世界最高峰の耐久レースシリーズ
WEC(FIA世界耐久選手権)では、短くて6時間、最長では24時間におよぶ長さのレースが各大会で開催され、その途中では、ドライバー交替、燃料補給、そしてタイヤ交換が繰り返し行われます。出場する各車両はドライバーを3名まで登録でき、彼らは交替でマシンに乗り込んでレースを戦います。
2026年シーズンのWECにはハイパーカークラスとLMGT3クラスの2つが設けられており、レースでは出場全車が一斉に走行しながら各クラスの順位を争います。
ハイパーカークラス
ハイパーカークラスには、「LMH」と「LMDh」という2種類のプロトタイプスポーツカーが出場しています。もっとも、LMHとLMDhの車体やパワーユニットの成り立ち、性能条件は、ほぼ同様です。LMDhでは、車体は認定された4つの製造者のものを、MGU(モーター・ジェネレーター・ユニット)やバッテリーは同一品を全車が使用します。つまり、LMDhにおける車両技術の競争は、エンジンとボディワークの開発、そして各種セッティングといった領域に限られています。一方、LMHは、車体もパワーユニットも、マシンのコンストラクターが独自に開発/調達したものを使用できます。
技術開発の自由度が異なるLMHとLMDhですが、WECにおいては両者が互角に戦うことが目指されています。そのため、各マシンのパフォーマンスに大きな違いが出ないようにする性能調整措置が、WECの競技運営側の任意の判断によって講じられています。
このハイパーカークラスでは、タイヤサプライヤーは1社に限定されています。その重要な役割を務めているのはミシュランで、WECのトップカテゴリーに出場するすべてのマシンにMICHELIN Pilot Sportエンデュランスタイヤをシーズンを通じて供給しています。
温室効果ガス排出量を大幅に削減した公式燃料を使用
WECでは、植物由来の成分を多く含有した、いわゆるバイオ燃料を公式燃料としており、出場全車が使用しています。このバイオ燃料は、ワイン用のぶどうの搾りかすから作られるバイオエタノールを主成分としたもので、従来の鉱物製燃料に対して、温室効果ガスの排出量が65%以上も少なくなっています。
再生可能素材とリサイクル素材を50%採用
2026年シーズン WEC MICHELIN Pilot Sportエンデュランスタイヤ
ミシュランの企業ポリシーの好例
ミシュランは、WECのトップカテゴリーにおける唯一の公式タイヤサプライヤーとして、ハイパーカークラスに出場する全車にタイヤ供給を行っています。2026年シーズンのハイパーカークラスには8種類の車両が出場しますが、パワーユニットの形態はまさに8車8様です。ミシュランは、それらのマシンの特性に対してそれぞれ最適化を図った専用のレーシングタイヤを供給しています。
WECが創設された2012年からミシュランは世界最高峰の耐久レースシリーズの最上位クラスにおけるタイヤ供給活動を途切れることなく行ってきていますが、2026年はコンパウンドの全面的な再設計を行った新型MICHELIN Pilot Sportエンデュランスタイヤを投入しています。この新しい耐久レース用タイヤにおいてミシュランは、従来品では30%であった再生可能素材とリサイクル素材の使用比率を50%にまで引き上げながら、グリップ性能とその持続性といった重要な各種性能を維持、あるいは向上させることを実現しています。
サステナブル材料の使用比率を50%にまで上げた新型MICHELIN Pilot Sportエンデュランスタイヤは、タイヤのライフサイクル全体を通して環境負荷を悪化させることなく非常に高いタイヤ性能を実現するというミシュランの企業ポリシーの好例であり、製造するタイヤの材料を2050年までにはすべて再生可能素材とリサイクル素材とするというミシュランの『オール・サステナブル』戦略における重要な一歩でもあります。
なお、ドライコンディション用の新型MICHELIN Pilot Sportエンデュランスタイヤは、ミシュランの『オール・サステナブル』戦略を彩る「Race to VISION」デザインがトレッド面にプリントされた状態で各パートナーチームに供給されます。このプリントは、車両が走行を開始すると路面に削られて消えてなくなります。
通常のレースで使えるドライ用タイヤは2種類まで
ハイパーカークラスでは、公式タイヤサプライヤーがシーズン中に用意できるドライコンディション用タイヤは3種類、ウェットコンディション用タイヤは1種類に制限されています。ドライ用タイヤについては、ル・マン24時間では3種類すべてを使用することが許されますが、他のレースでは2種類までとなります。
なお、WECではタイヤウォーマーの使用が禁じられています。これに対応してミシュランは、持ち前のグリップ性能と耐久性能の高さを損なうことなく、グリップ性能を存分に発揮できる温度に一段と早く到達する能力を備えたタイヤを開発し供給。ユーザーであるハイパーカークラスの各チームから絶大な信頼を獲得しています。
サイドウォールのマーキングで識別できるタイヤの種類
ミシュランはハイパーカークラス用レーシングタイヤのサイドウォールに、種類に応じて色分けしたマーキングを施し、コースの外からでも各車が装着しているタイヤの種類を識別できるようにしています。
【ドライコンディション用スリックタイヤ】
ホワイト:ソフトコンパウンド
イエロー:ミディアムコンパウンド
レッド:ハードコンパウンド
【ウェットコンディション用レインタイヤ】
ブルー
【タイヤサイズ】
■フロントタイヤ:29/71-18 ■リアタイヤ:34/71-18
(※ミシュランレーシングタイヤのサイズ表記はタイヤ幅 [cm]/タイヤ外径 [cm] −リム径 [インチ] )
(※ドライ用タイヤとウェット用タイヤの双方のサイズに違いはありません)
2026年シーズン WECのタイヤ使用基本ルール
WECでは、各大会におけるドライコンディション用タイヤの使用本数の上限が、下記のとおりに定められています。
(※ル・マン24時間におけるタイヤの使用本数の上限は、別途設定されます)
【6時間レースの場合】
■フリープラクティス用:12本 ■ハイパーポール用:4本 ■予選+決勝レース用:18本
【8時間レースの場合】
■フリープラクティス用:12本 ■ハイパーポール用:4本 ■予選+決勝レース用:32本
ウェットコンディション用タイヤについては、クラスやレース時間を問わず、使用本数の上限はありません。
環境負荷を低減するため、WECでは、ひとつの大会において使用できるタイヤの本数の上限を段階的に引き下げてきました。そして現在の上限は、決勝レースにおいては1セットのタイヤで2スティント以上をこなす必要があるものとなっています。走行条件に対して、使えるタイヤの本数の制限が厳しく、大きな負荷がかかり続ける条件下でも長い距離を高いパフォーマンスで安定的に走れる能力がタイヤには求められます。
WECのトップカテゴリーであるハイパーカークラスでは、車両性能が高いぶんタイヤへの入力が大きく、グリップ性能、その安定性、耐久性といった各種タイヤ性能に対する要求は極めて高いものがあります。それだけにミシュランは、WECをはじめとする耐久レースを、技術的なイノベーションを促すにあたっての理想的なプラットフォームと見なし、これに全力で取り組んでいます。
2026年シーズン WECの見どころ
全8戦で争われる2026年シーズンのWECですが、トップカテゴリーであるハイパーカークラスには8車種/計17台もの車両がシリーズ参戦します。
昨シーズンのハイパーカークラスでは、ドライバー選手権はフェラーリ・AFコルセのアレッサンドロ・ピエール・グイディ/ジェイムズ・カラード/アントニオ・ジョビナッツィ組がチャンピオンに輝き、マニュファクチャラー選手権もフェラーリがタイトルを獲得。トヨタがランキング2位に入り、ポルシェ、キャデラック、BMW、アルピーヌ、プジョー、アストンマーティンと続く結果になりました。
この2026年シーズンからは、韓国の自動車メーカーであるヒョンデが同社のラグジュアリーブランドであるジェネシスの名でエントリー。フェラーリ、トヨタ、キャデラック、BMW、アルピーヌ、プジョー、アストンマーティンが引き続き参戦します。
そして、これら8社の世界的な自動車メーカーが自らの威信をかけて送り込むマシンのすべてが、ミシュランタイヤを使用してシリーズを戦います。
2026年シーズン WEC ハイパーカークラス出場チーム&ドライバーラインアップ
FERRARI
CAR | CATEGORY | POWER UNIT |
フェラーリ 499P | LMH | 3ℓツインターボ V型6気筒+ハイブリッドシステム(前輪) |
TEAM | No. | DRIVERS | TIRE |
Ferrari AF Corse | 50 | アントニオ・フォコ/ミゲル・モリーナ/ニクラス・ニールセン | MICHELIN |
| 51 | アレッサンドロ・ピエール・グイディ/ジェイムズ・カラード/アントニオ・ジョビナッツィ | MICHELIN |
AF Corse | 83 | ロバート・クビサ/イーフェイ・イェ/フィリップ・ハンソン | MICHELIN |
TOYOTA
CAR | CATEGORY | POWER UNIT |
トヨタ TR010ハイブリッド | LMH | 3.5ℓツインターボ V型6気筒+ハイブリッドシステム(前輪) |
TEAM | No. | DRIVERS | TIRE |
Toyota Racing | 7 | マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ニック・デ・フリース | MICHELIN |
| 8 | セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川 亮 | MICHELIN |
CADILLAC
CAR | CATEGORY | POWER UNIT |
キャデラック・Vシリーズ.R | LMDh | 5.5ℓ自然吸気 V型8気筒+MGU(後輪) |
TEAM | No. | DRIVERS | TIRE |
Cadillac Hertz Team Jota | 12 | アレキサンダー・リン/ノルマン・ナト/ウィリアム・スティーブンス | MICHELIN |
| 38 | ジャック・エイトケン/アール・バンバー/セバスチャン・ボーデ | MICHELIN |
BMW
CAR | CATEGORY | POWER UNIT |
BMW M ハイブリッドV8 | LMDh | 4ℓツインターボ V型8気筒+MGU(後輪) |
TEAM | No. | DRIVERS | TIRE |
BMW M Team WRT | 15 | ドリス・ファントール/ラファエル・マルチェッロ/ケビン・マグヌッセン | MICHELIN |
| 20 | レネ・ラスト/ロビン・フラインス/シェルドン・ヴァン・デル・リンデ | MICHELIN |
ALPINE
CAR | CATEGORY | POWER UNIT |
アルピーヌ A424 | LMDh | 3.4ℓターボ V型6気筒+MGU(後輪) |
TEAM | No. | DRIVERS | TIRE |
Alpine Endurance Team | 35 | アントニオ・フェリクス・ダ・コスタ/フェルディナント・ハプスブルク/シャルレ・ミレシ | MICHELIN |
| 36 | ジュール・グーノン/フレデリック・マコヴィッキィ/ヴィクトル・マルタン | MICHELIN |
PEUGEOT
CAR | CATEGORY | POWER UNIT |
プジョー 9X8 | LMH | 2.6ℓツインターボ V型6気筒+MGU(前輪) |
TEAM | No. | DRIVERS | TIRE |
Peugeot TotalEnergies | 93 | ニック・キャシディ/ポール・ディ・レスタ/ストフェル・ヴァンドーン | MICHELIN |
| 94 | ロイク・デュバル/マルテ・ヤコブセン/テオ・プルシェール | MICHELIN |
ASTON MARTIN
CAR | CATEGORY | POWER UNIT |
アストンマーティン・ヴァルキリー AMR-LMH | LMH | 6.5ℓ自然吸気 V型12気筒(ノンハイブリッド) |
TEAM | No. | DRIVERS | TIRE |
Aston Martin THOR Team | 7 | ハリー・ティンクネル/トム・ギャンブル/ロス・ガン | MICHELIN |
| 9 | アレックス・リベラス/マルコ・ソレンセン/ロマン・ドゥ・アンジェリス | MICHELIN |
GENESIS
CAR | CATEGORY | POWER UNIT |
ジェネシス GMR-001 ハイパーカー | LMDh | 3.2ℓターボ V型8気筒+MGU(後輪) |
TEAM | No. | DRIVERS | TIRE |
Genesis Magma Racing | 17 | ルイス・フェリペ・デラニ/マティス・ジョベール/アンドレ・ロッテラー | MICHELIN |
| 19 | ポール‐ルー・シャタン/マチュー・ジャミネ/ダニエル・ジュンカデラ | MICHELIN |
2026年シーズン WEC開催スケジュール
ROUND | DATE | EVENT | CIRCUIT | COUNTRY |
1 | 4月19日 | イモラ6時間 | イモラ・サーキット | イタリア |
2 | 5月9日 | スパ・フランコルシャン6時間 | スパ・フランコルシャン・サーキット | ベルギー |
3 | 6月13〜14日 | ル・マン24時間 | ル・マン24時間サーキット(サルト・サーキット) | フランス |
4 | 7月12日 | サンパウロ6時間 | インテルラゴス・サーキット | ブラジル |
5 | 9月6日 | ローンスター・ル・マン | サーキット・オブ・ジ・アメリカズ | アメリカ |
6 | 9月27日 | 富士6時間 | 富士スピードウェイ | 日本 |
7 | 10月24日 | カタール 1812km | ルサイル・インターナショナルサーキット | カタール |
8 | 11月7日 | バーレーン8時間 | バーレーン・インターナショナルサーキット | バーレーン |