の深さを判断するのは困難です。
サイドウォールに深い切り傷がある場合は、ゴム層の下で空気圧を保持する役割を持つカーカスプライ(タイヤコード)まで損傷している可能性があり、タイヤは修理できず交換が必要です。
ただし、傷の深さは外観からでは判断が難しく、特に内側に損傷がある場合は見えないこともあります。鋭利なものを乗り越えた記憶がある場合や、切り傷が確認された場合は、自己判断せずにタイヤ専門店での点検を受けることをおすすめします。
また、専門的な知識を持ったスタッフ以外の方が傷の深さを判断するのは困難です。
こうした理由から、運転中に鋭利なもの(尖った石など)を乗り越えた時は、タイヤに切り傷がないか点検を受けることをお勧めします。
3 - サイドウォールの膨らみ、バブル
正面や斜めから縁石や陥没した場所を乗り越えた時に、タイヤのサイドウォールに膨らみが生じることがあります。
サイドウォールに空気のこぶができているようにも見えます。
重大な危険につながるおそれがあるため、最も警戒を要するサインの一つです。
ポットホールによるタイヤへのダメージ
道路の穴から受ける衝撃も、タイヤのサイドウォールに膨らみが生じる原因です。道路で気づいた時は、避けるよう注意してください。もし、縁石や穴にぶつけてしまった時は、タイヤに損傷がないか確認するため点検を受けてください。
タイヤの膨らみが危険な理由とは?
タイヤのサイドウォールに生じた膨らみは、ゴム層の下のカーカスプライが切断していること意味しています。この膨らみが破裂すると、空気圧が急激に失われます。高速道路の走行中などにそれが起きると、タイヤは急激に空気を失い、車のコントロールが失われ、事故につながるため、注意が必要です。
切り傷と同様に、膨らみはタイヤの内側にも外側にも生じる可能性があり、外から見ただけでは気づかないこともあります。ただし、タイヤに膨らみがある場合、通常は異常な振動を感じるはずです。このサインは軽視せず、至急タイヤ専門店で点検を受けてください。
一般的な減速帯(速度を落とすためのカマボコ型の隆起)は、タイヤに直接損傷を与えることはほとんどありません。
ただし、繰り返し勢いよく乗り越えると、サスペンションなどの足回りに負担がかかる場合があります。安全のためにも、減速帯では十分に速度を落として走行することが推奨されます。
4 - サイドウォールのひび割れ
サイドウォールのひび割れは、タイヤの経年劣化のサインです。または、太陽やオゾンにさらされることでも生じます。
タイヤのサイドウォールの清掃過多が原因となることもあります。またタイヤのツヤ出し剤の中にはその中に含まれている化学薬品が反応しタイヤの保護剤が除去され、ひび割れを早める可能性を有するつや出し剤もあります。
サイドウォールに深いひび割れが生じたら、タイヤの寿命が近づいている警告サインのため、交換の準備をしましょう。アドバイスをご希望の方は、タイヤ専門店までご相談ください。
5 - サイドウォールのわずかな変形
ラジアルタイヤ(ほとんどのタイヤ)にくぼみができるのは当然のことであり、性能に影響はありません。
タイヤのサイドウォールは、プライ (テキスタイル製またはスチール製)を含むさまざまなパーツが重なり合ってできています。
プライの重なった部分の厚みが増すことでわずかなくぼみが見られることはよくあります。
6 - サイドウォールのパンク
タイヤのトレッド(路面に接地する部分)が、釘などの貫通傷でパンクした場合は、傷の直径が6mm以下であれば修理が可能です。
適切に穴をふさぎ、再度空気を充填すれば、以前と同じ性能で走行することができます。ただし低空気圧の状態で走行していた場合、タイヤコードにダメージが及んでいる事があります。この状態でパンク箇所を修理して空気を充填すると、タイヤが破裂する恐れがあり、とても危険です。早急なタイヤの交換が必要になります。
一方、タイヤのサイドウォールは異なります。サイドウォールにパンクや切り傷が生じたタイヤは修理できません。性能を発揮するための柔軟性を回復することが不可能です。この場合はタイヤを交換する必要があります。
タイヤのサイドウォールの損傷を防ぐには
こちらでは、タイヤのサイドウォールの損傷を未然に防ぐ方法について解説します。
まずは、タイヤの空気圧が適正に維持されているかを確認しましょう。適正空気圧は、車の取扱説明書や運転席側のドアに貼られているステッカーで確認可能です。
加えて、走行中にもなるべく傷をつけないようにする配慮が求められます。例えば縁石への衝突を避けたり、道路の穴を避けたりすることが大切です。
また、サイドウォールの異変をいち早く察知するためにも、定期的な点検が重要になります。ひび割れや切り傷、裂け目、膨らみがないかをチェックしましょう。切り傷の深さなど、タイヤ専門店などのプロでないと判断できないケースがあるため、目視だけでなくプロにチェックを依頼することも検討してください。
最後に、タイヤを清掃する際に過剰に清掃したり、保護するためのつや出し製品をサイドウォールへ使ったりすることは避けましょう。つや出し剤によっては、タイヤの保護剤が除去されて、ひび割れを早めてしまうことがあります。
以上の内容を日常的に守ることで、サイドウォールの損傷を防ぐことが可能です。ただしタイヤは消耗品なので、定期的な点検・交換を行うことは忘れないようにしましょう。
タイヤのサイドウォールは、わずかな傷や変形が大きな事故につながる恐れがあるため、常に注意が必要な部分です。走行中の異変に気づいた場合は早急に状態を確認し、少しでも不安がある場合は専門店での点検を受けることが推奨されます。
また、適正な空気圧の維持や丁寧な運転、清掃方法の見直しなど、日頃からの予防意識を持つことで、損傷リスクを大きく下げることができます。
タイヤは車の安全を支える重要なパーツのひとつ。安心して走行するためにも、定期的な点検・交換を心がけましょう。
